2012年 第20回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15〜30 解答

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ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

かずひろ先生の解剖学マガジンのポイント
1 とにかく図が豊富
2 解説、一問一答、国試過去問で効率良く学べる
3 ポイントは表形式でまとめられ、覚えるポイントが明確
4 オンライン講座と連動。アーカイブ動画で何度でも学習できる

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2012年 第20回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15〜30 解答

勉強のコツ
一つひとつの用語を大切にしてください。その問題にでてくる用語を見て、イメージができ、どんなものであるのかわかれば、その用語に関しては理解できています。しかし、用語の意味が曖昧であるならば、その問題の理解はできているとは言えません。ひとつひとつの用語の意味がわかるかどうか。わからなければ必ず教科書を開いて、その章と周りを読んでみる。その繰り返しで理解が進みます。教科書の該当ページを書いてあるので効率良く利用してください。

問15 胸郭上口を通るのはどれか。

1 前斜角筋
2 上大静脈
3 交感神経幹
4 副神経

解答 3

胸椎・左右の肋骨・胸骨は、つりがね型の胸郭をつくる。第1胸椎〜第1肋骨〜胸骨柄の上縁は胸郭上口をなす。胸郭上口は胸部と頸部の連絡口であり、食道や気管のほか、総頸動脈や鎖骨下動脈などが通る。(p.178 胸郭の全体像と運動)

1 前斜角筋
前斜角筋は、第3〜6頚椎の横突起 (前結節) から起こり、第1肋骨に付く。肋骨に付着するので胸郭上口は通過しない。

2 上大静脈
腕頭静脈は胸郭上口を通過するが、上大静脈は胸郭内で始まる。

左右の腕頭静脈が合流して上大静脈となる。
鎖骨胸骨端の直後で鎖骨下静脈と内頚静脈が合流し、腕頭静脈となり胸郭上口を通過し(p.308 頭頸部の静脈)、左右の腕頭静脈は、右側の第2肋軟骨の内側端の後方でほぼ直角に合流して上大静脈となる。

3 交感神経幹
交感神経の節前ニューロン (交感神経中枢) は、脊髄 (胸髄) の側角に位置する。脊柱の両脇には縦に長く伸びる交感神経幹がある。交感神経幹は約20個の節前細胞の集まる幹神経節が、その間を連結する神経線維の束 (幹) により数珠玉のようにつながれてできている。それぞれの交感神経節は、脊髄神経と短い2本の交感枝でつながれている。頸部の交感神経幹・神経節は特に発達し、上頸神経節、中頸神経節、下頸神経節 (星状神経節) をつくる。(p.144 交感神経幹)

4 副神経
副神経は頚静脈孔より出て胸鎖乳突筋に筋枝を出したのち、後頚三角の浅層を斜めに横切って僧帽筋より深層へ入り、内面からこの筋へ入る枝を出す。よって胸郭上口は通過しない。(p.314 副神経)


問16 側頭骨にあるのはどれか。

1 視神経管
2 翼突管
3 頸動脈管
4 舌下神経管

解答 3

側頭骨 (p.200 図10–43 側頭骨 (右側, 外側面) p.206 側頭骨)
  • 鱗部 (外耳孔の上前方部)
    • 頬骨突起:頬骨と連結し頬骨弓を形成する
    • 下顎窩:下顎骨の下顎頭と顎関節をつくる
  • 岩様部 (錐体部と乳突部からなる)
    • 錐体部 (後頭骨と蝶形骨大翼の間を内側前方に伸び、上面は内頭蓋底の錐体となって隆起して中頭蓋窩と後頭蓋窩を仕切る)
      • 内耳孔:内耳道の開口部
      • 頚動脈管:内頚動脈は頚動脈管を通り破裂孔の上で頭蓋内に出る。(p.305 内頚動脈)
      • 茎状突起:茎突下顎靱帯、茎突舌骨靱帯、茎突舌骨筋、茎突咽頭筋が起こる。
      • 茎乳突孔:顔面神経の運動成分が茎乳突孔より出て表情筋に分布する。(p.313 顔面神経)
    • 乳突部
      • 乳様突起:胸鎖乳突筋や板状筋が停止する。
  • 鼓室部 (外耳道・鼓室の底面をなす半管状の小さな部分)

1 視神経管
蝶形骨小翼の基部に開く。視神経と眼動脈を通す。(p.206 蝶形骨、p.305 内頚動脈-眼動脈、p.309 視神経)

2 翼突管
蝶形骨の翼状突起の基部に開く。顔面神経の枝である大錐体神経は蝶形骨の翼突管を通って翼口蓋窩に達し、ここで節後ニューロンに交代する。節後ニューロンは涙腺や鼻粘膜の腺に分布する。(p.206 蝶形骨、p.146 副交感神経-顔面神経)

3 ○ 頸動脈管
内頚動脈は頚動脈管を通り破裂孔の上で頭蓋内に出る。(p.305 内頚動脈)

4 舌下神経管
後頭骨の大後頭孔の前外側に見られる左右1対の管。舌下神経が通過する。(p.202 後頭蓋窩)


問17 橈骨神経について正しいのはどれか。

1 腕神経叢の外側神経束に由来する。
2 内側腋窩隙を通過する。
3 回外筋を貫く。
4 手掌橈側半の感覚を支配する。

解答

橈骨神経(p.264 上肢後面の神経走行 (橈骨神経))
 上肢帯の神経が分枝し終わったところで、 後神経束 は橈骨神経に移行する。橈骨神経は、腕神経叢の枝で最も太い神経である。外側腋窩隙の下方で大円筋と上腕三頭筋長頭と上腕骨に囲まれた三角形の間隙 ( 三角筋裂孔 ) を通って、腋窩から上腕骨孔面に回り込む。
 上腕の後方に出た橈骨神経は、上腕三頭筋の外側頭と内側頭との間を分けるように外側下方に向かって斜走する。上腕骨体の後面には橈骨神経が骨 ( 橈骨神経溝 ) に直に接して走る。上腕の中央付近で上腕三頭筋の外側縁から出た橈骨神経は、外側上腕筋間中隔を後ろから前に貫通して下行し、外側上顆の前方に至る。
 外側上顆の前方では、腕橈骨筋に枝を出して支配した後、この筋の深層で橈骨神経は大きく浅枝と深枝に2分岐する。
  橈骨神経の浅枝手背の橈側 に分布する皮神経である。腕橈骨筋下に隠れて前腕を下行し、前腕下方では腕橈骨筋が腱になって細くなると皮下浅くに出て、手背の皮下に進入する。
 橈骨神経の深枝は、主に前腕伸筋群の支配神経である。長・短橈側手根伸筋の深層で 回外筋の中央を貫通 し、前腕の伸筋群を次々に支配する。

1 腕神経叢の後神経束に由来する。
2 三角筋裂孔を通過する。

通路 通過する構造
内側腋窩隙 肩甲回旋動脈
外側腋窩隙 後上腕回旋動脈と腋窩神経
三角筋裂孔 上腕深動脈と橈骨神経

3 ◯ 回外筋を貫く。
4 手背橈側半の感覚を支配する。


問18 脊柱の靱帯について正しい記述はどれか。

1 黄色靱帯は椎体の後面にある。
2 環椎横靱帯は歯突起の後面にある。
3 項靭帯は椎間円板の前面にある。
4 後縦靱帯は椎孔の背側にある。

解答

脊柱間の靱帯による連結 (p.170 図10–9 脊柱の連結, p.172 靱帯による連結)
  • 前縦靭帯:椎体と椎間円板の前
  • 後縦靭帯:椎体と椎間円板の後 (脊柱管の前側)
  • 黄色靭帯:椎弓の間 (脊柱管の後側)。弾性線維が豊富
  • 棘間靭帯:棘突起間
  • 棘上靭帯:棘突起の先端を縦に結ぶ
    • 項靭帯:頸部の棘上靭帯は幅が広く厚くなり項靭帯と呼ばれる

1 黄色靱帯は椎弓の間 (脊柱管の後側)にある。
 後縦靭帯は椎体の後面にある。

2 環椎横靱帯は歯突起の後面にある。
環椎十字靭帯は、正中環軸関節の歯突起が後方にずれないように、環椎の椎孔内で、歯突起を後面から十字形に交叉しておおう2つの靱帯 (環椎横靭帯と縦束) よりなる。(p.174 頭蓋を支える特殊な関節, p.173 図10–12 環椎・軸椎の靱帯)

3 項靭帯は棘突起の後面にある。
項靭帯は頸部の棘上靭帯なので、棘突起の先端を縦に結ぶ

4 後縦靱帯は椎孔の腹側にある。
後縦靭帯は椎体の後ろ、脊柱管の前側 (腹側) を結んでいる。


問19 起始が1つの骨にある筋はどれか。

1 上腕二頭筋
2 上腕三頭筋
3 大腿二頭筋
4 下腿三頭筋

解答 1
1 上腕二頭筋(p.240 上腕の屈筋群)
長頭:関節上結節 (肩甲骨)、短頭:烏口突起 (肩甲骨)→ 橈骨粗面;筋皮神経;肘関節の屈曲・前腕の回外

筋名起始停止支配神経作用
烏口腕筋烏口突起上腕骨体筋皮神経肩関節の屈曲・内転
上腕二頭筋長頭:関節上結節、短頭:烏口突起橈骨粗面筋皮神経肘関節の屈曲・前腕の回外
上腕筋上腕骨前面の下半部尺骨粗面筋皮神経肘関節の屈曲

2 上腕三頭筋(p.242 上腕の伸筋群)
長頭:関節下結節 (肩甲骨)、外側頭:上腕骨外側面 (上腕骨)、内側頭:上腕骨後面 → 肘頭;橈骨神経;肘関節の伸展

筋名起始停止支配神経作用
上腕三頭筋長頭:関節下結節、
外側頭:上腕骨外側面、
内側頭:上腕骨後面
肘頭橈骨神経肘関節の伸展
肘筋外側上顆尺骨上部後面橈骨神経肘関節の伸展

3 大腿二頭筋(p.274 大腿後面の筋)
長頭:坐骨結節 (坐骨)、短頭:粗線外側唇 (大腿骨) → 腓骨頭;坐骨神経(脛骨神経);(長頭)股関節の伸展、膝関節の屈曲・外旋

筋名起始停止支配神経作用
(大腿二頭筋)
長頭
坐骨結節腓骨頭坐骨神経(脛骨神経)股関節の伸展、
膝関節の屈曲・外旋
(大腿二頭筋)
短頭
粗線外側唇坐骨神経(総腓骨神経)膝関節の屈曲・外旋
半腱様筋坐骨結節脛骨粗面の内側(鶩足)坐骨神経(脛骨神経)股関節の伸展、膝関節の屈曲・内旋
半膜様筋坐骨結節脛骨内側顆の後部

4 下腿三頭筋(p.278 下腿後面の筋)
腓腹筋内側頭:内側上顆 (大腿骨)、腓腹筋外側:外側上顆 (大腿骨) 、ヒラメ筋:腓骨頭・ヒラメ筋線 (脛骨) → 両頭は合して踵骨腱をつくり踵骨隆起に終わる;脛骨神経;(腓腹筋) 膝関節の屈曲、足関節の底屈

筋名起始停止支配神経作用
(下腿三頭筋)
腓腹筋内側頭
内側上顆両頭は合して踵骨腱をつくり踵骨隆起に終わる脛骨神経膝関節の屈曲、足関節の底屈
(下腿三頭筋)
腓腹筋外側頭
外側上顆
(下腿三頭筋)
ヒラメ筋
腓骨頭・ヒラメ筋線足関節の底屈
足底筋外側上顆踵骨腱の内側縁に癒合下腿三頭筋の働きを助ける
膝窩筋外側上顆脛骨上部後面(ヒラメ筋線の上)膝関節の屈曲・内旋
後脛骨筋下腿骨間膜の後面舟状骨・全楔状骨・立方骨・第2〜3中足骨底足関節の底屈・内反
長指屈筋
(長趾屈筋)
脛骨後面第2〜5指の末節骨底母指の屈曲、足関節の底屈・内反
長母指屈筋
(長母趾屈筋)
腓骨下部後面母指末節骨底母指の底屈、足関節の底屈・内反


問20 大腿骨の粗線に付着する筋はどれか。

1 半膜様筋
2 半腱様筋
3 長内転筋
4 薄筋

大腿骨体の後面には 粗線 という縦に走る線状の隆起がある。粗線をよく観察すると、上方と下方で互いに分離する2本の稜線から構成されることがわかる。これが粗線の内側唇と外側唇である。粗線は直立二足歩行に必要な筋の付着によってできたもので、 内側唇に大腿四頭筋の内側縁や内転筋群 がつき、 外側唇には大腿四頭筋の外側縁や大腿二頭筋の短頭が付着 する。(p.190 大腿骨, p.191 図10–33 大腿骨)

解答 3

1 半膜様筋
坐骨結節 → 脛骨粗面の内側 (鵞足) ;坐骨神経 (脛骨神経);股関節の伸展、膝関節の屈曲・内旋 (p.274 大腿後面の筋)

2 半腱様筋
坐骨結節 → 脛骨内側顆の後部;坐骨神経 (脛骨神経);股関節の伸展、膝関節の屈曲・内旋 (p.274 大腿後面の筋)

3 長内転筋
恥骨体 (前面) → 粗線内側唇;閉鎖神経;股関節の内転・屈曲(p.272 図10–27 大腿内面の筋)

4 薄筋
恥骨下枝 (前面) → 脛骨粗面の内側 (鵞足) ;閉鎖神経;股関節の内転、膝関節の屈曲・内旋(p.272 図10–27 大腿内面の筋)


問21 筋と付着部位について正しい組合せはどれか。

1 広背筋 - 上腕骨大結節
2 大胸筋 - 上腕骨小結節
3 大殿筋 - 大腿骨大転子
4 大腰筋 - 大腿骨小転子

解答

上腕骨の構造 (p.180 上腕骨, p.181 図10–20 上腕骨 (右側))
  • 上端 (近位端)
    • 上腕骨頭:肩甲骨の関節窩と関節する。
    • 解剖頚:上腕骨頭の周囲のやや細くなっている部分。
    • 大結節:上腕骨頭の後外側の隆起。棘上筋、棘下筋、小円筋の停止。
    • 小結節:上腕骨頭の前外側の隆起。肩甲下筋の停止。
    • 大結節稜:大結節の下方に続く隆線。大胸筋の停止。
    • 小結節稜:小結節の下方に続く隆線。大円筋と広背筋の停止。
    • 結節間溝:大・小結節と大・小結節稜の間。上腕二頭筋長頭の腱が通る。
  • 上腕骨体
    • 三角筋粗面:上腕骨体の外側にあるデコボコ。三角筋の停止。
    • 橈骨神経溝:上腕骨体の後面。上 1/3 の内側縁より下 1/3 の外側縁を結んだ線上を橈骨神経が通過。
  • 下端 (遠位端)
    • 内側上顆:上腕骨体の内側縁の続き。
      • 尺骨神経溝:内側上顆の後方にある溝で尺骨神経が通過する。机の角に肘の後ろをぶつけたときに電気が走ったように痛む場所。
    • 外側上顆:上腕骨体の外側縁の続き。
    • 上腕骨顆:内側上顆と外側上顆を結ぶ線より下の大きな部分。
      • 上腕骨滑車:尺骨の滑車切痕と関節する(腕尺関節)。
      • 上腕骨小頭:橈骨の上面と関節する(腕橈関節)。
      • 鈎突窩:前面にある。肘関節を深く屈曲したとき、尺骨の鈎状突起が入る。
      • 橈骨窩:前面にある。肘関節を深く屈曲したとき、橈骨頭の前縁が入る。
      • 肘頭窩:後面にある。肘関節を伸展したときに、尺骨の肘頭が入る。
         
         
大腿骨の構造 (p.190 大腿骨 p.191 図10–33 大腿骨 (右側))
  • 上端(近位端)
    • 大腿骨頭:寛骨臼に向かう関節頭(股関節)。大腿骨頭の長軸は内上方に向かうが、大腿骨幹と120–130度の角度をなす(傾斜角あるいは頚体角)。大腿骨頭には大腿骨頭窩という窪みがあり、ここに大腿骨頭靱帯が付着する。
    • 大腿骨頚:大腿骨頭の下方の細い部分。
    • 大転子:大腿骨頚の外上方にある大きな隆起。中殿筋、小殿筋、梨状筋の停止。
    • 小転子:大腿骨頚の内下後方にある隆起。腸腰筋の停止。
    • 転子間稜:大腿骨の後面にある隆線。大転子と小転子を結ぶ。大腿方形筋の停止。
    • 転子窩:大転子の内側面の凹み。内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋の停止。
    • 転子間線:大腿骨の前面にある隆線。大転子と小転子を結ぶ。腸骨大腿靱帯の付着。
    • 恥骨筋線:大腿骨の後面にある線。小転子の下方に続く。恥骨筋の停止。
  • 大腿骨幹
    • 粗線:大腿骨後面を上下に走る線。2条ある。
      • 内側唇:大内転筋、短内転筋、長内転筋の停止。内側広筋の起始。
      • 外側唇:大腿二頭筋短頭の起始。外側広筋の起始。
    • 殿筋粗面:粗線の外側唇の上方の延長で大転子に至る。大殿筋の停止。
    • 膝窩面:粗線の内側唇は下方で内側上顆に、外側唇は外側上顆に至る。この両唇の間の三角形の部分。
  • 下端 (遠位端)
    • 内側顆:内方の大きな塊。
    • 外側顆:外方の大きな塊。
    • 顆間窩:内側顆と外側顆の間のくぼみ。後方にある。
    • 膝蓋面:大腿骨下端の前面にある関節面で、膝蓋骨と対向する。
    • 内側上顆:腓腹筋内側頭の起始。
    • 外側上顆:腓腹筋外側頭、足底筋、膝窩筋の起始。
    • 内転筋結節:内側上顆の上方で内側唇の下端

問22 気管支について正しい記述はどれか。

1 気管分岐部は第1胸椎の高さである。
2 気管支壁は肺動脈によって栄養される。
3 左気管支は3本の葉気管支に分かれる。
4 右気管支は左よりも垂直に近く傾斜する。

解答 4

1 気管分岐部は第5胸椎の高さである。

高さ 呼吸器系 消化器系
C6 輪状軟骨の高さ
(この下から気管)
食道第1狭窄部位
(食道起始部・輪状軟骨狭窄部)
T5 気管分岐部 食道第2狭窄部位
(気管分岐部・大動脈狭窄部)
T10 食道第3狭窄部位
(横隔膜貫通部)

(p.65 気管と気管支, p.77 食道)

2 気管支壁は気管支動脈によって栄養される。
気管支動脈は胸大動脈の臓側枝で、気管支や肺の栄養血管になる。(p.46 胸大動脈とその枝)

3 左気管支は2本の葉気管支に分かれる。
左気管支は2本、右気管支は3本の葉気管支に分かれる。(p.66 肺葉)
(房室弁も肺葉の数も左二右三 サニウゾウ)

4 ○ 右気管支は左よりも垂直に近く傾斜する。
右気管支は太く短く垂直に近い傾斜をもつ。
左気管支は細く長く水平に近い傾斜をもつ。(p.66 気管と気管支)


問23 膵臓について正しい記述はどれか。

1 第4・第5腰椎の高さにある。
2 後腹壁に付着している。
3 左端は十二指腸に接している。
4 膵液はランゲルハンス島から分泌される。

解答 2

 膵臓は長さ約15cm、重さ70gほどの舌状の実質性器官で、第1・第2腰椎の前後腹壁に付着 して横走する。右から頭・体・尾の3部に分けられる。右端が少し幅の広くなった 膵頭は C字型に曲がった 十二指腸に抱きかかえられ、左端の 膵尾は脾臓に接する。膵液を集めてきた 膵管は総胆管と合流 し、 大十二指腸乳頭に開口 する。
 
 膵臓は、外分泌部と内分泌部に分けられる。外分泌部は分泌細胞が1列に並んで腺腔を球状に囲む。この分泌細胞の集まりが、ブドウの房のように分枝した導管の先に連結し、膵液を分泌する。この外分泌性の組織の中に、明るい上皮細胞の集団があちこちに散在する。発見者ランゲルハンス (1868年) の名前をとってランゲルハンス島 (膵島) という。その大きさは直径が 0.1〜0.3mm の球状の構造で、その数は100万個と言われ、主に膵尾に存在する。(p.87 膵臓)

  • 外分泌部
    • 腺房細胞:消化酵素を分泌
      • アミラーゼ:デンプンをマルトースに分解
      • トリプシンとキモトリプシン:タンパク質をペプチドに分解
      • リパーゼ:脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解
      • ヌクレアーゼ:核酸を分解
    • 導管上皮細胞:重炭酸ナトリウム (NaHCO3) を分泌
  • 内分泌部
    • α細胞:グルカゴン
      血糖値を上昇させる
    • β細胞:インスリン
      血糖値を下降させる
    • δ細胞:ソマトスタチン
      グルカゴンとインスリンの分泌を抑制する

1 第1・第2腰椎 の高さにある。
2 ○ 後腹壁に付着 している。
3 右端 (膵頭) は十二指腸に接している。
4 インスリン・グルカゴンはランゲルハンス島から分泌 される。


問24 副腎について正しい記述はどれか。

1 髄質からアルドステロンが分泌される。
2 皮質は腹膜上皮に由来する。
3 副腎には間膜がある。
4 副腎からのホルモンは門脈に分泌される。

解答 2

皮質は腹膜上皮から発生する

1 髄質からアドレナリン・ノルアドレナリン (カテコールアミン) が分泌される。
2 ○ 皮質は腹膜上皮に由来する。
3 副腎には間膜はない (腹膜後器官) 。
4 副腎からのホルモンは門脈に分泌される。


問25 腹大動脈から起こる枝について正しい記述はどれか。

1 腹腔動脈は脾臓を養う。
2 腎動脈は第4腰椎の高さで起こる。
3 下腸間膜動脈は回腸を養う。
4 精巣動脈は鼡径靱帯の深層を通る。

解答

腹大動脈の枝(p.46)
  • 壁側枝 (有対性)
    • 下横隔動脈
    • 腰動脈
      4対ある。胸部の肋間動脈に相当。
  • 泌尿・生殖器に至る臓側枝 (有対性)
    • 腎動脈
      第1腰椎の高さで大動脈の側方に1対でる。
    • 性腺動脈 (精巣動脈・卵巣動脈)
  • 主に消化器系に至る臓側枝 (無対性)
    • 腹腔動脈
      • 左胃動脈
      • 脾動脈
      • 総肝動脈
    • 上腸間膜動脈
      膵臓や小腸全域から大腸前半部 (横行結腸) まで分布
    • 下腸間膜動脈
      大腸後半部 (下行結腸から直腸) に分布

1 ○ 腹腔動脈は脾臓を養う。
2 腎動脈は第1腰椎の高さで起こる。
3 上腸間膜動脈は回腸を養う。
4 精巣動脈は鼡径靱帯の浅層 (鼠径管) を通る。
精管と精巣動脈・蔓状静脈叢 (精巣静脈) は、結合組織で束ねられ精索となり鼠径靭帯の上縁に沿って斜め下方に走る鼠径管を通過する。(p.217 鼠径靭帯と鼠径管)


問26 刺激伝導系について正しい記述はどれか。

1 神経線維により構成される。
2 プルキンエ線維は心外膜下を走行する。
3 房室結節は右心室にある。
4 ヒス束は線維三角を通る。

解答 4

刺激伝導系 (p.42)

 心臓がポンプとしての機能を発揮するためには、心房から心室へと順序よく収縮し、血液を送りだす必要がある。この収縮のための興奮を伝えるのが刺激伝導系である。これを構成するのは神経線維ではなく、特殊心筋線維である。特殊心筋線維は一般の心筋線維よりも太くて細胞質に富むが、筋原線維は少ないという特徴を持ち、心筋の収縮を興奮として伝えていく性質がある。

  • 洞房結節
    右心房 上大静脈開口部に位置する。心臓の収縮運動のリズムを決定するペースメーカー (歩調とり) として働く
  • 房室結節
    右心房 下壁に位置する。
  • 房室束 (ヒス束)
    心房と心室とを連絡する。線維三角を貫通しする。
  • 左脚・右脚
    心室中隔を下行する。
  • プルキンエ線維
    心室の心内膜下を細かく分枝しながら網の目のように走る。

1 神経線維により構成される。
刺激伝導系は「特殊心筋」あくまで特殊な「心筋」でできていて、決して神経線維ではない。

2 プルキンエ線維は心内膜下を走行する。
プルキンエ線維は心内膜下を細かく分枝しながら網の目のように走り、末端は一般の心筋に移行して、興奮を心室全体に伝える。

3 房室結節は右心室にある。
洞房結節も房室結節も、どちらも右心房にある。

4 ヒス束は線維三角を通る。
心房と心室の間には結合組織の線維束 (線維輪と線維三角) が取り巻いて、心房筋と心室筋を隔てる。線維輪とは2組の房室弁と動脈弁の輪郭 (線維輪と線維三角) が取り巻いて、心房筋と心室筋を隔てる。線維輪とは2組の房室弁と動脈弁の輪郭 (房室口と動脈口) を丸く取り囲んだ線維走狗で、房室口および動脈口の形を保持して弁膜を付着させる。房室口と動脈口の合間には結合組織の三角形を呈する部分ができ、これを線維三角という。線維三角には刺激伝導系の房室束 (特殊心筋線維) が貫いて、心房筋と心室筋とを連絡する。(p.42 心臓の弁膜)


問27 皮神経で大腿神経の枝はどれか。

1 陰部大腿神経
2 外側大腿皮神経
3 腓腹神経
4 伏在神経

解答 4

腰神経叢 (p.290 腰神経叢)

  • 腸骨下腹神経 (T12・L1)
    皮枝:下腹部, 骨盤側面、筋枝:腹横筋, 内腹斜筋
  • 腸骨鼠径神経 (L1)
    皮枝:下腹部から大腿上部内側, 外陰部、筋枝:腹横筋, 内腹斜筋
  • 陰部大腿神経 (L1・2)
    皮枝:外陰部, 大腿上部内側、筋枝:精巣挙筋
  • 外側大腿皮神経 (L2・3)
    皮枝:大腿外側
  • 大腿神経 (L2〜4)
    筋枝:大腿四頭筋, 腸骨筋, 縫工筋, 恥骨筋

    • 前皮枝
      皮枝:大腿前面から膝蓋に至る下部の3/4
    • 伏在神経
      下腿内側
  • 閉鎖神経 (L2〜4)
    皮枝:大腿内側下2/3 、筋枝:長内転筋, 短内転筋, 大内転筋, 薄筋, 外閉鎖筋

仙骨神経叢(p.292)

  • 上殿神経 (L4〜S1)
    筋枝:中殿筋, 小殿筋, 大腿筋膜張筋
  • 下殿神経 (L5〜S2)
    筋枝:大殿筋
  • 後大腿皮神経 (S1〜S3)
    皮枝:大腿後面

    • 会陰枝
    • 下殿皮神経
  • 坐骨神経 (L4〜S3)
    膝窩の上方で脛骨神経と総腓骨神経の2枝に分かれる

    • 脛骨神経
      皮枝:下腿の後面, 足底、筋枝:大腿二頭筋長頭, 半腱様筋, 半膜様筋, 下腿三頭筋, 足底筋, 膝窩筋, 後脛骨筋, 長指屈筋, 長母指屈筋, 足底の筋のすべて

      • 腓腹神経
      • 内側足底神経
      • 外側足底神経
    • 総腓骨神経
      皮枝:下腿外側、筋枝:大腿二頭筋短頭

      • 浅腓骨神経
        皮枝:足背、筋枝:長腓骨筋, 短腓骨筋
      • 深腓骨神経
        皮枝:母指と第2指の対向縁、筋枝:前脛骨筋, 長母指伸筋, 長指伸筋, 第三腓骨筋, 短母指伸筋, 短指伸筋
  • 陰部神経 (S2〜S4)
    皮枝:会陰, 外陰部、筋枝:外肛門括約筋, 尿道括約筋, 浅・深会陰横筋

1 陰部大腿神経:腰神経叢の枝
2 外側大腿皮神経:腰神経叢の枝
3 腓腹神経:仙骨神経叢 – 坐骨神経 – 脛骨神経の枝
4 伏在神経:腰神経叢 – 大腿神経の枝


問28 脳幹について正しい記述はどれか。

1 橋は脳幹に含まれる。
2 オリーブ核は錐体路に関与する。
3 延髄には四丘体がある。
4 中脳には孤束核がある。

解答 1

1 橋は脳幹に含まれる。
延髄・橋・中脳は大脳を支える幹のように見えるところから脳幹と呼ばれる。(p.121 延髄と橋)

2 オリーブ核は錐体外路に関与する。
オリーブ核は赤核・小脳・脊髄と線維結合を持ち、錐体外路性の運動に関与する。(p.121 延髄と橋)

3 中脳には四丘体がある。
中脳は腹方の大脳脚、中央部の被蓋、背方の中脳蓋 (四丘体) からなり、被蓋背側を中脳水道という細い管が通る。(p.121 中脳)

  • 大脳脚
    大脳皮質から脊髄に下行する錐体路をはじめとする伝導路の束よりなる。
  • 被蓋
    赤核および黒質 (錐体外路性神経核) 、眼球運動に関する脳神経核が存在する。
  • 中脳蓋 (四丘体)
    上丘(視覚性反射運動に関与)、下丘 (聴覚性の反射運動に関与)。

4 延髄には孤束核がある。
舌の味蕾で受容された味覚刺激は舌前2/3は顔面神経、舌後1/3は舌咽神経によって延髄の孤束核に伝えられ、視床をへて大脳皮質の味覚野に終わる。味覚野は中心後回の下部にある。(p.134 味覚伝導路、p.157 味覚器)


問29 脳神経と副交感神経節との組み合わせで正しいのはどれか。

1 動眼神経 - 毛様体神経節
2 顔面神経 - 耳神経節
3 舌咽神経 - 翼口蓋神経節
4 迷走神経 - 上頸神経節

解答 1

脳神経に含まれる副交感神経 (ミナトク)
  • 動眼神経(p.145, p.310 動眼神経)
    • 動眼神経副核 → 毛様体神経節 → 瞳孔括約筋・毛様体筋
  • 顔面神経(p.146, p.312 顔面神経)
    • 上唾液核 → 中間神経 → 大錐体神経 → 翼口蓋神経節 → 涙腺・鼻腺
    • 上唾液核 → 中間神経 → 鼓索神経 → 顎下神経節 → 顎下腺・舌下腺
  • 舌咽神経(p.146, p.313 舌咽神経)
    • 下唾液核 → 耳神経節 → 耳下腺
  • 迷走神経(p.146, p.314 迷走神経)
    • 迷走神経背側核 → 胸腹部の副交感性自律神経節 → 胸腹部臓器の副交感性支配

1 ○ 動眼神経 - 毛様体神経節
2 顔面神経 - 翼口蓋神経節 (涙腺・鼻腺)、顎下神経節 (顎下腺・舌下腺)
3 舌咽神経 - 耳神経節
4 迷走神経 - 胸腹部の副交感性自律神経節 (臓器に近接している)
※ 上頚神経節、中頚神経節、下頚神経節 (星状神経節) は交感神経の神経節


問30 感覚と伝導路との組合せで正しいのはどれか。

1 視覚  - 内側毛帯
2 触圧覚 - 外側毛帯
3 聴覚  - 下丘
4 味覚  - 唾液核

解答 1

1 識別性触圧覚  - 内側毛帯
視神経 → 視交叉 → 視索 ⊣ 外側膝状体 (視床) → 視放線 ⊣ 一次視覚野 (後頭葉)(p.135 視覚伝導路)

2 聴覚 - 外側毛帯
粗大な触圧覚 (前脊髄視床路):触圧覚受容器 → 脊髄神経節 ⊣ 脊髄後角 → 交叉し反対側の側索 ⊣ 視床 → 内包 ⊣ 一次体性感覚野 (頭頂葉 中心後回)
識別性触圧覚 (長後索路):触圧覚受容器 → 脊髄神経節 → 後索 ⊣ 後索核 (延髄) → 交叉し(毛帯交叉)、反対側の内側毛帯へ ⊣ 視床 → 内包 → 一次体性感覚野 (頭頂葉 中心後回)(p.133 長後索路)

3 ○ 聴覚  - 下丘
蝸牛 → 蝸牛神経 ⊣ 蝸牛神経核 → 交叉し反対側の外側毛帯 → 下丘 (中脳) → 下丘腕 → 内側膝状体 (視床) → 視放線 → 聴覚野 (側頭葉)(p.134 聴覚伝導路)

4 唾液の分泌 (GVE 一般臓性遠心性)  - 唾液核
顔面神経 (舌前2/3)、舌咽神経 (舌後1/3) → 孤束核 → (内側毛帯) → 視床 → 内包 → 味覚野 (頭頂葉) (p.134 味覚伝導路)


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