2018年 第26回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 生理学 問題27〜37 解答


解剖夏期講習 全8回(8月第1週〜4週 火・木)
消化器と泌尿器、神経組織と筋組織、皮膚について徹底的な国試対策
1. 豊富な図による解説
2. 丁寧な問題解説、図による理解
3. 記憶を強固にする「チャンク化」による国試解説
4. 頻出の類似問題などを間引かない、徹底した問題演習

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問題27 解糖について正しいのはどれか。

1 酸素を必要とする。
2 細胞質内で行われる。
3 クエン酸が生成される。
4 電子伝達系に比べATP産性能が高い。

解答 2

グルコースは細胞質内で酵素の働きによって、ピルビン酸となる。このO2を必要としない過程を解糖という。
解糖は細胞室内で起こり、クエン酸回路と電子伝達系はミトコンドリア内でO2の供給下で起こる。(生理学 p.8 解糖と内呼吸)

1 酸素を必要としない
2 ○ 細胞質内で行われる。
3 ピルビン酸が生成される。
4 電子伝達系に比べATP産性能が低い

内呼吸で1モルのグルコースから生成されるATPの量

過程 モル数
解糖系 2モル
クエン酸回路 2モル
電子伝達系 34モル
合計 38モル

問題28 血管拡張作用をもつのはどれか。

1 セロトニン
2 エンドセリン
3 二酸化炭素
4 アンジオテンシンⅡ

血管収縮物質と拡張物質(生理学 p.44 循環調節)

収縮物質(セロトニン、エンドセリンなど)
拡張物質(ブラジキニン、ヒスタミン、乳酸、CO2、アデノシン、一酸化窒素(NO)など)

1 セロトニン:収縮物質
2 エンドセリン:収縮物質
3 ○ 二酸化炭素:拡張物質
4 アンジオテンシンII:収縮物質(レニン―アンジオテンシン―アルドステロン系)

問題29 異常呼吸で、深い呼吸が規則正しく続くのはどれか。

1 起坐呼吸
2 ビオ―呼吸
3 クスマウル呼吸
4 チェーン・ストーク呼吸

解答 3

1 × 起坐呼吸

呼吸困難のとき、仰臥位では呼吸困難がより増強し、座位になるとそれが軽減するため患者が好んでそのような体位をとる状態をいう、僧帽弁狭窄症などの左心不全時や、気管支喘息重積発作のような重症肺疾患に認める。(南山堂医学大辞典)

2 × ビオ―呼吸

ビオー呼吸は、深いあえぎ呼吸が、突然中断されたり元にもどったりする呼吸型で、脳外傷や脳炎、脳腫瘍などで脳圧が充進した際に引き起こされる。呼吸中枢のCO2に対する反応性がほとんど失われた結果であろうと考えられる。(生理学 p.65 呼吸の異常)

3 ○ クスマウル呼吸

クスマウルの呼吸は深い呼吸が規則正しく続く過呼吸である。糖尿病などで代謝性アシドーシスになり、血中pHが低下することによって起こる。(生理学 p.65 呼吸の異常)

4 × チェーン・ストーク呼吸

チェイン-ストークス呼吸は、無呼吸から深い呼吸、深い呼吸から無呼吸への変動が繰り返される呼吸型で、脳疾患、尿毒症、各種中毒や病気の末期に見られる。高齢者では健康でも睡眠中に現れることもあり、成人でも高山での睡眠中に生じる。 チェイン-ストークス呼吸:無呼吸から深い呼吸、深い呼吸から無呼吸への変動が繰り返される呼吸型で、脳疾患、尿毒症、各種中毒や病気の末期に見られる。高齢者では健康でも睡眠中に現れることもあり、成人でも高山での睡眠中に生じる。(生理学 p.65 呼吸の異常)

問題30 摂食を抑制するのはどれか。

1 グレリン
2 オレキシン
3 ロイコトリエン
4 レプチン

解答 4

血中グルコース濃度の低下は摂食中枢や満腹中枢で感受されて食欲を起こす。血中グルコース濃度の低下がさらに進むと、血中遊離脂肪酸濃度が上昇し、摂食中枢を刺激して食欲が増す。摂食を調節するペプチドとしては摂食抑制を起こすレプチンや、摂食を起こすオレキシンやグレリンがある。(生理学 p.89 摂食の調節)


脂肪細胞が分泌する生理活性物質をアディポカインという。食欲を抑えるレプチンや、インスリン感受性を高めるアディポネクチン、インスリン抵抗性を高めるTNF-αやレジスチンなどがある。

1 グレリン:摂食促進
2 オレキシン:摂食促進
3 ロイコトリエン:発痛増強物質(生理学 p.261 内因性発痛物質)
4 レプチン:摂食抑制

問題31 コレステロールについて正しいのはどれか。

1 単純脂質である。
2 細胞膜に含まれる。
3 膵臓で合成される。
4 皮下脂肪の主成分である。

解答 2

1 × 誘導脂質である。

脂質は次の3つに大きく分類される。
(1) 単純脂質:アルコールと脂肪酸が結合した物質をいう。食物中の単純脂質の大部分は中性脂肪(トリグリセリド)で、中性脂肪はl分子のグリセロール(グリセリン)と3分子の脂肪酸からなる。
(2) 複合脂質:タンパク質など他の物質と結合している脂質をいう。リンを含んだリン脂質、糖を含む糖脂質、タンパク質を含むリポタンパク(質)などがある。
(3) 誘導脂質:脂質の分解産物のうち脂溶性を示すものをいう。脂肪酸、脂溶性ビタミン、ステロイドなどがある。
コレステロールはステロイドの一種なので、誘導脂質に分類される。

2 ○ 細胞膜に含まれる。

リン脂質の分子は2層に並んで脂質二重層を形成し、細胞膜の主成分となる。コレステロールや糖脂質もまた細胞膜中に含まれ、前者は細胞膜に強度を与え、後者は細胞の表面で膜の認識機構などに関与する。(生理学 p.100 脂質の働き)

3 × 肝臓で合成される。

コレステロール自体はエネルギー源とはならないが、細胞膜の成分であり、体細胞の構成要素として重要な物質である。また、胆汁酸やステロイドホルモンの原料となる。コレステロールは、食物からも摂取されるが、その何倍もの量が主に肝臓てアセチルCoAから合成される。コレステロールは細胞膜の成分として重要であるほか、胆汁酸やステロイドホルモンの前駆物質となる。(生理学 p.100 脂質の代謝)

4 × 皮下脂肪の主成分はトリグリセリドである。

トリグリセリドはエネルギー源として重要であり、特に貯蔵エネルギーとして重要な役割を持つ。摂取した脂質のうち、余分なものは皮下や内臓の脂肪組織に貯えられ、必要に応じて分解されて血中へ放出され、利用される。また脂肪組織には体熱放散を防いだり内臓を保護するなどの作用もある。(生理学 p.100 脂質の働き)

問題32 安静時の熱産生が最も多いのはどれか。

1 皮膚
2 腎臓
3 肝臓
4 内臓脂肪

解答 3

身体を構成する細胞の行うさまざまな活動にはグルコースなどを分解して得られるエネルギーが利用される。身体が必要とするエネルギーを体内で作ったり利用したりする過程で熱が発生する。骨格筋や肝臓は熱産生が特に高い。(生理学 p.111 体熱の産生と放散)

ヒトの臓器・組織における安静時代謝量(糸川嘉則ほか 栄養学総論 改定第3版 p.141–164)

臓器・組織 重量 (kg) エネルギー代謝量 比率 (%)
(kcal/kg/日) (kcal/日)
全身 70.0 24 1700 100
骨格筋 28.0 13 370 22
脂肪組織 15.0 4.5 70 4
肝臓 1.8 200 360 21
1.4 240 340 20
心臓 0.3 440 145 9
腎臓 0.3 440 137 8
その他 23.2 12 277 16

問題33 糸球体ろ過量を増加させるのはどれか。

1 糸球体血圧の上昇
2 血漿膠質浸透圧の上昇
3 ボーマン嚢内圧の上昇
4 尿管内圧の上昇

解答 1

濾過の原動力は主として糸球体における血圧(45mmHg)である。糸球体血圧は、動脈圧が変動しても、ある範囲内であれば輸入細動脈の血管抵抗が変化するため、約45mmHgのほぼ一定の血圧に保たれる。血漿は血漿タンパクを含んでいるために膠質浸透圧がある。血漿の膠質浸透圧(約25mmHg)とボーマン嚢内圧(約10mmHg)は糸球体血圧に拮抗する方向に働くので、濾過の際に働く有効濾過圧は、以下のとおりとなる。
糸球体血圧-血漿の膠質浸透圧-ボーマン嚢内圧=45–25–10=10mmHg
この有効濾過圧(約10mmHg)で、血漿中の水と小さな分子からなる成分は糸球体毛細血管からボーマン嚢へ押し出される。(生理学 p.120 尿生成)

問題34 グルカゴンにより促進されるのはどれか。

1 グルコースの細胞内への取り込み
2 グリコーゲンの分解
3 蛋白質の合成
4 脂肪の合成

解答 2

1 グルコースの細胞内への取り込み → インスリンの作用
2 ○ グリコーゲンの分解 → グルカゴンの作用
3 蛋白質の合成 → 成長ホルモン、インスリンの作用
4 脂肪の合成 → インスリンの作用

インスリンの生理作用(生理学 p.141 膵臓のホルモン-インスリン)

(1) 血中のグルコースの細胞内への取り込みを促進し、また単糖であるグルコースを多糖であるグリコーゲンへ変換して血糖値を下げる。
(2) グルコースの脂肪への変換を促す。
(3) アミノ酸の細胞内への取り込みを促し、タンパク質合成を促進する作用もある。

グルカゴンの生理作用(生理学 p.142 膵臓のホルモン-グルカゴン)

(1) 肝臓において、グリコーゲンからグルコースへの分解、糖新生(アミノ酸などからのグルコースの新生)を促して、血糖値を上昇させる。
(2) 肝臓の脂肪分解を促して、血中遊離脂肪酸を増加させる。

問題34 単語の記憶に重要な部位を含むのはどれか。

1 視床下部
2 小脳核
3 大脳基底核
4 大脳辺縁系

解答 4

大脳辺縁系(生理学 p.189 大脳)

大脳半球の内側面の帯状回や島、前頭葉の後眼窩回、側頭葉の内側前部にある海馬傍回と海馬は、発生学的に古く、辺縁皮質と呼ばれる。辺縁皮質とそこに密接に連絡する皮質下にある扁桃体や中隔核を合わせて大脳辺縁系と総称する。大脳辺縁系は脳幹、視床下部、視床、大脳皮質感覚野、連合野とも連絡する。
(1) 本能行動の調節:大脳辺縁系は視床下部による本能行動の発現を調節する。
(2) 記憶:大脳辺縁系内の海馬は、大脳皮質や視床と回路を形成して記憶に重要な働きをする。
(3) 情動行動の発現と動機づけ:生体は喜怒哀楽などの感情に基づいて何らかの情動行動を起こす。大脳辺縁系は情動行動の発現に関与する。情動行動は感覚刺激によって外的に起こるが、刺激がなくとも連合野を働かせることによって大脳辺縁系に影響を与えて内的にも起こる。扁桃体は情動の鍵となる部分である。情動を誘発する身体の内外からの刺激は扁桃体で受け取られて処理される。この部分が障害されると物事の危険性の認識が低下したり、失われる。脳外科的に刺激をしたときにも不安、恐れの感覚を生じることが知られている。
(4) 自律機能の統合:大脳辺縁系は視床下部との密接なつながりのもとに、本能行動や情動行動の発現とそれらに伴う種々の自律性反応の統合に重要な役割を果たしている。たとえば大脳辺縁系のある部位を刺激すると、摂食行動に伴って血圧上昇、腸の運動と血流の増大、骨格筋血流の減少が起こる。このような事実から、大脳辺縁系は視床下部レベルで、統合されている種々の自律機能を本能行動や情動行動と協調させる場であると考えられている。

問題36 筋について正しいのはどれか。

1 平滑筋は横紋構造をもつ。
2 心筋の収縮は常に強縮である。
3 心筋細胞の興奮は絶縁性に伝導する。
4 胃の平滑筋にはギャップ結合がある。

解答 4

平滑筋の特徴(生理学 p.225 心筋と平滑筋)

平滑筋細胞では、細胞内に筋フィラメントが不規則に配列しており、横紋構造はみられない。平滑筋細胞は、ゆっくり、かつ持続的な収縮をする。骨格筋のような急速な収縮はできない
胃腸管、膀胱、尿管、子宮などの平滑筋では、平滑筋細胞はところどころで他の細胞の膜とギャップ結合によって電気的につながっており、合胞体として機能する。また、外部からの刺激なしで、自動興奮を繰り返す自動能を持ち、自律神経はこれらの自動興奮を増減する役割を果たす。

[aside type=“normal”]
ギャップ結合というと心筋細胞間の結合で特に発達していますが、消化管などの平滑筋もところどころギャップ結合でつながっています。
[/aside]

1 骨格筋と心筋は横紋構造をもつ。
2 心筋の収縮は常単収縮である。
3 心筋細胞の興奮はギャップ結合により隣接する細胞に広がる
心筋の各筋線維は隣接する細胞とギャップ結合によって電気的に連絡しており、多数の心筋線維は同時に興奮してあたかも1個の筋線維のように働く。このため、心筋を機能的合胞体ともいう。

4 ○ 胃の平滑筋にはギャップ結合がある。

問題37 γ運動ニューロンについて正しいのはどれか。

1 軸索は後根を通る。
2 筋紡錘の感度を調節する。
3 錘内筋線維の中央部分に終末する。
4 α運動ニューロンに比べ細胞体は大きい。

解答 2

1 軸索は前根を通る。
2 ○ 筋紡錘の感度を調節する。
3 錘内筋線維両端に近い部分に終末する。
4 α運動ニューロンに比べ細胞体は小さい

筋紡錘の中にある錘内筋線維は、求心性神経に加えて遠心性(運動性)神経の支配も受ける.中枢神経系からの指令を錘内筋線維に伝える遠心性神経をγ運動ニューロンという。γ運動ニューロンは、α運動ニューロンに比べて、細胞体は小さく線維も細い。γ運動ニューロンは錘内筋線維の両端に近い部分に終末する。γ運動ニューロンが興奮すると、錘内筋線維の両端が収縮し、その結果、錘内筋線維の中央部分が伸展されてその中央部分に分布するIa群求心性線維の活動が増える。筋(錘外筋)伸展時にγ運動ニューロンが働くと、Ia群求心性線維の活動は著しく亢進する。また、筋の収縮と同時にγ運動ニューロンが働けば、Ia群求心性線維の活動は抑制されない。このようにγ運動ニューロンの活動による錘内筋線維の収縮によって、筋紡錘の筋長に対する感受性あるいは感度を調節できる。(生理学 p.232 γ運動ニューロン)

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