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【詳細解説】動脈とその分布先との組合せで正しいのはどれか (2014年 あマ指 問題28)

動脈とその分布先との組合せで正しいのはどれか (2014年 あマ指 問題28)
1 閉鎖動脈——-大腰筋
2 上殿動脈——-中殿筋
3 下殿動脈——-小殿筋
4 大腿動脈——-大殿筋
目次

考え方

動脈と分布先の筋肉の問題。「え〜。動脈の分布なんて知らないよ」と最初感じるかもしれない。動脈・静脈・神経はまとまって走行することが多い。よって、この問題は動脈を神経に置き換えて推測してみる。その後、動脈の分岐や走行について確認してみよう。

動脈を神経で置き換えて推測

  • 閉鎖動脈→閉鎖神経(腰神経叢L2〜L4)
    閉鎖神経の筋枝は股関節内転筋群を支配している。つまり長内転筋短内転筋大内転筋薄筋外閉鎖筋。また皮枝は大腿内側下2/3の感覚を司る。
  • 上殿動脈→上殿神経(仙骨神経叢L4〜S1)
    上殿神経は中殿筋小殿筋大腿筋膜張筋を支配する。(筋枝のみ)
  • 下殿動脈→下殿神経(仙骨神経叢L5〜S2)
    下殿神経は大殿筋を支配する。(筋枝のみ)
  • 大腿動脈→大腿神経(腰神経叢L2〜L4)
    大腿神経の筋枝は腸骨筋恥骨筋大腿四頭筋縫工筋を支配する。また皮枝は大腿前面に分布する前皮枝と下腿内側に分布する伏在神経に分かれる

さて、動脈を同神経に置き換えて筋と支配神経の問題として考えてみると、上殿動脈 — 中殿筋 というのが正しそうだ。実際にこれが正しいのだが、せっかくなので、改めて動脈の走行を追ってみよう。

総腸骨動脈

第4腰椎の高さで腹大動脈は左右の総腸骨動脈に分かれる。総腸骨動脈は仙腸関節の高さで内腸骨動脈と外腸骨動脈に分かれる。

内腸骨動脈(internal iliac artery)とその枝

内腸骨動脈は小骨盤に入り、卵巣直腸上部をのぞく骨盤内臓に分布する。脈管を理解するに臓側枝と壁側枝に分けて考えていこう。

臓側枝:臍、膀胱、子宮、直腸に分布

  • 臍動脈(umbilical arteries):胎児循環で利用される血管で、胎生期に臍から臍帯を通り胎盤へと胎児の血液を運ぶ1対の血管。出生後は大部分が退化して臍動脈索という結合組織のヒモとなるが、近位部の一部は膀胱の上部で枝分かれして、上膀胱動脈として残る。
  • 下膀胱動脈(inferior vesical artery):膀胱底および、近位の生殖器つまり、男性では精囊や前立腺。女性では膣上部に分布する。
  • 精管動脈(artery of ductus deferens)あるいは子宮動脈(uterine artery):精管動脈は臍胱底で精管に達し,それぞれ1本の上行枝と下行枝に分れる.下行枝は精管に伴って精嚢腺分布し、上行枝は鼠径管を走行する精索にいたり,精巣動脈と結合する。子宮動脈は子宮広間膜内を内前方に向かい、子宮頚に達して多くの枝に分かれて子宮壁に分布する。枝として卵管枝、卵巣枝などがあり、また下行して膣に至るものは膣動脈となる。
  • 中直腸動脈(middle rectal artery):直腸の動脈としては中直腸動脈が出る。(上直腸動脈は下腸間膜動脈の枝下直腸動脈は内陰部動脈の枝)骨盤底の腹膜下を内方に走り、直腸の中部に分布する。
  • 内陰部動脈(internal pudendal artery):梨状筋下孔より骨盤外に出るが再び小坐骨孔より骨盤内に入り、坐骨直腸窩の外側壁を前進する。以下の枝をだす。
  • 下直腸動脈(inferior rectal artery)
  • 会陰動脈(perineal artery)
  • 陰茎動脈(artery of penis)(男)あるいは 陰核動脈(artery of clitoris) (女)

壁側枝

  • 腸腰動脈(iliolumbar artery):腸腰動脈は内腸骨動脈の起始部から起こり、大腰筋の後側を通って腸骨窩に入り、大腰筋、腸骨筋、腰方形筋に分布する。
  • 外側仙骨動脈(lateral sacral artery):仙骨前面の前仙骨孔の内面を下行し、両側に多くの枝をだす。内側の枝は正中仙骨動脈と吻合し、外側の枝は前仙骨孔から仙骨管内に入り、脊髄枝を出した後に、後仙骨孔から仙骨後面にでて付近の筋や皮膚に分布する。
  • 閉鎖動脈(obturator artery):閉鎖神経とともに骨盤内の側壁を走り閉鎖管を通って骨盤前壁に至る。ここで外閉鎖筋に枝を出した後、前枝と後枝に分かれる。前枝は内下方に向かい内転筋上部に分布する。後枝は坐骨結節と寛骨臼の間を通り、殿部の筋の深層に分布する。途中、寛骨臼枝という枝を出し、寛骨臼切痕から大腿骨頭靭帯を経て大腿骨頭を養う。
  • 上殿動脈(superior gluteal artery):上殿動脈は内腸骨動脈最大の枝で、上殿静脈、上殿神経と共に大坐骨孔(梨状筋上孔)を通り殿部でて、浅枝と深枝にわかれる。浅枝は大殿筋と中殿筋の間を走り、大殿筋上部や中殿筋に分布する。深枝は中殿筋と小殿筋の間を走り、これらの筋に分布した後に大腿筋膜張筋に達する。
  • 下殿動脈(inferior gluteal artery):下殿静脈、下殿神経、坐骨神経、内陰部動静脈、陰部神経と共に大坐骨孔(梨状筋下孔)を通って骨盤外に去り、殿部に至る。大殿筋の下部やその付近の大腿筋に分布する。

外腸骨動脈(external iliac artery)の枝

外腸骨動脈は鼠径靭帯の下、血管裂孔大腿動脈に移行する。枝として以下の2つの動脈を出す。

  • 下腹壁動脈(inferior epigastric artery):外腸骨動脈から起こり、腹直筋の弓状線のところから後面に沿って上向し、臍の高さで上腹壁動脈(内胸動脈の枝)と吻合する。
  • 深腸骨回旋動脈(deep circumflex iliac artery):下腹壁動脈と同じ高さで起こり、鼠径靭帯の後側を上前腸骨棘に向かって外上方に進み、上前腸骨棘から腸骨稜に沿って後走し、側腹壁の下部に分布する。(腸骨稜の部分では腸腰動脈腸骨枝と交通し周囲の組織に分布する)

※ 下腹壁動脈は外腸骨動脈の枝。浅腹壁動脈は大腿動脈の枝。

大腿動脈(femoral artery)とその枝

外腸骨動脈の続きで鼠径靭帯の下の血管裂孔から大腿前面の大腿三角に出る。大腿動脈ははじめは大腿三角の腸恥窩から、縫工筋の内側縁に沿いつつ下行し、大腿の中央あたり(縫工筋の中央1/3)では、縫工筋の深層にある内転筋管にはいる。内転筋管は大腿三角の頂点から始まり、長さ3〜5cmほどの長さをもつ。前側は内側広筋と大内転筋の間に張る広筋内転筋膜で被われ、管の外側は内側広筋、内側と後側は大内転筋で囲まれ、大内転筋の停止部にできた内転筋腱裂孔に終わり膝窩に通ずる。内転筋管は大腿の前面(大腿三角)と後面の膝窩を結ぶ交通路となり、ここを大腿動脈、大腿静脈、大腿神経の皮枝である伏在神経が通る。
つまり上部では大腿前面の浅いところにあるが、下部にいくにつれ大腿の深部にはいり、内転筋腱裂孔を通過し膝窩動脈となり膝関節の後面に至る。 大腿動脈の枝として以下のものがでる。

  • 浅腹壁動脈 superficial epigastric artery: 伏在裂孔より皮下にでて、鼠径靭帯を超えて前腹壁の皮下を上行する。
  • 浅腸骨回旋動脈 superficial circumflex iliac artery:浅腹壁動脈と同じ高さでその外側から出て、鼠径靱帯に沿って皮下を外上方に向かい、上前腸骨棘に至る
  • 外陰部動脈 external pudendal artery:浅腹壁動脈、浅腸骨回旋動脈のやや下方で起こり、外陰部(陰嚢・大陰唇)に分布する。
  • 大腿深動脈deep femoral artery:大腿動脈の最大の枝で、大腿に分布する主動脈である。鼠径靭帯の約5cm下で大腿動脈から分枝し、長内転筋の深部を下行し、次の枝を出す。
  • 内側大腿回旋動脈 medial circumflex femoral artery:内転筋群の上方で後内方に走り、大腿骨頭をまわって大腿後面の上部に達する。
  • 外側大腿回旋動脈 lateral circumflex femoral artery: 外方に回って走る大きな動脈で、上・下に分かれて、大腿の全長にわたって分布する。上行枝は大腿骨頭を前側からまわり、内側大腿回旋動脈と吻合する。
  • 貫通動脈 perforating arteries:大腿深動脈の終枝で、3〜4本あり、大内転筋を貫いて後方に走り大腿後面の筋に分布する。また大腿骨にも分布する。
  • 下行膝動脈 descending artery of knee:下行膝動脈は内転筋管内で大腿動脈から分枝し、膝関節周囲の動脈網に加わる。

回答と選択肢の考察

解答 2

1 閉鎖動脈——-大腰筋

大腰筋の主な栄養血管は腸腰動脈だ。また大腰筋上部では腰動脈、筋裂孔より下部では内側大腿回旋動脈が分布している。閉鎖動脈は主に内転筋上部に分布しているので誤りである。

2014-28a_01_腸腰筋の栄養血管.png
腸腰筋の栄養血管 前面
2014-28a_02_腸腰筋の栄養血管_腰動脈_腸腰動脈_内側大腿回旋動脈.png腸腰筋の栄養血管 右前面 大腰筋を透過させてある
2 上殿動脈——-中殿筋

上殿動脈は同神経による支配筋と同じく、中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋に分布する。(浅枝は大殿筋上部にも分布する。)

3 下殿動脈——-小殿筋

下殿動脈は同神経による支配筋と同じく、大殿筋に分布する。

4 大腿動脈——-大殿筋

大腿動脈は大腿深動脈などの枝をだし大腿の筋群に分布する。走行を追ってみると大腿動脈は始め大腿の前面の浅いところから始まり、下行するにしたがって大腿の深い部分にはいっていき、内転筋腱裂孔をくぐり膝窩動脈となり大腿後面に至る。大殿筋は殿部なので、身体の前と後ろで全く違う場所なので明らかに間違いである。

知識の確認

  • 腹大動脈は(第 腰椎)の高さで左右の(  動脈)に分かれる。解答
  • 総腸骨動脈は(  関節)の高さで内腸骨動脈と外腸骨動脈に分かれる。解答

内腸骨動脈とその枝

  • 内腸骨動脈は小骨盤に入り、(  )と(  上部)をのぞく骨盤内臓に分布する。解答

臓側枝

  • (  動脈)は胎児循環で利用される血管で、胎生期に臍から臍帯を通り(  )へと胎児の血液を運ぶ1対の血管。出生後は大部分が退化して(  )という結合組織のヒモとなるが、近位部の一部は膀胱の上部で枝分かれして、(  動脈)として残る。解答
  • (  動脈)は膀胱底および、近位の生殖器つまり、男性では精囊や前立腺。女性では膣上部に分布する。解答
  • (  動脈)は臍胱底で精管に達し,それぞれ1本の上行枝と下行枝に分れる.下行枝は精管に伴って精嚢腺分布し、上行枝は鼠径管を走行する精索にいたり,精巣動脈と結合する。解答
  • (  動脈)は子宮広間膜内を内前方に向かい、子宮頚に達して多くの枝に分かれて子宮壁に分布する。枝として卵管枝、卵巣枝などがあり、また下行して膣に至るものは(  動脈)となる。解答
  • (  動脈)は骨盤底の腹膜下を内方に走り、直腸の中部に分布する。(上直腸動脈は(  動脈)の枝、下直腸動脈は(  動脈)の枝)解答
  • (  動脈)は(   孔)より骨盤外に出るが再び(  孔)より骨盤内に入り、坐骨直腸窩の外側壁を前進し、下直腸動脈、会陰動脈、陰茎動脈(男)あるいは 陰核動脈を分枝する。解答

壁側枝

  • (  動脈)は内腸骨動脈の起始部から起こり、大腰筋の後側を通って腸骨窩に入り、大腰筋、腸骨筋、腰方形筋に分布する。解答
  • (  動脈)は仙骨前面の前仙骨孔の内面を下行し、両側に多くの枝をだす。内側の枝は正中仙骨動脈と吻合し、外側の枝は前仙骨孔から仙骨管内に入り、脊髄枝を出した後に、後仙骨孔から仙骨後面にでて付近の筋や皮膚に分布する。解答
  • (  動脈)は閉鎖神経とともに骨盤内の側壁を走り閉鎖管を通って骨盤前壁に至る。ここで外閉鎖筋に枝を出した後、前枝と後枝に分かれる。前枝は内下方に向かい内転筋上部に分布する。後枝は坐骨結節と寛骨臼の間を通り、殿部の筋の深層に分布する。途中、寛骨臼枝という枝を出し、寛骨臼切痕から大腿骨頭靭帯を経て大腿骨頭を養う。解答
  • (  動脈)は内腸骨動脈最大の枝で、上殿静脈、上殿神経と共に(  孔)のうち(梨状筋 孔)を通り殿部でて、浅枝と深枝にわかれる。浅枝は大殿筋と中殿筋の間を走り、大殿筋上部や中殿筋に分布する。深枝は中殿筋と小殿筋の間を走り、これらの筋に分布する。解答
  • (  動脈)は下殿静脈、下殿神経、坐骨神経、内陰部動静脈、陰部神経と共に(  孔)のうち(梨状筋 孔)を通って骨盤外に去り、殿部に至る。大殿筋の下部やその付近の大腿筋に分布する。解答

外腸骨動脈とその枝

  • 外腸骨動脈は鼠径靭帯の下、(  孔)で(  動脈)に移行する。枝として以下の2つの動脈を出す。解答
  • (  動脈)は外腸骨動脈から起こり、腹直筋の弓状線のところから後面に沿って上向し、臍の高さで(  動脈)(内胸動脈の枝)と吻合する。解答
  • (  動脈)は下腹壁動脈と同じ高さで起こり、鼠径靭帯の後側を上前腸骨棘に向かって外上方に進み、上前腸骨棘から腸骨稜に沿って後走し、側腹壁の下部に分布する。(腸骨稜の部分では腸腰動脈腸骨枝と交通し周囲の組織に分布する)解答

大腿動脈とその枝

  • 外腸骨動脈の続きで鼠径靭帯の下の(  裂孔)から大腿前面の(  三角)に出る。大腿動脈ははじめは大腿三角から、縫工筋の内側縁に沿いつつ下行し、大腿の中央あたりで、縫工筋の深層にある(  管)にはいる。その後(  裂孔)をくぐり(  動脈)に移行する。解答
  • 内転筋管は大腿の前面(大腿三角)と後面の膝窩を結ぶ交通路となり、ここを(  動脈)、(  静脈)、大腿神経の皮枝である(  神経)が通る。解答
  • (  動脈)は伏在裂孔より皮下にでて、鼠径靭帯を超えて前腹壁の皮下を上行する。解答
  • (    動脈)は浅腹壁動脈と同じ高さでその外側から出て、鼠径靱帯に沿って皮下を外上方に向かい、上前腸骨棘に至る。解答
  • (  動脈)は浅腹壁動脈、浅腸骨回旋動脈のやや下方で起こり、外陰部(陰嚢・大陰唇)に分布する。解答
  • (  動脈)は大腿動脈の最大の枝で、大腿に分布する主動脈である。鼠径靭帯の約5cm下で大腿動脈から分枝し、長内転筋の深部を下行し、次の枝を出す。解答
  • (    動脈)は内転筋群の上方で後内方に走り、大腿骨頭をまわって大腿後面の上部に達する。解答
  • (    動脈)は外方に回って走る大きな動脈で、上・下に分かれて、大腿の全長にわたって分布する。上行枝は大腿骨頭を前側からまわり、内側大腿回旋動脈と吻合する。解答
  • (  動脈)は大腿深動脈の終枝で、3〜4本あり、大内転筋を貫いて後方に走り大腿後面の筋に分布する。また大腿骨にも分布する。解答
  • (  動脈)は内転筋管内で大腿動脈から分枝し、膝関節周囲の動脈網に加わる。解答

設問に関連する神経と筋

  • 閉鎖神経は(  神経叢 〜 )から起こる。閉鎖神経の筋枝は股関節内転筋群を支配している。つまり(  筋)、(  筋)、(  筋)、(  筋)、(  筋)。また皮枝は(   側)下2/3の感覚を司る。解答
  • 上殿神経は(  神経叢 〜 )から起こり、(  筋)、(  筋)、(   筋)を支配する。(筋枝のみ)解答
  • 下殿神経は(  神経叢 〜 )から起こり、(  筋)を支配する。(筋枝のみ)解答
  • 大腿神経は(  神経叢 〜 )から起こる。大腿神経の筋枝は(  筋)、(  筋)、(   筋)、(  筋)を支配する。また皮枝は大腿前面に分布する前皮枝と下腿内側に分布する(  神経)に分かれる。解答

解答一覧

参考画像:3D4Medical社 Essential Anatomy 5 より引用・加工

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この記事を書いた人

黒澤一弘(株式会社SBCHAプラクシス代表・つむぐ指圧治療室・東京都立大学 解剖学実習非常勤講師)
鍼灸師、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師などの国家試験に向けた解剖学の知識向上を応援します。初学者にも分かり易く、記憶に残りやすい講座を心がけています。

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