2011年 第19回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15〜30 解答

国家試験問題

2011年 第19回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15〜30 解答

問15 体表構造について中胚葉に由来するのはどれか。

1 表皮
2 真皮
3 毛
4 爪

解答 2

各胚葉から分化する主要な組織と器官(p.106)
  • 外胚葉
    • 皮膚 (表皮・毛・爪・皮膚腺)
    • 神経系 (脳・脊髄・末梢神経)
    • 感覚器 (視・聴・平衡・味・嗅覚器)
  • 内胚葉
    • 消化器 (胃・腸・肝臓・膵臓)
    • 呼吸器 (喉頭・気管・気管支・肺)
    • 尿路 (膀胱・尿道)
  • 中胚葉
    • 骨格系 (骨・軟骨・結合組織)
    • 筋系 (横紋筋・平滑筋)
    • 循環器系 (心臓・血管・リンパ管・血液)
    • 泌尿生殖系 (腎臓・精巣・子宮・卵巣)

1 表皮:重層扁平上皮・・・外胚葉
2 真皮:密性結合組織・・・中胚葉
3 毛 :表皮の変形したもの・・・外胚葉
4 爪 :表皮の変形したもの・・・外胚葉


問16 下顎骨との間で顎関節を形成するのはどれか。

1 頬骨
2 上顎骨
3 蝶形骨
4 側頭骨

解答 4

顎関節は、 下顎骨の関節突起 先端の 下顎頭側頭骨の下顎窩 にはまって関節をなしたもので、左右1対ある。関節内には線維軟骨でできた関節円板があって、関節包に付着する。
(p.210 頭部の関節・顎関節)


問17 肩甲骨に関する記述で正しいのはどれか。

1 関節窩は上角にある。
2 肩甲切痕を腋窩神経が通る。
3 肩峰は体表から触れることができる。
4 烏口突起に大胸筋が停止する。

解答 3

 肩甲骨は逆三角形をした扁平な骨である。三角形の頂点部分は上角・下角・外側角であり、三角形の3辺は上縁・内側縁・外側縁に相当する。
 肩甲骨の 上角 には、肩甲骨を引き上げる 肩甲挙筋 がつく。肩甲骨の下角は、前鋸筋など肩甲骨を回旋させる筋の集中があって厚い。肩甲骨の外側角は特に肥厚し、先端は浅い丸皿のような関節窩として上腕骨と肩関節をなす。 関節窩の上端に関節上結節関節窩の下端には関節下結節 があり、それぞれ 上腕二頭筋上腕三頭筋 がつく。また、関節窩の上方からは、前方に曲がった烏口突起が出る。肩甲骨の上縁で、烏口突起の基部には、 肩甲切痕 があり、 肩甲上神経 を通す。
 肩甲骨の前面は浅くくぼんだ肩甲下窩で、肋骨に面する。肩甲骨の後面には、肩甲棘が斜め上方に向かって出る。肩甲棘の外側端は関節窩よりもさらに外側上方に出て、肩関節の頂上で肩峰となって 体表から明瞭に触れる 。肩甲棘によって肩甲骨の後面は棘上窩と棘下窩に区分される。結局、肩甲骨の前後面には、棘上窩・棘下窩・肩甲下窩という3つのくぼみができ、これらの3窩は肩甲骨を前後から挟んで上腕骨に向かう筋により埋められる。

肩甲骨
  • 肋骨面
    • 肩甲下窩:肩甲下筋が起こる
  • 背側面
    • 肩甲棘:肩甲骨の後面の上1/3を横に走る突隆
    • 肩峰:肩甲棘が外方に突出した部分。体表から明瞭に触れる。鎖骨に対する関節面がある (肩峰関節面)
    • 棘上窩:棘上筋が起こる
    • 棘下窩:棘下筋が起こる
  • 上角
  • 肩甲切痕:肩甲上神経・肩甲上動脈・静脈が通る
  • 外側角
    • 関節窩:外側角にある大きな関節面。
      • 関節上結節:上腕二頭筋の長頭が起こる
      • 関節下結節:上腕三頭筋の長頭が起こる
  • 烏口突起:烏口腕筋と上腕二頭筋短頭の起始。小胸筋の停止

1 関節窩は 外側角 にある。
2 肩甲切痕を 肩甲上神経 が通る。
3 ○ 肩峰は体表から触れることができる。
4 烏口突起に 小胸筋 が停止する。


問18 咀嚼筋で下顎骨を前方に移動させる働きがあるのはどれか。

1 外側翼突筋
2 内側翼突筋
3 咬筋
4 側頭筋

解答 1

咀嚼筋(p.298 咀嚼筋)
筋名 起始 停止 支配神経 作用
咬筋 頬骨弓 下顎枝の外面 下顎神経 下顎骨の挙上
側頭筋 側頭窩 筋突起 下顎神経 下顎骨の挙上, 後方移動
外側翼突筋 蝶形骨翼状突起 下顎頚, 関節円板 下顎神経 下顎骨の前方移動
内側翼突筋 翼突窩 下顎枝の内面 下顎神経 下顎骨の挙上, 左右移動
咀嚼運動(p.299 咀嚼運動)

① 下顎骨の挙上には、側頭筋・咬筋・内側翼突筋が働く。大きく開かれた口を閉じるときは、側頭筋の後部が下顎頭を後方に引くと同時に咬筋と内側翼突筋が下顎を挙上する。これで歯が噛み合わされるが、さらに側頭筋の垂直線維が加わり、大きな力を発揮する。
② 閉口筋が弛緩すれば重力により自然に開口するが、意図的に開口するときはまず外側翼突筋が下顎頭を前へ移動させてから舌骨上筋群が下方へ引き下げる。
③ 下顎の前方突出は、両側の外側翼突筋が同時に収縮したときに起きる。これを後方に戻すのは、両側の側頭筋後部の働きによる。
④ 下顎の左右運動では、右の外側翼突筋と左の側頭筋後部の働きにより、下顎の前部が左方に働く。右方への動きは左右逆の筋の組み合わせによる。


問19 脊柱起立筋に属するのはどれか。

1 頭長筋
2 腸肋筋
3 腸骨筋
4 大腰筋

解答 2

背筋は浅背筋と深背筋に分けられる。深背筋はさらに浅層の第1層と深層の第2層に区別される。(p.220 背筋)

  • 浅背筋
    • 僧帽筋
    • 広背筋
    • 肩甲挙筋
    • 小菱形筋
    • 大菱形筋
  • 深背筋 第1層 (棘肋筋)
    • 上後鋸筋
    • 下後鋸筋
  • 深背筋 第2層 (固有背筋)
    • 板状筋
    • 脊柱起立筋
      • 腸肋筋
      • 最長筋
      • 棘筋
    • 横突棘筋

 

深背筋 第2層 (固有背筋)(p.222)

 板状筋・脊柱起立筋・横突棘筋は本来の背筋であって、脊髄神経後枝に支配される。多数の筋からなり、しばしばまとめて固有背筋と総称される。脊柱の両側にあり、仙骨から後頭部まで縦走する筋群で、脊柱と頭を動かし、全体としては脊柱を直立させる。胸・腰部では厚い胸腰筋膜に包まれるので、浅背筋とは明らかに区別される。

板状筋 (p.222)
 頸部で僧帽筋の下層にあり、扁平で板状を呈する。頸部と頭部を後屈 (頸部の伸展) させ、一側のみが働くとそちらに側屈・回旋する。また、板状筋は他の背筋 (最長筋・頭半棘筋) と協力して、頭が重力で前方に傾かないよう保持し、前屈位から復するように働く。停止の違いから、頭板状筋と頚板状筋とが区別される。

脊柱起立筋(p.223)
 最大の背筋で、腸骨、仙骨の後面から上方は側頭骨の乳様突起まで達する。外側から腸肋筋・最長筋・棘筋が並び、3筋は協力して働き、脊柱を伸展して屈曲を防ぎ、脊柱を起立させる。一側のみが働くと、側屈、回旋する。特に斜走する筋群は腹壁の筋とともに働いて脊柱を回旋する。

横突棘筋(p.223)
 最深層にある背筋で、いずれも横突起から斜めに上行して上位の棘突起につく筋群 (半棘筋・多裂筋・回旋筋) の総称である。半棘筋は頭頸部で発達がよく、脊柱を直立させ、頭を保持するのに重要な筋である。居眠りの場合に頭が前方に落ちるのは、半棘筋が弛緩するためと考えられている。多裂筋、回旋筋と順次筋の長さが短くなり、前者は脊柱の伸展とわずかな回旋、後者は脊柱の回旋を行う。


問20 下肢の筋について正しい記述はどれか。

1 梨状筋の腱は小坐骨切痕を通る。
2 半腱様筋の腱は膝窩の内側を通る。
3 短腓骨筋の腱は内果の後ろを通る。
4 下腿三頭筋の腱は足根管を通る。

解答

1 梨状筋の腱は 大坐骨切痕 を通る。

大坐骨孔 (p.285)

大坐骨切痕と仙結節靭帯・仙棘靭帯によって縁取られた大坐骨孔は、貫通する梨状筋によってほとんどふさがれてしまう。ただし、梨状筋の上縁と下縁ではわずかに隙間があり、それぞれ梨状筋上孔と梨状筋下孔という。仙骨神経叢から起こる神経や内腸骨動静脈の枝が寛骨後面・大腿後面・骨盤底に向かう最の通路となる。
 梨状筋上孔を通るのは上殿神経および上殿動脈・静脈である。梨状筋下孔を通るのは下殿神経・坐骨神経・後大腿皮神経・陰部神経および下殿動静脈・内陰部動静脈である。

小坐骨孔 (p.286)

 小坐骨切痕と仙結節靭帯・仙棘靭帯によって囲まれた狭い隙間を小坐骨孔という。小坐骨孔は骨盤後面から骨盤底への連絡通路で、坐骨結節の内側面にある陰部神経管に続く。梨状筋下孔を出た陰部神経と内陰部動静脈は骨盤底に向かう最に小坐骨孔を通る。この他、内閉鎖筋の停止腱もこの孔を通って大転子に向かう。

2 ○ 半腱様筋の腱は膝窩の内側を通る。

膝窩 (p.286)

 膝部の後面にできた菱形のくぼみで、外側上縁は大腿二頭筋、内側上縁は半腱様筋・半膜様筋の隆起に、内・外側下縁は腓腹筋の内外側頭によって囲まれる。大腿二頭筋の停止腱をたどると膝窩の外側に腓骨頭が触れる。
 大腿後面を下行してきた坐骨神経は膝窩の上方で総腓骨神経と脛骨神経に二分する。脛骨神経は膝窩の中央をそのまま垂直に下行して腓腹筋の深層に入り込む。もう一方の総腓骨神経は膝窩外側縁の大腿二頭筋に沿って下行して、腓骨頭の下方で皮下浅くに出て長腓骨筋の起始部を貫いて下腿前面にいたる。また、膝窩中央の深部には膝窩動静脈が縦走する。

3 短腓骨筋の腱は 外果 の後ろを通る。
4 下腿三頭筋の腱は足根管を 通らない

  • 下腿前面の筋 (伸筋群)は、上伸筋支帯・下伸筋支帯の下を通過する。(p.276 図10-127 足の筋と支帯)
  • 下腿外側面の筋 (腓骨筋群)は、外果の後ろで上腓骨筋支帯と下腓骨筋支帯の下を通過する。(p.277 図10-128 下腿外側面の筋)
  • 下腿後面の筋のうち、下腿三頭筋はアキレス腱をつくり踵骨隆起に終わる。足底筋はアキレス腱に癒合する。膝窩筋は脛骨上部後面のヒラメ筋線に終わる。残りの後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋は内果と踵骨の間に張る屈筋支帯の下の足根管を通過する。(p.279 後脛骨筋・長指屈筋・長母指屈筋)

問21 気管について正しい記述はどれか。

1 輪状軟骨の下縁に始まる。
2 食道の後方にある。
3 第2胸椎の高さで左右の気管支に分岐する。
4 軟骨が全周を取り囲む。

解答 1

気管と気管支 (p.65)

気管は 第6頚椎 の高さで、喉頭の 輪状軟骨の下 から垂直に下降する長さ10〜13cm で直径が約2cmの管である。前頚部では体表から気管を触れることができる。気管の壁は約20個の 馬蹄形の気管軟骨 が積み重なってできている。軟骨を欠く後壁は 膜性壁 といい、平滑筋と粘膜だけになる。気管は胸腔に入ると心臓の上後方 ( 第5胸椎 の高さ) で 左右の気管支に分かれる右気管支は太くて短く、垂直に近く傾斜 する。 左気管支は細くて長く、水平に近い傾斜 を持つ。このように左右の気管支の太さ・長さ・走行に違いがあるので、誤って気管支に吸い込んだ異物は右気管支に、さらには右肺に入りやすい。気管支は肺に入ると分岐を (20〜30回) 繰り返し多数の枝に分かれ、気管支樹と呼ばれる。

1 ○ 輪状軟骨の下縁に始まる
2 食道の前方 にある。
3 第5胸椎 の高さで左右の気管支に分岐する。
4 軟骨が全周を取り囲まない。 気管軟骨は馬蹄形


問22 消化管で腹膜垂がみられるのはどれか。

1 十二指腸
2 回腸
3 横行結腸
4 直腸

解答 3

結腸の外形的特徴(p.82)

 結腸は数cmおきに腸にヒモを回してしめたようなくびれがあるところから、結腸の名がある。このくびれによりつくられた結腸壁のふくらみを結腸膨起と呼ぶ。このくびれの部分の内腔には半月ヒダができる。
 結腸の表面にはまた、縦に走る幅1cmほどの結腸ヒモというすじが3本、等間隔に並ぶのが見られる。この結腸ヒモには腹膜に包まれた小さな腹膜垂という脂肪の袋がぶら下がる。これらの3つの特徴は結腸を小腸から区別する目印となる。

結腸膨起・結腸ヒモ・腹膜垂・半月ヒダは結腸と盲腸にみられる特徴であり、直腸には見られない!


問23 心臓について正しい記述はどれか。

1 心尖は第2肋間の高さに位置する。
2 右房室弁は僧帽弁という。
3 心臓の静脈血は上大静脈に注ぐ。
4 洞房結節は上大静脈の開口部に位置する。

解答

1 心尖は第5肋間の高さに位置する。

心臓は円錐を逆さにしたような形で、上部は大血管が出入りする太い部分で心底といい、下部は細くとがった心尖である。心臓の軸は左斜めに傾くので、心尖部は左胸部に片寄り、体表から見ると 左の第5肋間で、鎖骨中線付近 に位置する。(p.40 心臓の位置)

2 左房室弁は僧帽弁という。

心臓の弁膜 (p.42)

心臓の内腔には心内膜がヒダ状に伸びだして、血液の逆流を防ぐ弁をつくる。心房と心室の間には房室弁が、心室と動脈の間には動脈弁がある。
 左の房室弁は2枚の弁尖からなるので二尖弁あるいは僧帽弁と呼ぶ。右の房室弁は3枚の弁尖からなるので三尖弁と呼ばれる。房室弁は心室に垂れ下がっており、弁尖の先端は腱索というヒモに移行する。弁尖は腱索を介して心室内腔に突き出た乳頭筋 (心室筋の一部) に固定される。心室の収縮の際には乳頭筋も収縮し、ヒラヒラした弁尖が心房方向に翻るのを防ぐ。
 動脈弁は半月系をしたポケットのような3枚の弁からなるので、半月弁とも呼ばれる。血液が逆流しようとするとポケットが膨らむように防止する。左前方にある肺動脈の基部には肺動脈弁、右後方にある大動脈の基部に大動脈弁がある。

3 心臓の静脈血は 冠状静脈洞 に注ぐ。

心臓の静脈には、前室間溝から冠状溝を走る大心臓静脈や、後室間溝を走る中心臓静脈などがある。その大半は心臓後面を走る冠状静脈洞に集まり、右心房の後面に注ぐ。(p.44 心臓の血管)

  • 冠状溝:心房と心室の間を取り囲む溝
    右冠状動脈、回旋枝(左冠状動脈の枝)、冠状静脈洞
  • 前室間溝:左右の心室間、前部の溝
    前室間枝(左冠状動脈の枝)、大心臓静脈
  • 後室間溝:左右の心室間、後部の溝
    後室間枝(右冠状動脈の枝)、中心臓静脈

4 ○ 洞房結節は上大静脈の開口部に位置する。

刺激伝導系(p.42)

洞房結節→房室結節→房室束(ヒス束)→左脚・右脚→プルキンエ線維

  • 洞房結節:心臓の拍動を決めるペースメーカーとして働く。右心房の上大静脈開口部付近に存在。
  • 房室結節:右心房の下壁に存在。
  • 房室束(ヒス束):線維三角を通過し、心房と心室の間の興奮伝導を司る。
  • 左脚・右脚:心室中隔を下行する。
  • プルキンエ線維:心室の心内膜下を細かく枝分かれしながら広がる。

問24 静脈とそれが直接注ぐ静脈との組合せで正しいのはどれか。

1 奇静脈    ― 腕頭静脈
2 精巣静脈   ― 内腸骨静脈
3 内頸静脈   ― 上大静脈
4 上腸間膜静脈 ― 門脈

解答

1 奇静脈    ― 上大静脈

奇静脈系は、後胸壁の静脈を集めて脊柱の両側を縦に走る奇静脈・半奇静脈・副半奇静脈の3本からなる。奇静脈は脊柱の右側を走り、右の肋間静脈を集めながら上行して、上大静脈の後面に注ぐ。左の肋間静脈は脊柱の左側を走る奇静脈に合流する。また、奇静脈系には食道静脈なども注ぎ、門脈系の側副循環路となっている。(p.49 上大静脈に注ぐ枝)

2 精巣静脈   ― 右は下大静脈、左は左腎静脈

下大静脈が正中線より右側を走行しているので
・左の腎静脈は長く、右の腎静脈は短い
・左の性腺静脈は左腎静脈に注ぎ、右の性腺静脈は下大静脈に注ぐ(性腺静脈=精巣静脈・卵巣静脈)(p.50 下大静脈に注ぐ枝)

3 内頸静脈   ― 腕頭静脈

左右の腕頭静脈は、それぞれY字型に内頚静脈と鎖骨下静脈が合流してできる。特に内頚静脈と鎖骨下静脈の合流部を静脈角と呼ぶ。右の静脈角には右上半身のリンパを集めた右リンパ本幹が、左の静脈角には左上半身と前科阪神をリンパを集めた胸管がそれぞれ注ぐ。腕頭動脈は右側にしかなかったが、腕頭静脈は左右にあることに注意する。
左右の腕頭静脈が合わさり上大静脈となる。(p.49 上大静脈に注ぐ枝)

4 ○ 上腸間膜静脈 ― 門脈

門脈系(p.50)

門脈は脾静脈・上腸間膜静脈・下腸間膜静脈が合してできた特別な静脈である。胃腸や膵臓、脾臓から集められた静脈は、門脈として肝臓の中に導かれて肝組織で毛細血管に流れた後、再び肝静脈を経て下大静脈に注ぐ。肝臓には門脈の他にも、総肝動脈から移行する固有肝動脈が注ぎ込む。固有肝動脈は肝組織を養う栄養血管であるが、門脈は肝機能 (栄養分の代謝調節・解毒・胆汁の生成など) に関わる機能血管である。したがって門脈の意義として、主に次の3つがあげられる。

  1. 胃腸から吸収された栄養分や薬物を肝臓に送りグリコーゲン代謝や解毒をする。
  2. 膵臓から分泌された血糖調節ホルモン (インスリンとグルカゴン) を肝臓に運んでグリコーゲン貯蔵量を調節する。
  3. 脾臓で古い赤血球が壊され、その処理によって生じたヘモグロビンの残骸を肝臓に運んで胆汁の材料にする。

問25 リンパ系について正しい記述はどれか。

1 舌扁桃はワルダイエルの咽頭輪を構成する。
2 胸腺はBリンパ球を産生する。
3 脾臓は腹膜後器官の1つである。
4 集合リンパ小節は空腸で発達する。

解答

1 舌扁桃はワルダイエルの咽頭輪を構成する。

咽頭扁桃・耳管扁桃・口蓋扁桃・舌扁桃の各扁桃は、咽頭内腔を取り囲むように輪状に配列して、口や鼻から進入しやすい細菌などに対応する。これらの一連の扁桃群をワルダイエルの咽頭輪と呼ぶ。(p.59 扁桃と集合リンパ小節)

2 胸腺はBリンパ球を産生する。

胸腺は全身のリンパ系組織に先がけて発生する第一次リンパ性器官である。骨髄など造血器官で生まれたTリンパ球前駆細胞が胸腺に進入し、ここで成熟してTリンパ球となり、血管系を介して各リンパ系器官に分配される。Tリンパ球のTは胸腺の学名 (Thymus) の T であり、胸腺由来のリンパ球であることを意味する。Tリンパ球は食作用による免疫作用 (細胞性免疫) のほか、異物 (抗原) の刺激に応答してBリンパ球の増生や抗体産生を促すなど、免疫系の司令官として機能する。(p.59 胸腺)

3 脾臓は腹膜後器官の1つである。

脾臓は左の側胸部、第10肋骨の深層に位置する。胸郭の下方であるが横隔膜の下なので「腹腔」である。脾臓は表面を腹膜に被われる腹膜内器官の一つである。腹膜内器官は一度にまとめて覚えてしまうほうが楽である。 (p.57 脾臓)
腹膜内器官:胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸・脾臓・卵巣・卵管

4 集合リンパ小節は空腸で発達する。

小腸の粘膜にはゴマ粒大のリンパ小節が多数見られ、とくに小腸後半の回腸ではリンパ小節が集合し、2〜4cmの楕円形の隆起をつくる。これを集合リンパ小節 (パイエル板) と呼ぶ。(p.59 扁桃と集合リンパ小節)
※ 孤立リンパ小節は小腸全域に見られるが、集合リンパ小節は回腸のみ


問26 中枢神経の部位と機能との組合せで正しいのはどれか。

1 視床 ― 内分泌機能の調節
2 中脳 ― 体温調節の中枢
3 小脳 ― 平衡機能の調節
4 延髄 ― 情動行動の中枢

解答 3

1 視床下部 ― 内分泌機能の調節
2 視床下部 ― 体温調節の中枢
3 ○ 小脳 ― 平衡機能の調節
4 視床下部 ― 情動行動の中枢

視床:様々な感覚の中継核
視床下部:自律神経と内分泌の最高中枢・情動行動の中枢
(心の部分で情動が起こるのが大脳辺縁系、情動による身体の反応を引き起こすのが視床下部)
小脳:運動・平衡機能の調節、熟練した運動の記憶
中脳:対光反射中枢、姿勢反射中枢
橋:排尿中枢
延髄:循環中枢、呼吸中枢、嘔吐中枢、嚥下中枢、唾液分泌中枢


問27 脊髄神経について正しい記述はどれか。

1 全部で25対ある。
2 脊髄神経節は前根に存在する。
3 第5頸神経は第4頸椎の下から出る。
4 腰神経には副交感神経線維が含まれる。

解答 3

1 全部で31対ある。

脊髄神経は脊髄に出入りする末梢神経で、脊柱の各椎間孔および前・後仙骨孔を通る31対の分節性のある神経である。神経が出入りする椎骨の高さによって、以下の5群に分けられる。

  • 頚神経 8対 (第1〜8頚神経、C1〜8と略す)
  • 胸神経 12対 (第1〜12胸神経、T1〜12と略す)
  • 腰神経 5対 (第1〜5腰神経、 L1〜5と略す)
  • 仙骨神経 5対 (第1〜5仙骨神経、S1〜5と略す)
  • 尾骨神経 1対 (第1尾骨神経、Coと略す)

脊髄神経は脊柱の椎間孔から脊柱管内の脊髄に連絡するので、その数は基本的に椎骨の数と一致する。ただし、7個の頚椎間から出る頚神経は8対ある。後頭骨と第1頚椎の間からでるものを第1頚神経として数え始めると、第7頚椎と第1胸椎の間から出るのが第8番目の頚神経となるので、頚椎の数 (7個) と、頚神経の数 (8対)の数が食い違う。 胸椎以下では、神経は同じ番号の脊椎の下から出るので、両者の数は一致する。 (p.139 脊髄神経の全体像)

2 脊髄神経節は後根に存在する。

脊髄神経の根元は脊髄に出入りする前根と後根であり、両根が脊柱管内で合することで脊髄神経が作られて椎間孔を出る。
前根には、骨格筋を支配する運動ニューロンの線維が通る。後根には、末梢の感覚を中枢に伝えてくる感覚ニューロンの線維が通る。自律神経の節前ニューロン線維も前根を通るので、前根は遠心性線維の根、後根は求心性線維の根である。両根の合流部よりも末梢の神経は、運動性と感覚性の線維が混在することによって構成される。運動ニューロンの細胞体は脊髄の前角にあるが、感覚ニューロンの細胞体は後根の途中にあり、この部分は後根がふくれて見えるので脊髄神経節と呼ばれる。(p.140 脊髄神経の根部)

3 第5頸神経は第4頸椎の下から出る。

頚神経は第1頚椎と後頭骨の間から第1頚神経がでて、以降、各椎骨の下から、各椎骨の番号+1 番目の頚神経が出る。(第4頚椎の下から第5頚神経)。
胸神経から下は、各椎骨の下から、同じ番号の神経がでる。(第4胸椎の下から第4胸神経)(p.139 脊髄神経の全体像)

4 腰神経には副交感神経線維が含まれない。

交感神経の節前ニューロンは胸髄・腰髄 (T1〜L2または3) から起始し、その線維は前根を経由して脊髄神経に合流する。(p.145 交感神経系 節前線維と節後線維)
副交感神経の節前ニューロンは脳神経III, VII, IX, X と 骨盤内臓神経 (S2〜S4)である。骨盤内臓神経は仙髄の側角から起始し、仙骨神経に混ざって前仙骨孔から出る。(p.146 副交感神経系 骨盤内臓神経)


問28 上肢の皮膚領域と分布する神経との組合せで正しいのはどれか。

1 上腕の後面  ― 橈骨神経
2 前腕の外側半 ― 尺骨神経
3 前腕の後面  ― 正中神経
4 小指球    ― 筋皮神経

解答 1


1 ○ 上腕の後面  ― 橈骨神経
2 前腕の外側半 ― 筋皮神経
3 前腕の後面  ― 橈骨神経
4 小指球    ― 尺骨神経

上肢の神経走行
筋皮神経 (p.261 上腕前面の神経走行 筋皮神経)

この神経は、上腕の屈筋を支配する筋枝と、前腕の外側部の皮膚に分布する皮枝とからなる。この神経は、腕神経叢のすぐ外側に位置する烏口腕筋の中央を貫いて、内側から上腕二頭筋と上腕筋の間に入り、両筋への筋枝を出す。筋枝を出し終えた後、上腕二頭筋の外側縁下方から皮枝が出て、前腕外側部の皮膚に分布する(外側前腕皮神経)。

正中神経(p.261 上腕前面の神経走行 正中神経)

この神経は、上腕部では枝を出さず、前腕屈筋群と母指球筋に筋枝を送るほか、手掌の橈側半分の皮脂に皮枝を分布する。
上腕部では、上腕二頭筋の内側縁(内側二頭筋溝)を縦走し、上腕動脈とともに上腕二頭筋の停止腱膜の下をくぐって肘窩に至る。
肘窩では、円回内筋の上腕頭と尺骨頭の間を通って深部に入り、尺側手根屈筋以外の前腕屈筋の浅層筋群に筋枝を出す。さらに正中神経の本幹は、浅指屈筋の起始部にある腱弓から深層に進入して、浅指屈筋と深指屈筋の間を走る。ここで、前腕屈筋の深層筋群に至る筋枝と手掌の橈側半への皮枝(手掌枝)を出しつつ手根部に達し、浅・深指屈筋の腱とともに手根管を通って手内に入る。手内では母指球筋に分枝するほか、母指から薬指への皮枝を出す。

尺骨神経(p.262 上腕前面の神経走行 尺骨神経)

この神経は、主に手の支配神経である。上腕部では屈筋と伸筋の間にある内側上腕筋問中隔の後方を走り、そのまま上腕骨の内側上顆の後方を通る。内側上顆の後面には、尺骨神経が骨に接する部分に尺骨神経溝が生じる。体表から肘頭と内側上顆の間のくぼみを探ると、触れたときに不快感を覚えるコリッとした尺骨神経がわかる。
尺骨神経溝を通って前腕に入った尺骨神経は、内側上顆から起こる尺側手根屈筋の深部に入り込む。これ以降、尺骨神経は尺骨動脈とともに尺側手根屈筋と深指屈筋の間を走り、両筋に筋枝を出す。手根に近づくと、尺側手根屈筋が腱になって細くなるので、筋におおわれていた神経と動脈は腱の橈側に出てくる。ここで手掌と手背の尺側半の皮枝(手掌枝と手背枝)を出す。
手根部では、尺骨神経は動脈とともに結合組織に包まれて、屈筋支帯の浅層を豆状骨の橈側から手内に尺骨神経管(ギヨン管)を通って進入する。
手内では小指球筋のほか、中手筋、母指球筋の一部に至る筋枝(深枝)と薬指と小指への皮枝(浅枝)を出す。

橈骨神経(p.264 上腕後面の神経走行 橈骨神経)

橈骨神経は、腕神経叢の枝で最も太い神経である。外側腋窩隙の下方で大円筋と上腕三頭筋長頭と上腕骨に囲まれた三角形の間隙を通って、腋窩から上腕骨後面に回り込む。
上腕の後方に出た橈骨神経は、上腕三頭筋の外側頭と内側頭との間を分けるように外側下方に向かつて斜走する。上腕骨体の後面には橈骨神経が骨(橈骨神経溝)に直に接して走る。上腕の中央付近で上腕三頭筋の外側縁から出た橈骨神経は、外側上腕筋問中隔を後ろから前に貫通して下行し、外側上顆の前方に至る。
外側上顆の前方では、腕橈骨筋に枝を出して支配した後、この筋の深層で橈骨神経は大きく浅枝と深枝に2分岐する。橈骨神経の浅枝は手背の橈側に分布する皮神経である。腕橈骨筋下に隠れて前腕を下行し、前腕下方では腕橈骨筋が腱になって細くなると皮下浅くに出て、手背の皮下に進入する。
橈骨神経の深枝は、主に前腕伸筋群の支配神経である。長・短橈側手根伸筋の深層で回外筋の中央を貫通し、前腕の伸筋群を次々に支配する。

腕神経叢 (p.260 表10-23 腕神経叢 (C5〜T1))
  • 腕神経叢
    • 筋皮神経 (C5・6)
      • 皮枝:前腕の外側半
      • 筋枝:上腕二頭筋、烏口腕筋、上腕筋
    • 正中神経 (C5〜T1)
      • 皮枝:手掌で薬指を境とした橈側 (母指側)
      • 筋枝:円回内筋、橈側手根屈筋、長掌筋、浅指屈筋、深指屈筋橈側頭、長母指屈筋、方形回内筋、短母指外転筋、短母指屈筋、母指対立筋、第1・2虫様筋
    • 尺骨神経 (C8〜T1)
      • 皮枝:掌側では薬指を、手背側では中指を境とした尺側 (小指側)
      • 筋枝:尺側手根屈筋、深指屈筋尺側頭、短掌筋、小指外転筋、短小指屈筋、小指対立筋、骨間筋、第3・4虫様筋、母指内転筋、短母指屈筋 (深頭)
    • 腋窩神経 (C5・6)
      • 皮枝:上腕上部の外側
      • 筋枝:三角筋、小円筋
    • 橈骨神経 (C5〜T1)
      • 皮枝:上腕下部の外側および前腕の背側、手背の中指を境とした橈側 (母指側)
      • 筋枝:上腕と前腕のすべての伸筋 (上腕三頭筋、肘筋、腕橈骨筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋、回外筋、長母指外転筋、短母指伸筋、長母指伸筋、示指伸筋)

問29 平衡感覚器について正しい記述はどれか。

1 鼓膜の振動は最初にアブミ骨に伝わる。
2 卵形嚢は前庭にある。
3 蝸牛管内の振動は鼓室階から前庭階へと伝わる。
4 半規管は身体の傾きを感知する。

解答 2

1 鼓膜の振動は最初にツチ骨に伝わる。

鼓膜の振動はツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨と伝わり蝸牛の前庭窓に達する。(p.153 図9-5 耳 (平衡聴覚器))

2 ○ 卵形嚢は前庭にある。

内耳の中央の部分で、その側壁にある前庭窓によって鼓室に接し、前方に蝸牛、後方に半規管が位置する。前庭には膜迷路に属する球形嚢と卵形嚢という2つの袋があり、その内面には平衡斑と呼ばれる感覚装置がある。平衡斑には丈の高い有毛細胞があり、炭酸カルシウムの結晶である平衡砂をのせたゼリー状の平衡砂膜が表面をおおっている。身体の傾きおよび直進する方向とその加速度を感じる。(p.156 内耳 – (2)前庭)

3 蝸牛管内の振動は前庭階から鼓室階へと伝わる。

蝸牛は文字通りカタツムリの殻に似ていて、蝸牛軸をラセン管が2巻き半取り巻いている。ラセン管の横断面をみると、その内部は2階だてになっており、1階の鼓室階と2階の前庭階に分かれ、その聞に中2階として膜迷路に相当する蝸牛管が仕切られている。蝸牛管の床の基底板上にある上皮細胞は丈が高くなり、ラセン器(コルチ器)を形成し音を感受する。蝸牛神経は蝸牛軸内でラセン神経節をつくりラセン器に分布する。

鼓膜を震わせた音の振動は耳小骨を通じて前庭窓に達し、前庭階を満たす外リンパの液体の振動に変えられる。外リンパの振動は蝸牛の前庭階を昇りつめると鼓室階に移り、鼓室階を下る。すなわち、両階は蝸牛の頂部で連絡し外リンパで満たされ、蝸牛窓で消失する。この外リンパの振動は中2階をなす蝸牛管の内リンパに伝えられ、その振動はラセン器の有毛細胞を刺激して音を感受する。(p.154 内耳 – (1)蝸牛)

4 半規管は身体の傾きを感知する。

半規管は、互いに直交する面上に弧(ループ)を描く3本の半円周形の管からなり、それぞれその途中に膨大部というふくらみがある。膨大部の内面には膨大部稜という有毛感覚細胞の直線状の高まりがあり、身体の回転運動の方向と加速度を感じる。(p.156 内耳 – (3)半規管)


問30 感覚受容器と神経との組合せで正しいのはどれか。

1 平衡斑  ― 舌咽神経
2 味蕾   ― 舌下神経
3 網膜   ― 眼神経
4 コルチ器 ― 蝸牛神経

解答 4


1 平衡斑  ― 前庭神経
平衡聴覚器の前庭に存在する球形嚢・卵形嚢には平衡斑という感覚装置があり、身体の傾きおよび直進する方向とその加速度を感じる。(p.156 前庭)内耳の前庭と半規管からの平衡感覚は、前庭神経より脳幹の前庭神経核に入り、前庭神経核からの線維は大部分が小脳に入り、大脳皮質に向かう線維はごく少なく、平衡感覚はほとんど意識されることはない。(p.134 平衡覚伝導路)

2 味蕾   ― 舌前2/3 顔面神経 舌後1/3 舌咽神経
舌の味蕾で受容された味覚刺激は顔面神経・舌咽神経によって延髄の孤束核に伝えられ、視床をへて大脳皮質の味覚野に終わる。味覚野は中心後回の下部にあるといわれる。(p.134 味覚伝導路)

3 網膜   ― 視神経
網膜の光受容体である視細胞の興奮は、双極神経細胞(一次ニューロン)をへて、神経節細胞(二次ニューロン)に伝えられ、その軸索が集まって視神経となる。視神経は頭蓋内に入ると視神経交叉をつくる。視神経交文では網膜の鼻側半からきた線維だけが交文する。交叉線維と非交叉線維が集まって視索となり、外側膝状体に達する。ここから出た三次ニューロンは、内包の後部を通って視放線をつくり、後頭葉の視覚野に達する。視索の線維の一部は中脳の上丘に送られ、瞳孔反射に関係する。(p.134 視覚伝導路)

4 ○ コルチ器 ― 蝸牛神経
音刺激は内耳の蝸牛で受容される。蝸牛管のコルチ器 (ラセン器)で感受された聴覚情報は蝸牛神経により伝えられる。(p.156 内耳 – 蝸牛)
蝸牛神経は脳幹の蝸牛神経核に終わり二次ニューロンに交代し、交文して外側毛帯に入り中脳の下丘に終わる。三次ニューロンは下丘腕をつくって上行し、間脳の内側膝状体に達する。四次ニューロンは聴放線をつくって側頭葉の聴覚野に入る。(p.134 聴覚伝導路)

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