2009年 第17回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15~30 解答

国家試験問題

2009年 第17回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15~30 解答

問15 内胚葉から分化するのはどれか。

1 小腸上皮
2 赤血球
3 表皮
4 平滑筋

解答 1

各胚葉から分化する主要な組織と器官(p.106)
胚葉分化する主要な組織・器官系
外胚葉皮膚 (表皮・毛・爪・皮膚腺)
神経系 (脳・脊髄・末梢神経)
感覚器 (視・聴・平衡・味・嗅覚器)
内胚葉消化器 (胃・腸・肝臓・膵臓)
呼吸器 (喉頭・気管・気管支・肺)
尿路 (膀胱・尿道)
中胚葉骨格系 (骨・軟骨・結合組織)
筋系 (横紋筋・平滑筋)
循環系 (心臓・血管・リンパ管・血液)
泌尿生殖系 (腎臓・精巣・子宮・卵巣)

1 小腸上皮:内胚葉
小腸上皮は消化器系 → 消化器・呼吸器・尿路は内胚葉

2 赤血球:中胚葉
赤血球は循環器系 → 骨格系・筋系・循環器・泌尿(腎)・生殖系は中胚葉

3 表皮:外胚葉
表皮は皮膚 → 皮膚・神経系・感覚器系は外胚葉

4 平滑筋:中胚葉
平滑筋は筋系 → 骨格系・筋系・循環器・泌尿(腎)・生殖系は中胚葉


問16 頭蓋の骨とその穴との組合せで誤っているのはどれか。

1 上顎骨—眼窩下孔
2 蝶形骨—正円孔
3 側頭骨—卵円孔
4 後頭骨—舌下神経管

解答 3

頭蓋底の孔と通過するもの
骨名孔名通過するもの
篩骨篩板嗅神経 (I)
蝶形骨視神経管視神経 (II)
上眼窩裂動眼神経 (III), 滑車神経 (IV), 眼神経 (V1), 外転神経 (VI), 上眼静脈
正円孔上顎神経 (V2)
卵円孔下顎神経 (V3)
棘孔中硬膜動脈・静脈, 下顎神経硬膜枝 (V3)
側頭骨内耳孔顔面神経 (VII), 内耳神経 (VIII)
頚動脈管内頚動脈
側頭骨と後頭骨の間頚静脈孔内頚静脈, 舌咽神経 (IX), 迷走神経 (X), 副神経 (XI)
後頭骨舌下神経管舌下神経 (XII)
大後頭孔 (大孔)椎骨動脈, 脊髄・延髄移行部
脳神経が通るアナは数字で覚えるのが早い。
篩骨篩板 嗅神経 I これは覚えちゃうしかない。
視神経管 視神経 II 通るのアタリマエ
上眼窩裂 III, IV, V1, VI
正円孔 V2
卵円孔 V3
内耳孔 VII, VIII
頸静脈孔 IX, X, XI
舌下神経管 舌下神経 XII 通るのアタリマエ

1 上顎骨—眼窩下孔

上顎骨は、複雑な形をした左右1対の大きな骨である。左右の上顎骨が合して、顔面の中央部を形成することで、眼窩・鼻腔・口蓋の構成に大きく関与する。
眼窩の下壁と鼻腔の側壁をつくるのは体部であり、内部に、大きく広がる上顎洞がある。体部の前方には、眼窩下孔が開く。
体部からは前頭骨と結合する前頭突起、頬骨と結合する頬骨突起、歯の並ぶ歯槽突起、口腔の天井をなす口蓋突起の4つの突起が出る。左右の口蓋突起が合して、骨口蓋の主体をなし、その縫合線の上に切歯孔が開く。また、口蓋突起の後縁では口蓋骨と縫合をなし、縫合部には大口蓋孔が開く。(p.209 上顎骨)

V2:上顎神経

正円孔をへて翼口蓋窩に至り、鼻腔と口蓋への枝を分けて眼窩下神経となる。眼窩下神経は、頬骨神経と上顎洞や歯槽と歯への枝を出した後、眼窩の下壁を貫き、眼窩下孔から顔面の皮下に出て下眼瞼から頬部、鼻翼、上唇の皮膚に広がる。頬骨神経は眼窩から頬骨を貫いて皮下に出る。鼻腔への枝は鼻腔の大部分の鼻粘膜の感覚を支配し、鼻中隔の粘膜内を前下方へ伸びる枝は、切歯管を通り口蓋の前部に至る。(p.311 上顎神経)

2 蝶形骨—正円孔
3 蝶形骨—卵円孔

蝶形骨は、頭蓋腔の中央に位置する骨で、チョウが羽を広げたような形をしている。中央部はチョウの胴体に対応し、蝶形骨体という。体の上面にはトルコ鞍がある。体の前方は後鼻孔の上縁をなし、体の内部には鼻腔と連絡する1対の蝶形骨洞がある。体の後方は後頭骨と結合し斜台を構成する。
体の両脇からは、左右1対の小翼と大翼が伸びる。小翼は前頭蓋窩の後縁をなし、基部には視神経管が開く。大翼は中頭蓋窩の主体である。小翼よりも下方に位置するので、小翼との間に上眼窩裂が開く。また、大翼には正円孔卵円孔棘孔が開く。
下方にも1対の翼状突起が伸びる。翼状突起は鼻腔の外側壁の後方部をつくり、突起の基部には翼突管が開く。(p.206 蝶形骨)

V3:下顎神経

三叉神経節から下方へ伸びる下顎神経は、すぐに卵円孔を通って側頭下窩に出て多数の枝に分かれる。各咀嚼筋と鼓膜張筋への筋枝は比較的短い。舌神経は途中で鼓索神経と合流したのち外側下方から舌に進入する。耳介側頭神経は、顎関節の内側を通り、外耳孔の直前で皮下に出て側頭部へ広がる。頬神経は頬部から口角の口腔粘膜と皮膚に分布する。下歯槽神経は、顎舌骨筋などへの筋枝を出したのち下顎管の中へ入り、各歯根への枝とオトガイ孔から皮下に出る枝を分岐する。
下顎神経からは、ツチ骨に停止して鼓膜を緊張させる鼓膜張筋や、軟口蓋の口蓋帆張筋を支配する筋枝も分かれる。

4 後頭骨—舌下神経管

後頭骨は、後頭部にあるカシワの葉のような形をした扁平骨である。
後方にある円盤状の部分は後頭鱗と呼ばれ、上縁はラムダ縫合によって頭頂骨と接する。この部分の外面中央には外後頭隆起があり、体表からも触れる。また内面には十字の隆起があり中央を内後頭隆起という。 前方中央の四角い部分は後頭骨の底部であり、蝶形骨体と軟骨結合して斜台をつくる。斜台の後方では、大後頭孔が開く。大後頭孔の外側部は側頭骨と接し、その会合部に頸静脈孔ができる。外側部の下面には、1対の後頭顆が盛り上がり、その基部を舌下神経管が貫く。 (p.205 後頭骨)

XII:舌下神経(運動性)

延髄の舌下神経核から始まる。多数の根糸として延髄の前面に出たのち1本に合して舌下神経管を通る。顎二腹筋後腹と茎突舌骨筋の内側を通り、舌骨舌筋の外側で枝分かれして舌の中に入り、舌筋群に分布する。(p.314 脳神経)


問17 筋とその作用との組合せで誤っているのはどれか。

1 広背筋—肩関節の内転
2 大殿筋—股関節の伸展
3 長掌筋—手関節の屈曲
4 ヒラメ筋—足関節の背屈

解答 4

1 広背筋—肩関節の内転

広背筋は背部の下部および胸部の外側部にある、わり合い薄いが大きい筋である。上部は僧帽筋におおわれる。起始は第6~第8胸椎以下の棘突起、胸腰筋膜、第9~第12肋骨、肩甲骨下角、腸骨稜から起こり、上部はほとんど、水平に、下部はしだいに斜め外上方へ向かい、肩甲骨下部をおおい上腕骨小結節に停止する。上腕を後方に引き肩関節を内転・内旋する。すなわち上肢を背部にまわすように働く。背中を手で、かいたり、水泳でクロールのストロークを行うなどの場合に、広背筋が働く。また、停止部を固定すると、体幹が挙上する。鉄棒にぶら下がった場合、上腕骨を下方に引いて上方に脱臼するのを防ぐとともに、大胸筋と一緒に体を引き上げるように働く。胸背神経をうける。
広背筋は胸郭の背側壁に沿って走っているので腋窩の後壁を構成する。上方では僧帽筋と菱形筋との間に聴診三角、下方では腸骨稜および外腹斜筋との間に腰三角を形成する。(p.220 浅背筋)

2 大殿筋—股関節の伸展

大殿筋は殿部を形成する強大な筋で、腸骨翼外側面、仙骨、尾骨の外側縁などから起こって斜め外下方に向かい大腿骨上部の殿筋粗面につく。大腿を後ろに引きかつ外旋する。上部だけ働けば大腿は外転する。下殿神経をうける。
大殿筋は直立歩行に重要な役割を果たす筋で、ヒトで特に著しく発達する。筋とその表面をおおう皮下脂肪の発達によって、ヒトの殿部には特有のふくらみができる。大殿筋は、股関節を伸展する主動筋である。立ち上がったり、走ったり、階段を上るときなどは、大殿筋による股関節の強い伸展が必要である。階段を上るときは、まず腸腰筋により大腿が前方にあげられ(屈曲)、ついで大殿筋により後方に引かれる(伸展)。このように大殿筋は腸腰筋と括抗して働く。
大腿をおおう大腿筋膜は、大腿の外側面で特に肥厚して腸脛靭帯をつくる。この靱帯は腸骨稜から下に向かって垂直に走り脛骨の外側顆に至る、帯状の強力な靱帯である。大殿筋は腸脛靭帯を緊張させる。この靱帯の緊張により膝関節が伸展位で固定され、体幹の直立位が維持される。大殿筋は下殿神経をうける。(p.266 外寛骨筋)

3 長掌筋—手関節の屈曲

内側上顆から起こり、すぐに細長い腱となり、手掌に扇状に広がり、手掌腱膜をつくる。手根をまげる。正中神経が支配する。
この筋は、前腕遠位部でヒモのような細い腱をなす。腱は屈筋支帯の浅層を通って(手根管は通らない)、手掌の皮下で扇状に広がった手掌腱膜をつくる。手掌腱膜は手掌の皮膚と強く癒合するため、手のひらの皮膚はつまみ上げることができない。手をすぽめてやや手関節を掌屈すると、この腱が手首の掌側中央に隆起する。(p.242 前腕の屈筋群)

4 ヒラメ筋—足関節の底屈

下腿三頭筋は浅在の2頭をもつ腓腹筋と深在のヒラメ筋よりなる。腓腹筋内側頭は大腿骨内側上顆より、外側頭は外側上顆より起こり、ヒラメ筋は腓骨頭、腓骨、脛骨の上部後面より起こり3頭合して踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起につく。足の底屈を行う。脛骨神経の枝をうける。
踵骨腱は、下腿のほぼ中央から始まり踵に停止する体内におけるもっとも強大な腱で、体表から明瞭に観察できる。下腿三頭筋は、足関節を底屈し踵をもちあげる。踵の挙上は、歩行・走行・跳躍の際に重要である。腓腹筋は、膝関節と足関節に作用する2関節筋であるが、膝関節の屈曲と足関節の底屈とを同時に十分行うことはできないので、膝を屈曲しているとき腓腹筋は十分働かない。 (p.277 下腿後面の筋(屈筋群))


問18 手の第2~4指を外転させるのはどれか。

1 回外筋
2 虫様筋
3 掌側骨間筋
4 背側骨間筋

解答 4

1 回外筋:前腕を回外
回外筋は尺骨の回外筋稜から起こり、前腕後面の深部を外下方に向かい、橈骨上端外側面につく。前腕を回外する。橈骨神経の支配による。
この筋は、総指伸筋上部の深層に位置する幅広く短い筋である。上腕骨の外側上顆や尺骨上部の外側面から起こって、橈骨上部を外側から回り込むように下方に斜走し、橈骨上部の外側面に広く停止する。この筋は前腕を回外するが、さらに強く回外するときには、これに上腕二頭筋の回外作用が加わる。また、この筋は橈骨神経の深枝に貫通される。(p.245 前腕の伸筋群)

2 虫様筋:第2~第5指の基節を屈し、中節および末節をのばす
虫様筋は第2~第5指の基節を屈し、中節および末節をのばす。正中神経、尺骨神経が支配する。
手掌にて深指屈筋腱から起こり、MP関節より遠位では基節骨の背側に出て総指伸筋腱に合流する。従って、この筋はMP関節には屈曲に、IP関節には伸展に作用する。4本の深指屈筋腱には、それぞれ1つずつ虫様筋がつくので、手掌には合計4つの虫様筋が見られる。このうち、第1・2虫様筋は正中神経の支配を受けることが多いが、第3・4虫様筋は尺骨神経の支配を受ける。(p.251 中手筋)

3 掌側骨間筋:第3指(中指)を手の中心にして各指を近づけて指先をそろえる指の内転運動
掌側および背側骨間筋は共同して基節を屈し、中節および末節をのばす。
掌側骨間筋は中手骨間に3筋ある。第3指(中指)を手の中心にして各指を近づけて指先をそろえる指の内転運動を行う。(p.251 中手筋)

○ 4 背側骨間筋:中指を中心として各指を離して手を大きく広げる指の外転運動
背側骨間筋は、中手骨間に4筋ある。中指を中心として各指を離して手を大きく広げる指の外転運動を行う。 (p.251 中手筋)


問19 閉鎖神経に支配される筋はどれか。

1 外閉鎖筋
2 内閉鎖筋
3 大腿筋膜張筋
4 縫工筋

解答 1

大腿の筋には大腿の前面にある伸筋群、内側にある内転筋群、後面にある屈筋群の3群に分けられる。伸筋群と屈筋群は、寛骨または大腿骨から起こり下腿骨に停止し、主として下腿を動かす。内転筋群は主として大腿骨に停止して、大腿を動かす。支配神経は、伸筋群は大腿神経、内転筋群は主に閉鎖神経、屈筋群は坐骨神経である。 (p.269 大腿の筋)

効率の良い学習のこつは、分類することだ。その筋が含まれる筋群を分類することにより、支配神経がわかってくる。

1 外閉鎖筋:大腿内面の筋 (内転筋群)(p.272)
2 内閉鎖筋:外寛骨筋(p.266)
3 大腿筋膜張筋:外寛骨筋(p.266)
4 縫工筋:大腿前面の筋 (伸筋群)(p.269)

各選択肢の所属筋群を表せば、答えが浮かんでくる。閉鎖神経は内転筋群を支配するので、1 外閉鎖筋が答えとなる。

閉鎖神経(L2~4)

L2~4が合流して構成される。大腰筋の筋束間を下行し、大腰筋内側下縁から骨盤腔に達する。骨盤の側壁を閉鎖動静脈とともに走り、閉鎖孔の内側上方(恥骨上枝の下縁)にある閉鎖管を貫通して大腿内側に至り、外閉鎖筋および内転筋群の各筋に支配枝を出す。また、筋枝を出した後は皮枝として大腿内側の皮膚に分布する。


問20 左右の肺について正しい記述はどれか。

1 左が右より容積が大きい。
2 左には水平裂がある。
3 右には心切痕がある。
4 右は上大静脈に接する。

解答 4

左右の肺の違いも、気管支の違いも考え方は同じ。
– 両肺の間(縦隔)に心臓がある。左右の肺で心臓が接する部位にできる凹みを心圧痕という。(心圧痕は両肺にある)
– 心臓は中央からやや左よりに存在する。(心尖部は左第5肋間鎖骨中線付近)よって、左の心圧痕のほうが右のそれに比べて深くて大きい。これを前方から見ると切れ込みとして見える。これを心切痕という。(心切痕は左肺のみにある)
– 左右の心臓の大きさを比べた場合、心臓が左寄りにあるぶん、左肺のほうが小さく、右肺の方が大きい。肺葉の数は、左が2葉(上葉・下葉)、右が3葉(上葉・中葉・下葉)に分かれる。(左二右三 サニウゾウ)
– 肺を左2、右3に分けるための裂け目を考える。斜裂は両肺にあるが、右肺はさらに水平裂がある。(斜裂は両肺。水平裂は右肺のみ)

気管支で考えてみる
– 左肺は小さく、右肺は大きいので、左気管支は細く、右気管支は太い
– 左気管支は、左寄りにある心臓を越えて肺までいかなくてはならないので、右気管支に比べて長い。右気管支は短い。
– 左気管支は、左寄りにある心臓を越えて肺までいかなくてはならないので、分岐角度が水平に近い。右気管支は垂直に近い。
(右は太く短く垂直に近い。左は細く長く水平に近い。)

上大静脈も下大静脈も右寄りにあるので、右肺には上大静脈に接する。


問21 喉頭について誤っている記述はどれか。

1 甲状軟骨は輪状軟骨と関節する。
2 喉頭隆起は甲状軟骨にある。
3 披裂軟骨は対をなす。
4 声帯靱帯は輪状軟骨に付く。

解答 4

喉頭軟骨(p.65 喉頭軟骨)

喉頭の骨組みは、すべて軟骨でできており、軟骨は靱帯と多くの小さな筋で結合されている。甲状軟骨が盾状に前面をおおい、その下に指輪の形をした輪状軟骨がある。その後ろ上縁の左右には、三角錐状の小さな披裂軟骨が乗る。甲状軟骨の裏側には喉頭蓋軟骨が付着し、舌のように後上方に伸びる。物を飲み込むとき、喉頭軟骨の全体が上方に引き上げられると、喉頭蓋が下がり喉頭上口にふたがかぶせられる。

声帯(p.66 声帯)

披裂軟骨の前端から甲状軟骨の後面に、ヒモ状の声帯靱帯とそれに沿う声帯筋が伸びる。声帯靱帯と声帯筋は粘膜におおわれ、喉頭の側壁に沿って前後に走るヒダをつくる。これが声帯ヒダで、一般に声帯と呼ばれる。左右の声帯は前端では合しているが、後端は披裂軟骨につくので左右に離れている。声帯を上から見るとV字形をしており披裂軟骨に付着する筋の複雑な作用により、声帯の微妙な開き具合の調節がなされる。正常な呼吸のときには声帯は開いているが、発声時には左右の声帯が接近する。左右の声帯によりせばめられたすき間を声門裂といい、声帯と声門裂を合わせて声門という。声門裂が粘膜の腫脹(声門水腫)や異物の飲み込みなどによりふさがれると気道が失われ、喉頭より下で気管を切り開く気管切開を行い、気道を確保する必要が生じる。

1 甲状軟骨は輪状軟骨と関節する。
輪状軟骨は喉頭の土台をなし、前部には甲状軟骨が関節をなして、後部は1対2個の披裂軟骨が関節する。

2 喉頭隆起は甲状軟骨にある。
喉頭隆起は男性では体表から突出することがあり「喉ボトケ」をつくる。甲状軟骨の甲は「甲冑 かっちゅう」の甲で、兵士が身につける革または金属製の防護用具。よろいを意味する。そう言われれば、よろいのように見えてくる。喉ボトケはよろいによって作られるとイメージすると忘れないかも。

3 披裂軟骨は対をなす。
喉頭を構成する軟骨のうち、披裂軟骨のみが対をなす。ピンボールの羽のような披裂軟骨の開き具合により、声帯の開く幅が調節される。

4 声帯靱帯は披裂軟骨~甲状軟骨に付く。
輪状軟骨は土台。その上に関節する披裂軟骨前端から、甲状軟骨後面にかけて逆V字型に声帯がのびる。声帯筋は迷走神経の枝の反回神経支配なのも重要!


問22 内分泌腺について誤っている記述はどれか。

1 下垂体前葉は神経性下垂体と呼ばれる。
2 上皮小体は甲状腺の背面にある。
3 副腎髄質は外胚葉に由来する。
4 膵臓の内分泌細胞で一番多いのはβ細胞である。

解答 1

1 下垂体前葉は腺性下垂体と呼ばれる。下垂体後葉は神経性下垂体と呼ばれる。

下垂体(p.108 下垂体)

下垂体は脳の下面から細い柄(漏斗)でぶら下がり、頭蓋骨底のトルコ鞍のくぼみに収まる小指頭大の器官で、発生起源の異なる腺性下垂体神経性下垂体の2つの部分からなる。

前葉:腺性下垂体(p.109 腺性下垂体)

腺性下垂体は胎生期に原始口腔の天井の一部が上方に伸びてできた部分で、上皮性の腺細胞の集まりよりなる。腺性下垂体は前部を占める前葉と、その後ろに位置する中間部と、そして上方に伸びた隆起部の3部に区分される。前葉では腺細胞が索状または塊状に集まり、その間を内腔の拡大した毛細血管が網状に走る。
前葉の腺細胞は色素に対する染色性の違いから酸好性細胞・塩基好性細胞・色素嫌性細胞に区別され、さらに電子顕微鏡による微細構造の違いや、免疫組織化学的検査法により6種類に分類される。このような分類はそれぞれの腺細胞が分泌するホルモンの違いを反映しており、前葉ホルモンの6種類に対応する。

後葉:神経性下垂体(p.110 神経性下垂体)

神経性下垂体は第3脳室底の突出によって生じた神経組織であり、後葉とそれを視床下部につなげる漏斗からなる。後葉には腺細胞はなく視床下部にある神経核(視索上核・室傍核)で生成され神経線維の中を下降してきた後葉ホルモンが、ここに蓄積され放出される。神経細胞が分泌作用を営むことを神経分泌をいう。神経分泌により生成される後葉ホルモンにはオキシトシンとバゾプレッシンの2つがある。オキシトシンは子宮と乳腺の平滑筋を収縮させる作用があり、分娩が促進され陣痛促進剤として用いられる。バゾプレッシンは腎臓の集合管での水の再吸収を促進する。その結果、尿量が減少するので抗利尿ホルモン(ADH)ともいわれる。

2 上皮小体は甲状腺の背面にある。

上皮小体 (副甲状腺)は甲状腺の背面にある米粒大の暗褐色の小体で、上下1対、合計4個ある。腺細胞が集まりその間に毛細血管が発達する。腺細胞は主細胞と酸好性細胞がある。ホルモンを分泌するのは主細胞で、酸好性細胞はミトコンドリアを豊富に含み赤い色素によく染まる。酸好性細胞は主細胞との移行形があり、高齢で増加するところから主細胞の退行形とも考えられる。上皮小体から分泌されるパラソルモンは骨組織に作用して、そこに含まれるカルシウムを動員し、血中のカルシウム濃度を高める。(p.112 上皮小体)

3 副腎髄質は外胚葉に由来する。

副腎髄質の細胞は交感神経細胞と起源を同じくする神経由来の細胞で、交感神経細胞と同様に重クロム酸カリを含む染色液で黄褐色に染まるところからクロム親性細胞と呼ばれる。髄質細胞は分泌するホルモンの違いからアドレナリン細胞とノルアドレナリン細胞の2種類が区別される。(p.113 副腎髄質)
神経組織なので、外胚葉由来。神経組織でできる内分泌器官は、下垂体後葉・松果体・副腎髄質。しっかり覚えておこう。

4 膵臓の内分泌細胞で一番多いのはβ細胞である。

膵臓は膵液を分泌する外分泌部と、ホルモンを分泌する膵島(ランゲルハンス島)からなる。膵島は外分泌細胞の間に散在する直径0.2mmほどの内分泌細胞の集まりで、膵臓の尾部に多く、その数はおよそ100万個、膵臓の容積の約2%を占める。膵島の内分泌細胞は色素に対する染色性の違いから、α細胞(アルファ)、β細胞(ベータ)、δ細胞(デルタ)の3種類が区別される。α細胞は約20%を占め、肝臓のグリコーゲンをグルコースに変え、血糖値を上昇させるグルカゴンを分泌する。β細胞は約80%を占め、インスリンを分泌する。インスリンはグルコースをグリコーゲンに変えて肝臓に貯蔵するとともに、体内の種々の細胞でのグルコースの取り込みを促し、細胞におけるグルコースの利用を促進する。糖原病はインスリンの分泌不足、あるいは作用低下によって起こる。δ細胞は極めて少なく、グルカゴンやインスリンの分泌を抑制するソマトスタチンを産生する。(p.114 膵臓)


問23 心臓の動脈弁はどれか。

1 二尖弁
2 三尖弁
3 僧帽弁
4 半月弁

解答 4

心臓の弁膜(p.42 心臓の弁膜)

心臓の内腔には心内膜がヒダ状に伸びだして、血液の逆流を防ぐ弁をつくる。心房と心室の間には房室弁が、心室と動脈の間には動脈弁がある。
左の房室弁は2枚の弁尖からなるので二尖弁あるいは僧帽弁と呼ぶ。右の房室弁は3枚の弁尖からなるので三尖弁と呼ばれる。房室弁は心室に垂れ下がっており、弁尖の先端は腱索というヒモに移行する。弁尖は腱索を介して心室内腔に突き出た乳頭筋(心室筋の一部)に固定される。心室の収縮の際には乳頭筋も収縮し、ヒラヒラした弁尖が心房方向に翻るのを防ぐ。
動脈弁は半月形をしたポケットのような3枚の弁からなるので、半月弁とも呼ばれる。血液が逆流しようとするとポケットが膨らむように防止する。左前方にある肺動脈の基部には肺動脈弁、右後方にある大動脈の基部に大動脈弁がある。心房と心室の間には結合組織の線維束(線維輪と線維三角)が取り巻いて、心房筋と心室筋を隔てる。線維輪とは2組の房室弁と動脈弁の輪郭(房室口と動脈口)を丸く取り囲んだ線維束で、房室口および動脈口の形を保持して弁膜を付着させる。房室口と動脈口の合間には結合組織が三角形を呈する部分ができ、これを線維三角という。線維三角には刺激伝導系の房室束(特殊心筋線維)が貫いて、心房筋と心室筋とを連絡する。

肺葉の数も、心臓の房室弁の弁尖も左ニ右三 (サニウゾウ)。二尖弁は僧侶の帽子に似ているので僧帽弁。
– 左房室弁=二尖弁=僧帽弁
– 右房室弁=三尖弁
– 肺動脈弁も大動脈弁も、どちらも3枚の半月弁よりなる


問24 胎児の血液循環について誤っている記述はどれか。

1 臍動脈は2本である。
2 動脈管は肺動脈と上行大動脈を結ぶ。
3 静脈管は門脈と下大静脈を結ぶ。
4 卵円孔は心房中隔にある。

解答 2

1) 胎児循環の経路(p.52 胎児循環の経路)

ここでは胎児の血液が胎盤循環で臍動脈に注ぐところから順に胎児循環を述べる。
(1) 胎児の骨盤付近にある左右の内腸骨動脈からは1対の臍動脈が分枝して、臍帯を走って胎盤に至る。臍動脈には胎盤で処理される老廃物やCO2を含んだ血液が通る。胎盤内には母体の血液で満ちた血のプール(絨毛間腔)があって、そのプールには複雑に枝分かれした絨毛という突起が浸される。胎盤に達した臍動脈は絨毛のなかで毛細血管のループに移行する。この絨毛に母体の血液が噴きつけられるとき、絨毛の毛細血管を流れる胎児の血液はガス交換と老廃物交換を行う。
(2) 絨毛毛細血管でO2と栄養分を付加されて動脈血となった胎児の血液は、細静脈をへて1本の臍静脈に集まり、再び臍帯を通って胎児に返る。胎児内に入った臍静脈は臍と肝臓の間に張った間膜(肝鎌状間膜)の中を通って肝臓の下面に達する。ここで臍静脈の一部は門脈に合流するものの、その本幹は肝臓を素通りする静脈管(アランチウス管)に移行して直接下大静脈に注ぐ。下大静脈では臍からの動脈血は下半身からの静脈血と混ざり合うが、混合血であっても酸素と栄養分を多く含むので胎児組織を養うことができる。
(3) 下大静脈から右心房に入った混合血の大部分は、直ちに胎児の心房中隔に開く卵円孔を通って左心房に流れる。胎児循環では肺から心臓(左心房)に返る血流量が少ないので、左心房の圧は低い。それに比べて全身の静脈が注ぐ右心房は高圧なため、卵円孔からは一方的に右心房の血液が左心房に流れてしまう。左心房に入った血液はそのまま左心室から大動脈に注いで体循環に流れる。また、上大静脈から右心房に注ぐ上半身の静脈血は、右心房→右心室→肺動脈に流れるものが多い。
(4) 肺動脈に流れた血液の大部分は、動脈管(ボタロー管)と呼ばれる肺動脈幹と大動脈弓の間を連絡する短絡路を通って、肺循環を避けて体循環に注ぐ。胎児は肺呼吸を行っていないので肺組織が広がっておらず、肺動脈からの血液を許容できない。従って、肺動脈の血液は肺に入れず、大部分は抵抗なく流れる動脈管から大動脈に注ぎ込んでしまう。

1 臍動脈は2本である。
臍動脈は左右の内腸骨動脈から分岐するので、1対(2本)ある。

2 動脈管は肺動脈と大動脈弓を結ぶ。
大動脈弓からは腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈が分岐するが、動脈管は左鎖骨下動脈分岐部のすぐあとに連絡する。胎児は中枢神経系を優先して作らなくてはならないので、頭頸部に酸素の分圧の高い血液がめぐり、静脈血を流す動脈管は左鎖骨下動脈のあとに接続するところが良くできているなと常々感じる。

3 静脈管は門脈と下大静脈を結ぶ。
これって、少し微妙な言い方ですよね。静脈管は臍静脈と下大静脈を結ぶと覚えたほうが良いから。
臍静脈は肝鎌状間膜の下縁を走り、肝臓の下部に向かう。そして門脈と一部合流しつつ、大部分は静脈菅に流れ込み、下大静脈にバイパスされる。
そうそう。静脈と静脈を結ぶから静脈菅、動脈と動脈を結ぶから動脈菅だが、中をながれる血液は、静脈菅は動脈血、動脈菅は静脈血であることも注意しておこう。

4 卵円孔は心房中隔にある。
静脈菅が流入した後の下大静脈は、酸素分圧が高い血液となり、機能的に動脈血となる。下大静脈から右心房に入った血液の大部分は下大静脈口のすぐ上に開く卵円孔より左心房に注ぎ込む。
一方、上大静脈からの血液は酸素分圧の低い静脈血である。上大静脈から右心房に流入した血液は、ほとんど卵円孔を通らず、右心房から右心室、肺動脈菅、大動脈弓というルートを通る。


問25 脳神経とその分布域との組合せで正しいのはどれか。

1 動眼神経—外側直筋
2 眼神経—網膜
3 鼓索神経—舌
4 迷走神経—耳下腺

解答 3

1 動眼神経—上直筋・内側直筋・下直筋・下斜筋+上眼瞼挙筋
外転神経—外側直筋

III:動眼神経(運動性・副交感性)

中脳の被蓋にある動眼神経核と動眼神経副核から始まり、中脳の前面に出る。海綿静脈洞を通過したのち、上眼窩裂を通って眼窩に入り分枝する。
運動神経
上直筋内側直筋下直筋下斜筋の眼球を動かす筋と、上眼瞼を引き挙げる上眼瞼挙筋への筋枝となる。
副交感神経
動眼神経副核からの節前線維は動眼神経から分かれ、視神経のすぐ外側にある毛様体神経節に入る。ここでニューロンを交代し、節後線維は眼球の後面から進入したのち前方へ向かい、瞳孔括約筋毛様体筋に至る。これらの筋の収縮により、瞳孔を縮小し、水晶体の厚みを増して近くの像に焦点を合わせる。(p.310 脳神経)

VI:外転神経(運動性)

橋の外転神経核から始まり、橋の下縁から出て上眼窩裂を通り眼窩に入り、外側直筋を支配する。眼球を外転し、瞳を外側方へ向ける。脳圧の充進や髄膜炎などの影響を受けやすく、外転神経麻痺では内斜視となる。(p.310 脳神経)

2 視神経—網膜

II:視神経(感覚性)

視神経は網膜神経節細胞から始まり、視床外側膝状体へ達する神経線維の束である。眼球の後極の少し内側から始まり、視神経管を通って頭蓋腔に入る。ここで左右の視神経は合流してまた分かれるため、X状の視神経交叉(視交叉)をつくる。ここでは網膜の鼻側半(内側半)からの線維だけが反対側へ交叉する半交叉である。その結果、左右の眼球の視野の右半分の像は左の脳へ、左半分は右の脳へ伝えられる。視交叉から外側膝状体までは間脳の下に付着し、視索と名前を変える。

V1:眼神経

トルコ鞍の横に付着する神経節から前方に伸び出した眼神経は分枝しながら上眼窩裂を通り、眼窩に入る。眼球や涙腺など眼窩内の構造や眼瞼への枝のほかに、眼窩上縁から前頭部の皮下へ出て頭頂へ向かう枝、

◯ 3 鼓索神経—舌

VII:顔面神経(感覚性・運動性・副交感性)

橋の後縁の外側寄りから出て内耳神経とともに内耳道に入り、内耳道の奥で顔面神経管に入る。この管は側頭骨の岩様部の中を貫く細長い管で茎乳突孔に至る。顔面神経は途中の鼓室の内側壁の中で直角に後方へ曲がるところ()で、翼口蓋神経節への枝(大錐体神経)を分け、次に鼓室の後方でアブミ骨筋への筋枝と鼓索神経を分枝する。
感覚神経
味覚を伝える感覚線維(味覚線維)は鼓索神経に入って鼓膜の上縁を通り側頭下窩で舌神経に合流して舌に入る。この線維は舌の前方2/3の粘膜上皮に分布して味細胞とシナプスをつくり、味覚を伝える。この線維の細胞体は膝神経節の中にある。
運動神経
橋の顔面神経核から始まり、大部分は茎乳突孔から出て、外耳孔の下方から放射状に広がる多数の枝に分かれ、頭頸部の皮下に広がる表情筋に入る。茎突舌骨筋および顎二腹筋後腹も支配する。
副交感神経
涙・鼻水と唾液の分泌を促進する神経線維は橋と延髄の境界近くにある上唾液核から始まる。涙腺を支配する節前線維は、大錐体神経を経由して翼口蓋窩にある翼口蓋神経節に入る。この神経節から始まる節後線維は上顎神経の枝である頬骨神経を経て涙腺神経に合流して涙腺に至る。鼻粘膜や口蓋の小唾液腺を支配する節後線維も上顎神経の枝を経由する。
顎下腺舌下腺の分泌を促進する節前線維は、鼓索神経から舌神経を経由して舌下で顎下神経節に入り、ここでニューロンを交代して腺に入る。

つまり、鼓索神経は舌前2/3の味覚と顎下腺・舌下腺。コサックダンスをしながら、梅干しを食べ、酸っぱくて、唾液がたくさんでたイメージ。

4 舌咽神経—耳下腺

耳下腺の分泌は舌咽神経支配。顔面神経の運動線維が耳下腺を貫くが、これはただ貫いているだけ。耳下腺の分泌にはなんら影響を及ぼさない。


問26 坐骨神経の枝とその支配筋との組合せで誤っているのはどれか。

1 腓腹神経—ヒラメ筋
2 深腓骨神経—前脛骨筋
3 外側足底神経—母指内転筋
4 内側足底神経—母指外転筋

解答 1

坐骨神経(L4~S3) (p.292 仙骨神経叢)

L4~S3に由来する人体で最大の神経である。しかし、その実体は神経叢で別々に始まる2本の神経、総腓骨神経(L4~S2) と脛骨神経(L4~S3) が同一の結合組織に包まれて、外見上、太い神経になったものである。梨状筋下孔を出たのち坐骨結節と大転子の中間付近を通って大腿後面に達するまでは両神経が付着し合った太い神経のままである。膝窩の上方で総腓骨神経と脛骨神経が分かれて、さらに下腿と足に分布する。
i) 総腓骨神経:大腿後面では脛骨神経の外側に位置し、大腿二頭筋長頭の深層を下行しながら大腿二頭筋短頭に枝を与える。その後、膝窩の上方で脛骨神経と分離して大腿二頭筋の停止腱に沿って腓骨頭の下方(腓骨頸)に達する。
この神経は外側から腓骨頸を回り込んで下腿に入る際に、次の2枝に分かれる。すなわち、下腿外側の腓骨筋群に分布する浅腓骨神経と、下腿前面の伸筋群に向かう深腓骨神経である。浅腓骨神経は長・短腓骨筋に枝を出した後、下腿の遠位部で皮神経となって皮下に出て、内側および中間足背皮神経として足背に分布する。深腓骨神経は長腓骨筋の起始の深層を素通りして伸筋群に達し、長指屈筋と前脛骨筋の間を下行しながら長指伸筋・長母指伸筋・前脛骨筋に枝を出す。さらに、長母指伸筋腱および前脛骨動脈などとともに伸筋支帯の深層をくぐって足背に達し、短母指伸筋および、短指伸筋への枝を出す。その後、細い皮神経となって母指と第2指の間(下駄の鼻緒が食い込む位置)の皮膚に分布して感覚を担う。
ii) 脛骨神経:大腿後面では総腓骨神経の内側に位置し、大腿二頭筋長頭の深層を下行しながら、半腱・半膜様筋および大腿二頭筋長頭に枝を送って支配する。その後、総腓骨神経と分離して膝窩動静脈とともに膝窩中央を垂直に下行し、下腿後面に至る。 膝窩では下腿三頭筋・膝窩筋・足底筋に枝を送るほか、内側腓腹皮神経を出す。内側腓腹皮神経は、総腓骨神経の枝と合流したあと腓腹神経となり、下腿の遠位部・踵部・足背の外側部の皮膚感覚を担う。脛骨神経の本幹はヒラメ筋腱弓の深層をくぐって、ヒラメ筋と下腿深層の屈筋群(長指・長母指屈筋および後脛骨筋)の間を通り、これら下腿深層の屈筋に枝を出す。さらに、脛骨神経は足首まで下行して、長指屈筋・長母指屈筋・後脛骨筋・後脛骨動静脈とともに内果の後方を回って足底に向かう。
足底に入る直前、脛骨神経は内側・外側足底神経に分かれる。内側足底神経は、短指屈筋枝を出すほか、母指球に向かい、母指外転筋・短母指屈筋および第1虫様筋に枝を与える。そのほか残りは足底内側部の皮神経となる。外側足底神経は、足底を小指球筋に向かって進み、小指球筋および内側足底神経が支配しない中足筋・母指内転筋に次々に枝を出して支配する。そのほか足底外側部の皮枝として浅枝を分枝する。

1 脛骨神経—ヒラメ筋
脛骨神経は、大腿後側では大腿二頭筋短頭以外の筋を支配する。つまり、半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋長頭だ。下腿三頭筋を支配するのはわかりやすいと思うが、膝窩部では膝窩筋・足底筋にも枝を送ることに注意する。
また、下腿後側の深層の筋(長指屈筋・長母指屈筋・後脛骨筋)も支配する。

長指屈筋・長母指屈筋・後脛骨筋・脛骨神経・後脛骨動脈、静脈は内果の後ろの足根菅を通過し、足底に向かう。

腓腹神経は下腿の遠位部・踵部・足背の外側部の皮膚感覚を担う。

2 深腓骨神経—前脛骨筋
前脛骨筋・長母指伸筋・長指伸筋・第三腓骨筋・短母指伸筋・短指伸筋
第三腓骨筋は伸筋群であることは忘れがちなので注意!

3 外側足底神経—母指内転筋
4 内側足底神経—母指外転筋
外側足底神経、内側足底神経ともに脛骨神経が枝分かれしたもの。外側が内転筋、内側が外転筋なのは注意が必要。


問27 脊髄神経の走路について正しい記述はどれか。

1 大腿神経は血管裂孔を通る。
2 閉鎖神経は筋裂孔を通る。
3 陰部神経は小坐骨孔を通る。
4 坐骨神経は梨状筋上孔を通る。

解答 3

1 大腿神経は筋裂孔を通る。
大腿神経はL2~4が合流してできる腰神経叢最大の枝である。大腰筋とともに下行し、筋裂孔を通って大腿三角に至る。大腿三角より下で縫工筋および大腿四頭筋に筋枝を出すほか、皮枝として大腿前面に分布する前皮枝および伏在神経を分枝する。
伏在神経は、大腿動静脈とともに内転筋管を通る途中で大内転筋と内側広筋の間に張る筋膜を貫通し皮下に出る。鵞足付近で膝蓋下枝および内側下腿皮枝となって下腿内面や足背内側の感覚を担う。

2 閉鎖神経は閉鎖孔を通る。
閉鎖神経はL2~4が合流して構成される。大腰筋の筋束間を下行し、大腰筋内側下縁から骨盤腔に達する。骨盤の側壁を閉鎖動静脈とともに走り、閉鎖孔の内側上方(恥骨上枝の下縁)にある閉鎖管を貫通して大腿内側に至り、外閉鎖筋および内転筋群の各筋に支配枝を出す。また、筋枝を出した後は皮枝として大腿内側の皮膚に分布する。

◯ 3 陰部神経は小坐骨孔を通る。
陰部神経はS2~4に由来する。梨状筋下孔から出た後、小坐骨孔を通って骨盤底に達して、会陰部の筋および皮膚を支配する。

4 坐骨神経は梨状筋下孔を通る。
坐骨神経はL4~S3に由来し、総腓骨神経(L4~S2) と脛骨神経(L4~S3) が同一の結合組織に包まれて、外見上、太い神経になったものである。梨状筋下孔を出たのち坐骨結節と大転子の中間付近を通って大腿後面に達するまでは両神経が付着し合った太い神経のままである。膝窩の上方で総腓骨神経と脛骨神経が分かれて、さらに下腿と足に分布する。


問28 自律神経系について誤っている記述はどれか。

1 自律神経の中枢は視床下部にある。
2 鼓索神経には交感神経線維が含まれる。
3 交感神経の節前ニューロンは胸髄から上部腰髄にかけて存在する。
4 骨盤内臓神経は副交感神経である。

解答 2

◯ 1 自律神経の中枢は視床下部にある。

視床下部は視床の下方にあって、第3脳室の側壁および底部をつくる。底部から突き出た漏斗の先に下垂体がぶら下がり、その後方に灰白隆起および丸い1対の乳頭体がある。視床下部は、上位の大脳皮質・大脳辺縁系・視床、下位の脳幹・脊髄などと線維結合を持ち、自律機能の統合中枢として生命活動の維持に重要な働きをなす。すなわち、視床下部は自律神経系に対する最高中枢として脳幹や脊髄側角にある自律神経核に指令を発する。また、視床下部には体温調節中枢・摂食中枢・性行動・情動行動を調節する中枢がある。さらに、隆起核・視索前野などから分泌されるホルモンは、下垂体前葉のホルモンの分泌の調節を行い、内分泌腺全体の分泌機能に影響を及ぼす。(p.124 視床下部)

2 鼓索神経には副交感神経線維が含まれる。
またでてきました。鼓索神経。一度の国試で二回も鼓索神経がでてくるとは、この年の問題作成者はよっぽと鼓索神経が好きだったんでしょうね。
鼓索神経は顔面神経の顎下腺・舌下腺の副交感と舌前2/3の味覚

◯ 3 交感神経の節前ニューロンは胸髄から上部腰髄にかけて存在する。
◯ 4 骨盤内臓神経は副交感神経である。

副交感神経は、脳神経III、VII、IX、X(ミナトク)と仙髄S2~S4の骨盤内臓神経。頭と仙骨が出どころなので頭仙系とも言われる。
交感神経は、胸髄T1~腰髄L2,L3あたりから出る。胸腰系とも言われる。


問29 ヒトの脳で最も表面積が大きいのはどれか。

1 側頭葉
2 前頭葉
3 頭頂葉
4 後頭葉

解答 2

大脳は多数の曲がりくねった大脳溝と、それによって区切られた大脳回という盛り上がりでおおわれている。これらの溝と回により大脳の表面積は左右の大脳半球を合わせて2,200cm2、およそ新聞紙の1ページ大の広さとなり、約140億個の神経細胞が含まれる。大脳溝の中で特に深く特徴的な、外側溝中心溝頭頂後頭溝によって、大脳は、側頭葉前頭葉頭頂葉後頭葉に分けられる。面積は前頭葉が最も広くて約40%、残りはそれぞれ約20%ずつである。深く切れ込んだ外側溝を広げると、その奥にはと呼ばれる大脳皮質領域がかくれている。(p.125 大脳皮質)


問30 感覚伝導路と中継核との組合せで正しいのはどれか。

1 聴覚伝導路—内側膝状体
2 視覚伝導路—下丘
3 味覚伝導路—赤核
4 平衡覚伝導路—蝸牛神経核

解答 1

◯ 1 聴覚伝導路—内側膝状体

音刺激は内耳の蝸牛で受容され、蝸牛神経により伝えられる。蝸牛神経は脳幹の蝸牛神経核に終わり二次ニューロンに交代し、交叉して外側毛帯に入り中脳の下丘に終わる。三次ニューロンは下丘腕をつくって上行し、間脳の内側膝状体に達する。四次ニューロンは聴放線をつくって側頭葉の聴覚野に入る。(p.133 上行性伝導路)

2 視覚伝導路—上丘

網膜の光受容体である視細胞の興奮は、双極神経細胞(一次ニューロン)をへて、神経節細胞(二次ニューロン)に伝えられ、その軸索が集まって視神経となる。視神経は頭蓋内に入ると視神経交叉をつくる。視神経交叉では網膜の鼻側半からきた線維だけが交叉する。交叉線維と非交叉線維が集まって視索となり、外側膝状体に達する。ここから出た三次ニューロンは、内包の後部を通って視放線をつくり、後頭葉の視覚野に達する。視索の線維の一部は中脳の上丘に送られ、瞳孔反射に関係する。(p.133 上行性伝導路)

3 味覚伝導路—孤束核
舌の味蕾で受容された味覚刺激は顔面神経舌咽神経によって延髄の孤束核に伝えられ、視床をへて大脳皮質の味覚野に終わる。味覚野は中心後回の下部にあるといわれる。(p.133 上行性伝導路)

4 平衡覚伝導路—前庭神経核
平衡感覚は内耳の前庭器官で受容される。前庭神経は脳幹の前庭神経核に入り、前庭神経核からの線維は大部分が小脳に入り、大脳皮質に向かう線維はごく少なく、平衡感覚はほとんど意識されることはない。(p.133 上行性伝導路)

スポンサードリンク