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2011年 第19回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題16〜33 解答

目次

2011年 第19回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題16〜33 解答

問16 上皮と器官との組合せで正しいのはどれか。

1 移行上皮   ― 胃
2 重層扁平上皮 ― 食道
3 多列線毛上皮 ― 膀胱
4 単層円柱上皮 ― 血管

解答 2

1 単層円柱上皮 ― 胃
2 ○重層扁平上皮 ― 食道
3 移行上皮 ― 膀胱
4 単層扁平上皮 ― 血管

上皮組織の形態による分類
  • 単層扁平上皮 (薄いので物質交換に向く)
  • 中皮 (胸膜, 腹膜, 心外膜)
  • 内皮 (血管内皮、リンパ管内皮、心内膜)
  • 肺胞
  • 単層立方上皮 (場所が限られているので要暗記)
  • 甲状腺の濾胞上皮細胞
  • 腎の尿細管
  • 単層円柱上皮 (吸収と分泌を行う場所に向く)
  • 消化管 (胃, 小腸, 大腸)
  • 卵管 (単層円柱線毛上皮)
  • 子宮
  • 重層扁平上皮 (摩擦や機械的刺激に強い)
  • 皮膚
  • 消化管の入口と出口 (口腔〜咽頭〜食道, 肛門)
  • 多列上皮 (表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる)
  • 気道 (鼻腔〜咽頭鼻部〜喉頭〜気管・気管支)
  • 移行上皮 (内容物 (尿)の量に応じて、伸び縮みすることができる)
  • 腎杯, 腎盂, 尿管, 膀胱
器官別上皮組織の分類
  • 消化器系
  • 口腔, 咽頭, 食道:重層扁平上皮
  • 胃, 小腸 (十二指腸・空腸・回腸), 大腸 (盲腸・結腸・直腸):単層円柱上皮
  • 肛門:重層扁平上皮
  • 呼吸器系
  • 気道 (鼻腔, 咽頭鼻部, 喉頭, 気管, 気管支, 細気管支):多列上皮
  • 肺胞:単層扁平上皮
  • 泌尿器系
  • 腎杯, 腎盂, 尿管, 膀胱:移行上皮
  • 尿道:重層扁平上皮
  • 女性生殖器系
  • 卵管:単層円柱線毛上皮
  • 子宮:単層円柱上皮
  • 膣:重層扁平上皮
  • 循環器系
  • 内皮 (血管内皮, リンパ管, 心内膜):単層扁平上皮
  • 漿膜 (中皮)
  • 腹膜・胸膜・心外膜 :単層扁平上皮
  • 皮膚
  • 表皮:重層扁平上皮

問17 骨盤で体表から触れることができない部位はどれか。

1 上前腸骨棘
2 恥骨結節
3 坐骨結節
4 弓状線

解答 4

1 上前腸骨棘
腸骨は、寛骨臼上部からさらに上方へ扇状に広がった骨で、内面と外面から筋に挟まれる。腸骨の内面は腹腔の下縁をなして、中央には腸骨窩があり、腸を受け止める。腸骨窩には股関節を屈曲させる腸骨筋がつく。腸骨窩の後方には、“くの字型” をした耳状面があり、仙骨と関節する。腸骨の外面は3宋の殿筋群が付着する殿筋面である。
腸骨の外側上縁は広く肥厚して腸骨稜となり、体表から明瞭に触れる。腸骨稜には腹筋などが付着するので、この稜は腹部と殿部の境界線にもなる。
腸骨稜の前端は上前腸骨棘で、体表の重要な基準点となるほか、鼠径靭帯の外側端が付着する。この下方には下前腸骨棘がある。腸骨稜の後端には上後腸骨棘があり、この部に一致して皮膚にくぼみをみる (ビーナスのえくぼ)。(p. 188 腸骨)

腸骨:寛骨の上部をつくる。上部の腸骨翼と下部の腸骨体に分けられる。 (p. 187 図10–29 寛骨)(プロメテウス運動器系 p.136 骨盤) (解剖学講義 p.144 腸骨)
  • 腸骨翼
  • 腸骨稜:腸骨翼の上縁。左右の腸骨稜の上端を結ぶラインをヤコビー線(Jacoby line)といい、第4腰椎の高さに相当する。
  • 上前腸骨棘:腸骨稜前端の突出部分で、鼠径靱帯がつく。
  • 上後腸骨棘:腸骨稜後端の突出部分。
  • 下前腸骨棘:上前腸骨棘下方の突出部分。
  • 下後腸骨棘:上後腸骨棘下方の突出部分。
  • 腸骨窩:腸骨翼内面の凹み。腸骨筋が起始する。
  • 仙骨盤面:下方の耳状面と上方の腸骨粗面からなる。
  • 耳状面:仙骨の耳状面と関節し、仙腸関節をつくる。
  • 腸骨粗面:耳状面後面のデコボコした部分で、後仙腸靭帯が付着する。
  • 弓状線:耳状面の前縁から前下方の恥骨櫛へ向かう稜線。仙骨の岬角、腸骨の弓状線、恥骨櫛および恥骨結合上縁を通過する線を骨盤分界線といい、骨盤を上方の大骨盤と下方の小骨盤に分ける。
  • 殿筋面:腸骨の外面で、大殿筋、中殿筋、小殿筋が付着する面である。各殿筋の付着部位には前・後・下殿筋線が走る。
  • 前殿筋線:殿筋面の前上方から大坐骨切痕へ向かって走る。
  • 後殿筋線:前殿筋線の後方で、腸骨稜から下方へ走る。
  • 下殿筋線:上前腸骨棘下方から後下方へ向かって走る。
  • 腸骨体:腸骨下部の肥厚している部分を腸骨体という。寛骨臼の上の2/5をつくる。

2 恥骨結節
恥骨は寛骨下部の前方部をなす “くの字型” の骨で、坐骨とともに閉鎖孔を囲む。くの字の中央部は恥骨体といい、この内面には恥骨結合面がある。恥骨体の上方には恥骨結節があって、上前腸骨棘から至る鼠径靭帯が付着する恥骨体から上方に伸びた恥骨上枝は、閉鎖孔の上縁をなして腸骨の弓状線に続く。(p. 188 恥骨)

恥骨:寛骨の前下部をつくる。恥骨体、恥骨上枝、恥骨下枝からなる。(p. 187 図10–29 寛骨)(プロメテウス運動器系 p.136 骨盤)(解剖学講義 p.145 恥骨)
  • 恥骨体:恥骨の内側部
  • 恥骨結合面:恥骨体の前内側端。対側の恥骨結合面と結合して恥骨結合をつくる。
  • 恥骨上枝:寛骨臼をつくり閉鎖孔を上方から囲む部。
  • 恥骨稜:上枝の上縁で、恥骨結合の外側につづく隆起。
  • 恥骨結節:恥骨結合の前外側にみられる小さな高まり。鼠径靭帯の付着点。
  • 恥骨櫛:恥骨上枝の上縁で、恥骨結節から外上方にむかって続く鋭い骨稜
  • 腸恥隆起:恥骨櫛の外側端にみられる低い隆起
  • 恥骨下枝:閉鎖孔を囲み、後方は坐骨枝につづく。

3 坐骨結節
坐骨は、寛骨下部の後方部をなす “L字型” の骨である。L字の曲がり角の部分には体表から触れる坐骨結節がある。坐骨結節には、大腿後面の筋や仙骨との間に張る仙結節靭帯がつくほか、座位の時に体重がかかる部分になる。坐骨結節の上方には2つの連続した切痕、すなわち大坐骨切痕と小坐骨切痕がある。これら2つの切痕の間には坐骨棘が突出する。坐骨棘と仙骨・尾骨の間に張る仙棘靭帯と仙結節靭帯によって、大坐骨切痕は大坐骨孔、小坐骨切痕は小坐骨孔になる。(p.188 坐骨)

坐骨:寛骨の後下部をつくる。坐骨体と坐骨枝に分けられる。 (p.187 図10–29 寛骨)(プロメテウス運動器系 p.136 骨盤)(解剖学講義 p.145 坐骨)
  • 坐骨体:閉鎖孔の後方にある坐骨上部の大きな部分で、腸骨、恥骨とともに寛骨臼を形成する。
  • 坐骨棘:後内方に向かう突起。仙棘靭帯が付着する。坐骨棘の上下には2つの切れ込み(切痕)ができる。
  • 大坐骨切痕:下後腸骨棘より坐骨棘に至る切れ込み。腸骨と坐骨にまたがってできる。仙結節靱帯と仙棘靱帯によって閉ざされて大坐骨孔となる。この孔は梨状筋が通ることによって、さらに梨状筋上孔と梨状筋下孔とに分かれる。
  • 小坐骨切痕:、坐骨棘より下方の坐骨結節に至る切れ込み。仙結節靱帯と仙棘靱帯によって閉ざされて小坐骨孔となる。
  • 坐骨結節:大腿後面の筋が起始する他、仙結節靭帯の付着部となる。座位の時に体重がかかる部分。
  • 坐骨枝:閉鎖孔の下方にある部分。
  • 坐骨上枝:寛骨臼の後下方から始まり、閉鎖孔の後壁をなす。
  • 坐骨下枝:坐骨結節から前内方に進み恥骨下枝と癒合する。閉鎖孔の下壁をなす部分を恥骨下枝と合わせて、坐骨恥骨枝と呼ぶことがある。

4 弓状線
弓状線は腸骨の内面で、大骨盤と小骨盤の間に位置するので体表から触れることはできない。
恥骨結合上縁 より、 恥骨上縁 を通り腸骨内面にある 弓状線 をへて、仙骨の岬角に終わるラインを 分界線 という。分界線によって骨盤は、上部の 大骨盤 と下部の 小骨盤 に分かれる。小骨盤の囲む円筒形の空間は 骨盤腔 で、分界線に沿う骨盤上口と、骨盤底にできた骨盤下口の間に相当する。骨盤腔には骨盤内臓が入り、分娩の時には産道となる。(p.188 骨盤)


問18 体表区分とその区分内を通る血管との組合せで正しいのはどれか。

1 顎下三角 ― 顔面動脈
2 後頸三角 ― 内頸静脈
3 橈骨小窩 ― 尺骨動脈
4 大腿三角 ― 小伏在静脈

解答

1 ○ 顎下三角 ― 顔面動脈

顎下三角 (顎二腹筋 前腹 – 顎二腹筋 後腹 – 下顎骨)

顎二腹筋の前腹、後腹と下顎骨で囲まれる顎下三角には、顎下腺を皮下に触れることができる。通常、顔面動脈がこの腺の上縁で皮下に現われて下顎縁を横切り、顔面に入る。この部位の皮下にみられる1ないし2個の顎下リンパ節には、顔面と下顎のリンパが流入する。(p. 303 前頚三角 – 顎下三角)

2 後頸三角 ― 外頚静脈

後頚三角 (胸鎖乳突筋 後縁 – 僧帽筋 外側縁 – 鎖骨)

胸鎖乳突筋 後縁、僧帽筋 外側縁、鎖骨により囲まれる空間を後頚三角という。後頚三角の下部は深いくぼみとなるので大鎖骨上窩という。その深部に腕神経叢と鎖骨下動脈がある。後頚三角の硬い皮下の筋膜の中を頚神経叢の皮枝の幹が、胸鎖乳突筋の後縁のほぼ中間点を中心に放射状に広がる。この点より少し上方から斜め下方に向かって副神経が横切る。頚横動脈・静脈など、浅背筋を養う血管も通る。後頚部と後頭部のリンパ管が集流する部位でもある。(p. 304 後頚三角)

3 橈骨小窩 ― 橈骨動脈

橈骨小窩

母指を強く伸展すると、手根部背面の橈側に長母指伸筋腱と短母指伸筋腱が隆起し、両腱の合間に三角形のくぼみ (橈骨小窩) をつくる。橈骨小窩は嗅ぎたばこを入れ、鼻にあてて吸うことに使われたことから、このくぼみを「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」とも言われ、この中で橈骨動脈の脈拍や舟状骨が触知される。(p. 248 橈骨小窩)(プロメテウス運動器系 p.370 右手の手背における伸筋線, p.391 “解剖学的嗅ぎタバコ入れ”の境界)

4 大腿三角 ― 大腿静脈

大腿三角 (スカルパ三角) (p. 284 大腿三角)

鼠径靭帯、縫工筋、長内転筋に囲まれた領域で、この三角の床を腸腰筋と恥骨筋がつくる。この三角の上縁は鼠径靭帯の下に開いた筋裂孔・血管裂孔と連絡し、さらに三角の下部は内転筋管に続く。大腿三角の中には、内側から順に大腿静脈、大腿動脈、大腿神経が並ぶ。このほか下肢と外陰部のリンパを集めた鼡径リンパ節も散在し、ここで集めたリンパを大腿静脈のさらに内側に走るリンパ管に送る。
大腿動脈はここで大腿深動脈などの枝を出す。大腿神経はここで分枝し、縫工筋、大腿四頭筋などの筋枝と、前皮枝、伏在神経などの皮枝に分かれる。大腿三角の浅層には比較的厚い大腿筋膜がおおう。この部分の大腿筋膜には伏在裂孔が開く。伏在裂孔には下肢の皮静脈である大伏在静脈が通って、唇静脈である大腿静脈に注ぎ込む。

頚部における三角 まとめ (解剖学講義 p.513–514 頚部における三角)
  • 前頚三角 (胸鎖乳突筋 前縁 – 下顎骨 下縁 – 正中線)
  • 頚動脈三角 (胸鎖乳突筋 前縁 – 顎二腹筋 後腹 – 肩甲舌骨筋 – 上腹)
  • 総頚動脈 (この三角内、甲状軟骨上縁の高さで内頚動脈と外頚動脈に分岐する)
  • 内頚静脈
  • 迷走神経
  • 顎下三角 (顎二腹筋 前腹 – 顎二腹筋 後腹 – 下顎骨 下縁)
  • 顎下腺
  • 顎下リンパ節
  • 顔面動脈・静脈
  • 舌下神経
  • 舌神経
  • オトガイ下三角 (舌骨体 – 顎二腹筋 前腹 – 正中線)
  • オトガイ下リンパ節
  • 筋三角 (胸鎖乳突筋 前縁 – 肩甲舌骨筋 上腹 – 正中線)
  • 舌骨下筋 (胸骨舌骨筋・胸骨甲状筋)
  • 浅頚リンパ節
  • 甲状腺
  • 後頚三角 (胸鎖乳突筋 後縁 – 僧帽筋 外側縁 – 鎖骨)
  • 外頚静脈
  • 胸管
  • 頚リンパ節
  • 副神経
  • 腕神経叢

問19 頭蓋の骨と骨にある穴との組合せで正しいのはどれか。

1 前頭骨 ― 上眼窩裂
2 上顎骨 ― 正円孔
3 蝶形骨 ― 頸静脈孔
4 側頭骨 ― 内耳孔

解答 4

1 蝶形骨 ― 上眼窩裂
2 蝶形骨 ― 正円孔
3 後頭骨と側頭骨の間 ― 頸静脈孔
4 ○ 側頭骨 ― 内耳孔

頭蓋底の孔まとめ (p. 199–203 内頭蓋底) (解剖学講義 p.492–495 頭蓋底の内面)
前頭蓋窩
  • 篩骨篩板:篩骨
    篩孔という多数の小孔があり、前頭蓋窩と鼻腔を交通する。
  • I 嗅神経:蝶形骨
中頭蓋窩
  • 視神経管
  • II 視神経
  • 眼動脈
  • 上眼窩裂:蝶形骨
  • III 動眼神経
  • IV 滑車神経
  • V1 眼神経
  • VI 外転神経
  • 上眼静脈
  • 正円孔:蝶形骨
  • V2 上顎骨
  • 卵円孔:蝶形骨
  • V3 下顎骨
  • 内耳孔:側頭骨
  • VII 顔面神経
  • VIII 内耳神経
後頭蓋窩
  • 頚静脈孔:後頭骨と側頭骨の間
  • IX 舌咽神経
  • X 迷走神経
  • XI 副神経
  • 舌下神経管:後頭骨
  • XII 舌下神経
  • 大後頭孔:後頭骨
  • 延髄
  • 椎骨動脈

問20 関節について正しい記述はどれか。

1 正中環軸関節は楕円関節である。
2 肩関節は関節円板を有する。
3 肘関節は3つの関節からなる。
4 膝関節には三角靭帯がある。

解答

1 正中環軸関節は車軸関節である。

正中環軸関節は、軸椎の歯突起が環椎の椎孔に入って前弓の内面 (歯突起窩) と連結したものである。歯突起を運動軸として環椎を横に回旋する車軸関節である。頭蓋と環椎とを一括して、左右に回旋する。この運動で歯突起が後方にずれないように、環椎の椎孔内には環椎十字靭帯が張っている。この靱帯は歯突起を後面から十字形に交叉しておおう2つの靱帯 (環椎横靭帯と縦束) よりなる。(p. 174 頭蓋を支える特殊な関節)

2 肩関節は関節円板を有さない。

肩関節は半球状の上腕骨頭と浅い皿のような肩甲骨の関節窩がつくる球関節である。上腕骨頭を関節窩にあてはめると、骨頭のほうが関節窩よりも大きく、広い関節面を持つことがわかる。これに加えて関節包も緩いので、肩関節の可動性は非常に高い。
関節窩の周縁には、線維軟骨性の関節唇が縁どり、関節窩を広げるとともに深さも追加する。関節唇上縁の関節上結節につく上腕二頭筋の長頭腱は、関節腔内を走る際に滑膜に包まれる。また、肩関節周囲の筋の摩擦を軽減する滑液包 (肩甲下筋の腱下包など) も関節腔と交通する。
肩関節は緩い関節包を持つが、肩関節をまたいで上腕骨の大結節と小結節につく筋 (棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋) の停止腱が関節包の外周に張り付き、これを補強する。この4筋の腱をまとめて回旋筋腱板と呼ぶ。(p. 183 肩関節)

関節円板を有する関節は、顎関節・胸鎖関節・橈骨手根関節である。

3 ○ 肘関節は3つの関節からなる。

肘関節は、肘部で上腕骨・尺骨・橈骨の3つの骨がそれぞれ連結しあう複関節であり、腕尺関節・腕橈関節・上橈尺関節が1つの関節腔内にある。関節包の両側には内側・外側側副靭帯がついて補強する。
① 腕尺関節
腕尺関節は、上腕骨滑車が尺骨の滑車切痕とつくる関節で、蝶番関節である。肘関節の屈曲-伸展に関わる。
② 腕橈関節
腕橈関節は、上腕骨小頭が半球形の関節頭になって、橈骨頭上面の橈骨頭窩という丸く浅いくぼみに対面してできる。この関節は自由度が高い球関節であり、蝶番関節である腕尺関節の動き (屈伸) や、車軸関節である上橈尺関節の動き (回内-回外) に連動して動く。
③ 上橈尺関節
上橈尺関節は、橈骨頭の側面にある関節環状面と、尺骨にある橈骨切痕との関節である。円柱状をした橈骨頭の長軸を回転軸にして、橈骨頭の関節環状面が橈骨切痕をすべって回転する車軸関節である。これにより前腕の回内-回外が行われる。橈骨切痕の縁につく橈骨輪状靭帯は輪になって橈骨頭を取り囲み、橈骨頭が橈骨切痕から離れないようにする。(p. 184 肘関節)

4 膝関節には三角靭帯がある。

膝関節は、大腿骨の下端(内側顆・外側顆)と、脛骨上面(内側顆・外側顆)とが対面してできる。腓骨は膝関節に関与しない。機能的には蝶番関節、もしくは大腿骨下端の楕円形の内・外側顆が関節をつくるので顆状関節に属するといわれる。また、膝蓋骨の後面も関節面となって、大腿骨下端の前方にある膝蓋面と連結する。膝関節を補強する主な靭帯を以下に列挙する。
① 膝十字靭帯脛骨
上面の顆間隆起の前後と大腿骨顆間窩との間に張る関節内靭帯で、2本の前・後十字靭帯からなる。関節が前後に動揺しないように安定させる。
② 内側側副靭帯
大腿骨内側上顆と脛骨内側縁との間に張る。膝関節包の線維膜が肥厚してできた靭帯である。
③ 外側側副靭帯
大腿骨外側上顆と腓骨頭の間に張る。体表からも腓骨頭を目印にして上方にたどると、膝関節の後外側でこの靭帯が触れる。
④ 膝蓋靭帯
この靭帯は大腿四頭筋の停止鍵の一部である。大腿四頭筋腱のうち、膝蓋骨と脛骨粗面との間の部分が骨と骨とを結ぶ靭帯であると見なされるため、この名がある。体表からも触れることができ、この靭帯をたたいて大腿四頭筋の伸展反射を調べることができる(膝蓋臆反射)。
膝関節腔内で大腿骨と脛骨との間に介在する外側半月と内側半月は、三日月型の線維軟骨板である。また、膝関節腔の中には滑膜でおおわれた脂肪組織が関節腔内に拡大し、骨と骨の間を埋める。これを膝蓋下脂肪体という。(p. 194 膝関節)(p.)

三角靭帯は足関節 (距腿関節) の内側、① 脛骨-舟状骨の間の部分、② 脛骨-距骨の間の部分、③ 脛骨-踵骨の間の部分、の3部からなる。一方、足関節外側にあるのは、前・後距腓靭帯と踵腓靭帯の3つの靱帯である。(p. 195 距腿関節)(p.)


問21 尺骨に停止する筋はどれか。

1 上腕二頭筋
2 上腕三頭筋
3 腕橈骨筋
4 長掌筋

解答 2

1 上腕二頭筋 (p.240 上腕の屈筋群)
(長頭) 関節上結節・(短頭) 烏口突起 → 橈骨粗面;筋皮神経;肘関節の屈曲、前腕の回外

2 ○ 上腕三頭筋 (p.242 上腕の伸筋群)
(長頭) 関節下結節・(外側頭) 上腕骨外側面・(内側頭) 上腕骨後面 → 肘頭(尺骨) ;橈骨神経;肘関節の伸展

3 腕橈骨筋 (p.245 腕橈骨筋)
上腕骨下部外側縁 → 橈骨茎状突起;橈骨神経;肘関節屈曲

4 長掌筋 (p.244 長掌筋)
内側上顆 → 手掌腱膜;正中神経;手関節の屈曲


問22 下肢の靱帯について大殿筋の起始となるのはどれか。

1 仙結節靱帯
2 仙棘靭帯
3 鼡径靭帯
4 膝蓋靭帯

解答 1

大殿筋 (p.266 外寛骨筋)

腸骨外面、仙骨と尾骨の後面、仙結節靭帯 → 殿筋粗面、腸脛靭帯;下殿神経;股関節の伸展。腸脛靭帯の緊張により膝関節を伸展し、直立姿勢を保つ。股関節の外転と外旋。

仙結節靭帯は大殿筋の起始の一部となっているが、仙棘靭帯は仙結節靭帯と交叉するように深層を走るので、大殿筋は付着しない。プロメテウスの図がわかりやすい。(プロメテウス運動器系 p.138 男性骨盤の靱帯 b. 後面》) (プロメテウス運動器系 p.503 右の大腿、骨盤、殿部の筋、後面)


問23 主動筋と拮抗筋との組合せで正しいのはどれか。

1 棘下筋  ― 肩甲下筋
2 烏口腕筋 ― 上腕二頭筋
3 中殿筋  ― 小殿筋
4 腓腹筋  ― ヒラメ筋

解答 1

1 棘下筋 (肩関節の外旋)  ― 肩甲下筋 (肩関節の内旋) (p.237 表10–13 上肢帯の筋)

筋名起始停止支配神経作用
棘上窩棘上窩大結節肩甲上神経肩関節の外転
棘下筋棘下窩大結節肩甲上神経肩関節の外旋
小円筋肩甲骨外側縁大結節腋窩神経肩関節の外旋
三角筋肩甲骨の肩峰・肩甲棘・鎖骨の外側1/3三角筋粗面肩関節の外転(側方挙上)、屈曲(前方挙上)、伸展(後方挙上)
肩甲下筋肩甲下窩小結節肩甲下神経肩関節の内旋
大円筋肩甲骨下角小結節稜肩甲下神経肩関節の内旋・内転

2 烏口腕筋 (肩関節の屈曲・内転) ― 上腕二頭筋 (肩関節の屈曲・前腕の回外) (p. 240 表10–14 上腕の屈筋群)
筋名起始停止支配神経作用
烏口腕筋烏口突起上腕骨体筋皮神経肩関節の屈曲・内転
上腕二頭筋長頭:関節上結節、短頭:烏口突起橈骨粗面筋皮神経肘関節の屈曲・前腕の回外
上腕筋上腕骨前面の下半部尺骨粗面筋皮神経肘関節の屈曲

3 中殿筋 (股関節の外転)  ― 小殿筋 (股関節の外転) (p. 266 表10–25 外寛骨筋)
筋名起始停止支配神経作用
大殿筋腸骨外面(後殿筋線より後ろ)、仙骨後面、仙結節靭帯殿筋粗面、腸脛靭帯下殿神経股関節の伸展、腸脛靭帯を緊張させ膝関節を伸展させ直立姿勢を保つ、股関節の外転と外旋
中殿筋腸骨外面(前殿筋線と後殿筋線の間)大転子上殿神経股関節の外転、前部の筋は内旋
小殿筋腸骨外面(前殿筋線と下殿筋線の間)股関節の外転、内旋
大腿筋膜張筋上前腸骨棘腸脛靭帯股関節の屈曲・外転・内旋、膝関節の伸展・外旋
梨状筋仙骨前面外側大転子仙骨神経叢股関節の外旋、股関節が屈曲している時は股関節の外転
内閉鎖筋閉鎖膜の内面転子窩
上双子筋坐骨棘
下双子筋坐骨結節
大腿方形筋坐骨結節転子間稜股関節の外旋

4 腓腹筋 (足関節の底屈・膝関節の屈曲)  ― ヒラメ筋 (足関節の屈曲) (p. 278 表10–31 下腿後面の筋 (屈筋群))
筋名起始停止支配神経作用
(下腿三頭筋)
腓腹筋内側頭
内側上顆両頭は合して踵骨腱をつくり踵骨隆起に終わる脛骨神経膝関節の屈曲、足関節の底屈
(下腿三頭筋)
腓腹筋外側頭
外側上顆
(下腿三頭筋)
ヒラメ筋
腓骨頭・ヒラメ筋線足関節の底屈
足底筋外側上顆踵骨腱の内側縁に癒合下腿三頭筋の働きを助ける
膝窩筋外側上顆脛骨上部後面(ヒラメ筋線の上)膝関節の屈曲・内旋
後脛骨筋下腿骨間膜の後面舟状骨・全楔状骨・立方骨・第2〜3中足骨底足関節の底屈・内反
長指屈筋
(長趾屈筋)
脛骨後面第2〜5指の末節骨底母指の屈曲、足関節の底屈・内反
長母指屈筋
(長母趾屈筋)
腓骨下部後面母指末節骨底母指の底屈、足関節の底屈・内反


問24 胃について正しい記述はどれか。

1 噴門には括約筋がある。
2 胃底は横隔膜の直下にある。
3 大網は小弯と肝臓の間にある。
4 上腸間膜動脈によって栄養される。

解答 2

1 幽門には括約筋がある。

胃の筋層は平滑筋よりなり、輪走筋と縦走筋のほかに、斜走する筋が最内層に見られる。幽門では輪走筋が特に厚くなり、幽門括約筋となる。(p. 79 胃の運動)

2 ○ 胃底は横隔膜の直下にある。

胃の外観(p. 77 胃)

胃は食道に続く袋状の器官で、消化管の中では最も拡張した部分で、その容量は1〜1.5ℓある。入り口は噴門で、噴門を入ると胃は大きく左にふくれ、その天井はドーム状を呈し胃底という。十二指腸への出口は幽門で、幽門の手前3cmほどの部分は形が管状で、内面の粘膜ヒダが平行して走っている。この部分を幽門前庭または幽門部と呼ぶ。胃底部と幽門部を除いた中央全体を胃体という。C字形に左に弯曲する胃の外側を大弯、内側を小弯という。造影剤を飲みX線写真を撮ると、小弯の一部に急角度に曲がる部分が見られ、角切痕と呼ばれる。
教科書には胃底が横隔膜に接している図はないので、プロメテウスの図がわかりやすい。《プロメテウス 胸腹部・骨盤部 p.183 自然位の胃》

3 小網は小弯と肝臓の間にある。

胃間膜(p. 77 胃間膜)

胃の外表面は腹膜でおおわれる。胃の前面をおおう腹膜と、後面をおおう腹膜が小弯側で合して小網となり、肝臓に達する。大弯側でも胃の前後2枚の腹膜は合して大網となる。大網は前掛けのように腹部内臓の前面に垂れ下がり、折れ返って上昇し、横行結腸に付着し、さらに横行結腸間膜に癒合しながら後腹壁に終わる。胃は、肝臓と腹壁に、このように2枚の間膜でハンモックのようにぶら下がっているので移動性に富んでいる。(p.77 胃間膜)

4 腹腔動脈によって栄養される。

腹大動脈の主に消化器系に至る臓側枝(p. 47 腹大動脈とその枝 ③ 主に消化器系に至る臓側枝)

主に腹部消化器系に分布する腹大動脈の臓側枝には腹腔動脈・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈の3枝があり、いずれも無対性で、大動脈の前面から出る。
腹腔動脈 は3枝の中で最初に出る動脈であり、横隔膜のすぐ下で起始して、直ちに左胃動脈・脾動脈・総肝動脈に3分枝する。これら腹腔動脈の枝によって、胃から十二指腸・脾臓・肝臓・胆嚢・膵臓を中心とした上腹部の内臓が養われる。
上腸間膜動脈 は腹腔動脈のすぐ下から起こる。この動脈は名前のとおりに腸間膜の中を走って、膵臓や小腸全域から大腸前半部 (横行結腸) まで広く分布する。
下腸間膜動脈 は上腸間膜動脈よりもさらに下方から出て、大腸後半部 (下行結腸から直腸) に分布する。


問25 泌尿器系について正しい記述はどれか。

1 糸球体は動脈によって形成される。
2 尿管は腹大動脈の前方を通る。
3 膀胱は前立腺の下方にある。
4 女性の尿道は膣に開口する。

解答 1

1 ○ 糸球体は動脈 (毛細血管) によって形成される。
東洋療法研修試験財団の解答では、これが正解となっているが、糸球体は動脈ではなく毛細血管が糸玉状に集まったものである。(p.90 腎臓の構造 (2)組織構造)
通常、動脈 → 毛細血管 → 静脈となるが、腎臓の糸球体の部分は、
輸入細動脈 → 糸球体毛細血管 → 輸出細動脈 と、動脈 → 毛細血管 → 動脈となっている。よって糸球体毛細血管は前後を動脈に挟まれているので、「糸球体は動脈によって形成される」という選択肢をつくったのだろう。だが、動脈は構造的に 内膜(血管内皮) – 中膜 (平滑筋・弾性線維の層) – 外膜 (疎性結合組織) という構造をもつ。(p.37 血管の構造)
糸球体は、この動脈の3層構造はもたず、血管内皮細胞 – 基底膜 – 足細胞の突起 という3層の濾過膜という構造をもつ。(p.92 濾過膜)
よって、糸球体は毛細血管によって形成されるが正しい。だが、この問題では、他の選択肢より消去法で解答すべき問題である。いくらこの問題が不適格問題に近いといっても、国家試験の会場で試験官に文句を言うことはできない。「あぁ、この試験問題作成者は、糸球体が怪網であるということを聴きたかったのね。糸球体は動脈じゃなくて毛細血管だけど、他の選択肢が明らかに違うから、1番にマークしておこう。」と思えるようになってもらいたい。

2 尿管は総腸骨動脈の前方を通る。

尿管は、尿を腎臓の腎盂から膀胱に運ぶ、長さ30cmほどの中腔の管である。尿管の壁は、粘膜・筋層・外膜の3層よりなる。粘膜は移行上皮でおおわれる。筋層はよく発達し、1分間に4〜5回の周期的な蠕動運動により、尿は少量ずつしごかれるように膀胱に送られる。尿管は3ヶ所に狭窄部位を持ち、尿路結石などで通過障害を起こす。 ① 腎盂から尿管への移行部、 ② 総腸骨動脈との交叉部、 ③ 膀胱壁を貫く部 である。特に最後の狭窄部は尿管が膀胱の厚い壁の中を斜めになって長い距離を進むので、膀胱に尿がたまるとその内圧によって膀胱壁を斜めに進む尿管は圧平されて、尿の逆流が防がれる。(p.93 尿管)
尿管は総腸骨動脈の前方を通過している。(p.91 図5–1 腎臓の位置)

3 膀胱は前立腺の上方にある。
前立腺は膀胱のすぐ下に位置し先端を下にした栗の実形の腺で、その中央を尿道が貫き、途中で左右の射精管が尿道に合流する。前立腺自身の導管も尿道に開口する。前立腺液は弱アルカリ性で乳白色を呈し、栗の花のような特有のにおいを持つ。重炭酸塩・亜鉛および大量の酸性フォスファターゼなどを含み、精子の運動を促進する働きがある。(p.98 前立腺)

4 女性の尿道は膣前庭に開口する。
左右の小陰唇に囲まれた領域を膣前庭といい、前部には尿道が開口し (外尿道口)、後部には膣が開いている (膣口)。膣前庭の両側には静脈叢でできた前庭球という海綿体が存在する。これは男性の尿道海綿体にあたる。前庭球の後端にはエンドウ豆大の大前庭腺があり、膣前庭に開口する。大前庭腺は男性の尿道球腺にあたり、性的興奮によって粘液を分泌し、膣前庭を潤す。(p.103 膣前庭)


問26 男性泌尿生殖器について直腸から触れることのできるのはどれか。

1 精巣上体
2 射精管
3 膀胱
4 前立腺

解答 4
前立腺肥大の検査などで実際に直腸に指をいれて前立腺の触診が行われる(直腸指診)。直腸と前立腺の位置を図で確認すること。(p.94 骨盤の矢状断 A) 男性)


問27 頸部・胸部の動脈について正しい記述はどれか。

1 右総頸動脈は大動脈弓から起こる。
2 左鎖骨下動脈は腕頭動脈から起こる。
3 椎骨動脈は鎖骨下動脈から起こる。
4 内胸動脈は腋窩動脈から起こる。

解答

1 右総頸動脈は腕頭動脈から起こる。
2 左鎖骨下動脈は大動脈弓から起こる。

大動脈弓からは、胸郭上口を出て上枝と頭頚部へ向かう太い血管、すなわち腕頭動脈・左総頚動脈・左鎖骨下動脈が順番に出る。大動脈弓の第1枝である腕頭動脈からは、右鎖骨下動脈と右総頚動脈が分枝する。
鎖骨下動脈は上肢の動脈に移行するほか、頭頚部や胸壁を養う動脈 (椎骨動脈や内胸動脈など) を直接出す。総頚動脈は、甲状軟骨の高さまで枝を出さずに上行した後に、内頚動脈と外頚動脈に分かれる。(p.45 上行大動脈および大動脈弓とその枝)

  • 大動脈弓
  • 腕頭動脈
  • 右総頚動脈
  • 右鎖骨下動脈
  • 左総頚動脈
  • 左鎖骨下動脈

3 ○ 椎骨動脈は鎖骨下動脈から起こる。
4 内胸動脈は鎖骨下動脈から起こる。

上肢の動脈の根幹は鎖骨下動脈である。鎖骨下動脈は、右は腕頭動脈から、左は大動脈弓から直接出る太い血管である。この血管は胸郭上口を出た後、第1肋骨上面で、前斜角筋と中斜角筋との間にできた隙間 (斜角筋隙) を通って、鎖骨の下に出る。鎖骨下動脈は上肢の動脈の本幹であるとともに、頚部 (脳)・肩・胸部に枝を送る血管でもある。胸郭上口を出た直後 (斜角筋隙を貫通する前) では、まず脳の血管にもなる椎骨動脈を出した後、斜角筋隙を出て内胸動脈・甲状頚動脈・肋頚動脈を分岐する。
第1肋骨より外側で鎖骨下動脈はそのまま腋窩動脈に移行する。(p.230 図10–81 鎖骨下動脈の枝分かれ)(p.257 上肢の動脈)

鎖骨下動脈の枝は「ツナコロッケ」
  • 鎖骨下動脈
  • 椎骨動脈
  • 内胸動脈
  • 甲状頚動脈
  • 下甲状腺動脈
  • 上行頚動脈
  • 頚横動脈
  • 肩甲上動脈
  • 肋頚動脈

問28 静脈について下大静脈に注ぐのはどれか。

1 食道静脈
2 奇静脈
3 肝静脈
4 脾静脈

解答

1 食道静脈

食道静脈は門脈の側副循環路となっている。門脈圧亢進の際に、うっ血した門脈血は、胃の静脈をへて、食道下部にある静脈叢に流れ込み、食道静脈から奇静脈をへて上大静脈に注ぐ。(p.51 門脈系)
食道静脈 → 奇静脈 → 上大静脈

2 奇静脈

奇静脈系は、後胸壁の静脈を集めて脊柱の両側を縦に走る奇静脈・半奇静脈・副半奇静脈の3本からなる。奇静脈は脊柱の右側を走り、右の肋間静脈を集めながら上行して、上大静脈の後面に注ぐ。左の肋間静脈は脊柱の左側を走る半奇静脈と副半奇静脈に集められる。これらはそれぞれ、脊柱の前を横断して右側を走る奇静脈に合流する。また、奇静脈系には食道静脈なども注ぎ、後述する門脈系の側副循環路になる。(p.49 上大静脈に注ぐ枝)

3 ○ 肝静脈
4 脾静脈

門脈は、主に脾静脈・上腸間膜静脈・下腸間膜静脈が合してできた特別な静脈である。胃腸や膵臓、脾臓から集められた静脈は、門脈として肝臓の中に導かれて肝組織で毛細血管に流れた後、再び肝静脈を経て下大静脈に注ぐ。(p.50 門脈系)
脾静脈・上腸間膜静脈・下腸間膜静脈 → 門脈 → 小葉間静脈 → 洞様毛細血管 → 中心静脈 → 肝静脈 → 下大静脈


問29 脳室系について正しい記述はどれか。

1 室間孔は側脳室と第4脳室を連結している。
2 第3脳室は間脳に挟まれている。
3 中脳水道はクモ膜下腔へと通じている。
4 脳脊髄液は脈絡叢で吸収される。

解答 2

脳室系

大脳半球には前後に長く伸びるアーチ状の側脳室が左右に対をなして存在する。正中部では間脳の間にはさまれて第3脳室が、さらに下がって橋・延髄と小脳に囲まれて三角錐状の第4脳室が続く。側脳室と第3脳室は室間孔を介して、第3脳室と第4脳室は中脳水道を介して、それぞれ互いに連結され、第4脳室の下端は細くなって脊髄の中心間となる。また、第4脳室の正中口と、その左右にある外側口と呼ばれる3ヶ所の出口から、脳の表面を包むクモ膜下腔へと通じる。中枢神経系は最初は単純な管として発生したが、屈曲や隆起などによって外形が複雑になるのに伴い脳室の形も複雑になる。脳室の内面は、上衣細胞という神経膠細胞性の単層立方上皮におおわれる。左右の側脳室・第3・第4脳室の4つの脳室では、その一部で上衣細胞におおわれた毛細血管網が脳室内に突出し、これを脈絡叢と呼ぶ。ここから脳脊髄液が分泌される。(p.128 脳室系)
脳脊髄液は、脳室の脈絡叢から分泌されて各脳室を満たし、さらに脊髄内の中心管を満たす。脳室内の脳脊髄液は第4脳室の後方にある正中口、左右にある外側口を通り、クモ膜下腔に出て脳と脊髄の表面を流れ、クモ膜顆粒を介して硬膜静脈洞に吸収される。クモ膜顆粒は硬膜静脈洞にイボ状に突出した突起で、脳脊髄液を血中に排出している。(p.129 脳脊髄液)

1 室間孔は側脳室と第3脳室を連結している。
2 ○ 第3脳室は間脳に挟まれている。
3 第4脳室はクモ膜下腔へと通じている。
4 脳脊髄液はクモ膜顆粒で吸収される。


問30 脳神経とその機能との組合せで正しいのはどれか。

1 上顎神経 ― 嚥下運動
2 顔面神経 ― 顔面の感覚
3 舌咽神経 ― 舌の運動
4 迷走神経 ― 発声

解答 4

まずは脳神経 I 〜 XII までの種類 (感覚・運動・副交感)、機能、内頭蓋底を通る孔を覚える。(p.138,139 表8–1 国家試験は脳神経)
年々難しくなっている。さらに神経核や神経節なども同時に覚えると良い。

1 舌咽神経 ― 嚥下運動
疑核 → 舌咽神経 → (頚静脈孔) → 咽頭筋の運動性支配 (嚥下運動)()

2 三叉神経 ― 顔面の感覚
眼窩より上 の皮膚知覚 → 眼神経 → 上眼窩裂
眼窩と口裂の間の皮膚知覚 → 上顎神経 → 正円孔
口裂より下の皮膚知覚 → 下顎神経 → 卵円孔
V1、V2、V3 は頭蓋内に入り→ 三叉神経節 (半月神経節) → 3つの枝が合流→ 三叉神経脊髄路核 (顔面部の温痛覚)、三叉神経主知覚核 (顔面部の識別性触圧覚)

3 舌下神経 ― 舌の運動
舌の運動といえば舌下神経XII。 内舌筋であれ外舌筋であれ舌筋ときたら舌下神経支配だ。内舌筋は舌本体を構成する筋で、外舌筋は舌の外から舌に付着する。舌の上は口腔なので舌の運動を支配する神経は舌の下から入るしかない。
舌咽神経IXは、名前のとおり舌から咽頭にかけて分布する神経と考えると良い。すると舌の後ろ1/3の味覚と味覚以外の感覚を司る神経は、舌の咽頭側なので舌咽神経と理屈で理解できる。
舌下神経核 → (舌下神経管) → 舌筋

4 ○ 迷走神経 ― 発声
発生に関わる喉頭筋群は迷走神経の枝である反回神経支配だ。反回神経は迷走神経の本幹とともに前傾部を下り、右は鎖骨下動脈の下を、左は大動脈弓の下をくぐり、反転して上行し喉頭に達する。一度下がってまた上がるので反回神経だ。
疑核 → (頚静脈孔)→ 副神経延髄根 → 迷走神経に合流 → 茎突咽頭筋・咽頭上部の筋


問31 下肢の筋で仙骨神経叢から起こる神経に支配されるのはどれか。

1 薄筋
2 恥骨筋
3 腸腰筋
4 中殿筋

解答 4

1 薄筋:閉鎖神経
2 恥骨筋:大腿神経(股関節内転筋のうち、唯一大腿神経の支配を受ける。約20%で大腿神経と閉鎖神経の二重神経支配である)
3 腸腰筋:大腿神経
4 ○中殿筋:上殿神経

腰神経叢
  • 腸骨下腹神経
  • 腸骨鼠径神経
  • 陰部大腿神経
  • 外側大腿皮神経
  • 大腿神経
  • 閉鎖神経
仙骨神経叢
  • 上殿神経
  • 下殿神経
  • 後大腿皮神経
  • 坐骨神経
  • 陰部神経

問32 末梢神経の走行について正しい記述はどれか。

1 正中神経は烏口腕筋を貫く。
2 橈骨神経は手根管を通る。
3 大腿神経は筋裂孔を通る。
4 陰部神経は鼡径管を通る。

解答3

1 筋皮神経は烏口腕筋を貫く。
烏口腕筋は烏口突起から上腕骨体につく上腕屈筋群で、上腕二頭筋と同じ筋皮神経により支配される。筋皮神経は腕神経叢のすぐ外側に位置する烏口腕筋の中央を貫いて内側から上腕二頭筋と上腕筋の間に入り両筋への筋枝を出す。筋枝を出し終えた後、上腕二頭筋外側縁下方から皮枝がでて、前腕外側部の皮膚に分布する。(外側前腕皮神経)(p.261 筋皮神経)

2 正中神経は手根管を通る。
手根管を通過する神経は正中神経。手根管を通過するものはしっかりと覚える。(p.261 正中神経、p.256 手根管)

手根管を通過するもの
  • 浅指屈筋
  • 深指屈筋
  • 長母指屈筋
  • 橈側手根屈筋
  • 正中神経

3 ○大腿神経は筋裂孔を通る。
鼠径靱帯の下(深層)には、血管裂孔と筋裂孔のふたつの裂孔がある。血管裂孔は文字通り血管が通るので大腿動脈と大腿静脈が通過する。筋裂孔は腸腰筋と大腿神経が通過する。大腿神経はL2〜L4が合流してできる腰神経叢最大の枝で大腰筋とともに下行し、筋裂孔を通って大腿三角に出る。(p.284 筋裂孔と血管裂孔、p.292 大腿神経)

4 陰部大腿神経(陰部枝)は鼡径管を通る。
陰部大腿神経はL1・L2が合流して構成され大腰筋の前を下行しつつ陰部枝と大腿枝に分かれる。
陰部枝は男性では鼡径管を通って陰嚢内の精巣挙筋に分布する筋枝と陰嚢の皮枝を含む。女性では大陰唇とその付近の皮膚感覚を担う。
大腿枝は鼠径靱帯の下、血管裂孔をくぐって大腿前面に至る。大腿前外側面に分布する皮枝となる。
(p.291 陰部大腿神経)

鼡径管を通るもの(p.217 鼠径靱帯と鼠径管)
  • 男性:精索(精管、動静脈、神経が結合組織で巻かれて束になったもの)
  • 精管
  • 精巣動脈
  • 蔓状静脈叢(精巣静脈)
  • 陰部大腿神経陰部枝
  • 女性:子宮円索、陰部大腿神経陰部枝

問33 皮膚腺で毛包に開口するのはどれか。

1 アポクリン汗腺
2 エクリン汗腺
3 脂腺
4 乳腺

解答1,3


これは複数解答がある。一般的に毛包に開口する腺として良く問われるのは脂腺であるが、アポクリン汗腺も毛包に開口する。アポクリン汗腺はある代表部位は腋窩だ。腋窩には腋毛があるじゃないか。
図で脂腺とアポクリン汗腺がともに毛包に開口しているのを確認すると良い(p.27 図1–23 皮膚の構造)

1 アポクリン汗腺(大汗腺)
細胞の表面近くに分泌物があつまり、風船のように表面に向かって膨出し、それがちぎれて分泌物となる形式をアポクリン分泌という。タンパク質や脂質に富む分泌物となるのが特徴。アポクリン汗腺の分泌物は皮膚にいる常在細菌により分解されることにより、特有の匂いを発する。
アポクリン分泌が見られる腺としては、腋窩のアポクリン汗腺(大汗腺)、耳道腺、肛門周囲腺などがある。(p.12 分泌の様式、p.30 アポクリン汗腺)

2 エクリン汗腺(小汗腺)
ゴルジ装置でつくられた分泌顆粒が細胞膜直下に移動し、分泌物をつくる膜が細胞膜と癒合して内容物を放出する形式を開口分泌といい、エクリン汗腺はこの方式で分泌する。
エクリン汗腺は全身に広く分布し、汗を体表に分泌する。汗の大部分は水でその蒸発により体熱を奪い体温の調節を行う(温熱性発汗) 。また、手掌、足底、腋窩の汗腺は精神的な緊張が高まると分泌が盛んとなる(精神性発汗)。(p.12 分泌の様式、p.30 エクリン汗腺)

3 脂腺
細胞の中に分泌物がたまっていき、細胞ごと変性して分泌物なる形式をホロクリン分泌(全分泌)といい、脂腺はこの様式である。この問題であるように、脂腺は毛包に開口する。では、人体で脂腺の無い部位はどこであろう?この場合は、毛の無い部位で考える。手掌と足底だ。ちなみに唇にと毛は無いが、唇には例外として毛包に付属しない独立脂腺が存在する。

4 乳腺
乳腺は汗腺の変化したものとされ、その分泌様式はアポクリン分泌である。乳汁は栄養分をたくさん含まなくてはならないので、有機物をたっぷり含められるアポクリン分泌が適している。

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この記事を書いた人

黒澤一弘(株式会社SBCHAプラクシス代表・つむぐ指圧治療室・東京都立大学 解剖学実習非常勤講師)
鍼灸師、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師などの国家試験に向けた解剖学の知識向上を応援します。初学者にも分かり易く、記憶に残りやすい講座を心がけています。

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