2006年 第14回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題15~36 解答

国家試験問題

2006年 第14回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題15~36 解答

問15 筋層が横紋筋からなるのはどれか。

1 心臓
2 小腸
3 子宮
4 膀胱

解答 1

筋組織には骨格に付着している骨格筋、血管・胃・腸・膀胱などの内臓の壁を構成している平滑筋、心臓を構成している心筋の3種類がある。骨格筋と心筋には、明瞭な横紋構造が認められるので、横紋筋と呼ばれる。平滑筋にはこのような横紋構造はみられない。骨格筋は運動神経の支配を受け、意志によって正確に動かすことができる(随意筋)。一方、心筋と平滑筋は、自律神経の支配を受け、意志による制御はできない(不随意筋)。《生理学》


問16 後頸三角の形成に関与しないのはどれか。

1 鎖骨
2 肩甲骨
3 胸鎖乳突筋
4 僧帽筋

解答 2

頸部(p.303 頸部)

頸部の前面には舌骨に一致するくびれ、喉頭隆起、および鎖骨の胸骨端の間にある頸窩と胸鎖乳突筋の帯状のふくらみが顕著である。側面では、胸鎖乳突筋の後縁と僧帽筋の外側縁と鎖骨に囲まれた後頸三角(外側頸三角)を触れることができる。
胸鎖乳突筋より内側の前頸三角(正中線、下顎骨下縁、胸鎖乳突筋前縁)は、顎二腹筋と肩甲舌骨筋および舌骨によってさらに細区分される。
頸部は内部構造的に、後方の発達した筋群とこれに固まれた脊柱と、浅層の筋群に包まれた縦に走る血管や神経および内臓の2部に分けることができる。椎前筋の直前に明瞭な境界(咽頭後隙)がある。

頸部の三角の表


問17 後頭蓋窩にみられるのはどれか。

1 トルコ鞍
2 正円孔
3 内耳孔
4 破裂孔

解答 3

内頭蓋底(p.198 脳頭蓋)

内頭蓋底は、脳の底面に対面するので、脳の凹凸を鋳型にしたようなくぼみと隆起ができる。このくぼみを頭蓋窩といい、脳の前頭葉が入る前頭蓋窩、側頭葉が入る中頭蓋窩、後頭葉や小脳が対応する後頭蓋窩に分かれる。前頭蓋窩と中頭蓋窩の間には高低差による段差があり、中頭蓋窩と後頭蓋窩の間には錐体が大きく隆起することによって、これらの頭蓋窩を区画する。また、後頭蓋窩の中央には、延髄の出る大きな大後頭孔(大孔)が開いて、頭蓋腔は脊柱管に連絡する。
内頭蓋底の中央部では、前方から前頭骨、篩骨、蝶形骨、後頭骨が1列に並び、蝶形骨と後頭骨の間に割り込むように左右の側頭骨が位置する。
a) 前頭蓋窩
大部分は前頭骨で、それに加えて篩骨と蝶形骨の前方部も構成に関与する。
前頭蓋窩の中心には篩骨の篩板がある。篩板は、鼻腔の天井でもあり、頭蓋腔と鼻腔はこの薄い篩板に隔てられているだけである。篩板中央には、ニワトリのトサカを連想させる鶏冠が出て、篩板を左右に分ける。左右の篩板には多数の小孔があいて、嗅神経(I)を通す。前頭骨の部分は眼窩の上壁をつくり、篩骨の両側で盛り上がる。また、蝶形骨の小翼は前頭蓋窩の後縁をなす。
b) 中頭蓋窩
中頭蓋窩は、蝶形骨の後方部と側頭骨の前方部よりなる。
中央には、蝶形骨の体部が盛りあがって、その背面(上面)にはウマの鞍をおもわせるトルコ鞍が形成される。鞍の中央はくぼんで下垂体窩と呼ばれ、内分泌器官である下垂体が入る。下垂体窩の前方で蝶形骨の小翼の基部には、水平方向に開く左右1対の視神経管が眼窩に連絡して、視神経(II) を通す。トルコ鞍の両側で中頭蓋窩の主体をなすのは、蝶形骨の大翼である。大翼は小翼よりも低位にあり、前頭蓋窩と中頭蓋窩の境界では、小翼と大翼との間に高低差を利用して開いた隙間ができる。この隙間は眼窩に通じており、上眼窩裂といわれる。上眼窩裂には視神経以外の眼窩内と連絡しあう神経(III~VI)が通る。すなわち、眼球を動かす筋の神経(動眼神経滑車神経外転神経)や眼球表面の感覚神経(三叉神経の第1枝眼神経すなわちV-1)が通る。
大翼の基部には正円孔が開き、三叉神経の第2枝上顎神経(V-2) **が通る。大翼の後縁では楕円形の大きな卵円孔が開き、三叉神経の第3枝下顎神経(V-3) が通る。
また、
棘孔は卵円孔の外側にある小孔で、硬膜の動脈である中硬膜動脈を通す。卵円孔の内側には、蝶形骨と側頭骨との間にできた破裂孔という裂隙があるが、生体では軟骨で埋められている。内頭蓋底では、側頭骨の錐体を貫通してきた頸動脈管が破裂孔に開く。外頭蓋底からきた内頸動脈はこの管を通って頭蓋腔に達し、トルコ鞍の両脇から脳に分布する。
c) **後頭蓋窩

後頭蓋窩は、内頭蓋底に強く隆起する側頭骨の錐体によって中頭蓋窩と境される。後頭蓋窩をつくるのは主として後頭骨であるが、それに加えて正中前方部では蝶形骨体もわずかに関与するほか、側頭骨の錐体も後頭蓋窩の外側前方部を構成する。錐体後面には内耳孔が開いて、顔面神経内耳神経が通る(VIIとVIII)。その下方で、錐体後縁と後頭骨の前縁が縫合する部分に大きな頸静脈孔ができる。頸静脈孔はS状洞溝から連続する孔で、硬膜静脈洞から続く内頸静脈が通るとともに、舌咽神経迷走神経副神経が入る(IX~XI)。後頭蓋窩の正中部は、トルコ鞍の後方で蝶形骨体と後頭骨が軟骨結合してできた斜面(斜台)になって大後頭孔に続く。大後頭孔の前外側には、左右1対の舌下神経管が開いて、舌下神経(XII)を通す。

頭蓋窩の表

1 トルコ鞍:中頭蓋窩
中頭蓋窩の中央には、蝶形骨の体部が盛りあがって、その背面(上面)にはウマの鞍をおもわせるトルコ鞍が形成される。鞍の中央はくぼんで下垂体窩と呼ばれ、内分泌器官である下垂体が入る。

2 正円孔:中頭蓋窩
中頭蓋窩で蝶形骨大翼の基部には正円孔が開き、三叉神経の第2枝上顎神経(V-2) **が通る。大翼の後縁では楕円形の大きな卵円孔が開き、三叉神経の第3枝下顎神経(V-3) **が通る。

3 内耳孔:後頭蓋窩
後頭蓋窩は、内頭蓋底に強く隆起する側頭骨の錐体によって中頭蓋窩と境される。後頭蓋窩をつくるのは主として後頭骨であるが、それに加えて正中前方部では蝶形骨体もわずかに関与するほか、側頭骨の錐体も後頭蓋窩の外側前方部を構成する。錐体後面には内耳孔が開いて、顔面神経内耳神経が通る(VIIとVIII)。

4 破裂孔:中頭蓋窩
内頭蓋底では、側頭骨の錐体を貫通してきた頸動脈管が破裂孔に開く。外頭蓋底からきた内頸動脈はこの管を通って頭蓋腔に達し、トルコ鞍の両脇から脳に分布する。


問18 手根骨のうち遠位列にあるのはどれか。

1 月状骨
2 豆状骨
3 有鈎骨
4 三角骨

解答 3

手根骨

手根骨は、小さな骨が近位に4個、遠位に4個並んだ合計8個の骨からなる。
近位列には、橈側から舟状骨月状骨三角骨豆状骨が並ぶ。豆状骨を除く橈側の3個、舟状骨・月状骨・三角骨は、橈骨手根関節(手関節)に関わる。豆状骨は尺側手根屈筋の種子骨であり、他の手根骨とは発生が異なる。この骨は三角骨とのみ関節をなす。
遠位列には、橈側から大菱形骨小菱形骨有頭骨有鉤骨が並ぶ。これら遠位列の骨は中手骨と手根中手関節(CM関節)をなす。


問19 距骨と関節をつくらないのはどれか。

1 脛骨
2 立方骨
3 踵骨
4 腓骨

解答 2

距腿関節(p.195 距腿関節)

距腿関節は足関節とも呼ばれ、下腿と足根骨(距骨)との間にできる蝶番関節(ラセン関節)である。脛骨の下関節面および内果関節面と、腓骨の外果関節面が連続して関節窩をつくり、距骨上部の距骨滑車が骨頭となって構成される。この関節の運動は足首の屈伸運動であり、特に屈曲を底屈、伸展を背屈という。この関節の内側と外側は、側副靱帯として内側靱帯と外側の靱帯群が補強する。
内側靱帯は、三角靱帯とも呼ばれ、① 脛骨-舟状骨の間の部分、② 脛骨-距骨の間の部分、③ 脛骨-踵骨の間の部分、の3部からなる。一方、外側にあるのは、前・後距腓靱帯と踵腓靱帯の3つの靱帯である。

足根骨どうしの関節(足根間関節)(p.196 足根骨どうしの関節(足根間関節))

足根間関節は、7つの足根骨間にできる関節の総称である。6種類の関節があって、個々の関節の動きは小さい。なかでも距骨下関節・距踵舟関節・踵立方関節は協力して足の内反と外反に関与する。
距骨下関節:距骨と踵骨の関節で、踵骨が距骨をのせる。
距踵舟関節:距骨の前下面は、踵骨と舟状骨とそれぞれ連結し、3骨の間で大きな複関節をなす。距骨と舟状骨との間は顆状関節になっている。この関節と距骨下関節との間は、距骨と踵骨の間に張る骨間距踵靱帯で隔てられる。
踵立方関節:踵骨の前面と立方骨の後面との関節である。関節形態は不完全ながら鞍関節に属するといわれる。この関節は単独の関節腔を持ち距踵舟関節から独立する。しかし、機能的には距踵舟関節と踵立方関節は横に並んで協調して働くので、両者を併せて1つの関節とみなすことができる。これを横足根関節といい、外科的には足の切断(横断)部位としてショパール関節と呼ばれる。

1 脛骨:距腿関節
脛骨の下関節面および内果関節面と、腓骨の外果関節面が連続して関節窩をつくり、距骨上部の距骨滑車が骨頭となって距腿関節が構成される。

2 立方骨:踵立方関節(距骨とは関節しない)
踵骨の前面と立方骨の後面との関節である。

3 踵骨:距骨下関節・距踵舟関節
距骨下関節は距骨と踵骨の関節で、踵骨が距骨をのせる。
距骨の前下面は、踵骨と舟状骨とそれぞれ連結し、3骨の間で大きなをなす。

4 腓骨:距腿関節
脛骨の下関節面および内果関節面と、腓骨の外果関節面が連続して関節窩をつくり、距骨上部の距骨滑車が骨頭となって距腿関節が構成される。


問20 上腕骨小結節稜に付着するのはどれか。

1 広背筋
2 僧帽筋
3 肩甲挙筋
4 小菱形筋

解答 1

上腕骨頭の外側に2個の隆起があり、それぞれ大結節、小結節と名づける。大結節には棘上筋、棘下筋、小円筋がつき、小結節には肩甲下筋がつく。これらの結節につづいて、大結節稜と小結節稜があり、前者には大胸筋が、後者には大円筋と広背筋がつく。この2個の結節稜の間に結節間溝 があり、上腕二頭筋長頭の腱が通る。

1 広背筋
広背筋は背部の下部および胸部の外側部にある、わり合い薄いが大きい筋である。上部は僧帽筋におおわれる。起始は第6~第8胸椎以下の棘突起、胸腰筋膜、第9~第12肋骨、肩甲骨下角、腸骨稜から起こり、上部はほとんど、水平に、下部はしだいに斜め外上方へ向かい、肩甲骨下部をおおい上腕骨小結節稜に停止する。作用はおもに上腕の内転であるが、強く働けば上腕が内旋され後方に引かれる。胸背神経をうける。

2 僧帽筋
僧帽筋は項部と背部の上部をおおっている左右合わせて菱形になる大きな筋である。起始は後頭骨外後頭隆起、項靱帯、第7頸椎以下の全胸椎棘突起から
起こり、起始腱の中央部は最も広くその上下がせまいので、左右合わせて全体として菱形の腱鏡をつくる。筋束は上部のものは斜め外下方へ、中央部はほとんど、水平に、下部は斜めに外上方へ走る。停止は肩甲棘、肩11嘩、鎖骨の外側1/3。
この筋の作用は上部が働けば肩甲骨、鎖骨を上内方へ上げ、中央部が働けば肩甲骨を内下方に引き下げる。全体としては肩甲骨、鎖骨の外側端を内後方に引く。上肢帯を固定して両側が働くと頭を後ろにそらせる。片側ならば頭をその方にまわす。この筋の支配神経は、副神経と、頸神経叢からの枝である。

3 肩甲挙筋
肩甲挙筋は後方で僧帽筋、側方で胸鎖乳突筋におおわれる。第1~第4頸椎の横突起から起こり、肩甲骨上角と内側縁上部に停止する。作用は、肩甲骨を内上方に引き上げ、肩をすくめる。この筋の支配神経は頸神経叢の枝と肩甲背神経である。

4 小菱形筋
菱形筋は僧帽筋におおわれる薄い菱形の筋で、頸椎より起こる小菱形筋と、胸椎から起こる大菱形筋とがある。筋全体として起始は、第6頸椎以下第4胸椎の棘突起、項靱帯から起こり斜めに外下方に走り、肩甲骨内側縁下部に停止する。作用は、肩甲骨を内上方に引く。肩甲背神経をうける。


問21 舌筋の運動を支配する神経はどれか。

1 舌神経
2 舌咽神経
3 迷走神経
4 舌下神経

解答 4

舌の筋(p.74 舌の筋)

舌の実質は、縦・横・上下方向に交錯して走る横紋筋線維束よりなり、舌の形を微妙に変えることができる。これらの筋は、側頭骨の茎状突起、舌骨、下顎骨のオトガイ部後面などから起こる。舌筋の運動を支配する神経は、舌下神経である。

(注) 舌下神経が麻痺すると、舌を出すとき舌は麻痺側に曲がる。意識障害などで周囲の筋もともに麻痺すると、仰向けに寝たとき舌根が咽頭に落ち込み気道を閉塞する(舌根沈下)。意識障害があるときは、気道の確保が必要である。

1 舌神経

舌神経は三叉神経第3枝の下顎神経の枝で、途中で鼓索神経と合流したのち外側下方から舌に進入する。(p.310 脳神経)
舌前2/3の味覚を除く知覚を支配する (GSA)。この他に、中間神経(顔面神経)の枝の鼓索神経と結合することにより、味覚線維(細胞体は膝神経節に存在する;SVA)と副交感性節前線維(上唾液核に由来する;GVE)を受け、それぞれ舌前2/ 3の味覚と顎下腺と舌下腺の分泌を支配する。

2 舌咽神経

IX:舌咽神経(感覚性・運動性・副交感性)

延髄の上端近くから出る舌咽神経は頸静脈孔を出る。鼓室咽頭および頸動脈洞への枝を出したのち茎突咽頭筋の下を回り、へ入る。咽頭への枝は迷走神経の咽頭枝とともに咽頭神経叢をつくる。
感覚神経 (GVA, SVA)
感覚神経の細胞体は頸静脈孔付近の上・下神経節にあり、その線維は咽頭と舌の後方1/3に分布して、味覚と粘膜の感覚を伝える。また、頸動脈洞と頸動脈小体への枝は血中のCO2濃度と血圧の情報を中枢へ送る。これらの感覚線維は延髄内の孤束核と三叉神経脊髄路核へ入る。
運動神経 (SVE)
延髄の疑核から始まり、茎突咽頭筋を支配する。
副交感神経 (GVE)
延髄の下唾液核から始まり、鼓室への枝を経由し耳神経節に達する。節後線維は耳介側頭神経を経由して耳下腺に分布する。耳神経節は卵円孔の直下で下顎神経の根もとについている。

3 迷走神経

X:迷走神経(感覚性・運動性・副交感性)

延髄から出る太い神経で、舌咽神経、副神経とともに頸静脈孔を通り頭蓋の下面に出たのち内頸静脈に沿って頸部を下行し胸腔に入る。頸部では咽頭への枝や頸動脈小体への枝、上喉頭神経および心臓枝を分枝する。胸部では、右は鎖骨下動脈の前を、左は大動脈弓の横を通り反回神経を分枝したのち、食道の壁に沿い横隔膜を貫いて腹腔に入る。
感覚神経 (GVA,GSA)
上・下2個の神経節があり、咽頭、喉頭から胸腹部の内臓の感覚情報を延髄の孤束核と三叉神経脊髄路核へ伝える。また、耳介と外耳道の一部の皮膚感覚も伝える。
運動神経 (SVE)
延髄の疑核から始まり、軟口蓋や咽頭・喉頭の筋を支配する。
反回神経は、右は鎖骨下動脈の下を、左は大動脈弓の下を回り、反転して気管と食道に枝を出しながら上行し、下喉頭神経となる。飲食物を飲み込む嚥下や発声などを行う。
副交感神経 (GVE)
頸胸部では咽頭、喉頭、気管、心臓、肺、食道に、腹部では胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓などに枝を出す。頸部から胸腹部内臓の平滑筋の運動と、粘液腺や消化腺の分泌を促進するが、心筋に対しては抑制的である。

4 舌下神経

XII:舌下神経(運動性) (GSE)

延髄の舌下神経核から始まる。多数の根糸として延髄の前面に出たのち1本に合して舌下神経管を通る。顎二腹筋後腹と茎突舌骨筋の内側を通り、舌骨舌筋の外側で枝分かれして舌の中に入り、舌筋群に分布する。


問22 大腸にのみみられるのはどれか。

1 腸腺
2 腸間膜
3 腹膜垂
4 輪状ヒダ

解答 3

1 腸腺:小腸・大腸にみられる

小腸では、腸絨毛と腸絨毛との間に小さな孔が開いていているが、これは管状をした腸腺の開口部にあたる。十二指腸では十二指腸腺が発達し、アルカリ性でかつ粘液に富む分泌物を分泌して胃液の酸性を中和し、十二指腸の粘膜を保護する。(p.80 小腸の組織構造と機能 – 粘膜)
大腸には腸絨毛は見られず、腸腺には粘液を分泌する細胞(杯細胞)が多数を占め、消化液の分泌は行われない。大腸では消化作用はほとんどなく、水の吸収が主である。肛門は機械的刺激に強い重層扁平上皮におおわれる。(p.83 大腸の組織構造と機能 – 粘膜)

2 腸間膜:小腸・大腸にみられる

空腸ははじめの2/5を、回腸は終わりの3/5を占める。いずれも、腸間膜をもつ部である。空腸と回腸は腹膜におおわれる。腸をひとまわりした腹膜は合わさって腸間膜となり、後腹壁に向かう。後腹壁についた腹膜はまた2枚に分かれ、後腹壁をおおう壁側腹膜に移行する。壁側腹膜に移行するところを腸間膜根といい、第2腰椎の左側から右腸骨窩に斜走するわずか15cmの長さで、そこから長い空腸と回腸を包む腸間膜が扇を広げたように始まる。(p.79 空腸と回腸)
横行結腸とS状結腸は腸間膜を持ち、移動性があるが、上行結腸と下行結腸は腸間膜を持たず、後腹壁に半ば埋まる。(p.82 結腸の走行と間膜)

3 腹膜垂:大腸のみ

結腸は数cmおきに腸にひもを回して締め付けたようなくびれがあるところから結腸の名がある。このくびれによりつくられた結腸壁のふくらみを結腸膨起と呼ぶ。結腸の表面にはまた、縦に走る幅1cmほどの結腸ヒモというすじが3本、等間隔に並ぶのが見られる。この結腸ヒモには腹膜に包まれた小さな腹膜垂という脂肪の袋がぶら下がる。また粘膜のヒダは半月ヒダがみられる。これらの4つの特徴は結腸を小腸から区別する目印となる。(p.82 結腸の外形的特徴)

4 輪状ヒダ:小腸のみ

小腸の粘膜には内腔に突出し輪状に広がる輪状ヒダが発達する。輪状ヒダは、十二指腸では下方に行くほど増加し、空腸上部で最も発達し、回腸ではヒダは小さく不規則となり、回腸の末端では消失する。 (p.80 小腸の組織構造と機能 – 粘膜)


問23 肝門を出入りしないのはどれか。

1 固有肝動脈
2 肝静脈
3 門脈
4 肝管

解答 2

肝臓は肝鎌状間膜を境に、厚くて大きい右葉と薄くて小さい左葉とに区分される。下面には、両葉に挟まれて小型の方形葉尾状葉がある。下面の中央には肝門があって固有肝動脈門脈肝管などが出入りする。 (p.84 肝臓の位置と形状)
肝門を入った固有肝動脈と門脈は枝分かれをして、グリソン鞘の中でそれぞれ小葉間動脈小葉問静脈となる。小葉間動脈と小葉間静脈の血液は、ともに内腔の広い洞様毛細血管に入り、小葉の中心を走る中心静脈に注ぐ。中心静脈は次第に集まり肝静脈となり、肝臓の上部後面の無漿膜野よりでて下大静脈に注ぐ。(p.84 肝小葉)


問24 副鼻腔とその開口部で正しい組合せはどれか。

1 前頭洞―――中鼻道
2 上顎洞―――上鼻道
3 篩骨洞―――下鼻道
4 蝶形骨洞―――中鼻道

解答 1

副鼻腔(p.63 副鼻腔)

頭蓋骨の中の空洞で、鼻腔と交通しているものを副鼻腔という。前頭洞上顎洞篩骨洞蝶形骨洞からなる。前の3者は中鼻道に開口する(篩骨洞の後部は上鼻道に開口する)。蝶形骨洞は鼻腔の後上方に開く。副鼻腔の内面は鼻粘膜の続きにおおわれ、しばしば鼻腔の炎症が波及して副鼻腔炎を起こす。副鼻腔は鼻腔への出口が狭いので、膿(うみ)の排出が困難でしばしば蓄膿症となる。蓄膿症の治療として洞洗が行われるが、副鼻腔の鼻腔開口部から洗浄器が差し込まれてその中が洗われる。

◯ 1 前頭洞―――中鼻道
2 上顎洞―――中鼻道
3 篩骨洞―――後篩骨洞は上鼻道、前・中篩骨洞は中鼻道
4 蝶形骨洞―――鼻腔の後上方


問25 膀胱について誤っている記述はどれか。

1 男性では直腸の前方に位置する。
2 女性では子宮の前方に位置する。
3 後腹膜器官である。
4 粘膜の上皮は移行上皮である。

解答 3

1 男性では直腸の前方に位置する。
2 女性では子宮の前方に位置する。

膀胱の背後には、男性では直腸が、女性では子宮がある。(p.93 膀胱)

3 後腹膜器官である。
膀胱は腹膜がその上面と後面をおおっているが、下部と前部はおおわれていないので、半腹膜内器官に分類される。腹膜腔の底は男性では直腸と膀胱の間で直腸膀胱窩をつくり、女性では子宮の前後にそれぞれ膀胱子宮窩、直腸子宮窩 (ダグラス窩) をつくる。

4 粘膜の上皮は移行上皮である。
移行上皮は腎杯、腎孟、尿管、膀胱の上皮に見られ、尿の充満度により層の厚さに変化が起こる。


問26 尿道に開口しないのはどれか。

1 前立腺
2 射精管
3 大前庭腺
4 尿道球腺

解答 3

1 前立腺:尿道前立腺部に開口

前立腺は膀胱のすぐ下に位置し先端を下にした栗の実形の腺で、その中央を尿道が貫き、途中で左右の射精管が尿道に合流する。前立腺自身の導管も尿道に開口する。前立腺液は弱アルカリ性で乳白色を呈し、栗の花のような特有のにおいを持つ。重炭酸塩・亜鉛および大量の酸性フォスファターゼなどを含み、精子の運動を促進する働きがある。(p.98 精路 – 付属腺)

2 射精管:尿道前立腺部に開口

骨盤内に入った精管は膀胱の後ろをまわり前立腺を買いて、左右別々に尿道に開く。精管が前立腺を貫くところは著しく細くなって射精管と呼ばれる。また精管が前立腺に入る手前の部分は太くなって精管膨大部を形成する。(p.97 精管)

3 大前庭腺:膣前庭に開口

左右の小陰唇に固まれた領域を膣前庭といい、前部には尿道が開口し(外尿道口)、後部には膣が開いている(膣口)。腔前庭の両側には静脈叢でできた前庭球という海綿体が存在する。これは男性の尿道海綿体にあたる。前庭球の後端にはエンドウ豆大の大前庭腺があり、膣前庭に開口する。大前庭腺は男性の尿道球腺にあたり、性的興奮によって粘液を分泌し、膣前庭を潤す。(p.103 膣前庭)

4 尿道球腺:尿道海綿体部に開口

尿道球腺は前立腺の下方に左右1対あるエンドウ豆大の粘液腺で、性的興奮の際に陰茎の亀頭を潤す。(p.98 精路 – 付属腺)


問27 外頸動脈の枝でないのはどれか。

1 浅側頭動脈
2 眼動脈
3 顎動脈
4 舌動脈

解答 2

総頸動脈(p.305 総頸動脈)

右は腕頭動脈から、左は大動脈弓から直接分枝したのち、気管と甲状腺の外側を上行し、喉頭上縁の高さで二分して内頸動脈と外頸動脈になる。大部分は胸鎖乳突筋におおわれるが、分岐部は頸動脈三角の外側部にあり、体表から強い脈拍を触れる。

内頸動脈

頸部では枝を出さずに側頭骨の頸動脈管を通り破裂孔の上で頭蓋内に出てくる。ここで下垂体や眼窩への枝(眼動脈)を出したのちクモ膜下腔へ入り、脳の血管となる。起始部はふくらんで頸動脈洞となる。
i) 眼動脈:視神経管をへて眼窩に入り、眼球(網膜中心動脈)や外眼筋など、眼窩内の構造への枝を出したのち前頭部の皮膚や上眼瞼への枝となる。
ii) 前大脳動脈:大脳半球の内側面を頭頂葉まで枝を伸ばし栄養する。根もとで出る枝の前交通動脈により左右がつながれる。
iii) 中大脳動脈:内頸動脈の最終枝で、大脳の外側溝の深部を多数の枝を出しながら後上方へ伸びる。大脳の外側面の大部分を栄養する。根もとで内包、間脳や脈絡叢など脳の深部へ多数の細い枝を出す。
iv) 後交通動脈:後大脳動脈と内頸動脈とをつなぐ枝で大脳動脈輪を構成する。

② 外頸動脈

分枝後すぐに上甲状腺動脈舌動脈顔面動脈を前方に向かって分枝し、後方へ後頭動脈などを分枝しながら上行して、顎関節の下方で最終枝の顎動脈浅側頭動脈に分かれる。脳と前頭部、眼窩内を除く頭部のすべての構造を栄養する。
i) 上甲状腺動脈:前頸部の筋や内臓を栄養する枝を出したのち甲状腺に入る。喉頭への枝は上喉頭神経の枝に沿う。
ii) 顔面動脈:顎下腺の深部を通ったのち下顎骨の下縁を越えて顔面に入る。ここで皮下に脈拍を触れる。下唇や上唇への枝を出しながら表情筋の内面や筋の間を内眼角にむけて上行する。
iii) 後頭動脈:乳様突起の内側の溝を通り後頭部へ至り、上項線の付近で皮下に出る。ここで体表から脈拍を触れる。項部や後頭部の筋と皮膚を栄養する。
iv) 浅側頭動脈:外耳孔の前方で皮下に出るところで脈を触れる。その枝は前頭部から頭頂部まで広がる。
v) 顎動脈:側頭下窩で各咀嚼筋への枝、下顎骨への枝、中硬膜動脈そして頬動脈などを分枝したのち、翼口蓋窩に入る。ここで鼻腔や眼窩、口蓋や上顎骨の各部への枝に分かれる。上顎の歯や歯槽、歯肉への枝も出す。蝶形骨の棘孔を通る中硬膜動脈は広い範囲の脳硬膜と脳頭蓋の骨を栄養する。

1 浅側頭動脈
外耳孔の前方で皮下に出るところで脈を触れる。その枝は前頭部から頭頂部まで広がる。

2 眼動脈:内頸動脈の枝
視神経管をへて眼窩に入り、眼球(網膜中心動脈)や外眼筋など、眼窩内の構造への枝を出したのち前頭部の皮膚や上眼瞼への枝となる。

3 顎動脈
側頭下窩で各咀嚼筋への枝、下顎骨への枝、中硬膜動脈そして頬動脈などを分枝したのち、翼口蓋窩に入る。ここで鼻腔や眼窩、口蓋や上顎骨の各部への枝に分かれる。上顎の歯や歯槽、歯肉への枝も出す。蝶形骨の棘孔を通る中硬膜動脈は広い範囲の脳硬膜と脳頭蓋の骨を栄養する。

4 舌動脈
上甲状腺動脈よりやや上方で外頸動脈から出て上内方に向かい、舌に入り舌筋に枝を与える。


問28 クモ膜下腔に直接通じているのはどれか。

1 側脳室
2 第3脳室
3 第4脳室
4 中脳水道

解答 3

脳室系(p.128 脳室系)

大脳半球には前後に長く伸びるアーチ状の側脳室が左右に対をなして存在する。正中部では間脳の間にはさまれて第3脳室が、さらに下がって橋・延髄と小脳に固まれて三角錐状の第4脳室が続く。側脳室と第3脳室は室間孔を介して、第3脳室と第4脳室は中脳水道を介して、それぞれ互いに連結され、第4脳室の下端は細くなって脊髄の中心管となる。また、第4脳室の正中口と、その左右にある外側口と呼ばれる3ヶ所の出口から、脳の表面を包むクモ膜下腔へと通じる。中枢神経系は最初は単純な管として発生したが、屈曲や隆起などによって外形が複雑になるのに伴い脳室の形も複雑になる。
脳室の内面は、上衣細胞という神経膠細胞性の単層立方上皮におおわれる。左右の側脳室・第3・第4脳室の4つの脳室では、その一部で上衣細胞におおわれた毛細血管網が脳室内に突出し、これを脈絡叢と呼ぶ。ここから脳脊髄液が分泌される。


問29 痛覚の伝導路と関係ないのはどれか。

1 脊髄神経節
2 脊髄前角
3 脊髄後角
4 視床

解答 2

外側脊髄視床路

痛覚と温度覚は、脊髄神経節細胞の末梢突起が形成する自由神経終末で受容され、中枢突起をへて脊髄の後角に入る。ここで二次ニューロンに交代し、二次ニューロンから出た神経線維は交叉して反対側の側索にある外側脊髄視床路を上行して視床に至る。視床で三次ニューロンに乗り換え、その神経線維は内包を通り、大脳皮質の中心後回にある体性感覚野に入る。(p.133 上行性伝導路)

1 脊髄神経節
脊髄神経節は脊髄後根にある感覚神経の神経節である。痛覚だけでなく、温度覚や触圧覚などの他の感覚も脊髄神経節を通過する。

× 2 脊髄前角 (運動神経の細胞体があつまる)
ベルマジャンディーの法則は脊髄の前根・後根の部位に対する法則で、「前根を通る神経線維は全て遠心性、後根を通る神経線維は全て求心性」であるが、これを灰白質の部位に広げて考えても良い。「前は運動、後ろは感覚」つまり前角は運動神経の細胞体が集まっていて、後角は感覚神経の2次ニューロンの細胞体が集まっている。

3 脊髄後角
痛覚と温度覚は脊髄後角で2次ニューロンに乗り換える。2次ニューロンに乗り換えたら交叉して反対側の側索を視床まで上行する。

4 視床
視床は大脳に向かうさまざまな感覚の中継核である。嗅覚を除く全ての感覚が視床に集まり、視床でニューロンを乗り換えて大脳に向かう。


問30 横隔神経を出す神経叢はどれか。

1 頸神経叢
2 腕神経叢
3 腰神経叢
4 仙骨神経叢

解答 1

横隔神経は頸神経叢 C3,4からの枝が交通して、始めは前斜角筋の前を下行したのち腕頭静脈に沿って胸郭内に入り、縦隔胸膜の直下を横隔膜まで伸びこれを支配する。運動線維に加えて、横隔膜、心膜および胸膜からの感覚線維を含む。(p.315 頸神経)

※ 横隔神経の高位は脊髄損傷のリハビリテーション医学で重要になる。C3は横隔神経を支配するのでこの部位が障害されると自発呼吸ができず人工呼吸器を用いなければならない。C5は上腕二頭筋を支配するので、これが障害されると自力で肘が曲がらなくなる。C6は手首を背屈させる、C7は手首を屈曲させ、上腕三頭筋を支配する。C8は指を曲げることに関与し、Th1は指を開いたり閉じたりする運動に関与する。


問31 尺骨神経支配の筋はどれか。

1 尺側手根屈筋
2 橈側手根屈筋
3 浅指屈筋
4 長母指屈筋

解答 1

1 尺側手根屈筋
尺側手根屈筋の起始は上腕骨頭と尺骨頭からなり、前者は内側上顆から、後者は肘頭の後面から起こり、両者合して前腕の中ごろから細い腱となり、豆状骨につく。手根をまげる。尺骨神経が支配する。

2 橈側手根屈筋
橈側手根屈筋は上腕骨内側上顆から起こり、下外方に向かい第2中手骨底につく。手根をまげる。正中神経が支配する。

3 浅指屈筋
浅指屈筋は上記の4筋におおわれ、3頭からなり、上腕(骨)頭は内側上顆より、尺骨頭は尺骨粗面の内上側から、橈骨頭は橈骨の上部前面から起こり、合して長掌筋の下層を下り4腱に分かれて、第2~第5指の中節骨底の掌側面につく。第2~第5指の中節をまげる。正中神経の支配をうける。

4 長母指屈筋
長母指屈筋は橈骨の中部前面から起こり、母指の末節骨底につく。母指末節をまげる。正中神経の支配をうける。


問32 下殿神経支配の筋はどれか。

1 梨状筋
2 小殿筋
3 中殿筋
4 大殿筋

解答 4

上殿神経(L4~S1)

L4~S1が合流して神経叢の背側から出る。梨状筋上孔を通って寛骨後面に達し、小殿筋と中殿筋の間を両筋に枝を与えながら走って大腿筋膜張筋に至る筋枝を出す。(p.292 仙骨神経叢)

下殿神経(L5~S2)

L5~S2が合流して神経叢の背側から出る。梨状筋下孔から寛骨後面に出て、大殿筋に枝を出す。(p.292 仙骨神経叢)

1 梨状筋 (仙骨神経叢の枝)
梨状筋は仙骨前面から出て外下方に走り、大坐骨孔を通り前方に向かい、大転子につく。大腿を外方にまわす。また外転する。仙骨神経叢の枝をうける。

2 小殿筋 (上殿神経)
小殿筋は中殿筋のさらに下層にあり、腸骨翼の外面から起こり、下外方に向かい大転子につく。大腿を外転する。上殿神経をうける。

3 中殿筋 (上殿神経)
中殿筋は大殿筋におおわれ腸骨翼の外面、腸骨稜などから起こり、外下方に向かい、大腿骨大転子につく、大腿を外転する。上殿神経をうける。

◯ 4 大殿筋 (下殿神経)
大殿筋は殿部を形成する強大な筋で、腸骨翼外側面、仙骨、尾骨の外側縁などから起こって斜め外下方に向かい大腿骨上部の殿筋粗面につく。大腿を後ろに引きかつ外旋する。上部だけ働けば大腿は外転する。下殿神経をうける。


問33 副交感神経線維を含む脊髄神経はどれか。

1 頸神経
2 胸神経
3 腰神経
4 仙骨神経

解答 4

交感神経の節前ニューロンは胸髄腰髄(T1~12または3) の側角から起始し、その線維は前根を経由して脊髄神経に合流する。(p.144 交感神経系)
副交感神経の節前ニューロンは、脳幹のいくつかの神経核(脳神経 III, VII, IX, X)と脊髄(仙髄)の側角に位置する。(p.145 副交感神経系)

骨盤内臓神経(S2~4)

骨盤部の副交感神経である。節前ニューロンは、仙髄の側角から起始し、仙骨神経に混ざって前仙骨孔から出る。その後、各骨盤内臓に分布して、主に臓器壁内で節後ニューロンに交代する。膀胱壁の平滑筋(排尿)、直腸壁の平滑筋(排便)を収縮させるほか、陰茎の血管を弛緩・拡張させ、陰茎海綿体内を充血させることで勃起に関与する。(p.145 副交感神経系)


問34 眼球で硝子体に接するのはどれか。

1 結膜
2 網膜
3 強膜
4 脈絡膜

解答 2

眼球の壁は3層からなり、その内部は、水晶体により前後に二分される。水晶体の前方の空間は眼房水という水様透明な液体で、後方の広い空間はゼリー状の硝子体で満たされている。(p.148 眼球)

つまり、硝子体は水晶体より後方の空間を満たしている。眼球壁の3層構造のうち最内層が硝子体と接している。眼球壁の内層は網膜だ

眼球壁の構造
  • 外層(眼球線維膜)
    • 角膜
    • 強膜
  • 中層(眼球血管膜)
    • 脈絡膜
    • 毛様体
    • 虹彩
  • 内層(網膜)

1 結膜

眼瞼(まぶた) は、眼窩の前面をおおう皮膚のひだで、上下2枚からなり眼球を保護している。内面には血管と神経に富む眼瞼結膜があり、その結膜は奥で結膜円蓋をつくって折れ返り、眼球の前面をおおう眼球結膜に移行する。この粘膜は、細菌やウイルスの感染で炎症を起こしやすい(結膜炎)。(p.151 眼瞼(まぶた))

2 網膜

網膜は光の刺激を神経の興奮に変えて視神経に伝える。網膜は3層の神経組織からなる神経層(視細胞層、双極細胞層、神経節細胞層)とその外層の色素上皮層からなる。(p.150 眼球壁の内層(網膜))

3 強膜

強膜は眼球の後5/6を包む、滑らかで強靱な線維性の結合組織でできている。血管が少ないため白色で、その後部は視神経を包む膜に移行する。(p.148 眼球壁の外層(線維膜))

4 脈絡膜

脈絡膜は強膜の内面にある暗褐色の薄膜で、メラニン色素細胞と血管に富む柔軟な結合組織層である。これは眼球内部を暗室とし、光の乱反射を防ぐのに役立っている。(p.148 眼球壁の中層(血管膜))


問35 聴覚器と関係ないのはどれか。

1 耳神経節
2 蝸牛神経
3 鼓室
4 ラセン器

解答 1

1 耳神経節

舌咽神経の副交感性節前線維は、延髄の下唾液核から始まり、鼓室への枝を経由し耳神経節に達する。節後線維は耳介側頭神経を経由して耳下腺に分布する。耳神経節は卵円孔の直下で下顎神経の根もとについている。(p.310 脳神経)

2 蝸牛神経
3 鼓室
4 ラセン器

蝸牛(p.154 蝸牛)

文字通りカタツムリの殻に似ていて、蝸牛軸をラセン管が2巻き半取り巻いている。ラセン管の横断面をみると、その内部は2階だてになっており、1階の鼓室階と2階の前庭階に分かれ、その間に中2階として膜迷路に相当する蝸牛管が仕切られている。蝸牛管の床の基底板上にある上皮細胞は丈が高くなり、ラセン器(コルチ器)を形成し音を感受する。蝸牛神経は蝸牛軸内でラセン神経節をつくりラセン器に分布する。
鼓膜を震わせた音の振動は耳小骨を通じて前庭窓に達し、前庭階を満たす外リンパの液体の振動に変えられる。外リンパの振動は蝸牛の前庭階を昇りつめると鼓室階に移り、鼓室階を下る。すなわち、両階は蝸牛の頂部で連絡し外リンパで満たされ、蝸牛窓で消失する。この外リンパの振動は中2階をなす蝸牛管の内リンパに伝えられ、その振動はラセン器の有毛細胞を刺激して音を感受する。


問36 皮膚の構造のうち大量の膠原線維を含むのはどれか。

1 爪
2 角質層
3 皮脂腺
4 真皮

解答 4

皮膚の構造は3層構造
– 表皮(重層扁平上皮)
– 真皮(密性結合組織)
– 皮下組織(疎性結合組織)

大量の膠原線維を含むというのは、すなわち密性結合組織のこと。

線維性結合組織は線維の密度や配列により密性結合組織と疎性結合組織に分けられる。密性結合組織では、線維が密に平行にまたは交叉するような方向に配列し、引っ張りに強い力を発揮する。靱帯や腱、真皮や眼球の強膜などに、その例が見られる。疎性結合組織では、線維は疎で不規則な方向に走りその間隙に多種類の細胞を入れ、全体として柔軟で、種々の機能を果たす。(p.13 線維性結合組織)

1 爪:表皮の変形したもの・・上皮組織
表皮が変形したものなので上皮組織だ。硬いからといって大量の膠原線維が含まれるのではない。コラーゲン(膠原線維)とケラチン(角質)を混同しないように。

2 角質層:表皮の最表層・・上皮組織

表皮の断面には、上皮細胞が生まれてから角化してゆく過程が、基底層・有棘層・顆粒層・淡明層・角質層の5つの層として観察される。角質層は表皮の最表層。(p.27 表皮)

3 皮脂腺:腺上皮・・上皮組織

脂腺は毛包に付属し(毛包腺)、毛包の上1/3の位置に開口する。脂腺の腺細胞は自身のつくった脂肪性の分泌物で満たされ、変性・退化して排出される(ホロクリン分泌)、脂肪性の分泌物は皮膚や毛につやを与え表面を柔らかくする。(p.30 脂腺)

上皮細胞が分泌物をつくって細胞外に分泌する働きを持つときに、その細胞を腺細胞といい、それらが集まって腺上皮がつくられる。(p.12 腺上皮)

皮脂腺や小汗腺、大汗腺などの皮膚に付属する腺は腺上皮でできている。上皮ということは重層扁平上皮である表皮の一部であるということだ。よって密性結合組織ではないと考える。

4 真皮:密性結合組織

真皮は太い膠原線維が交錯してできる丈夫な層で、表皮の裏打ちをして皮膚本体の機械的な強靱さをつくりだす。表皮との境界には真皮側から乳頭が突き出し、ここに毛細血管や感覚神経の終末が入り込んでいる。血管網は真皮の浅層と深層の2面に広がる。
老年になると真皮の膠原線維は増加し、弾性線維は変性・断裂し、間質の水分は減少して皮膚は弾力性を失い、たるみ、しわを生じる。(p.28 真皮)


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