2017年 第25回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 生理学 問題27〜37 解答

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ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

かずひろ先生の解剖学マガジンのポイント
1 とにかく図が豊富
2 解説、一問一答、国試過去問で効率良く学べる
3 ポイントは表形式でまとめられ、覚えるポイントが明確
4 オンライン講座と連動。アーカイブ動画で何度でも学習できる

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2017年 第25回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 生理学 問題27〜37 解答

問題27 血液凝固因子はどれか

1 ヘパリン
2 ビタミンB12
3 ウロキナーゼ
4 カルシウムイオン

解答 4

1 × ヘパリン:抗凝固因子
ヘパリンは血液凝固を阻止する(抗凝固因子)。

プラスミン以外に血液中に生理的に存在する抗凝固因子には、へパリンやアンチトロンビンIIIなどがある。へパリンは、アンチトロンビンIIIの作用を増強して、トロンビンなどを不活性化する。肝臓から抽出されたへパリンは強力な凝固阻害因子で動脈血栓症急性期の治療薬として多用される。(生理学 p.26 線維素溶解)

2 × ビタミンB12:抗貧血ビタミン
ビタミンB12や葉酸は、骨髄における赤血球の新生を促すビタミンで、抗貧血ビタミンと呼ばれる。血液凝固とは関係ない。

3 × ウロキナーゼ:プラスミノゲンアクチベーター(線維素溶解を引き起こす)
ウロキナーゼは不活性型のプラスミノゲンを活性型のプラスミンに変換するプラスミノゲンアクチベーターとして働く。プラスミンはフィブリン(線維素)を溶解する線維素溶解(線溶)を引き起こす。

4 ○ カルシウムイオン
血液凝固の第IV因子。

血液凝固は血液凝固因子が次つぎと活性化されて連鎖反応的に起こる。

(1) 第1相(種々の血液凝固因子が活性化される相):出血などで血液が異物と接触したり組織の崩壊によって、血漿中の種々の凝固因子、血小板因子、組織因子、血漿中のCa2+が作用し合い、第X因子が活性化される。
(2) 第2相(トロンビンの生成される相):活性型第X因子は、Ca2+の存在下で、血築中のプロトロンビンを活性化してトロンビンに変える。プロトロンビンの産生にはビタミンKが必要なので、ビタミンKの不足で、血液凝固障害が起こる。
(3) 第3相(フィブリンの生成される相):トロンビンは、Ca2+の存在下で、血漿タンパクであるフィブリノゲンに作用してフィブリンに変える。フィブリンの線維網に血球が捉えられて血液凝固が完了する。(生理学 p.23 止血)

問題28 固有心筋について誤っているのはどれか。

1 ギャップ結合がある。
2 不随意筋である。
3 横紋筋である。
4 強縮する筋である。

解答 4

1 ○ ギャップ結合がある。
心筋の各筋線維は隣接する細胞とギャップ結合によって電気的に連絡しており、多数の心筋線維は同時に興奮してあたかも1個の筋線維のように働く。このため、心筋を機能的合胞体ともいう。(生理学 p.225 心筋と平滑筋)

2 ○ 不随意筋である。
心筋は意志によって調節することのできない不随意筋であり、自律神経の支配を受ける。(生理学 p.30 心臓の構造と働き)

3 ○ 横紋筋である。
心筋は骨格筋と同様に細胞内にアクチンフィラメントとミオシンフィラメントが規則正しく配列した横紋構造を持つ。(生理学 p.225 心筋と平滑筋)

4 × 強縮する筋である。
心筋の活動電位の不応期は骨格筋に比べて非常に長く、そのため心筋の収縮は常に単収縮のみであって、骨格筋のように強縮を起こすことはない。

問題29 動脈血中の濃度が上昇すると呼吸運動を促進するのはどれか。

1 ヘモグロビン
2 酸素
3 水素イオン
4 重炭酸イオン

解答 3

1 × ヘモグロビン
ヘモグロビンは赤血球の中の血色素。酸素を運ぶ能力であり、呼吸運動の促進とは関係ない。

2 × 酸素
血液中の酸素分圧の減少は呼吸運動を促進する。

3 ○ 水素イオン
血液中の水素イオン濃度の増加はpHの低下をもたらす。pHの低下は呼吸性アシドーシスを引き起こすので、水素イオン濃度の増加により呼吸数が増え、水素イオンを低下させる調節が働く。(生理学 p.62 呼吸運動とその調節)

4 × 重炭酸イオン
血液中のCO2分圧の増大は呼吸数増加を引き起こすが、重炭酸イオン(HCO3)として存在している場合は、緩衝作用により体内の酸塩基平衡を保つのにも重要な役割をはたすので、重炭酸イオンの増加が呼吸数増加を引き起こすことはない。

頸動脈洞の近くにある頸動脈小体および大動脈弓にある大動脈小体(あるいは大動脈体)には、血中のO2分圧の減少あるいはCO2分圧の増大、pHの低下に反応する化学受容器がある。この受容器からの情報は、おのおの舌咽神経および迷走神経を介して呼吸中枢に伝えられ、呼吸運動が促進される。動脈内にあるこの化学受容器を延髄の中枢性化学受容器と区別して、末梢性化学受容器ともいう。(生理学 p.62 呼吸運動とその調節)

問題30 消化酵素とそれが作用する栄養素の組み合わせで正しいのはどれか

1 アミラーゼ — ラクトース
2 リパーゼ — デンプン
3 トリプシン — タンパク質
4 ヌクレアーゼ — 脂肪

解答 3

1 × アミラーゼ — ラクトース デンプン
アミラーゼは、デンプンをマルトース(麦芽糖)に分解する。

2 × リパーゼ — デンプン 脂肪
リパーゼは脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解する。

3 ○ トリプシン — タンパク質
トリプシンとキモトリプシンはタンパク質をペプチドに分解する。(生理学 p.76 消化液)

4 × ヌクレアーゼ — 脂肪 核酸
ヌクレアーゼは核酸を分解する。

問題31 小腸で主に能動的に吸収されるのはどれか。

1 水
2 脂肪酸
3 塩化物イオン
4 グルコース

解答 4

1 水:Na+の再吸収に伴い受動的に吸収される。
成人1日当たりの水の摂取量は約2l、分泌される消化液の量は約7lである。これらの消化管内の水分の約83%は小腸、約16%は大腸で吸収され、残りの1%程度が糞便中に排泄される。小腸ではNa+、Clの透過性が非常に高い。Na+の吸収の大部分は能動的に、一部は濃度差により受動的に行われる。Clや水の吸収は一般にNa+の再吸収に伴い受動的に行われる。

2 脂肪酸:ミセルから離れて拡散によって小腸上皮細胞内に吸収される。
脂肪は、脂肪酸とモノグリセリドに分解されるが、これらは水溶性ではないので、そのままでは、管腔内を移動しにくい。脂肪酸とモノグリセリドは胆汁酸とともに小さな水溶性の脂質集合体(ミセル)を作って微絨毛表面に達し、ここでミセルから離れて拡散によって小腸上皮細胞内に吸収される。

3 塩化物イオン:Na+の再吸収に伴い受動的に吸収される。

4 グルコース:能動輸送によって速やかに吸収され、門脈血中に入る
糖質は、単糖類(グルコース、ガラクトース、フルクトースなど)に分解されて初めて吸収される。グルコースとガラクトースは主に能動輸送によって速やかに吸収され、門脈血中に入る。(生理学 p.84 吸収)

問題32 体温について正しいのはどれか

1 口腔温は直腸温より高い
2 夜間は日中より高い
3 月経後に高い
4 食後に高い

解答 4

1 × 口腔温は直腸温より高い
口腔温は直腸温より低い
健康成人の体温は腋窩温で36.0~36.7℃であり、口腔温は36.5~37.0℃、直腸温は37.0~37.5℃である。(生理学 p.108 体温調節)

2 × 夜間は日中より高い
夜間は日中より低い
体温は夜間から早朝にかけては低く、日中は高い。その差は0.5~0.7℃である。(生理学 p.108 体温調節)

3 × 月経後に高い
基礎体温は月経時から排卵前まで低温期が続き、排卵を境に高温期となり、次の月経で再び低温期に入る。低温期と高温期の間には約0.5°Cの差がある。これは体温上昇作用を持つ黄体ホルモン(プロジェステロン)の作用による。(生理学 p.108 体温調節)

4 ○ 食後に高い
食物摂取後数時間、消化管運動が高まり、吸収された物質の代謝が増加して熱が発生する。この場合の産熱を食事誘発性産熱反応(特異動的作用)という。(生理学 p.111 体熱の産生と放散)

問題33 腎臓で再吸収されないのはどれか

1 尿素
2 アミノ酸
3 水素イオン
4 ナトリウムイオン

解答 3

1 尿素:再吸収・分泌ともに行われる。
尿素や尿酸は再吸収と分泌の両方向の輸送が行われる。(生理学 p.120 尿生成)

2 アミノ酸:近位尿細管で再吸収
水、Na+、Cl、HCO3(重炭酸イオン)、アミノ酸、グルコースなど、身体にとって有用な成分も多く含まれる。尿細管ではこれらの身体にとって有用な物質が大部分再吸収される。(生理学 p.120 尿生成)

3 水素イオン:尿細管より尿中に分泌される。(尿中に排出)
尿細管はある特定の物質を尿細管腔中に分泌して、尿中に排出する働きを持つ。体液の酸塩基平衡の調節と関連して、アンモニアやH+、K+が分泌される。(生理学 p.120 尿生成)

4 ナトリウムイオン:尿細管で再吸収される
濾液中のNa+が能動的に再吸収され、次いでClも電気的勾配に沿って再吸収される。その結果、これに伴う浸透圧変化によって水が受動的に再吸収される。(生理学 p.120 尿生成)

問題34 視床下部によって調節されるのはどれか

1 感覚機能
2 飲水行動
3 嘔吐反射
4 姿勢保持

解答 2

1 感覚機能
感覚情報の中継であれば視床の機能。

2 ○ 飲水行動
視床下部外側野には、体液の浸透圧の変化を感受し、体内の水分量を調節する中枢がある。(生理学 p.187 視床下部)

3 嘔吐反射:延髄 嘔吐中枢
呼吸・循環・嚥下・嘔吐・唾液分泌は延髄

4 姿勢保持:大脳基底核や小脳など。姿勢反射中枢であれば中脳。

問題35 姿勢維持に関与する筋の特徴として誤っているのはどれか。

1 収縮速度が遅い。
2 白筋である。
3 疲れにくい。
4 ミオグロビン量が多い。

解答 2

1 ○ 収縮速度が遅い。

2 × 白筋である。
姿勢維持に関与する筋は赤筋である。

3 ○ 疲れにくい。
4 ○ ミオグロビン量が多い。

姿勢維持に関与する筋は赤筋である。
骨格筋には、白筋と赤筋とがある。白筋は赤筋よりミオグロビン量が少なく、従って赤味も少ない。白筋は収縮速度が速く、疲労しやすく、速筋とも呼ばれ、速い運動に関与する。赤筋は逆に収縮速度が遅く疲労しにくく、遅筋とも呼ばれ、姿勢保持のような持続的な筋収縮に関与する。(生理学 p.218 骨格筋の構造と働き)

問題36 触圧覚が最も敏感なのはどれか。

1 口唇
2 前腕
3 背部
4 下腿

解答 1

触覚は、皮膚の表面に軽く触れたときに感ずる。圧覚は、圧迫されたり引っ張られたりすることによって生ずる。触覚と圧覚には連続的な移行があり、質的に共通したものと考えられる。いずれも、皮膚の変形によって、触点が刺激されて起こる感覚である。
触点の密度は指先や口唇で高く、上腕や下腿などで低い。触点の刺激閾値も、その密度の高いところほど、小さい値をとる。(生理学 p.253 体性感覚)

問題37 早朝に最も分泌が高くなるのはどれか。

1 メラトニン
2 成長ホルモン
3 インスリン
4 コルチゾール

解答 4

1 × メラトニン:就寝前〜就寝直後(23時〜2時)に高い
メラトニンは夜間に分泌が増えて、昼間低下する。

2 × 成長ホルモン:睡眠中に高い
3 × インスリン:食後に高い(睡眠とは無関係)
4 ○ コルチゾール:早朝〜朝 (5時〜7時) に高い。

副腎皮質ホルモン、副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)、メラトニンなどのホルモンの血中濃度は日内リズムを示す。コルチゾールが早朝に濃度が高くなるのは、血糖値をあげて日中の活動に身体の状態を備えるため。


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