2012年 第20回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題16〜33 解答

国家試験問題

2012年 第20回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題16〜33 解答

勉強のコツ
やっぱり基本は教科書です。国試4択を教科書の重要箇所を知るフィルターとして用い、関連する教科書のページをチェックすることをお勧めします。関連ページを記載しています。活用して理解をしてください。理解したものは応用力が増し、さらに忘れにくくなります。

問16 平滑筋線維について正しいのはどれか。

1 筋原線維がない。
2 紡錘形である。
3 多核である。
4 随意筋を構成する。

解答 2

平滑筋は、消化管や血管のような管状、あるいは膀胱や子宮などの袋状の内臓の壁をつくるところから、内臓筋ともよばれる。自律神経の支配を受けており、意識的には動かすことのできない不随意筋である。平滑筋線維は、中央部分は核を入れて太く、両端は細くなった紡錘形を呈する。(P.23 平滑筋)

1 筋原線維がない。
筋原線維は平滑筋、骨格筋、心筋すべてに存在する。(筋原線維が なければ筋肉ではない!)筋原線維はアクチンとミオシンという細線維 (フィラメント) の集まりよりなる。筋原線維に横紋が観察されるかどうかにより、平滑筋と横紋筋が分けられる。横紋筋のうち、骨格に付着するものが骨格筋、心臓を構成するものが心筋である。(p.22 筋組織)

2 紡錘形である。
平滑筋線維は、中央部分は核を入れて太く、両端は細くなった紡錘形を呈する。(p.23 平滑筋)

3 多核である。
多核なのは骨格筋。骨格筋は筋芽細胞が融合した多核細胞である。(p.23 骨格筋)
平滑筋と心筋は単核である。
※ 標準組織学によれば心筋細胞は中央に1個または2個の核をもつとあるが、教科書の記述では「心筋線維は介在板にしきられた単核細胞の多数の連なりからなる(p.24 心筋)(標準組織学 総論 第4版 p.262 心筋細胞の構造)

4 随意筋を構成する。
随意筋は骨格筋。平滑筋と心筋は意識によって動かすことのできない不随意筋である。(p.23 平滑筋, 骨格筋 p.24 心筋)


問17 鼻中隔を構成する骨はどれか。

1 下鼻甲介
2 頬骨
3 鋤骨
4 鼻骨

解答 3

鼻腔は鼻中隔により左右に分けられる。鼻中隔の手前は鼻中隔軟骨、奥の上部は篩骨垂直板、奥の下部は鋤骨によりつくられる。(p.203 鼻腔・副鼻腔, p.208 図10-51 頭蓋の正中断)


問18 骨盤において分界線に関与しないのはどれか。

1 坐骨
2 仙骨
3 恥骨
4 腸骨

解答 1

骨盤底の前方には、恥骨結合によって恥骨下面に恥骨弓がつくられ、その角度を恥骨下角という。 恥骨結合上縁 より、 恥骨上縁 を通り腸骨内面にある 弓状線 をへて、仙骨の岬角に終わるラインを 分界線 という。分界線によって骨盤は、上部の 大骨盤 と下部の 小骨盤 に分かれる。小骨盤の囲む円筒形の空間は 骨盤腔 で、分界線に沿う骨盤上口と、骨盤底にできた骨盤下口の間に相当する。骨盤腔には骨盤内臓が入り、分娩の時には産道となる。(p.188 骨盤)


問19 腓骨について正しいのはどれか。

1 下腿の内側に位置する。
2 下端に靱帯結合がある。
3 膝関節を構成する。
4 含気骨に分類される。

解答 2

腓骨(p.191 下腿の骨-腓骨)

 腓骨は下腿の外側にある長骨で、脛骨よりはるかに細く、体重を支える役割はほとんどない。
 腓骨の上端は 腓骨頭 として肥厚し、膝関節の外側下方で体表から触れる。腓骨頭は膝関節の外側側副靱帯の付着部となり、腓骨頭にある関節面は脛骨外側上顆と連結する (脛腓関節)。
 細く長い腓骨体は下腿の筋に囲まれるので体表からは触れられない。ここには骨間縁があり、脛骨の骨間縁との間に下腿骨間膜が張る。
 腓骨の下端は 外果 となって肥厚し、体表から触れる。外果の内側面には外果関節面があり、脛骨の下端と共に距骨と連結する (距腿関節)。

脛骨と腓骨の連結(p.191 下腿の連結)
  • 脛腓関節
    脛骨外側顆の下端と腓骨頭との平面関節である。
  • 下腿骨間膜
    脛骨体と腓骨体にそれぞれ向かい合う骨間縁どうしを連結する、強靭な結合組織の膜である。
  • 脛腓靱帯結合
    脛骨にある腓骨切痕に腓骨の下端がはまり込み、両者の間を骨間靱帯が強固に結合する。結合の前後にも前・後脛腓靱帯が張って、結合を補強する。

1 下腿の外側に位置する。

2 下端に靱帯結合がある。
脛骨と腓骨の結合面を結びつける骨間靱帯はp.197 図10-39(p.197 図10-39 距腿関節・距骨下関節)にて「脛腓靱帯結合」として示されている。またp.193 図10-38(p.193 図10-38 足関節) では、腓骨下端の外果を中心として、上方に前脛腓靱帯・後脛腓靱帯が、下方に前距腓靱帯・踵腓靱帯・後距腓靱帯が示されている。
また、プロメテウスの図が非常にわかりやすい。(プロメテウス運動器系 p.454-455 右足の靱帯)

3 膝関節を構成する。
膝関節は、大腿骨の下端 (内側顆・外側顆) と、脛骨上面 (内側顆・外側顆) とが対面してできる顆状関節である。また、膝蓋骨の後面も関節面となり、大腿骨下端の前方にある膝蓋面と連結する。
腓骨は膝関節には関与しない。(p.194 膝関節)

4 含気骨に分類される。
含気骨は骨内部に空洞をもつもので、生体では粘膜に覆われ副鼻腔を構成する。前頭骨、上顎骨、篩骨、蝶形骨がある。(p.160 骨の形状)
※ 側頭骨は副鼻腔には関与しないが、内部に空洞があるので含気骨に分類する場合がある。


問20 股関節の外転に関与する筋はどれか。

1 大腿方形筋
2 恥骨筋
3 中殿筋
4 腸腰筋

解答 3

1 大腿方形筋
坐骨結節 → 転子間稜;仙骨神経叢;股関節の外旋(p.266 外寛骨筋)

2 恥骨筋
恥骨櫛 → 恥骨筋線;大腿神経;股関節の内転、屈曲(p.272 大腿内面の筋 (内転筋群))

3 中殿筋
腸骨外面 → 大転子;上殿神経;股関節の外転、前部の筋は内旋(p.266 外寛骨筋)

4 腸腰筋
腸骨筋:腸骨窩 → 小転子;大腿神経;股関節の屈曲
大腰筋:前腰椎の肋骨突起、第12胸椎〜第4腰椎の椎体と椎間円板 → 小転子;腰神経叢;股関節の屈曲


問21 下腿の筋で外果後方を通るのはどれか。

1 前脛骨筋
2 後脛骨筋
3 長指屈筋
4 長腓骨筋

解答 4

  • 下腿前面の筋 (伸筋群)は、上伸筋支帯・下伸筋支帯の下を通過する。(p.276 図10-127 足の筋と支帯)
  • 下腿外側面の筋 (腓骨筋群)は、外果の後ろで上腓骨筋支帯と下腓骨筋支帯の下を通過する。(p.277 図10-128 下腿外側面の筋)
  • 下腿後面の筋のうち、下腿三頭筋はアキレス腱をつくり踵骨隆起に終わる。足底筋はアキレス腱に癒合する。膝窩筋は脛骨上部後面のヒラメ筋線に終わる。残りの後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋は内果と踵骨の間に張る屈筋支帯の下を通過する。(p.279 後脛骨筋・長指屈筋・長母指屈筋)

問22 斜角筋隙を通過するのはどれか。

1 横隔神経
2 腕神経叢
3 内頸動脈
4 鎖骨下静脈

解答 2

斜角筋隙を通過するものは腕神経叢と鎖骨下動脈。鎖骨下静脈は前斜角筋の前を走行するので、斜角筋隙は通過しない。(p.316 図10-157 斜角筋隙と鎖骨下動脈・静脈)

腕神経叢は斜角筋隙を通った後、鎖骨と第1肋骨の間、そして大鎖骨上窩の深部を通り腋窩に至る。(p.315 腕神経叢)
 
 
鎖骨下動脈は胸郭上口を出た直後、斜角筋隙を通過する前に椎骨動脈を分枝し、斜角筋隙を出て、内胸動脈・甲状頚動脈・肋頚動脈を分岐する。(p.257 上肢の動脈)


問23 内分泌系について正しい記述はどれか。

1 上皮小体には傍濾胞細胞がある。
2 下垂体前葉では門脈系が形成される。
3 副腎皮質には5層の細胞配列が認められる。
4 セルトリ細胞は男性ホルモンを分泌する。

解答 2

1 甲状腺には傍濾胞細胞がある。
 甲状腺は単層立方上皮の濾胞上皮細胞でできた直径約0.2mmほどの濾胞が無数に集まりできている。濾胞腔はコロイドで満たされ、必要に応じてコロイドは甲状腺ホルモン (サイロキシン) として分泌され、全身の細胞・組織を刺激して物質代謝を高め、エネルギー産生を増やす。
 濾胞間にも傍濾胞細胞という内分泌細胞が集まり、血中のカルシウム濃度を下げるカルシトニンを分泌する。

2 ○ 下垂体前葉では門脈系が形成される。
 腺性下垂体 (下垂体前葉) では大脳動脈輪からの枝が隆起部に入り第一次毛細血管網をつくる。そのあと数本の小静脈となり隆起部を下降して前葉に達し、ここで第二次毛細血管網をつくる。一次と二次の毛細血管網の間に介在する小静脈は一種の門脈と考えられ、下垂体門脈系が形成される。
 視床下部には前葉ホルモンの分泌を調節する中枢 (隆起核など) がある。その中枢にある神経細胞は分泌を促進する放出ホルモンあるいは分泌を抑制する抑制ホルモンがあり、それらは隆起部の第一次毛細血管網に分泌される。これらの視床下部ホルモンは下垂体門脈系により前葉に運ばれ、前葉細胞に作用して前葉ホルモンの分泌を調節する。(p.110 下垂体門脈系・視床下部による調節)

3 副腎皮質には3層の細胞配列が認められる。
 副腎皮質は腹膜上皮から発生する中胚葉性器官で、表層から深層に向かい、球状帯・束状帯・網状帯の3層の細胞配列が認められる。(p.113 副腎皮質)

  • 球状帯
    アルドステロン (電解質コルチコイド) を分泌する。アルドステロンは腎臓の主に集合管に作用して尿中へのNa+と水の排泄を減らす。(生p.127 体液量の調節)
  • 束状帯
    コルチゾルやコルチコステロン (糖質コルチコイド) を分泌する。糖質コルチコイドは血糖値上昇、抗炎症、胃酸分泌促進などの作用がある。(生p.144 糖質コルチコイド)
  • 網状帯
    男性ホルモン (副腎アンドロゲン) を分泌する。副腎皮質から分泌される男性ホルモンはデヒドロエピアンドロステロン (DHEA) で、身体を男性化する作用があるが活性は弱い。副腎アンドロゲンの分泌は糖質コルチコイドと同様にCRH-ACTH系によって調節される。(生p.146 副腎アンドロゲン)

4 ライディッヒ細胞 (間細胞) は男性ホルモンを分泌する。
精上皮のあちこちに点在するセルトリ細胞は精子産生細胞を保持するとともに精子に栄養を与え精子の成熟を助ける。精細管と精細管の間を埋める間質にはライディッヒ細胞 (間細胞) が散在し、テストステロンなどの男性ホルモンを分泌し、精子産生を促進するとともに、二次性徴の発現をもたらす。


問24 横紋筋はどれか。

1 幽門括約筋
2 オッディ括約筋
3 膀胱括約筋
4 外肛門括約筋

解答 4

排尿調節の筋 (p.93 膀胱)(生p.127 蓄尿と排尿)
  • 膀胱括約筋 (内尿道括約筋)・・・平滑筋
    下腹神経 (交感神経) で収縮。骨盤神経 (副交感神経) で弛緩。
  • 尿道括約筋 (外尿道括約筋)・・・横紋筋
    陰部神経 (体性運動神経) で収縮。
     
     
排便調節の筋 (p.84大腸の組織構造と機能)(生p.75 排便)
  • 内肛門括約筋・・・平滑筋
    下腹神経 (交感神経) で収縮。骨盤神経 (副交感神経) で弛緩。
  • 外肛門括約筋・・・横紋筋
    陰部神経 (体性運動神経) で収縮。

問25 消化管で弁があるのはどこか。

1 噴門
2 幽門
3 十二指腸空腸曲
4 回盲口

解答 4

1 噴門
噴門には括約筋や弁は特にみられない。胃から食道への逆流防止の仕組みとしては、
・食道下部の筋層が常に緊張している
・噴門では胃底との間に噴門切痕があり、胃が充満すると胃底側から噴門が押される
・胃の筋層の斜線維が噴門口を左側からU状に取り囲む
・腹腔は胸腔に比べて内圧が高く、食道下部は圧されて閉ざされている。
などの理由による。(解剖学講義 p.340 胃から食道への逆流防止装置)

2 幽門
幽門括約筋はあるが、弁ではない。と考える。
※ 第4回 あマ指国家試験 問題23 で、「胃の出口には幽門弁がある・・・○」という問題がでたことがある。この問題は他の選択肢があきらかに間違っているので、幽門括約筋が弁として働いていると考える。

3 十二指腸空腸曲
十二指腸は第2腰椎の左側で空腸に移行する。この移行部を十二指腸空腸曲という。(p.79 空腸と回腸)
十二指腸空腸曲から上方に向かって、平滑筋を含む結合組織線維束が出て、横隔膜の右脚に付く。この平滑筋束は十二指腸提筋 (トライツ靱帯) といわれ、十二指腸空腸曲を固定・支持する。トライツ靱帯は十二指腸と空腸の境として、外科手術に際して重要な目印となる。(解剖学講義 p.346 十二指腸上行部)

4 回盲口
回腸の末端は大腸の側壁に首を突っ込むように終わり、ここを回盲口という。回盲口では回腸の末端がヒダ状に大腸内腔に突出して回盲弁 (バウヒン弁) をつくり、大腸の内容が小腸へ逆流するのを防いでいる。 回盲口より下方を盲腸という。(p.82 盲腸)


問26 動脈で小坐骨孔を通るのはどれか。

1 上殿動脈
2 下殿動脈
3 内陰部動脈
4 閉鎖動脈

解答 3

大坐骨孔

 大坐骨切痕と仙結節靭帯・仙棘靭帯によって縁取られた大坐骨孔は、貫通する梨状筋によってほとんどふさがれてしまう。ただし、梨状筋の上縁と下縁ではわずかに隙間があり、それぞれ梨状筋上孔と梨状筋下孔という。仙骨神経叢から起こる神経や内腸骨動静脈の枝が寛骨後面・大腿後面・骨盤底に向かう際の通路となる。
 梨状筋上孔を通るのは上殿神経および上殿動静脈である。梨状筋下孔を通るのは下殿神経・坐骨神経・後大腿皮神経・陰部神経および下殿動静脈・内陰部動静脈である。(p.285 大坐骨孔)

小坐骨孔

 小坐骨切痕と仙結節靭帯・仙棘靭帯によって囲まれた狭い隙間を小坐骨孔という。小坐骨孔は骨盤後面から骨盤底への連絡通路で、坐骨結節の内側面にある陰部神経管に続く。梨状筋下孔を出た陰部神経と内陰部動静脈は骨盤底に向かう際に小坐骨孔を通る。このほか内閉鎖筋の停止腱もこの孔を通って大転子に向かう。(p.286 小坐骨孔)

  • 大坐骨孔
    • 梨状筋上孔
      上殿神経、上殿動脈・静脈
    • 梨状筋下孔
      下殿神経、坐骨神経、後大腿皮神経、陰部神経、下殿動脈・静脈、内陰部動脈・静脈
  • 小坐骨孔
    大坐骨孔より出た 陰部神経、内陰部動脈・静脈 が再び小坐骨孔より入り骨盤底へと向かう。

問27 心臓の血管系について正しい記述はどれか。

1 冠状動脈は上行大動脈から分枝する。
2 左冠状動脈は後室間枝を分枝する。
3 右冠状動脈は回旋枝を分枝する。
4 冠状静脈洞は上大静脈に注ぐ。

解答 1

 心臓は、自身の内腔に満ちた血液で養われているのではなく、主に大動脈の基部から出る左右の冠状動脈により栄養されている。
 右冠状動脈は大動脈基部の前面から出て、右心耳と右心室の間を通って冠状溝を右に回って心臓の後面に達する。ここで後室間枝となって後室間溝を心尖に向かって下行する。
 左冠状動脈は大動脈基部の左側から出て、肺動脈と左心耳の間を通って冠状溝に達する。ここで前室間枝となって心臓の前面 (前室間溝) を下行し心尖に向かう。その他にも、冠状溝を左後方に向かう回旋枝を出して左心室の後方部を栄養しながら心臓後面に達する。
 心臓の静脈には、前室間溝から冠状溝を走る大心臓静脈や、後室間溝を走る中心臓静脈などがある。その大半は心臓後面の冠状溝を走る冠状静脈洞に集まり右心房の後面に注ぐ。(p.43 心臓の血管)

1 ○ 冠状動脈は上行大動脈から分枝する。
2 左冠状動脈は前室間枝枝を分枝する。
3 左冠状動脈は回旋枝を分枝する。
4 冠状静脈洞は右心房に注ぐ。


問28 皮静脈の走行について正しい記述はどれか。

1 橈側皮静脈は上腕二頭筋の内側を通る。
2 尺側皮静脈は鎖骨胸筋三角を通る。
3 大伏在静脈は内果の前方を通る。
4 小伏在静脈は外果の前方を通る。

解答 3

1 尺側皮静脈は上腕二頭筋の内側を通る。
尺側皮静脈は、上腕二頭筋内側縁を上行し、腋窩の下縁付近から深部の静脈 (上腕静脈あるいは腋窩静脈) に注ぐ(p.258 上肢の静脈)

2 橈側皮静脈は鎖骨胸筋三角を通る。
橈側皮静脈は、上腕二頭筋外側縁の上方から三角筋の前縁に沿って上行し、三角筋前縁と大胸筋外側縁と鎖骨の下縁とで囲まれたくぼみ (鎖骨胸筋三角、三角筋胸筋溝、別名、鎖骨下窩) から腋窩内に入って腋窩静脈に注ぐ。(p.258 上肢の静脈)

3 大伏在静脈は内果の前方を通る。
足の静脈網の内側縁から起始し、内果の前を通って下腿内側を上行する。さらに膝蓋骨の内側縁より約4横指後方を縦走して大腿内側部に達し、そのまま大腿三角まで上行する。大腿三角の内側部では大腿筋膜にできた伏在裂孔を貫通して大腿静脈に合流する。(p.288 大伏在静脈)

4 小伏在静脈は外果の前方を通る。
足の静脈網の外側縁から起始し、外果の後方を通って下腿後面の皮下を上行する。膝窩で下腿の筋膜を貫通して、深層に走る膝窩静脈に注ぐ。(p.289 小伏在静脈)


問29 脊髄について正しい記述はどれか。

1 灰白質には神経線維束が多い。
2 後角には運動神経細胞が集まっている。
3 脊髄円錐は仙骨の高さにある。
4 自律神経線維は前根を通る。

解答 4

1 灰白質には神経細胞体が多い。
中枢神経で神経細胞の細胞体の多い場所は灰色がかって見えるので灰白質、神経線維の集まっている場所は白く見えるので白質と呼ばれる。また広い白質の中に神経細胞がかたまりをなして集まっている場所は神経核 (または単に 核) と呼ばれる。(p.116 灰白質と白質)

2 後角には感覚神経細胞が集まっている。
脊髄の横断面で、H字形をした灰白質の前方への突出部は前角、後方への突出は後角、胸髄では両者の中間で側方へ小さな側核が突出する。前角には骨格筋を支配する大型の運動神経細胞が集まり、その軸索は束となって前根を通り脊髄神経に加わる。後角には、後根として脊髄に入ってくる感覚性の神経線維を受ける感覚神経細胞が集まる。(p.120 脊髄の内部構造)

3 脊髄円錐は第1〜2腰椎の高さにある。
脊髄は長さが約40cm、太さが約1cmの円柱形の器官で、椎骨が積み重なってできた脊柱管の中におさまる。下端は円錐状に細くなり (脊髄円錐) 、第1〜2腰椎の高さに終わる。脊髄の長さが脊柱管に比べて短いのは、脊髄の成長が脊柱の成長よりも早く終わってしまうからである。
脊髄円錐より下部は脊髄神経の根糸が束になって下方に走り、馬尾と呼ばれる末梢神経である。(p.118 脊髄, 注)馬尾)

4 ◯自律神経線維は前根を通る。
側角は内臓運動や腺の分泌を調節する自律神経細胞 (胸髄は交感神経性、仙髄は副交感神経性) の集まりからなり、軸索は前根を通り脊髄神経に加わる。(p.120 脊髄の内部構造)

※ 解剖学で自律神経といった場合は、一般臓性遠心性 (GVE)に属する交感神経と副交感神経のみを指す。(よって、解剖学の教科書には内臓求心性神経の記述はない)
一方、生理学は働きで考えるので、自律神経も求心性と遠心性に区別して考える。一般臓性求心性 (GVA) は内臓求心性神経といい、後根から脊髄に入力する。(生p.203 内臓求心性神経)


問30 脳神経について正しい記述はどれか。

1 動眼神経は上眼窩裂を通る。
2 顔面神経は舌下腺を貫く。
3 迷走神経は後頸三角を通る。
4 副神経は顎下三角を通る。

解答 1

1 ◯ 動眼神経は上眼窩裂を通る。
脳神経が内頭蓋底を通過するアナは番号で覚えると良い。

篩骨篩板・・・I
視神経管・・・II (当たり前)
上眼窩裂・・・ III, IV, V1, VI
正円孔・・・V2
卵円孔・・・V3
内耳孔・・・VII, VIII
頸静脈孔・・・IX, X, XI
舌下神経管・・・XII (当たり前)

2 顔面神経は耳下腺を貫く。
橋の下面から出て内耳神経とともに内耳孔に入り、顔面神経管を通って乳様突起のすぐ前 (茎乳突孔) から頭蓋の外に出る。耳下腺を貫きながら分岐し、顔面の表情筋群に分布する。(p138 表8-1 脳神経)
顔面神経は確かに耳下腺を貫くが、貫いているだけで耳下腺の分泌には何ら作用を及ぼさない。顔面神経が支配する唾液腺は顎下腺・舌下腺である。混同しないように。

3 迷走神経は前頸三角 (頸動脈三角) を通る。
4 副神経は顎下三角を通る。

頚部の三角 (p.303-304 前頚三角, 後頚三角)(解剖学講義 p.513 頚部における三角)
  • 前頸三角:正中線・下顎骨 下縁・胸鎖乳突筋 前縁
    • 顎下三角:下顎骨 下縁・顎二腹筋 前腹・顎二腹筋 後腹
      顎下腺・顎下リンパ節があり、顔面動静脈、舌下神経、舌神経が走る。
    • 頸動脈三角:顎二腹筋 後腹・肩甲舌骨筋 上腹・胸鎖乳突筋 前縁
      ここに総頸動脈・内頸静脈・迷走神経が走る。
    • 筋三角:肩甲舌骨筋 上腹・胸鎖乳突筋 前縁・正中線
      前頸静脈がほぼ垂直に下走する他、舌骨下筋、浅頸リンパ節、甲状腺がある。
  • 後頸三角:胸鎖乳突筋 後縁・僧帽筋 外側縁・鎖骨
    副神経, 胸管, 頸リンパ節, 頚横動脈, 外頚静脈, 頚神経叢, 腕神経叢がある。

問31 左右の大脳半球を結ぶ線維群はどれか。

1 大脳脚
2 内包
3 脳弓
4 脳梁

解答 4

大脳の白質を構成する3種類の神経線維 (p. 127〜128 大脳の白質)

  • 投射線維
    大脳皮質と脳内の下位(大脳基底核・脳幹・小脳)や脊髄を連絡する線維。内包と「放線」と名前がつくもの。

    • 内包 :レンズ核と尾状核・視床の間を通過する線維束。大脳に出入りする神経線維の大部分が内包を通る。
    • 放線冠 :内包を中心として大脳皮質の方向に扇のように線維が広がっている場所。
    • 視放線 :外側膝状体から1次視覚野に向かう視覚路の神経線維束。
    • 聴放線 :内側膝状体から1次聴覚野に向かう聴覚路の神経線維束。
  • 交連線維
    左右の大脳半球を連絡する。脳梁が重要。※ 梁(はり)とは建物の水平短径方向に架けられ、床や屋根などの荷重を柱に伝える材のこと。解剖用語は漢字で分解し、漢字一文字のもつ意味をイメージすると覚えやすくなる。

    • 脳梁 (corpus callosum):大脳縦裂の底部で、左右の大脳半球を結ぶ横走線維束。
    • 前交連 (anterior commissure):第三脳室の前壁をつくる終板の後ろにある横走線維束。
    • 後交連 (posterior commissure):第三脳室後方の中脳水道に連なる部位のすぐ上方にある横走線維束。
  • 連合線維
    連合線維は同側の大脳半球の皮質各部を連絡する。

    • 弓状線維:連合線維の中でも短く、同じ回または隣の回を結ぶ線維束。
    • 上縦束:前頭葉の前部と後頭葉・側頭葉を結ぶ。
    • 下縦束:後頭葉と側頭葉を結ぶ。
    • 後頭前頭束:前頭葉と後頭葉を結ぶ。
    • 鉤状束:前頭葉の下部と側頭葉の前部を結ぶ。
    • 帯状束:帯状回を構成する線維束。

問32 胸郭について正しい記述はどれか。

1 鎖骨は胸郭の構成に関与する。
2 胸骨の頸切痕は対をなす。
3 胸骨角には第4肋骨が連結する。
4 胸郭下口は横隔膜の起始部となっている。

解答 4

1 鎖骨は胸郭の構成に関与しない。

 胸郭は肺と心臓を収める鳥カゴのような骨格で、胸椎 (12個), 肋骨 (12対), 胸骨 (1個) の合計37個の骨から構成される。(p.177 胸郭)

2 胸骨の頸切痕は対をなさない。(鎖骨切痕は対をなす)
3 胸骨角には第2肋骨が連結する。

 胸郭前部の正中にあるネクタイ型の扁平な骨で、上方から、胸骨柄・胸骨体・剣状突起の3部からなり、それぞれ軟骨性に連結する (胸骨柄結合および胸骨剣結合)。これらの軟骨結合は加齢とともに骨化する傾向にあるが、特に胸骨柄結合は成人になっても残ることが多い。
 胸骨柄は胸骨上部に位置する。上縁正中部の切れ込みを頚切痕といい、体表から左右の鎖骨の間でくぼみ (頚窩) をなす。頚切痕の両側には、鎖骨との関節面である1対の鎖骨切痕がある。
 胸骨体は胸骨の主体をなす部分である。胸骨柄から胸骨体の両縁には、肋骨との関節部位である肋骨切痕が7対ある。胸骨柄と胸骨体の結合縁はわずかに角度をなして前に突出し、胸骨角といい、第2肋骨の肋軟骨が付着する。(p.177 胸骨)

4 胸郭下口は横隔膜の起始部となっている。

 横隔膜は、胸腔と腹腔を隔てる横紋筋でできた膜状の隔壁である。胸郭下口の周囲から起こった筋がドーム状に集まり、第4〜5肋骨の高さの頂上部に停止腱がクローバー形の腱中心をつくる。(p.214 横隔膜)


問33 眼球の構造について正しい記述はどれか。

1 虹彩は水晶体の前面にある。
2 毛様体は硝子体の厚みを調節している。
3 眼球壁の外層は脈絡膜からなる。
4 視神経乳頭は光に最も敏感な部分である。

解答 1

眼球壁の構造 (p.148 眼球)
  • 眼球壁の外層 (線維膜)
    • 強膜
      眼球の後ろ5/6を包む。滑らかで強靭な線維性の結合組織でできている (密性結合組織) 。血管がないため白色で、その後部は視神経を包む膜に移行する。
    • 角膜
      強膜から続く線維性の無色透明や約1mmの厚さの膜で、眼球の前1/6を包む。その表層は結膜から続く重層扁平上皮の角膜上皮でおおわれている。血管がないため栄養は主として眼房水から供給される。三叉神経の枝 (眼神経) が分布して、異物が入ると強い痛みを訴える。
  • 眼球壁の中層 (血管膜)
    • 脈絡膜
      強膜の内面にある暗褐色の薄膜で、メラニン色素細胞と血管に富む柔軟な結合組織層である。これは眼球内部を暗室とし、光の乱反射を防ぐのに役立っている。
    • 毛様体
      脈絡膜の前方に続く海綿様に肥厚した部分で、これから内包に伸びる毛様体小帯 (チン小帯) という細い線維は水晶体を支える。また毛様体内面の上皮細胞からは眼房水が産生される。
    • 虹彩
      毛様体から起こり、水晶体の前方でこれを周囲から縁取るように存在する。カメラの絞りにあたるもので、中心の小孔は瞳孔 (直径3〜6mm) と呼ばれる。虹彩は血管、神経、色素細胞に富み、その内部は輪層する瞳孔括約筋と放射状に走る瞳孔散大筋の2種類の平滑筋があり、眼球に入る光量の調節を行っている。
  • 眼球壁の内層(網膜)
     網膜と呼ばれる部分で、光の刺激を神経の興奮に変えて視神経に伝える。網膜は3層の神経組織からなる神経層 (視細胞層、双極細胞層、神経節細胞層) とその外層の色素上皮層からなる。網膜は光を感じる後半部の網膜視部と、毛様体・虹彩の内面をおおうが光を感じない網膜網部とに分けられ、その境界は鋸状縁といわれる。視神経がでていく部位はややくぼんでおり、ここを視神経円板または視神経乳頭といい、視細胞が存在しないため光を感じない。視神経円板の約4mm外側には黄色の丸い部 (直径約2mm) すなわり黄斑がある。黄斑の中央部はくぼんで中心窩といわれ、物を注視するときに焦点の合う場所で、視力の最も良いところである。
     光を感じる視細胞はいちばん深層、すなわち脈絡膜側にある。その突起の形から錐体と杆体の2種類に区別され、光を感覚するのは突起の先端の外節と呼ばれる場所である。錐体は中心窩の付近に存在し、約650万個の細胞からなり、明暗の識別に関係している。網膜の最外層には単層立方上皮よりなる色素上皮層があり、細胞は暗褐色の色素顆粒を含み、光の乱反射を防ぐとともに視細胞の機能維持に役立っている。

1 ○ 虹彩は水晶体の前面にある。
眼房についてもチェックしておこう。角膜と虹彩の間の空間を前眼房、また虹彩と水晶体の間の空間を後眼房といい、眼房水で満たされている。(p.151 眼房と眼房水)

2 毛様体は硝子体の厚みを調節している。
毛様体は脈絡膜の前方に続く海綿様に肥厚した部分で、これから内方に伸びる毛様体小帯 (チン小帯) という細い線維は水晶体を支える。毛様体の中には平滑筋性の毛様体筋があり、水晶体のふくらみを調節し、焦点の位置を変える。(p.149 毛様体)
毛様体筋は動眼神経の副交感線維に支配され、毛様体筋が収縮すると毛様体小帯が緩んでそれにつながる水晶体の厚みが増して屈折力が増す。毛様体筋が弛緩すると、逆の過程で水晶体は薄くなり、屈折力は経る。(生p.271 遠近の調節)

3 眼球壁の外層は脈絡膜からなる。
眼球壁の外層は眼球線維膜の部位で、前1/6が角膜、後5/6が強膜である。

4 視神経乳頭は光に最も敏感な部分である。
中心窩ならびにその周囲の黄斑が最も視力の良い部位で、視神経乳頭は神経節細胞層の軸索があつまり視神経として眼球をでていく部位なので、その部位には視細胞が存在しないため光を感じない (盲点)。


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