2008年 第16回 按摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題16~33 解答

国家試験問題

2008年 第16回 按摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題16~33 解答

問16 弾性軟骨はどれか。

1 肋軟骨
2 耳介軟骨
3 椎間円板
4 気管軟骨

解答 2

軟骨組織(p.15 軟骨組織)

軟骨組織は軟骨細胞軟骨基質からなるが、基本は線維性結合組織で、それの特殊化した形と考えられる。軟骨表面は密性結合組織の軟骨膜に包まれ、深部に行くに従い膠原線維の間隙を埋めるコンドロイチン硫酸の含有量が増え、軟骨特有の弾力性を生み出す。軟骨基質には血管は存在せず、軟骨膜表面の血管からの浸透により栄養される。軟骨基質に閉じこめられた後も軟骨細胞は分裂を続け、同じ軟骨小腔に2ないし4個の軟骨細胞が見られる。
軟骨は軟骨基質の性状により3種に分けられる。

① 硝子軟骨

軟骨基質は膠原線維の間に多量のコンドロイチン硫酸を含み、すりガラスのように半透明の乳白色を示す。最も普通に見られる軟骨で、関節軟骨・肋軟骨・気管軟骨がその例としてあげられる。

② 弾性軟骨

軟骨基質を構成する線維の約30%が弾性線維からなり、弾力性に富む。透明感のある淡い黄色を呈し、耳介軟骨や鼻軟骨の多くがそれにあたる。

③ 線維軟骨

大量の膠原線維が束をつくって走り、その間に軟骨細胞と少量の軟骨基質が存在する最も強靱な軟骨である。脊柱の椎間円板、骨盤の恥骨結合、膝関節の関節半月などに見られる。

軟骨の種類と場所

軟骨の種類存在する場所
硝子軟骨最も普通にみられる軟骨。
関節軟骨・肋軟骨・気管軟骨など
弾性軟骨弾性線維が豊富
耳介軟骨・喉頭蓋軟骨など
線維軟骨膠原線維が豊富で、圧迫に強い。
椎間円板・恥骨結合・関節円板・関節半月など

1 肋軟骨:硝子軟骨
肋軟骨は硝子軟骨。せっかくなので、国家試験対策として肋軟骨の関連知識も勉強しよう。胸骨角に付着するのは第2肋骨の肋軟骨が付着する。これは、よく国試にでてくるので、抑えておこう。(p.177 胸骨)
第1~7肋骨は、それぞれの肋軟骨を介して独立して胸骨につくので、真肋という。第8~12肋骨は各自の肋軟骨が胸骨に直接つかないので、仮肋という。第7~10肋軟骨は連結して肋骨弓をつくる。一方、第11・12肋骨は遊離して終わるので、浮遊肋という。(p.178 肋骨)

2 耳介軟骨:弾性軟骨
軟骨は、硝子軟骨が基本の軟骨で、多くの軟骨が硝子軟骨である。だから、特殊な軟骨の弾性軟骨と線維軟骨をしっかりと覚えて、それ以外は硝子軟骨だろうって考えて大丈夫。「弾性軟骨は耳介軟骨と喉頭蓋軟骨

耳介は本来、外界の音波に対する集音器の役割を果たしている。皮膚におおわれた耳介軟骨(弾性軟骨)を骨組みとし、耳介筋という小さな横紋筋が数個付いているが、ヒトでは退化して、耳介を自由に動かすことはできない。耳介の下端部には、柔らかい耳たぶ(耳垂)が下がる。(p.153 耳介)

3 椎間円板:線維軟骨
線維軟骨は椎間円板・恥骨結合・関節円板・関節半月

椎間円板は、椎体と椎体との間を軟骨性結合させる。脊柱の長さの約1/4は椎間円板である。椎間円板の内部では、線維軟骨が層板をなして重なった線維輪が、中心部にあるゼリー状の軟組織である髄核を包んでいる。髄核の約80%は水分でできており、流動性を持つ。脊柱にかかる荷重に対して流動性のある髄核が圧力の分配を行って、脊柱の屈伸やねじれを可能にする。これは、圧力をかけて押しつけてもつぶれずに、内部の水の流動によって弾力性とある程度の可動性を生み出す水枕と同じ原理である。

4 気管軟骨:硝子軟骨
気管軟骨は硝子軟骨であるが、追加して抑えておくべきは「気管軟骨は馬蹄形

気管の壁は約20個の馬蹄形の気管軟骨が積み重なってできている。軟骨を欠く後壁は膜性壁といい、平滑筋と粘膜だけになる。(p.65 気管と気管支)
気管分岐部は第5胸椎の高さも重要。

ひとつの問題で、その周りの知識を追加で覚えていくことが合格への近道。


問17 仙骨において、他の椎骨の棘突起に相当するのはどれか。

1 正中仙骨稜
2 岬角
3 仙骨裂孔
4 仙骨尖

解答 1

仙骨

仙骨は、骨盤部の脊柱である。思春期まで軟骨結合であった5個の仙椎は、成人になると外側に付属する肋骨片とともに癒合し、1個の仙骨となる。仙骨は上部が大きく、下方は急激に細くなり、逆三角形をしている。これは体幹の体重を一手に支えてきた脊柱が、仙骨下半部では荷重を骨盤の寛骨に受け渡して小さくなったためである。仙骨上面は、逆三角形の底辺に当たるので仙骨底といい、第1仙椎の椎体上面がその主要部をなし、前端を岬角という。仙骨の尖った下端は仙骨尖と呼ぶ。
仙椎の各椎体は癒合することで椎間円板を失い、その結合部は仙骨前面に4本の横線として残る。一方、癒合によって仙椎後面の棘突起や椎間関節はそれぞれ縦に連なって、棘突起は正中仙骨稜を、椎間関節は中間仙骨稜を形成する。椎孔も癒合しあって仙骨管をつくる。仙骨管は脊柱管の続きであり、仙骨の前面・後面にそれぞれ4対の前・後仙骨孔を通じて外に開き、仙骨管の下端は仙骨裂孔で終わる。仙骨裂孔の左右両側には仙骨角という盛り上がりができる。仙骨角は体表から殿裂の奥に触れる。
また仙椎の癒合によって脊髄神経(仙骨神経)が通る椎間孔も仙骨内に取り込まれ、仙椎間には、仙骨前面に前仙骨孔、仙骨後面に後仙骨孔が各4対できて、仙骨神経前枝と後枝がそれぞれ別々に通る。
仙骨の外側面は広く拡大して、寛骨の一部(腸骨)と関節する(仙腸関節)。関節面はL字型の耳状面であり、その後方には仙腸靱帯がつく仙骨粗面がある。仙腸関節は関節面に凹凸があって、さらにその周囲を厚く強固な仙腸靱帯につながれるので、運動性はほとんどない(半関節)。腸骨と関節する仙骨外側部は、本来、肋骨に相当する部分である。(p.175 仙骨)

○ 1 正中仙骨稜:仙椎の棘突起が癒合したもの
2 岬角:第1仙椎の椎体上面の前端
3 仙骨裂孔:仙骨管の下端
4 仙骨尖:仙骨の尖った下端


問18 上腕骨にみられないのはどれか。

1 関節窩
2 肘頭窩
3 結節間溝
4 外側上顆

解答 1

上腕骨

上肢の骨の中で最も長くて太い長管骨である。
上端には半球状の関節面を持つ上腕骨頭と、そのすぐ下に大結節、小結節を認める。上腕骨頭は内側に傾いて肩甲骨の関節窩と対面し、肩関節をつくる。大結節は上腕骨の外側面に大きく広がり肩甲骨の後面から起こる筋が付着する。小結節は上腕骨前面に強く隆起し、肩甲骨の前面から起こる肩甲下筋が付着する。両結節からは下方にそれぞれ大結節稜小結節稜が続く。大結節と小結節との間には結節間溝があり、そこに上腕二頭筋(長頭)の腱が走る。解剖学的には、骨頭の基部を骨頸部といい、上腕骨の場合は骨頭の基部と大・小結節との間に相当するので、ここを解剖頸と呼ぶ。一方で、骨頭に大・小結節までを含めた部分と上腕骨体との移行部は、外科的に骨折が好発する弱い部分なので外科頸と呼ばれる。
上腕骨体の上半分は、ほぼ円柱状である。上腕骨体上部の外側面には、V字形の粗面があり、三角筋粗面という。三角筋粗面のやや下方で、上腕骨体後面には斜めに走る浅い溝がある。これは橈骨神経が上腕骨体に接して通った橈骨神経溝である。
上腕骨体の下半分は、徐々に横に広がる。扁平になった両端は、上腕骨下端で、外側上顆内側上顆となって突出し、体表からも触れる。内側上顆の後面には尺骨神経溝がある。両上顆の間には、前腕の骨と肘関節を営む上腕骨顆が位置する。上腕骨顆は、橈骨と関節する半球状の上腕骨小頭と、尺骨と関節する糸巻き状の上腕骨滑車からなる。
上腕骨小頭の前上方には橈骨窩があり、上腕骨滑車の前上方と後上方にはそれぞれ鉤突窩と肘頭窩がある。肘関節の屈伸の際に、橈骨窩には橈骨頭、鉤突窩には鉤状突起、肘頭窩には肘頭があてはまる。(p.180 上腕骨)

1 関節窩
肩甲骨には関節窩があり、上腕骨頭と関節するが、上腕骨には関節窩はない。

2 肘頭窩
上腕骨には3つの「窩」がある。
– 橈骨窩 ⇔ 橈骨頭(橈骨)
– 鉤突窩 ⇔ 鉤状突起(尺骨)
– 肘頭窩 ⇔ 肘頭(尺骨)

3 結節間溝
大結節と小結節との間には結節間溝があり、そこに上腕二頭筋(長頭)の腱が走る。

4 外側上顆
上腕骨の外側上顆からは多くの前腕の伸筋群が起始する。

外側上顆に起始する筋
– 肘筋 (上腕の伸筋群)
– 長橈側手根伸筋 (前腕浅層の伸筋群)
– 短橈側手根伸筋 (前腕浅層の伸筋群)
– 総指伸筋 (前腕浅層の伸筋群)
– 小指伸筋 (前腕浅層の伸筋群)
– 尺側手根伸筋 (前腕浅層の伸筋群)
– 回外筋 (前腕深層の伸筋群)


問19 下肢の骨について誤っている記述はどれか。

1 大腿骨の後面に粗線がある。
2 大腿骨と腓骨は関節をつくる。
3 脛骨と腓骨は関節をつくる。
4 脛骨には腓骨切痕がある。

解答 2

大腿骨

大腿骨は人体で最も大きな長骨で、その長さは身長に比例する。上端には球状の大腿骨頭があり、寛骨臼にはまって股関節をなす。大腿骨頭からは外側下方に傾いた大腿骨頸が続く。さらに、大腿骨は大腿骨頸と大腿骨体の移行部で角度をなして曲がる。これを頸体角という。
大腿骨頸の基部の外側上方には大転子、内側下方には小転子という隆起がある。大転子の内側面は深くくぼみ、転子窩という。大転子には外寛骨筋が集中し、小転子には寛骨内面からの筋がつく。
大腿骨前面では、大転子と小転子の間に転子間線という粗な線が斜走する。これは股関節を補強する靱帯の付着痕である。一方、大腿骨後面で大転子と小転子の間に転子間稜がある。転子間稜の下方には、大殿筋がつく殿筋粗面がある。
骨幹は大腿骨体といわれ、円柱状で前方に軽く弯曲する。前面は平滑だが、後面には粗線という縦に走る線状の隆起がある。粗線をよく観察すると、上方と下方で互いに分離する2本の稜線から構成されることがわかる。これが粗線の内側唇外側唇である。粗線は直立二足歩行に必要な筋の付着によってできたもので、内側唇に大腿四頭筋の内側縁や内転筋群がつき、外側唇には大腿四頭筋の外側縁や大腿二頭筋の短頭が付着する。
大腿骨の下端は次第に横幅が広がり、2つ並んだ楕円形の隆起である内側顆外側顆になって脛骨の上面と関節する(膝関節)。内側顆と外側顆の後面では、両顆の間が大きくくぼんで顆間窩をつくる。内側顆と外側顆の前面には、膝蓋骨と関節する滑面がある(膝蓋面)。また、内側顆と外側顆の側方には、内側上顆外側上顆が出る。両上顆には、膝関節の側副靱帯のほか下腿の筋が付着する。(p.190 大腿骨)

1 大腿骨の後面に粗線がある。

粗線は直立二足歩行に必要な筋の付着によってできたもので、内側唇に大腿四頭筋の内側縁や内転筋群がつき、外側唇には大腿四頭筋の外側縁や大腿二頭筋の短頭が付着する。

2 大腿骨と脛骨は関節をつくる。

膝関節は、大腿骨の下端(内側顆・外側顆)と、脛骨上面(内側顆・外側顆)とが対面してできる。腓骨は膝関節に関与しない。機能的には蝶番関節、もしくは大腿骨下端の楕円形の内・外側顆が関節をつくるので顆状関節に属するといわれる。また、膝蓋骨の後面も関節面となって、大腿骨下端の前方にある膝蓋面と連結する。(p.194 膝関節)

3 脛骨と腓骨は関節をつくる。
4 脛骨には腓骨切痕がある。

下腿の連結(p.195 下腿の連結)

脛骨と腓骨は、① 上端では脛腓関節、② 骨幹部では下腿骨間膜による連結、③ 下端では脛腓靱帯結合によって連結する。

脛腓関節

脛骨外側顆の下端と腓骨頭との平面関節である。

② 下腿骨間膜

脛骨体と腓骨体にそれぞれ向かい合う骨間縁どうしを連結する、強靱な結合組織の膜である。

③ 脛腓靱帯結合

脛骨にある腓骨切痕に腓骨の下端がはまり込み、両者の間を骨間靱帯が強固に結合する。結合の前後にも前脛腓靱帯・後脛腓靱帯が張って、結合を補強する。


問20 筋とその付着部との組合せで誤っているのはどれか。

1 広背筋—上腕骨
2 前鋸筋—肋骨
3 梨状筋—仙骨
4 腓腹筋—脛骨

解答 4

1 広背筋—上腕骨
広背筋は背部の下部および胸部の外側部にある、わり合い薄いが大きい筋である。上部は僧帽筋におおわれる。起始は第6~第8胸椎以下の棘突起、胸腰筋膜、第9~第12肋骨、肩甲骨下角、腸骨稜から起こり、上部はほとんと、水平に、下部はしだいに斜め外上方へ向かい、肩甲骨下部をおおい上腕骨小結節に停止する。上腕を後方に引き肩関節を内転・内旋する。すなわち上肢を背部にまわすように働く。背中を手で、かいたり、水泳でクロールのストロークを行うなどの場合に、広背筋が働く。また、停止部を固定すると、体幹が挙上する。鉄棒にぶら下がった場合、上腕骨を下方に引いて上方に脱臼するのを防ぐとともに、大胸筋と一緒に体を引き上げるように働く。胸背神経をうける。

2 前鋸筋—肋骨
前鋸筋は胸郭の側面にある薄い筋で、腋窩の内側壁をつくる。起始が外腹斜筋の起始と組み合ってギザギザの輪郭をもち、鋸の歯を連想させるところからこの名がある。
胸郭の外側面、第1~第9肋骨から起こり、胸郭の外側面を走り、上後方に向かい、肩甲骨の下を通り、肩甲骨の上角、内側縁、下角につく。
全体として肩甲骨を前方に引くが、とくに下方の筋束は下角を前方に引いて肩甲骨を回し、肩関節の屈曲と外転を助ける。長胸神経の支配による。

3 梨状筋—仙骨
梨状筋は仙骨前面から出て外下方に走り、大坐骨孔を通り前方に向かい、大転子につく。大腿を外方にまわす。また外転する。仙骨神経叢の枝をうける。
梨状筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋は、骨盤の内面から起こって股関節の後側を回り大腿骨の上端につく筋群で、股関節の外旋作用を持つが、その役割以上に股関節前面にある腸骨大腿靱帯とともに、大腿骨頭を寛骨臼に密着させ保持し、股関節を安定化させるのに重要だと考えられている。

4 腓腹筋—脛骨
下腿三頭筋は浅在の2頭をもつ腓腹筋と深在のヒラメ筋よりなる。腓腹筋内側頭は大腿骨内側上顆より、外側頭は外側上顆より起こり、ヒラメ筋は腓骨頭、腓骨、脛骨の上部後面より起こり3頭合して踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起につく。足の底屈を行う。脛骨神経の枝をうける。
腓腹筋は、膝関節と足関節に作用する2関節筋であるが、膝関節の屈曲と足関節の底屈とを同時に十分行うことはできないので、膝を屈曲しているとき腓腹筋は十分働かない。


問21 上腕二頭筋について正しい記述はどれか。

1 長頭は肩甲骨の関節下結節に起こる。
2 短頭は肩甲骨の肩峰に起こる。
3 橈骨粗面に停止する。
4 尺骨神経に支配される。

解答 3

上腕二頭筋 は“力こぶ”の筋として有名で、肘関節の屈曲と前腕の回外をさせる。
起始は長頭と短頭の2頭からなる。長頭は、肩関節腔内にある肩甲骨の関節上結節から起こり、滑膜におおわれて上腕骨頭の上を横断する。その後、上腕骨小結節の外側縁を滑車のように利用して下方に向きを変え、結節間溝を下行する。短頭は烏口突起から起こり、その起始腱は烏口腕筋の表面に走る。
筋を収縮させると上腕部に筋腹が隆起して、肘窩の中央には停止腱がより明瞭になる。停止腱は肘関節をまたいで橈骨粗面につくほか、一部は腱膜として前腕内側の皮下にある前腕筋膜に癒合する。この腱膜は前腕を回外する際に、二頭筋の収縮力を前腕筋膜に伝える作用があるといわれる。上腕二頭筋に力を入れながらわずかに肘を曲げると、この腱膜が肘窩の内側の皮下に明確に触れ、その深層には肘窩に向かう上腕動脈や正中神経が通る。筋皮神経が支配する。(p.239 上腕の屈筋群)

1 長頭は肩甲骨の関節上結節に起こる。

2 短頭は肩甲骨の烏口突起に起こる。

◯ 3 橈骨粗面に停止する。

  • 橈骨粗面に停止:上腕二頭筋
  • 尺骨粗面に停止:上腕筋

4 筋皮神経に支配される。

上腕の屈筋群はすべて筋皮神経支配。
筋皮神経は、上腕の屈筋を支配する筋枝と、前腕の外側部の皮膚に分布する皮枝とからなる。この神経は、腕神経叢のすぐ外側に位置する烏口腕筋の中央を貫いて、内側から上腕二頭筋と上腕筋の間に入り、両筋への筋枝を出す。筋枝を出し終えた後、上腕二頭筋の外側縁下方から皮枝が出て、前腕外側部の皮膚に分布する(外側前腕皮神経)。(p.261 上肢前面の神経定行(筋皮神経・正中神経・尺骨神経))


問22 足を外反させる筋はどれか。

1 前脛骨筋
2 長腓骨筋
3 長指屈筋
4 長母指伸筋

解答 2

筋を機能的なグループ(筋群)として捉えると、大まかな働きや支配神経などわかりやすくなる。

下腿の筋は下腿の前面にある伸筋群、外側にある腓骨筋群、後面にある屈筋群に分けられる。後面の屈筋群は浅層の筋群と深層の筋群に分けられる。下腿の筋は、大腿骨または下腿骨から起こって足に至る(膝窩筋だけは脛骨に終わる)。伸筋群は主に足関節の背屈と足指の伸展を、屈筋群は主に足関節の底屈と足指の屈曲を、腓骨筋群は足関節の底屈と外反を行う。内反は足の内側に停止する伸筋と屈筋が行う。腓骨筋群は浅腓骨神経、伸筋群は深腓骨神経、屈筋群は脛骨神経に支配される。(p.274 下腿の筋)

1 前脛骨筋

前脛骨筋は脛骨外側面、下腿骨間膜より下方に向いた腱となり、上下の伸筋支帯の下を通り、足背に出て内側楔状骨と第1中足骨の下面につく。足の背屈かつ内反をする。深腓骨神経の枝をうける。
歩行時には背屈筋として重要で、足を前に出すときには足関節を背屈し、足先が地面をすらないようにする。(p.275 下腿前面の筋(伸筋群))

(注) 前脛骨筋麻痺では、足の下垂(下垂足)が起こる。歩行時には足先が地面をすらないように、膝を高くあげて歩くようになる。

2 長腓骨筋

長腓骨筋は腓骨頭、腓骨体上部外側面、下腿筋膜、前下腿筋間中隔から起こり、その腱は外果の後を通り、前方に向かい足底に出てそこを斜めに横切り、第1・第2中足骨底、内側楔状骨につく。足の底屈、外反を行う。浅腓骨神経の枝をうける。

長腓骨筋は底屈と外反、前脛骨筋は背屈と内反という互いに拮抗する作用を行う。平坦でない道を歩くとき、足底を地面にうまく接触させるために外反と内反の微妙な調節が必要である。(p.277 下腿外側面の筋(腓骨筋群))

3 長指屈筋

長指屈筋は脛骨中部後面より起こり、腱は内果の後側で屈筋支帯を通り、足底に出て4分し第2~第5末節骨底につく。足指を屈し足の底屈を行う。脛骨神経の枝をうける。

後脛骨筋・長指屈筋・長母指屈筋の3屈筋は下腿後面の深層にあり、それらの腱は脛骨の内果の後の足根菅を通って足底に達する。内果と踵骨の間を橋渡しする屈筋支帯により、屈筋腱は保持される。

4 長母指伸筋

長母指伸筋は腓骨内側面、下腿骨間膜より起こり腱は上下の伸筋支帯の下を通り、足背に出て母指末節骨につく。母指をのばし足の背屈を行う。深腓骨神経の枝をうける。

長母指伸筋は、前脛骨筋のすぐ外側の深層から起こる。母指を強く背屈すると足首の前面から足背にかけて長母指伸筋の腱を、その停止まで長く触れることができる。足首で長母指伸筋のすぐ外側に足背動脈の拍動を触れる。


問23 胃について正しい記述はどれか。

1 食道から胃への入口を噴門とよぶ。
2 下部を胃底とよぶ。
3 主細胞は塩酸を分泌する。
4 パイエル板がみられる。

解答 1

◯ 1 食道から胃への入口を噴門とよぶ。
2 上部を胃底とよぶ。
は食道に続く袋状の器官で、消化管の中では最も拡張した部分で、その容量は1~1. 5ℓある。入り口は噴門で、噴門を入ると胃は大きく左にふくれ、その天井はドーム状を呈し胃底という。十二指腸への出口は幽門で、幽門の手前3cmほどの部分は形が管状で、内面の粘膜ヒダが互いに並行して走っている。この部分を幽門前庭または幽門部と呼ぶ。胃底部と幽門部を除いた中央全体を胃体という。C字形に左に弯曲する胃の外側を大弯、内側を小弯という。造影剤を飲みX線写真を撮ると、小弯の一部に急角度に曲がる部分が見られ、角切痕と呼ばれる。(p.77 胃)

  • 噴門:T11左側
  • 幽門:L1右側

3 主細胞はペプシノゲンを分泌する。
胃の粘膜内面には多数の粘膜ヒダが見られる。ヒダは主として縦に走るが、互いに連絡し、複雑に錯綜する。粘膜の表面には胃小窩というくぼみが無数に見られる。これは胃液の出る胃腺の出口である。胃腺には2種類あって胃の大部分に分布する胃底腺と、幽門部にのみある幽門腺がある。胃底腺は長い管状の腺で、塩酸(壁細胞)・ペプシノゲン(主細胞)・粘液(副細胞)を分泌する細胞からできている。ペプシノゲンは胃酸と反応して蛋白分解酵素であるペプシンになる。幽門腺も管状の腺だが、長さは短く、粘液を分泌するただ1種類の腺細胞よりなる。(p.78 胃の粘膜)

  • 主細胞:ペプシノゲン
  • 壁細胞:塩酸・内因子(回腸でのビタミンB12の吸収に必要)
  • 副細胞:粘液

4 パイエル板がみられる。
リンパ小節は、リンパ節や脾臓の中だけにあるのではなく、消化管の粘膜下にも数多く存在する。それが特に発達したのが扁桃と集合リンパ小節(パイエル板)である。
小腸の粘膜にはゴマ粒大のリンパ小節が多数見られ、とくに小腸後半の回腸ではリンパ小節が集合し、2~4cmの楕円形の隆起をつくる。これを集合リンパ小節(パイエル板)と呼ぶ。(p.59 扁桃と集合リンパ小節)

  • 孤立リンパ小節:小腸全域に存在
  • 集合リンパ小節(パイエル板):回腸に存在

問24 気管および気管支について誤っている記述はどれか。

1 気管は喉頭の下方に続く。
2 気管の後方には食道がある。
3 右気管支は垂直に近い傾斜をなす。
4 左気管支は3本の葉気管支に分かれる。

解答 4

気管と気管支(p.65 気管と気管支)

気管は第6頸椎の高さで、喉頭の輪状軟骨の下から垂直に下降する長さ10~13cmで直径が約2cmの管である。前頸部では体表から気管を触れることができる。気管の壁は約20個の馬蹄形の気管軟骨が積み重なってできている。軟骨を欠く後壁は膜性壁といい、平滑筋と粘膜だけになる。気管は胸腔に入ると心臓の上後方(第5胸椎の高さ)で左右の気管支に分かれる。右気管支は太くて短く、垂直に近く傾斜する。左気管支は細くて長く、水平に近い傾斜を持つ。このように左右の気管支の太さ・長さ・走行に違いがあるので、誤って気管支に吸い込んだ異物は右気管支に、さらには右肺に入りやすい。

1 気管は喉頭の下方に続く。
輪状軟骨は喉頭の土台をなす。気管は喉頭に続くものなので、輪状軟骨の下から気管である。

輪状軟骨は第6頸椎の高さにあり、この高さより呼吸器系は喉頭→気管となり、消化器系は咽頭→食道となる

2 気管の後方には食道がある。
並びをしっかり覚えよう。手前より気管-食道-脊柱だ。

3 右気管支は垂直に近い傾斜をなす。
心臓が胸郭の中央~やや左寄りにかけて存在する関係で、右気管支は短く垂直に近い傾斜をなし、左気管支は長く水平に近い傾斜をなす。

4 左気管支は3本の葉気管支に分かれる。
肺葉の数は左二右三(サニウゾウ)。よって、葉気管支も左二右三(サニウゾウ)。


問25 尿管について誤っている記述はどれか。

1 長さは約30cmである。
2 尿は蠕動運動によって運ばれる。
3 総腸骨動脈の後方を通る。
4 粘膜は移行上皮からなる。

解答 3

尿管(p.93 尿管)

尿管は、尿を腎臓の腎孟から膀胱に運ぶ、長さ30cmほどの中空の管である。尿管の壁は、粘膜・筋層・外膜の3層よりなる。粘膜は移行上皮でおおわれる。筋層はよく発達し、1分間に4~5回の周期的な蠕動運動により、尿は少量ずつしごかれるように膀胱に送られる。尿管は3ヶ所に狭窄部位を持ち、尿路結石などで通過障害を起こす。① 腎孟から尿管への移行部、② 総腸骨動静脈との交叉部、③ 膀胱壁を貫く部である。特に最後の狭窄部は尿管が膀胱の厚い壁の中を斜めになって長い距離を進むので、膀胱に尿がたまるとその内圧によって膀胱壁を斜めに進む尿管は圧平されて、尿の逆流が防がれる。

1 長さは約30cmである。
尿管は約30cmというのはともかく、くれぐれも尿管と尿道のヒッカケ問題には注意。

2 尿は蠕動運動によって運ばれる。
尿管は「管」とあるので、排水管のようなものを想像し、尿が重力で落ちていくと思わないように。尿管は発達した平滑筋層をもっていて、蠕動運動で尿を運ぶ。だから寝たきりでも、無重力でもちゃんと膀胱に尿がたまる。

3 総腸骨動脈の前方を通る。

尿管の走行を少し詳しく追ってみよう。
– 腎臓の内下方の腎門より出る(第1狭窄部位:腎盂尿管移行部)
– 大腰筋の前面を下行
– 精巣(卵巣)動脈の後方を交叉し下行
総腸骨動脈の前方を交叉し下行(第2狭窄部位:総腸骨動脈交叉部)
– 膀胱壁を貫ぬき、膀胱内に開口する(第3狭窄部位:膀胱壁貫通部)

4 粘膜は移行上皮からなる。
内容物の量に応じて伸び縮みするのが特徴の移行上皮。膀胱だけではない。4点セットで覚えよう。「腎杯・腎盂・尿管・膀胱は移行上皮


問26 心臓について正しい記述はどれか。

1 房室結節は心室にある。
2 前室間枝は右冠状動脈の枝である。
3 肺動脈弁は大動脈弁の左前方に位置する。
4 僧帽弁は3枚の弁尖からなる。

解答 3

1 房室結節は右心房にある。

刺激伝導系(p.42 刺激伝導系)

心臓収縮のための興奮を伝えるのが刺激伝導系である。これを構成するのは神経線維でなく、特殊心筋線維である。

  • 洞房結節:右心房の上大静脈開口部付近
  • 房室結節:右心房の下壁
  • 房室束(ヒス束):線維三角を貫通
  • 左脚・右脚:心室中隔を下行
  • プルキンエ線維:心室の心内膜下を細かく分岐して心室筋に分布する

2 前室間枝は左冠状動脈の枝である。
ヒダリマエ

心臓の血管(p.43 心臓の血管)

心臓は、自身の内腔に満ちた血液で養われるのではなく、主に大動脈の基部から出る左右の冠状動脈により栄養されている。右冠状動脈は大動脈基部の前面から出て、右心耳と右心室の間を通って冠状溝を右に回って心臓の後面に達する。ここで後室間枝となって後室間溝を心尖に向かって下行する。左冠状動脈は大動脈基部の左側から出て、肺動脈と左心耳の間を通って冠状溝に達する。ここで前室間枝となって心臓の前面(前室間溝)を下行し心尖に向かう。その他にも、冠状溝を左後方に向かう回旋枝を出して左心室の後方部を栄養しながら心臓後面に達する。回旋枝は後室間枝とわずかに吻合する場合もある。
心臓の静脈には、前室問溝から冠状溝を走る大心臓静脈や、後室間溝を走る中心臓静脈などがある。その大半は心臓後面の冠状溝を走る太い冠状静脈洞に集まり、右心房の後面に注ぐ。

動脈静脈
冠状溝右冠状動脈
回旋枝(左冠状動脈の枝)
冠状静脈洞
大心臓静脈
前室間溝前室間枝(左冠状動脈の枝)大心臓静脈
後室間溝後室間枝(右冠状動脈の枝)中心臓静脈

3 肺動脈弁は大動脈弁の左前方に位置する。

心臓の弁膜(p.42 心臓の弁膜)

動脈弁は半月形をしたポケットのような3枚の弁からなるので、半月弁とも呼ばれる。血液が逆流しようとするとポケットが膨らむように防止する。左前方にある肺動脈の基部には肺動脈弁、右後方にある大動脈の基部に大動脈弁がある。心房と心室の間には結合組織の線維束(線維輪と線維三角)が取り巻いて、心房筋と心室筋を隔てる。線維輪とは2組の房室弁と動脈弁の輪郭(房室口と動脈口)を丸く取り囲んだ線維束で、房室口および動脈口の形を保持して弁膜を付着させる。房室口と動脈口の合間には結合組織が三角形を呈する部分ができ、これを線維三角という。線維三角には刺激伝導系の房室束(特殊心筋線維)が貫いて、心房筋と心室筋とを連絡する。

ちょっと分かりにくいので、整理しよう。心臓から心房を取り去ると、弁膜 (動脈弁や房室弁) が見えてくる。大動脈弁は真ん中にあり、肺動脈弁は左前 (ヒダリマエ)にある。大動脈弁の後ろは房室弁がある。これはわかるだろう。左後は僧帽弁、右後は三尖弁だ。

4 僧帽弁は3枚の弁尖からなる。

肺葉の数も、心臓の房室弁の弁尖も左ニ右三 (サニウゾウ)。二尖弁は僧侶の帽子に似ているので僧帽弁。
– 左房室弁=二尖弁=僧帽弁
– 右房室弁=三尖弁
– 肺動脈弁も大動脈弁も、どちらも3枚の半月弁よりなる


問27 腹腔動脈の枝でないのはどれか。

1 左胃動脈
2 空腸動脈
3 総肝動脈
4 脾動脈

解答 2

腹大動脈の主に消化器系に至る臓側枝(p.46 腹大動脈とその枝)

主に腹部消化器系に分布する臓側枝には腹腔動脈・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈の3枝があり、いずれも無対性で、大動脈の前面から出る。
腹腔動脈は3枝の中で最初に出る動脈であり、横隔膜のすぐ下で起始して、直ちに左胃動脈・脾動脈・総肝動脈に3分枝する。これら腹腔動脈の枝によって、胃から十二指腸・脾臓・肝臓・胆嚢・膵臓を中心とした上腹部の内臓が養われる。
上腸間膜動脈は腹腔動脈のすぐ下から起こる。この動脈は名前のとおりに腸間膜の中を走って、膵臓や小腸全域から大腸前半部(横行結腸)まで広く分布する。
下腸間膜動脈は上腸間膜動脈よりもさらに下方から出て、大腸後半部(下行結腸から直腸)に分布する。
上下の腸間膜動脈は腸間膜の中でアーチのような吻合を二重三重につくる。これにより腸管運動によって一部の血管が圧迫されても血行障害を起こしにくい。
壁側枝(有対):腰動脈・下横隔動脈
泌尿・生殖器への臓側枝(有対):腎動脈・性腺動脈(精巣動脈、卵巣動脈)
腹部消化器への臓側枝(無対):腹腔動脈・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈
腹大動脈の下端は第4腰椎の高さであり、ここで左右の1対の総腸骨動脈とその間の細い正中仙骨動脈に分岐する。

胸大動脈・腹大動脈の枝は「壁側枝」「臓側枝」に分けて理解していくこと。解剖学の知識向上のコツは分類することである。

腹腔動脈は「左胃動脈・脾動脈・総肝動脈」の3つの枝まで確実に覚えること。この問題の通り。あとは分布域を抑えておこう。

  • 腹腔動脈:「左胃動脈・脾動脈・総肝動脈」に分岐
    胃から十二指腸・脾臓・肝臓・胆嚢・膵臓に分布
  • 上腸間膜動脈
    膵臓や小腸全域から大腸前半部(横行結腸前半) に分布
  • 下腸間膜動脈
    大腸後半部(横行結腸後半~下行結腸、直腸)に分布
大動脈の枝
     
上行大動脈右冠状動脈後室間枝
左冠状動脈前室間枝
大動脈弓腕頭動脈右総頚動脈
右鎖骨下動脈
左総頚動脈
左鎖骨下動脈
下行大動脈胸大動脈壁側枝上横隔動脈
肋間動脈
肋下動脈
臓側枝気管支動脈
食道動脈
腹大動脈壁側枝下横隔動脈
腰動脈
臓側枝
(主に消化器系:無対)
腹腔動脈左胃動脈
脾動脈
総肝動脈
上腸間膜動脈
下腸間膜動脈
臓側枝
(泌尿・生殖器系:有対)
腎動脈
精巣・卵巣動脈

問28 脳の静脈血の大部分が流入するのはどれか。

1 顔面静脈
2 外頸静脈
3 内頸静脈
4 鎖骨下静脈

解答 3

脳の静脈(p.130 脳の血管)

脳の静脈は動脈とは全く異なる経路を取ることが特徴としてあげられる。毛細血管の血液は脳の表面を回る静脈に集められ、硬膜の両葉の間につくられた硬膜静脈洞に注ぐ。静脈洞の血液は、脳底に集められ頸静脈孔を貫き、内頸静脈となる。脳を去る血液は内頸静脈だけに運ばれ、脳を出る。

内頸静脈(p.308 内頸静脈)

頸静脈孔から出るとまず内頸動脈の後方に沿い、それから総頸動脈の外側に沿って下行し、途中で顔面静脈舌静脈、下顎後静脈などが注ぐ。鎖骨胸骨端の直後で鎖骨下静脈と合流して腕頭静脈となる。この合流部を静脈角という。

通常、同じ名前の動脈と静脈は分布域が概ね同一である(たとえば大腿動脈の分布域は大腿静脈の分布域と等しいなど)。
しかし、内頸静脈は注意が必要で、内頸動脈からの血液だけが内頸静脈に集まるのではなく、外頸動脈からの血液も内頸静脈に集まる。
つまり、内頸動脈+外頸動脈の血液 → 内頸静脈に集まる。
外頸静脈は、後頭部の皮静脈を集める静脈(p.308 頸部の皮静脈)で、外頸動脈からの血液が全部外頸静脈に集まってくるのではない点に注意する

1 顔面静脈
顔面部の静脈血を集め、内頚静脈に注ぐ

2 外頸静脈
後頭部の皮静脈 (後頭静脈と後耳介静脈)をあつめ、鎖骨下静脈に注ぐ

3 内頸静脈
脳の静脈血を含めた、内頚動脈と外頚動脈の血液を集め、鎖骨下静脈と合流して腕頭静脈となる。(p.49 上大静脈に注ぐ枝)

4 鎖骨下静脈
鎖骨下静脈は鎖骨の胸骨端近くと第1肋骨の間にある短いが太い静脈である。外側部で外頸静脈が合流し、内側端で内頸静脈と合流して腕頭静脈になる。鎖骨下動脈の同名の枝に伴行する椎骨静脈、下甲状腺静脈や深頸静脈などがこの腕頭静脈に注ぐ。左腕頭静脈は正中線を越えて右腕頭静脈に合流し、上大静脈になる。このため左腕頭静脈は右に比べて約3倍長い。(p.309 鎖骨下静脈と腕頭静脈)


問29 運動線維のみからなる神経はどれか。

1 顔面神経
2 下顎神経
3 舌咽神経
4 副神経

解答 4

この手の問題は確実に答えられるように。

脳神経の勉強法
  1. 脳神経の番号をローマン数字で振る習慣をつける。
脳神経の番号と名称が完全に一致するまで、この習慣は繰り返す。何故か?頭蓋底を通過する孔や副交感神経を含む脳神経など、番号で覚えたほうがラクだからだ。副交感はミナトク。もしくはみんな得する副交感なんてのもある。
  2. 感覚、運動、副交感のどの成分が含まれるかを思い出せるようにする。
感覚は特殊感覚 (視覚・聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚)、体性感覚 (触圧覚・温度覚・痛覚・深部感覚)などがある。運動は、骨格筋の運動。副交感は腺の分泌や平滑筋の運動などを司る。
  3. 脳のどこから出るかを覚える。
I 大脳、II 間脳、III,IV 中脳、V~VIII 橋、IX~XII 延髄
脳神経は中枢神経の上部から順に番号が振り分けられている。だから番号で覚えれば出所を覚えるのは楽だ。
  4. 内頭蓋底を通過する孔を覚える
篩骨篩板はI 嗅神経、II 視神経 視神経管とおるのアタリマエ。上眼窩裂はサンシーゴノイチロク、内耳孔ナナハチ、頸静脈孔キュージュージュウイチ、XII 舌下神経 舌下神経管通るのアタリマエ。残るはV2、V3。正に上顎、下顎にタマゴ。
    ― 80点狙いならここまででオッケー せっかくだから、もっと覚えて脳神経の問題を得意分野にしよう ―
  5. 起始核を覚える
脳神経は起始核を理解することにより、本当に理解することができる。たとえば、「迷走神経と舌咽神経の運動成分はどちらも疑核から出る」とか、「顔面神経と舌咽神経の味覚を伝える感覚線維はどちらも弧束核に入力する」とか。
  6. 神経節を覚える
感覚神経と自律神経は神経節をもつ。近年の国家試験ではIII,VII,IXの副交感性神経節がよく出題されるので、確実に抑えておこう。
    III 動眼神経副核→毛様体神経節→瞳孔括約筋・毛様体筋
    VII 上唾液核→大錐体神経→翼口蓋神経節→涙腺・鼻腺
    VII 上唾液核→鼓索神経→顎下神経節→顎下腺・舌下腺
    IX 下唾液核→耳神経節→耳下腺

問30 末梢神経の走行について誤っている記述はどれか。

1 筋皮神経は鳥ロ腕筋を貫く。
2 正中神経は円回内筋の二頭の間を通る。
3 大腿神経は血管裂孔を通過する。
4 総腓骨神経は腓骨頸に接する。

解答 3

1 筋皮神経は鳥ロ腕筋を貫く。

筋皮神経は、上腕の屈筋を支配する筋枝と、前腕の外側部の皮膚に分布する皮枝とからなる。この神経は、腕神経叢のすぐ外側に位置する烏口腕筋の中央を貫いて、内側から上腕二頭筋と上腕筋の間に入り、両筋への筋枝を出す。筋枝を出し終えた後、上腕二頭筋の外側縁下方から皮枝が出て、前腕外側部の皮膚に分布する(外側前腕皮神経)。(p.261 上肢前面の神経定行(筋皮神経・正中神経・尺骨神経))

2 正中神経は円回内筋の二頭の間を通る。

正中神経は、上腕部では枝を出さず、前腕屈筋群と母指球筋に筋枝を送るほか、手掌の橈側半分の皮膚に皮枝を分布する。
上腕部では、上腕二頭筋の内側縁(内側二頭筋溝)を縦走し、上腕動脈とともに上腕二頭筋の停止腱膜の下をくぐって肘窩に至る。
肘窩では、円回内筋の上腕頭と尺骨頭の間を通って深部に入り、尺側手根屈筋以外の前腕屈筋の浅層筋群に筋枝を出す。さらに正中神経の本幹は、浅指屈筋の起始部にある腱弓から深層に進入して、浅指屈筋と深指屈筋の間を走る。ここで、前腕屈筋の深層筋群に至る筋枝と手掌の橈側半への皮枝(手掌枝)を出しつつ手根部に達し、浅・深指屈筋の腱とともに手根管を通って手内に入る。
手内では母指球筋に分枝するほか、母指から薬指への皮枝を出す。(p.261 上肢前面の神経定行(筋皮神経・正中神経・尺骨神経))

3 大腿神経は筋裂孔を通過する。

大腿神経はL2~4が合流してできる腰神経叢最大の枝である。大腰筋とともに下行し、筋裂孔を通って大腿三角に至る。大腿三角より下で縫工筋および大腿四頭筋に筋枝を出すほか、皮枝として大腿前面に分布する前皮枝および伏在神経を分枝する。
伏在神経は、大腿動静脈とともに内転筋管を通る途中で大内転筋と内側広筋の間に張る筋膜を貫通し皮下に出る。鵞足付近で膝蓋下枝および内側下腿皮枝となって下腿内面や足背内側の感覚を担う。(p.290 腰神経叢)

筋裂孔と血管裂孔(p.284 筋裂孔と血管裂孔)

寛骨前面は弓状になっており、その上に上前腸骨棘と恥骨結節の間を結ぶ鼠径靱帯が張っている。腰部から大腿部に向かって走る腰神経叢の枝や下肢を養う脈管は、鼠径靱帯の下と寛骨との間にできる筋裂孔と血管裂孔という隙間を通る。血管裂孔と筋裂孔の間は腸恥筋膜弓で仕切られる。そしてこれらの裂孔は鼠径靱帯の下から大腿三角に連続する。
筋裂孔は、本来、鼠径靱帯の下を通る腸腰筋の通路である。腰神経叢から起こる大腿神経と外側大腿皮神経は腸腰筋に導かれるように筋とともにこの裂孔を通って下行し、大腿に至る。
血管裂孔は筋裂孔よりも内側にあり、リンパ管、大腿静脈、大腿動脈が内側からこの順に並んで通る。特にリンパ管が通る血管裂孔の最内側を大腿輪という。このほか、陰部大腿神経の大腿枝も血管裂孔を通る。

4 総腓骨神経は腓骨頸に接する。

総腓骨神経は大腿後面では脛骨神経の外側に位置し、大腿二頭筋長頭の深層を下行しながら大腿二頭筋短頭に枝を与える。その後、膝窩の上方で脛骨神経と分離して大腿二頭筋の停止腱に沿って腓骨頭の下方(腓骨頸)に達する
この神経は外側から腓骨頸を回り込んで下腿に入る際に、次の2枝に分かれる。すなわち、下腿外側の腓骨筋群に分布する浅腓骨神経と、下腿前面の伸筋群に向かう深腓骨神経である。浅腓骨神経は長・短腓骨筋に枝を出した後、下腿の遠位部で皮神経となって皮下に出て、内側および中間足背皮神経として足背に分布する。深腓骨神経は長腓骨筋の起始の深層を素通りして伸筋群に達し、長指屈筋と前脛骨筋の間を下行しながら長指伸筋・長母指伸筋・前脛骨筋に枝を出す。さらに、長母指伸筋腱および前脛骨動脈などとともに伸筋支帯の深層をくぐって足背に達し、短母指伸筋および、短指伸筋への枝を出す。その後、細い皮神経となって母指と第2指の間(下駄の鼻緒が食い込む位置)の皮膚に分布して感覚を担う。


問31 橈骨神経が支配する筋はどれか。

1 回外筋
2 橈側手根屈筋
3 長母指屈筋
4 母指内転筋

解答 1

腕神経叢 (C5~T1)
神経名神経根成分分布
筋皮神経C5・C6皮枝前腕の外側半
筋枝上腕二頭筋,烏口腕筋,上腕筋
正中神経C5〜T1皮枝手掌で薬指を境にした橈側(母指側)
筋枝円回内筋,橈側手根屈筋,長掌筋,浅指屈筋,深指屈筋橈側頭,長母指屈筋,方形回内筋,短母指内転筋,短母指屈筋,母指対立筋,第1・2虫様筋
尺骨神経C8〜T1皮枝手掌では薬指を、手背側では中指を境にした尺側(小指側)
筋枝尺側手根屈筋,深指屈筋尺側頭,短掌筋,小指外転筋,短小指屈筋,小指対立筋,骨間筋,第3・4虫様筋,母指内転筋,短母指屈筋(深頭)
腋窩神経C5・C6皮枝上腕上部の外側
筋枝三角筋,小円筋
橈骨神経C5〜T1皮枝上腕下部の外側および前腕の背側,手背の中指を境とした橈側(母指側)
筋枝上腕と前腕のすべての伸筋(上腕三頭筋,肘筋,腕橈骨筋,長橈側手根伸筋,短橈側手根伸筋,総指伸筋,小指伸筋,尺側手根伸筋,回外筋,長母指外転筋,短母指伸筋,長母指伸筋,示指伸筋)

橈骨神経が支配する筋は、上腕と前腕のすべての伸筋(上腕三頭筋,肘筋,腕橈骨筋,長橈側手根伸筋,短橈側手根伸筋,総指伸筋,小指伸筋,尺側手根伸筋,回外筋,長母指外転筋,短母指伸筋,長母指伸筋,示指伸筋)
たくさんあるので覚えるの大変? 橈骨神経は上肢のすべての伸筋。だから上肢の筋で、ナントカ伸筋は橈骨神経支配。これアタリマエ。ナントカ伸筋以外を覚えておけば良い。つまり、上腕三頭筋、肘筋、腕橈骨筋、回外筋、長母指外転筋。これにプラスして、ナントカ伸筋。

1 回外筋:橈骨神経支配

この筋は、総指伸筋上部の深層に位置する幅広く短い筋である。上腕骨の外側上顆や尺骨上部の外側面から起こって、橈骨上部を外側から回り込むように下方に斜走し、橈骨上部の外側面に広く停止する。この筋は前腕を回外するが、さらに強く回外するときには、これに上腕二頭筋の回外作用が加わる。また、この筋は橈骨神経の深枝に貫通される。(p.245 前腕の伸筋群)

2 橈側手根屈筋:正中神経支配

上腕骨内側上顆から起こり、下外方に向かい第2中手骨底につく。橈側手根屈筋は、手関節を掌屈させるとともに外転(橈屈)させる。正中神経が支配する。(p.242 前腕の屈筋群)

3 長母指屈筋:正中神経支配

橈骨の中部前面から起こり、母指の末節骨底につく。母指末節をまげる。正中神経の支配をうける。
長母指屈筋と第2~5指に向かう深指屈筋の合計5本の腱は手根管を通って各指の末節骨底につく。しかし、通常は末節のみを屈曲することはできず、指節間関節(IP関節)を一括して屈曲させる。(p.242 前腕の屈筋群)

4 母指内転筋:尺骨神経

第3中手骨の掌側面から起こる横頭と、有頭骨から起始する斜頭からなる。これらの2頭は母指の基節骨につき母指を内転して手掌に近づける。ものを強く握る場合、この筋は長母指屈筋や母指対立筋と協力して強く作用するので、母指内転筋麻痺の際には握力が減弱する。この筋は尺骨神経の支配を受ける。(p.249 母指球筋)


問32 第12胸神経と第1腰神経から起こるのはどれか。

1 腸骨下腹神経
2 大腿神経
3 閉鎖神経
4 陰部神経

解答 1

腰神経叢 (T12およびL1~4)
神経名神経根成分分布
腸骨下腹神経T12・L1皮枝下腹部,骨盤部側面
筋枝腹横筋,内腹斜筋
腸骨鼠径神経L1皮枝下腹部から大腿上部内側,外陰部
筋枝腹横筋,内腹斜筋
陰部大腿神経L1・L2皮枝外陰部,大腿上部内側
筋枝精巣挙筋
外側大腿皮神経L2・L3皮枝大腿外側
大腿神経L2〜L4皮枝 (前皮枝)大腿前面から膝蓋に至る下部の3/4
皮枝 (伏在神経)下腿内側
筋枝大腿四頭筋,腸骨筋,縫工筋,恥骨筋
閉鎖神経L2〜L4皮枝大腿内側下2/3
筋枝長内転筋,短内転筋,大内転筋,薄筋,外閉鎖筋

1 腸骨下腹神経:T12・L1
腸骨下腹神経はT12とL1が合流して構成される。肋間神経と同様に腹壁をまわりながら腹筋を支配するほか、腸骨稜の直上に外側皮枝、下腹部に前皮枝を出す。 (p.290 腰神経叢)

腹壁の神経(p.234 腹壁の神経)
① 腹壁の皮神経

腹壁の皮膚には、下位肋間神経および、肋下神経の外側皮枝と前皮枝、そして第1腰神経前枝が分布する。外側皮枝は肋間神経が肋骨弓の後方を横切り内腹斜筋と腹横筋との間を走行しているときに分枝され、腹壁皮下の大部分に分布する。前皮枝は肋間神経が腹直筋を買いたのち分枝され腹壁前側に分布している。皮神経の分布域はほぼ胸壁と同様、分節状で、剣状突起の高さに第7肋間神経、臍の高さに第10肋間神経、腸骨稜および鼠径部には第1腰神経前枝(腸骨下腹神経)が分布する。腸骨鼠径神経は鼠径管を通って前方に向かい、浅鼠径輸から皮下に出て、陰嚢(大陰唇)を中心に分布する。

② 腹壁筋の支配神経

腹直筋には第7~11肋間神経および肋下神経が腹直筋鞘の後葉を貫いて筋の後面から進入し、腱画と腱画との間に分布する。外腹斜筋の支配神経は、肋間神経の外側皮枝から起こり筋の表面を前下走して進入するため、上腹壁の外科的処置の際に損傷する危険性がある。内腹斜筋と腹横筋の支配神経は、下位肋間神経、肋下神経および腸骨下腹神経が両筋の間を走行中に順次分枝される。腰方形筋は肋下神経および第1~3腰神経前枝が分布するが、第1・2腰神経前枝が主体をなす。

2 大腿神経:L2~L4
大腿神経はL2~4が合流してできる腰神経叢中最大で鼠径靱帯の下の筋裂孔を通り、大腿部前面の中央を下行し、大腿の伸筋群(大腿四頭筋、縫工筋)と内転筋(恥骨筋)、大腿前面の皮膚を支配する。伏在神経が下腿内側から足背内側縁の皮膚に至る。

3 閉鎖神経:L2~L4
閉鎖神経はL2~4が合流して構成される。大腰筋の筋束間を下行し、大腰筋内側下縁から骨盤腔に達する。骨盤の側壁を閉鎖動静脈とともに走り、閉鎖孔の内側上方(恥骨上枝の下縁)にある閉鎖管を貫通して大腿内側に至り、外閉鎖筋および内転筋群の各筋に支配枝を出す。また、筋枝を出した後は皮枝として大腿内側の皮膚に分布する。

4 陰部神経:S2~S4
陰部神経はS2~4に由来する。梨状筋下孔から出た後、小坐骨孔を通って骨盤底に達して、会陰部の筋および皮膚を支配する。(p.292 仙骨神経叢)

会陰の神経(p.234 会陰の神経)

会陰には陰部神経が分布する。陰部神経は第2~4仙骨神経前枝から構成され(陰部神経叢)、梨状筋下孔を通って骨盤外に出たのち再び坐骨棘を回って小坐骨孔から会陰部に入る。会陰部では坐骨枝の内面に沿って、内陰部動・静脈とともに陰部神経管(アルコック管)の中を前方に走り、下直腸神経会陰神経陰茎背神経(陰核背神経)に分かれる。下直腸神経は外肛門括約筋と肛門周囲の皮膚、会陰神経は浅・深会陰横筋、坐骨海綿体筋、球海綿体筋およびに会陰の皮膚に分布する。陰茎(陰核)背神経は陰茎(陰核)の背面に達する。肛門挙筋および尾骨筋を支配する神経は、陰部神経叢の根部から起こり、筋の内面より進入する。
会陰の皮膚には陰部神経のほかにも後大腿皮神経の会陰枝、前方からは陰部大腿神経や腸骨鼠径神経の枝が分布する。


問33 正常において内部に空気が入らないのはどれか。

1 外耳道
2 鼓室
3 耳管
4 半規管

解答 4

この問題の考え方は、まず選択肢を外耳・中耳・内耳に分類する。内耳は骨迷路と膜迷路からなり、両迷路管は外リンパ、膜迷路は内リンパで満たされる。よって内耳はリンパ液で満たされているということになり、空気が入る余地はないと考える。つまり選択肢より内耳を選べば良い。

1 外耳道:外耳
2 鼓室:中耳
3 耳管:中耳
○ 4 半規管:内耳

平衡聴覚器(p.153 平衡聴覚器)

聴覚器は音を開く器官で、外耳・中耳・内耳からなる。内耳は聴覚器のみならず平衡感覚を感じる器官なので、全体をまとめて平衡聴覚器という。

1) 外耳(p.153 外耳)

耳介と外耳道よりなる。

2) 中耳(p.154 中耳)

外耳から来る音波を振動にかえて内耳に伝える部位で、鼓膜鼓室耳管からなる。

3) 内耳(p.154 内耳)

内耳は、側頭骨の錐体の中にあり、聴覚と平衡覚を司る骨迷路膜迷路からなる。骨迷路は複雑な形をした中空の洞で、膜迷路は骨迷路とほぼ同じ形をしてこの中に収まっている。両迷路間は外リンパ、膜迷路の内部は内リンパと呼ばれる液体で満たされている。迷路は蝸牛前庭半規管の3部からなり、前庭は半規管と蝸牛への玄関口をなすことから、この名がある。


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