右坐骨結節痛。長内転筋のスパズムと半膜様筋

note 解剖学マガジン

ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

かずひろ先生の解剖学マガジンのポイント
1 とにかく図が豊富
2 解説、一問一答、国試過去問で効率良く学べる
3 ポイントは表形式でまとめられ、覚えるポイントが明確
4 オンライン講座と連動。アーカイブ動画で何度でも学習できる

解剖学マガジン|note

 

昨日お越し頂いたクライアントさま。

「妊娠9ヶ月でも大丈夫でしょうか」とのファーストコンタクトでした。
はい。大丈夫です。横向きを中心に施術させていただきます。

と返信いたしました。
そして、ご予約が入りました。

差し支えなければ、お困りの症状などお聞かせいただけますと、事前準備やアドバイスなど、より良いものが提供できるかもしれません。

と申し出たのですが、その件に関するお返事は特にありませんでした。
そして、実際にご来室いただきました。

主訴は右坐骨結節の痛みでした。
動き始めや、朝起きた時、椅子に座るときなどに特に痛いとのこと。

始めにゆがみーるで姿勢分析をおこなってみました。やはり右に痛みがあるからか、下半身の支持基底面中央に比較して、眉間-顎のライン、つまり上半身は左に変位していました。

指圧の世界は「診断即治療」という言葉を大切にします。
これには、いろいろな解釈があると思いますが、私の解釈としては「診断」をして、「治療」という時間的差異があるものではなく、手指の感覚と大脳、そして押圧に必要な筋群を直結するような感覚で、指先の感覚入力によりリアルタイムで圧加減を調節し、最適解を追求することだと思っています。

そして、妊婦さんですと、横向きという先入観もあったと思います。
坐骨結節痛に関して、検査で原因筋を特定してからではなく、全身治療の原則に従い、左を上にした横向き(左横臥位/右側臥位)から指圧を開始いたしました。

もちろん、首も凝っていました。肩甲骨間も張っていました。
そして、右の長内転筋にかなりの痙縮(スパズム)を感じました。一方、右のハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋・半膜様筋)には、さほどの張りを感じませんでした。

私は、右の長内転筋のスパズムがこの坐骨結節痛の根本原因なのではないかなと思いました。ですが、長内転筋は坐骨結節に起始停止を持っていません。

ハムストリングスの張りをあまり感じず、内転筋群のテンションを感じましたので、大内転筋のスパズムの可能性を感じましたが、坐骨結節の内側に付着する大内転筋を押圧しても、圧痛はあまりなさそうです。

そこで、横臥位で肩から、背中を含めて、骨盤下では長内転筋のリリースを丁寧に念入りにおこなってみました。

妊婦さんなので、うつ伏せはできません。だから横向きでなるべく足も施術いたしまた。
仕上げに仰向けをお願いしたときに、やはり痛そうです。
向きを変えるときに「イタタタタッ」という感じです。

私は、そこで操体法を適用してみました。
仰向けで、両方の膝を立てた姿勢で左に倒すのと、右に倒す感覚を味わってもらいます。
そして、痛みがある。ひっかかる感じがする。嫌な感じ、心地よい感じ。
そんな感覚を味わってもらい、嫌ではなく動かしやい方向に少し抵抗を加えて、その筋のテンションが足から骨盤、背中、首へと繋がる感覚を味わうようにしてもらい、ふっと脱力する。そんな操作を数度繰り返しました。

もう一度、動きの診断をおこなってみました。少し痛みや可動域は改善したようです。
ですが、まだすごい痛そう。

そのときまで、触れた感覚から、私は長内転筋のスパズムが主となる原因という仮定を持っていました。

私はエビデンスを確認するために、少しお待ちいただけますかと一声かけて、Macを開き、トリガーポイントマニュアル III 下肢編(1)で長内転筋の関連痛出現部位を調べました。すると、やはり長内転筋は坐骨結節に付着していないのもあり、大腿前面に痛みが放散する図が書かれていました。

私は個人で利用するためにトリガーポイントマニュアルを電子化して、全文検索できるようにしています。そこで「坐骨結節」と全文検索をしたところ、ヒットしたのは半膜様筋でした。

まさに、坐骨結節そのものが一番痛くなる図が描かれていました。
横向きで、ほんの少し膝関節が屈曲した弛緩した状態では指で感じられなかった半膜様筋の過緊張が、あらためて仰臥位で触診をしたらありました。

それも、かなりの。。びっくりするくらいのスパズムです。
これだけ強く縮んでいたら、それは痛みが出るのは当たり前だというくらいの張りです。

それを、横臥位に姿勢でさわってわからなかった自分自身の未熟さを思い知らされました。その時点で、ご予約いただいた時間枠は過ぎておりました。

私は、このまま一番に原因筋がこれであるという可能性が一番高い筋がわかって、それでもまだ強い痙縮が残っているままでお帰りいただくのは申し訳ないので、お時間があれば、もう少し、半膜様筋にスパズムをとらさせていただきますが、いかがでしょうかとオファーしました。

ですが、そのお方は9ヶ月の妊婦さんということもありますが、お迎えの時間が有るとのことで、そのあたりで指圧治療を終了にいたしました。

セルフでできる半膜様筋の筋膜リリースの方法などをアドバイスさせていただき、セッションを終了いたしました。
ーーーーーーーーー
トリガーポイントマニュアルは一通り目を通していたはずだったのですが、坐骨結節痛と半膜様筋のスパズムは正直、直感できませんでした。解剖学の起始停止でいえば、起始する筋の一つなので最有力候補であるのは間違いないです。当たり前の話ですが。

いまは絶版でamazonで買うと古書で8万です…(ぼったくりすぎ??)
https://amzn.to/3fnUh3j

全ての人は基本的に忙しい。
もしくは、施術者はクライアントの一部の時間を使って、施術をさせていただいている。
単位時間の価値は、人それぞれです。

時間があまっている人もいれば、忙しい時間に中で過ごしている人もいます。
じっくりやってあげたいから。丁寧にやってあげたいから。
それで、時間を大幅にオーバーして施術するのは、良いことでは無いと思っています。
私たちは、クライアント様に貴重な時間を割いてもらって、お金をいただいて身体にアプローチさせていただいている。

ーーーーー
手技療法家としては、もっとずっと楽にして帰ってもらいたかったと思っています。
帰りに、全然来た時と違います。楽ですとおっしゃていただいたのですが、私の知識とスキルがもっと熟練していれば、もっと楽にかえっていただけたと思います。

だれも、自分一人の力や努力、学びだけでは到達できないと思います。
言語ひとつとっても、あたりまえです。何百、何千年の営みがあって、今の会話があります。いまは絶版となったトリガーポイントマニュアル。

古本で買うとむっちゃ高いです。でもその値段でも売れ続けるので、古書商はその値段をつけています。

私は電子化したトリガーポイントマニュアルを持っていますが、そこまで読み込んでいませんでした。
今回、坐骨結節痛をきっかけとして、やっぱりトリガーポイントマニュアルは本当にすごいんだと実感しました。

トリガーポイントやアナトミートレイン。経穴や経筋。
筋膜や皮神経。結合組織。皮膚。

身体を形作る全てが全てが平等に大切です。

筋肉と骨。どっちが大切ですか?
神経と血管。どっちが大切ですか?

どちらもなくては生きていけません。

身体の構成要素に優劣はないと思っています。
今も昔も。私は誰かの役に立ちたい。
誰かの痛みや不調の改善の役に立てたら嬉しい。

そういう思い、信念で勉強を続けています。

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ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

かずひろ先生の解剖学マガジンのポイント
1 とにかく図が豊富
2 解説、一問一答、国試過去問で効率良く学べる
3 ポイントは表形式でまとめられ、覚えるポイントが明確
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