【詳細解説】脳梁を構成する線維はどれか (2014年 あマ指 問題30)

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ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

かずひろ先生の解剖学マガジンのポイント
1 とにかく図が豊富
2 解説、一問一答、国試過去問で効率良く学べる
3 ポイントは表形式でまとめられ、覚えるポイントが明確
4 オンライン講座と連動。アーカイブ動画で何度でも学習できる

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脳梁を構成する線維はどれか (2014年 あマ指 問題30)
1 弓状線維
2 交連線維
3 投射線維
4 連合線維

【考え方】

大脳白質の分類問題。まずは灰白質と白質について確認し、その後大脳の神経線維の分類を見ていこう。

灰白質と白質

  • 灰白質 (grey matter):中枢神経で神経の細胞体が集まる場所
  • 白質 (white matter):中枢神経で神経線維が集まる場所。
  • 神経核 (nuclei):白質の中に埋もれた灰白質の塊

※ 髄鞘(ミエリン)が肉眼で白くみえるので、神経線維があつまると白色となる。
※ 脊柱では内側が灰白質で、外側が白質であるのに対して、大脳は外側が灰白質で、内側が白質と位置関係が逆となる。
※ 神経核は中枢神経の話だが、末梢神経で神経細胞体が集まっている場所は神経節という。

大脳の組織構造

  • 大脳皮質:大脳の表層を占める灰白質の部分
  • 大脳髄質:大脳の深層を占める白質の部分
  • 大脳基底核:大脳の白質内にある神経核。
  • 被殻
  • 尾状核
  • 淡蒼球
  • 扁桃体
  • 前障

※ 被殻と尾状核を合わせて線条体。被殻と淡蒼球を合わせてレンズ核という。

大脳の白質を構成する3種類の神経線維

投射線維 (projection fibers)

大脳皮質と脳内の下位(大脳基底核・脳幹・小脳)や脊髄を連絡する線維。内包と「放線」と名前がつくものが投射線維だ。

  • 内包 (internal capsule):レンズ核と尾状核・視床の間を通過する線維束。大脳に出入りする神経線維の大部分が内包を通る。
  • 放線冠 (corona radiata):内包を中心として大脳皮質の方向に扇のように線維が広がっている場所。
  • 視放線 (optic radiation):外側膝状体(LGB)から1次視覚野(有線領)に向かう視覚路の神経線維束。
  • 聴放線 (acoustic radiation):内側膝状体(MGB)から1次聴覚野(横側頭回)に向かう聴覚路の神経線維束。

交連線維(commissural fibers):

左右の大脳半球を連絡する。脳梁が最も重要。他に前交連、後交連、脳弓交連などがある。前交連、後交連などは「交連」と名前についているので交連線維であることは一目瞭然。つまり脳梁が交連線維だと覚えればよい。
※ 梁(はり)とは建物の水平短径方向に架けられ、床や屋根などの荷重を柱に伝える材のこと。解剖用語は漢字で分解し、漢字一文字のもつ意味をイメージすると覚えやすくなる。

  • 脳梁 (corpus callosum):大脳縦裂の底部で、左右の大脳半球を結ぶ横走線維束。
  • 前交連 (anterior commissure):第三脳室の前壁をつくる終板の後ろにある横走線維束。
  • 後交連 (posterior commissure):第三脳室後方の中脳水道に連なる部位のすぐ上方にある横走線維束。
  • 脳弓交連 (commissure of fornix):左右両側の脳弓を連絡する横走線維束。

連合線維 (association fibers):

連合線維は同側の大脳半球の皮質各部を連絡する。

  • 弓状線維 (arcuate fibers):連合線維の中でも短く、同じ回または隣の回を結ぶ線維束。
  • 上縦束 (superior longitudinal fascicle):前頭葉の前部と後頭葉・側頭葉を結ぶ。
  • 下縦束 (inferior longitudinal fascicle):後頭葉と側頭葉を結ぶ。
  • 後頭前頭束 (occipitofrontal fasciculus):前頭葉と後頭葉を結ぶ。
  • 鉤状束 (uncinate fasciculus):前頭葉の下部と側頭葉の前部を結ぶ。
  • 帯状束 (cingulum):帯状回を構成する線維束。

【回答と選択肢の考察】

解答2

1 弓状線維:連合線維のひとつ。
2 交連線維:脳梁、前交連、後交連
3 投射線維:内包、放線冠、視放線、聴放線
4 連合線維:弓状線維、上縦束、下縦束、鉤状束、帯状束など

改めて言う。この問題は
投射線維:内包! と「放線」とつくもの。
交連線維:脳梁!

これにつきる。

【知識の確認】

  • 中枢神経で神経の細胞体が集まる場所を(  )という。
  • 中枢神経で神経線維が集まる場所を(  )という。
  • 白質の中に埋もれた灰白質の塊を(  )という。

大脳の白質は3種類に分けられる。

  • 大脳皮質と脳内の下位や脊髄を連絡する線維を(  線維)といい、以下のようなものがある。
  • レンズ核と尾状核・視床の間を通過する線維束を(  )といい、大脳に出入りする神経線維の大部分が通る。
  • 内包を中心として大脳皮質の方向に扇のように線維が広がっている場所を(  )という。
  • 外側膝状体(LGB)から1次視覚野(有線領)に向かう視覚路の神経線維束を(  )という。
  • 内側膝状体(MGB)から1次聴覚野(横側頭回)に向かう聴覚路の神経線維束を(  )という。
  • 左右の大脳半球を連絡する線維を(  線維)といい、以下のようなものがある。
  • 脳縦裂の底部で、左右の大脳半球を結ぶ横走線維束を(  )という。
  • 第三脳室の前壁をつくる終板の後ろにある横走線維束をを(  )という。
  • 第三脳室後方の中脳水道に連なる部位のすぐ上方にある横走線維束を(  )という。
  • 同側の大脳半球の皮質各部を連絡する線維を(  線維)といい、弓状線維、上縦束、下縦束、鉤状束、帯状束などがある。

  • 中枢神経で神経の細胞体が集まる場所を(灰白質)という。
  • 中枢神経で神経線維が集まる場所を(白質)という。
  • 白質の中に埋もれた灰白質の塊を(神経核)という。

大脳の白質は3種類に分けられる。

  • 大脳皮質と脳内の下位や脊髄を連絡する線維を(投射線維)といい、以下のようなものがある。
  • レンズ核と尾状核・視床の間を通過する線維束を(内包)といい、大脳に出入りする神経線維の大部分が通る。
  • 内包を中心として大脳皮質の方向に扇のように線維が広がっている場所を(放線冠)という。
  • 外側膝状体(LGB)から1次視覚野(有線領)に向かう視覚路の神経線維束を(視放線)という。
  • 内側膝状体(MGB)から1次聴覚野(横側頭回)に向かう聴覚路の神経線維束を(聴放線)という。
  • 左右の大脳半球を連絡する線維を(交連線維)といい、以下のようなものがある。
  • 脳縦裂の底部で、左右の大脳半球を結ぶ横走線維束を(脳梁)という。
  • 第三脳室の前壁をつくる終板の後ろにある横走線維束をを(前交連)という。
  • 第三脳室後方の中脳水道に連なる部位のすぐ上方にある横走線維束を(後交連)という。
  • 同側の大脳半球の皮質各部を連絡する線維を(連合線維)といい、弓状線維、上縦束、下縦束、鉤状束、帯状束などがある。

【一問一答】8.2.6.2 神経系 – 大脳基底核・大脳白質

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