2018年 第26回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題16〜26 解答

国試年度別

問題16 寛骨について正しいのはどれか。

1 耳状面は長骨の内側にある。
2 恥骨結節は恥骨体の下方にある。
3 坐骨棘に大腿骨頭靱帯が付着する。
4 下前腸骨棘に鼠径靱帯が付着する。

解答 1

1 ○ 耳状面は長骨の内側にある。

腸骨の内面は腹腔の下縁をなして、中央には腸骨窩があり、腸を受けとめる。腸骨窩には股関節を屈曲させる腸骨筋がつく。腸骨窩の後方には、“くの字型”をした耳状面があり、仙骨と関節する。(p.188)

2 恥骨結節は恥骨体の上方にある。

恥骨は寛骨下部の前方部をなす“くの字型”の骨で、坐骨とともに閉鎖孔を囲む。くの字の中央部は恥骨体といい、この内面には恥骨結合面がある。恥骨体の上方には恥骨結節があって、上前腸骨棘から至る鼠径靱帯が付着する。恥骨体から上方に伸びた恥骨上枝は、閉鎖孔の上縁をなして腸骨の弓状線に続く。(p.188)

3 坐骨棘に仙棘靭帯が付着する。

坐骨は、寛骨下部の後方部をなす“L字型”の骨である。L字の曲がり角の部分には体表から触れる坐骨結節がある。坐骨結節には、大腿後面の筋や仙骨との間に張る仙結節靱帯がつくほか、座位のときに体重がかかる部分になる。坐骨結節の上方には2つの連続した切痕、すなわち大坐骨切痕と小坐骨切痕がある。これら2つの切痕の間には坐骨棘が突出する。坐骨棘と仙骨・尾骨の間に張る仙棘靱帯と仙結節靱帯によって、大坐骨切痕は大坐骨孔、小坐骨切痕は小坐骨孔になる。(p.188)

4 上前腸骨棘に鼠径靱帯が付着する。

腸骨の外側上縁は広く肥厚して腸骨稜となり、体表から明瞭に触れる。腸骨稜には、腹筋などが付着するので、この稜は腹部と殿部の境界線にもなる。腸骨稜の前端は上前腸骨棘で、体表の重要な基準点となるほか、鼠径靱帯の外側端が付着する。この下方には、下前腸骨棘がある。(p.188)

問題17 脳神経と通過する部位の組み合わせで正しいのはどれか。

1 視神経 ――――― 上眼窩裂
2 下顎神経 ――― 正円孔
3 顔面神経 ――― 内耳孔
4 舌下神経 ――― 頚静脈孔

解答 3

脳神経と内頭蓋底の通過する孔は番号で覚える!
1 上眼窩裂 ――― III, IV, V1, VI
2 正円孔 ――――― V2
3 内耳孔 ――――― VII, VIII
4 頚静脈孔 ―――― IX, X, XI

問題18 筋と補助装置の組み合わせで正しいのはどれか。

1 下斜筋 ――― 滑車
2 三角筋 ――― 滑液包
3 長掌筋 ――― 腱鞘
4 下腿三頭筋 ――― 骨間膜

解答 2

1 上斜筋 ――― 滑車

滑車は靱帯の環または骨の隆起でできており、腱が作用する力の方向を変えるための装置。(p.166 筋の補助装置)
上斜筋は直筋と同じく眼窩の後端より起こり、眼寵の入口の内側上方にある滑車という腱に達する。滑車で方向を転換したのち、眼球の後半上面に付着し、眼球を下外側方に向ける。下斜筋は眼窩の内側前方より起こり、眼球の後半下面につき、眼球を上外側方に向ける。(p.152)

2 ○ 三角筋 ――― 滑液包

筋や腱が骨や靱帯および他の筋に対して押しつけられるような部位に見られ、両者の間の摩擦を減らすための滑液のたまる扁平な袋状の構造。滑液包は関節の付近に見られることが多く、肩や膝では関節腔と交通しているものもある。(p.165 筋の補助装置)
肩関節の外転による棘上筋腱の摩擦を軽減するため、棘上筋腱と肩峰の間には肩峰下包、三角筋との間には三角筋下包という大きな滑液包がある。一般に肩峰下包と三角筋下包は連続する滑液包である。(p.238 棘上筋)

3 手首や足首を通過する腱 ――― 腱鞘
長掌筋は屈筋支帯の上(浅層)を通過し、手掌腱膜に終わります。腱鞘は前腕の屈筋では手根管を通過する腱にみられるので、長掌筋にはみられません。

滑液包と同様の構造が腱を包んだもので、長い腱の移動をスムーズにしている。手首や足首を通過する腱の周囲に多数見られる。(p.165 筋の補助装置)
前腕の筋は・・・手根部では腱となり、腱鞘(滑液鞘)に包まれて手内に入る。(p.242 前腕の筋)
手根管内では、深指屈筋腱は浅指屈筋腱とともにひと続きの大きな滑液包に包まれる。中手指節関節(MP関節)より遠位では、指ごとに個別の腱鞘が各指の浅・深指屈筋を一括して包む。この部分の腱鞘や腱の損傷は癒着を起こしやすく、機能障害を生じやすい。(p.244-245 前腕の屈筋群 – 深層の屈筋)
手根管は前腕から手掌への入口として、中に長母指屈筋・浅指屈筋・深指屈筋と正中神経を通す。手根管の中で腱は滑液鞘(腱鞘)に包まれて走るので、運動時に手根管の中で生じる摩擦が軽減される。(p.256-257 屈筋支帯と手根管)
伸筋腱はそれぞれの腱区画ごとに個別の腱鞘に包まれており、運動時の摩擦を軽減させる。腱区画に仕切られたトンネルを橈側から順に列挙する。(p.257 伸筋支帯)

問題19 下肢帯の筋と支配神経の組み合わせで正しいのはどれか。

1 大殿筋 ――― 下殿神経
2 梨状筋 ――― 上殿神経
3 腸骨筋 ――― 閉鎖神経
4 大腿方形筋 ――― 大腿神経

解答 1

1 ○ 大殿筋 ――― 下殿神経

L5S2が合流して神経叢の背側から出る。梨状筋下孔から寛骨後面に出て、大殿筋に枝を出す。(p.293 仙骨神経叢)

2 梨状筋 ――― 仙骨神経叢
4 大腿方形筋 ――― 仙骨神経叢
外寛骨筋のうち、大殿筋は下殿神経支配、中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋は上殿神経支配。それ以外の梨状筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋は仙骨神経叢の枝に支配される。

梨状筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋は、骨盤の内面から起こって股関節の後側を回り大腿骨の上端につく筋群で、股関節の外旋作用を持つが、その役割以上に股関節前面にある腸骨大腿靱帯とともに、大腿骨頭を寛骨臼に密着させ保持し、股関節を安定化させるのに重要だと考えられている。(p.268 外寛骨筋)

3 腸骨筋 ――― 大腿神経

腸骨筋と大腰筋は、鼠径靱帯の後ろ(筋裂孔)を通って大腿前面に出る。共通の腱をつくって大腿骨の小転子につき、機能的には1つの筋として働くので、両方の筋を合わせて腸腰筋と呼ぶ 。(p.265 内寛骨筋) 腸腰筋のうち、腸骨筋は大腿神経、大腰筋は腰神経叢の枝により支配される。

問題20 内頸動脈の枝はどれか。

1 顎動脈
2 眼動脈
3 舌動脈
4 椎骨動脈

解答 2

1 顎動脈・・・外頸動脈の枝

外頸動脈は、分枝後すぐに上甲状腺動脈、舌動脈、顔面動脈を前方に向かって分枝し、後方へ後頭動脈などを分枝しながら上行して、顎関節の下方で最終枝の顎動脈と浅側頭動脈に分かれる。脳と前頭部、眼窩内を除く頭部のすべての構造を栄養する。(p.306 外頸動脈)
顎動脈は、側頭下窩で各咀嚼筋への枝、下顎骨への枝、中硬膜動脈そして頬動脈などを分枝したのち、翼口蓋窩に入る。ここで鼻腔や眼窩、口蓋や上顎骨の各部への枝に分かれる。上顎の歯や歯槽、歯肉への枝も出す。蝶形骨の棘孔を通る中硬膜動脈は広い範囲の脳硬膜と脳頭蓋の骨を栄養する。(p.306 外頸動脈-顎動脈)

2 ○ 眼動脈

頸部では枝を出さずに側頭骨の頸動脈管を通り破裂孔の上で頭蓋内に出てくる。ここで下垂体や眼窩への枝(眼動脈)を出したのちクモ膜下腔へ入り、脳の血管となる。起始部はふくらんで頸動脈洞となる。(p.306 内頸動脈)
眼動脈:視神経管をへて眼窩に入り、眼球(網膜中心動脈)や外眼筋など、眼窩内の構造への枝を出したのち前頭部の皮膚や上眼瞼への枝となる。(p.306 内頸動脈-眼動脈)

3 舌動脈・・・外頸動脈の枝

外頸動脈は、分枝後すぐに上甲状腺動脈、舌動脈、顔面動脈を前方に向かって分枝し、後方へ後頭動脈などを分枝しながら上行して、顎関節の下方で最終枝の顎動脈と浅側頭動脈に分かれる。脳と前頭部、眼窩内を除く頭部のすべての構造を栄養する。(p.306 外頸動脈)

4 椎骨動脈・・・鎖骨下動脈の枝

鎖骨下動脈は、左は大動脈弓から直接、右は腕頭動脈から分枝するが、胸郭上口を出て第1肋骨の上を通り、その外側縁で腋窩動脈となる。脳と脊髄を栄養する椎骨動脈を分枝したのち、頸部と胸郭や浅背筋を栄養する枝を出す。(p.307 鎖骨下動脈)
鎖骨下動脈の最初の太い枝で、まっすぐ第6頸椎の横突孔へ向かう。周囲の筋や骨への枝を出しながら横突孔を次々と上行し、環椎の後弓の上で環椎後頭膜を貫きクモ膜下腔に入り、脊髄への枝を出す。大孔をへて頭蓋腔の延髄の前面を上行し、延髄と橋の境界近くで左右の椎骨動脈は合流して脳底動脈となる。脳底動脈は小脳や橋などへの枝を出したのち左右の後大脳動脈に二分する。後大脳動脈は後交通動脈を介して内頸動脈とつながり、側頭葉の内側面から外側面下部と後頭葉を栄養する枝となる。(p.307 鎖骨下動脈-椎骨動脈)

問題21 胸管について正しいのはどれか。

1 乳び槽から続く。
2 大静脈孔を通過する。
3 右上半身のリンパが集まる。
4 右静脈角に注ぐ。

解答 1

1 ○ 乳び槽から続く。
3 下半身と左上半身のリンパが集まる。
4 左静脈角に注ぐ。

リンパ本幹にはいくつかの種類がある。まず、下半身のリンパから解説する。骨盤と下肢のリンパは鼠径リンパ節に集まり、総腸骨動静脈から腹大動脈と下大静脈に沿って上行する腰リンパ本幹に注ぐ。また、腸管からの乳び管は腸間膜を通って、腸リンパ本幹に注ぐ。横隔膜の大動脈裂孔付近で腰リンパ本幹と腸リンパ本幹は合流して、大動脈の後方に乳び槽という袋状の膨らみをなす。乳び槽は胸管という太いリンパ本幹に移行する。胸管は脊柱の前を上行し、胸郭上口を抜けて左の静脈角(内頸静脈と鎖骨下静脈の合流部)に注ぐ。静脈角付近で胸管には、頭頸部の左側半のリンパを集めた左頸リンパ本幹と、左上肢および左乳房のリンパを集めた左鎖骨下リンパ本幹が注ぐ。結果的に、胸管には右上半身を除く全身のリンパが注ぐことになる。
それに対して、右上半身のリンパは胸管に合流しない。右頭頸部のリンパは右頸リンパ本幹、右上肢および右乳房のリンパは右鎖骨下リンパ本幹にそれぞれ集められる。これらのリンパ本幹は合流して右リンパ本幹を構成し、右の静脈角に注ぎ込む。左右の静脈角に注いだリンパは、再び静脈を流れる血液に還流されて心臓に返る。(p.55 全身のリンパ本幹)

2 大動脈裂孔を通過する。

大動脈裂孔は、第12胸椎の椎体前面にあり、下行大動脈と動脈周囲交感神経叢(大・小内臓神経など)、奇静脈、胸管などが通る。(p.214 横隔膜)

問題22 胃について正しいのはどれか。

1 噴門には括約筋がある。
2 小弯は肝臓に接する。
3 大弯には大網が付着する。
4 最内層の筋は輪走筋である。

解答 3

1 幽門には括約筋がある。

幽門では輪走筋が特に発達し厚くなり、幽門括約筋となる。(p.79 胃の運動)

2 小弯は肝臓に接しない
小網は小弯より肝臓に達する。小弯は肝臓に面しているが、接していない。

3 ○ 大弯には大網が付着する。

胃の外表面は腹膜でおおわれる。胃の前面をおおう腹膜と、後面をおおう腹膜が小弯側で合して小網となり、肝臓に達する。大弯側でも胃の前後2枚の腹膜は合して大綱となる。(p.77 胃間膜)

4 最内層の筋は斜線維である。

胃の筋層は平滑筋よりなり、輪走筋と縦走筋のほかに、斜走する筋が最内層に見られる。(p.79 胃の運動)

問題23 腎臓について正しいのはどれか。

1 腎皮質の突出は腎乳頭をつくる。
2 糸球体は毛細血管が集まったものである。
3 尿細管と集合管を合わせてネフロンという。
4 傍糸球体細胞からエリスロポエチンが分泌される。

解答 2

1 腎皮質の突出は腎柱をつくる。腎錐体の先端が腎乳頭。

腎臓の割断面を見ると、暗赤色に見える表層の皮質と、蒼白に見える深部の髄質とに区別される。髄質は812個の円錐状の腎錐体の集まりからなる。腎錐体には無数の縦に走る線条が見られ、それがいくつかの束に分かれて皮質に入り、髄放線を形成する。髄放線以外の皮質を皮質迷路という。腎錐体の間に入り込んだ皮質迷路を腎柱という。(p.90 腎臓の構造-肉眼構造)

2 ○ 糸球体は毛細血管が集まったものである。

腎小体は、毛細血管が糸玉状に集まった糸球体と、それを包む上皮性のボウマン嚢という薄い袋からなる。(p.90 腎臓の構造-組織構造)

3 腎小体と尿細管を合わせてネフロンという。集合管はネフロンには含まれない。

腎臓の機能を果たす基本的な構成単位として、腎小体と尿細管を合わせてネフロンという。(p.92 腎臓の構造-組織構造)

4 傍糸球体細胞からレニンが分泌される。

尿の出来具合は常に検証される。遠位尿細管を流れる尿は、背の高い細胞の集まりでできた緻密斑により監視されている。尿の電解質濃度が濃いと、隣接する輸入細動脈の内皮細胞から分化した傍糸球体細胞がレニンというホルモンを分泌して、血圧を上昇させ、原尿の産生を増やす。(p.93 傍糸球体装置)

問題24 交感神経節前ニューロンの細胞体があるのはどれか。

1 前角
2 側角
3 側索
4 後索

解答 2

1 前角:運動神経細胞
2 側角:自律神経細胞(胸髄は交感神経性、仙髄は副交感神経性)
3 側索:外側脊髄視床路、外側皮質脊髄路
4 後索:後索-内側毛帯路

交感神経の節前ニューロン(交感神経中枢)は、脊髄(胸髄)の側角に位置する。脊柱の両脇には縦に長く伸びる交感神経幹がある。交感神経幹は、約20個の節前細胞の集まる幹神経節が、その間を連結する神経線維の束(幹)により数珠玉のようにつながれてできている。それぞれの交感神経節は、脊髄神経と短い2本の交通枝でつながれている。頸部の交感神経幹・神経節は特に発達する。(p.144 交感神経系)

問題25 皮膚領域と皮膚分節の組み合わせで正しいのはどれか

1 鎖骨 ――― C2
2 上腕内側 ――― Th1
3 臍 ――― Th6
4 腸骨稜 ――― S2

解答 2

1 鎖骨 ――― C4

C1~4の前枝は交通して頸神経叢をつくる。皮枝は後頭部・頸部・鎖骨上部に分布する。(p.141 頸神経)

2 ○ 上腕内側 ――― Th1

正中神経の内側で内側神経束から分かれる枝は尺骨神経および内側前腕皮神経と内側上腕皮神経である。(p.260 腕神経叢の構成)

3 臍 ――― Th10
4 腸骨稜 ――― L1

腹壁の皮神経の分布域はほぼ胸壁と同様、分節状で、剣状突起の高さに第7肋間神経、臍の高さに第10肋間神経、腸骨稜および鼠径部には第1腰神経前枝(腸骨下腹神経)が分布する。(p.234 腹壁の皮神経)

問題26 嗅上皮の存在部位はどれか

1 鼻腔天井
2 中鼻甲介
3 鼻前庭
4 キーゼルバッハ部位

解答 3

鼻腔の大部分を占める鼻粘膜は、多列線毛上皮でおおわれ、血管に富み、多くの鼻腺がある。鼻粘膜におおわれた鼻甲介のひだは、吸い込んだ空気を体温近くに暖め、十分に湿気を与え、ほこりを取って、肺に送り込む。鼻中隔の前端部で、外鼻孔に近い鼻粘膜には毛細血管が多く集まり、直下には軟骨もあって、鼻出血を起こしやすい。この部位をキーゼルバッハ部位という。鼻腔の後上部には嗅覚を受け持つ嗅粘膜(嗅上皮)がある。(p.63 鼻腔-鼻粘膜)

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