2016年 第24回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題16〜26 解答
問題16 受精と発生について正しいのはどれか。
1 受精は卵管膨大部で起こる。
2 受精と同時に透明帯は消失する。
3 桑実胚の状態で着床する。
4 胎盤で母体と胎児の血液が混ざり合う。
解答 1
1 ◯ 受精は卵管膨大部で起こる。(p.104 受精)
2 受精後6〜 7 日目に、胚盤胞は透明帯から脱出し子宮内膜の中に入り込む。これを着床といい妊娠の始まりである。(p.104 着床)
3 胚盤胞の状態で着床する。(p.104 着床)
4 絨毛内には胎児の毛細血管が走り、絨毛間腔はラセン動脈から吹き出す母体の血液で満たされている。ここでガス交換や栄養摂取が行われるが、 母体と胎児の血液が混じり合うことはない。(p.106 絨毛と脱落膜)
問題17 肋骨結節と関節する胸椎の部位はどれか。
1 上関節突起
2 下関節突起
3 横突起
4 椎体
解答 3
1 上関節突起は上位の椎骨の下関節突起と椎間関節を形成する。(p.172 椎間関節)
2 下関節突起は下位の椎骨の上関節突起と椎間関節を形成する。(p.172 椎間関節)
3 ◯ 横突起の先端の横突肋骨窩は肋骨結節と肋横突関節を形成する。(p.174 胸椎, 177 図10–16, 178 肋骨)
4 椎体外側面の後方にある肋骨窩は肋骨頭と肋骨頭関節を形成する。(p.174 胸椎, 177 図10–16, 178 肋骨)
問題18 小円筋を支配するのはどれか。
1 筋皮神経
2 尺骨神経
3 腋窩神経
4 橈骨神経
解答 3
1 筋皮神経は上腕の屈筋群(上腕二頭筋、烏口腕筋、上腕筋)を支配する。(p.240 上腕の屈筋群, 261 筋皮神経)
2 尺骨神経は円回内筋、橈側手根屈筋、長掌筋、浅指屈筋、深指屈筋橈側頭、長母指屈筋、方形回内筋、短母指外転筋、短母指屈筋、母指対立筋、第1・2虫様筋を支配する。(p.262 尺骨神経, 243–244 前腕の屈筋群 249–252 手の筋)
3 ◯ 腋窩神経は三角筋、小円筋を支配する。(p.264 腋窩神経, 237 上肢帯の筋)
4 橈骨神経は上腕と前腕のすべての伸筋を支配する。(上腕三頭筋、肘筋、腕橈骨筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋、回外筋、長母指外転筋、短母指伸筋、長母指伸筋、示指伸筋)(p.264 橈骨神経, 242 上腕の伸筋群, 245 前腕の伸筋群, )
問題19 足の内反に関与するのはどれか。
1 第三腓骨筋
2 前脛骨筋
3 長指伸筋
4 腓腹筋
解答 2
1 第三腓骨筋は足の背屈、外反を行う。(p.275 下腿前面の筋)
2 ○ 前脛骨筋は足の背屈、内反を行う。(p.275 下腿前面の筋)
3 長指伸筋は第2〜5指の伸展、足の背屈、外反を行う。(p.275 下腿前面の筋)
4 腓腹筋は膝関節の屈曲、足関節の底屈を行う。(p.277 下腿後面の筋)
問題20 頭部の前屈作用をもつのはどれか。
1 僧帽筋
2 椎前筋
3 大後頭直筋
4 広頸筋
解答 2
1 僧帽筋の上部は肩甲骨と鎖骨の挙上、中部は肩甲骨を内方に引き固定、下部は肩甲骨を回転し、上腕の挙上を助ける。(p.220 僧帽筋)
2 椎前筋には頚長筋、頭長筋、前頭直筋、外側頭直筋などがあり、脊柱ないし頭部を前屈、側屈、回旋させる。(p.301 椎前筋)
3 大後頭直筋は後頭下筋に含まれ、頭を後方に引いて直立位を保持する。一側が働けば同側に曲げる。(p.224 後頭下筋)
4 広頸筋は表情筋が頚部から胸部にまで広がったもので、口角を下方へ引き下げる。(p.299 広頚筋)
問題21 気管について正しいのはどれか。
1 食道の前方に位置する。
2 気管軟骨は輪状である。
3 甲状軟骨の直下から始まる。
4 第2胸椎の高さで左右に分岐する。
解答 1
気管は第6頚椎の高さで、喉頭の輪状軟骨の下から垂直に下降する長さ約10〜13cm、直径約2cmの管である。前頚部では体表から気管を触れることが出来る。気管の壁は約20個の馬蹄形の気管軟骨が積み重なってできている。軟骨を欠く後壁は膜性壁といい、平滑筋と粘膜だけになる。気管は胸腔に入ると心臓の後上方 (第5胸椎の高さ) で左右の気管支に分かれる。右気管支は太くて短く、垂直に近く傾斜する。左気管支は細くて長く、水平に近い傾斜を持つ。このように左右の気管支の太さ・長さ・走行に違いがあるので、誤って気管支に吸い込んだ異物は右気管支に入り込みやすい。(p.65 気管と気管支)
気管支は肺に入ると分岐を (20〜23回) 繰り返し多数の枝に分かれ、気管支樹と言われる。
1 後ろから前に、脊柱-食道-気管の順に並んでいる。
2 気管軟骨は馬蹄形。軟骨を欠く部分は膜性壁といい、粘膜と平滑筋の部位である。
3 気管は輪状軟骨の直下から始まる。
4 第5胸椎の高さで左右に分岐する。
問題22 咽頭について正しいのはどれか。
1 咽頭口部に耳管が開口する。
2 咽頭喉頭部に声帯がある。
3 咽頭筋は平滑筋である。
4 第6頸椎の高さで食道に移行する。
解答 4
咽頭 (p.76 咽頭)
咽頭は頭蓋底に始まり、頚椎のすぐ前を漏斗状に細くなって下り、食道につながる横紋筋でできた中腔器官である。その長さ約12cmであり、前面には後鼻孔・口峡・喉頭口が開く。
咽頭は鼻部・口部・喉頭部の3部に分けられる。鼻部の天井の粘膜は表面に凹凸が見られ、咽頭扁桃というリンパ組織がある。鼻部の左右の側壁には耳管の開口部があり鼓室に通じている。通常は閉じられているが、物を飲み込む時に、この管が開き鼓室の気圧と外気圧の違いが調整される。耳管の開口部には耳管扁桃が見られる。
1 咽頭鼻部に耳管が開口(耳管咽頭口)する。
2 喉頭に声帯がある。(p.63 喉頭)
3 咽頭筋は横紋筋である。(食道上部まで横紋筋、それより下位が平滑筋)
4 第6頸椎の高さで食道に移行する。輪状軟骨は第6頚椎の高さ。呼吸器系は輪状軟骨の下より気管が始まり、消化器系は第6頚椎の高さで咽頭から食道に移行する。(p.77 食道)
問題23 肝臓について正しいのはどれか。
1 肝鎌状間膜を臍動脈索が通る。
2 方形葉は胆嚢の右側にある。
3 肝門を肝静脈が通る。
4 無漿膜野に横隔膜が接する。
解答 4
1 肝鎌状間膜を肝円索が通る(肝鎌状間膜内を臍静脈が走っていた)。(p.53 胎児循環)
2 方形葉は胆嚢の左側にある。(方形葉と右葉の間に胆嚢がある)(p.85 図4–17)
3 肝門を通過するのは固有肝動脈、門脈、肝管の3つ組。肝静脈は肝臓上部後面の無漿膜野よりでて下大静脈に直接注ぐ。(p.84 肝臓の位置と形状)
4 肝臓はかなりの部分が腹膜に覆われるが、腹膜に覆われていない無漿膜野に横隔膜が接する。(典拠:解剖学講義 p.362 肝臓の面)
問題24 精管について正しいのはどれか。
1 精巣上体管から続く。
2 閉鎖管を通る。
3 左右合して射精管になる。
4 前立腺が開口する。
解答 1
1 曲精細管 – 直精細管 – 精巣網 – 精巣輸出管 – 精巣上体管 – 精管 – 精管膨大部 – 射精管 – 尿道前立腺部 (p.97 精路)
2 精管は血管(精巣動脈、蔓状静脈叢)、神経(陰部大腿神経 陰部枝) とともに精索となり 浅鼠径輪より鼠径管 にはいる。 (p.97 精管, 217 鼠径靭帯と鼠径管)
3 膀胱の後面にまわった精管は膨れて精管膨大部を形成し、前立腺内では細くなり射精管となり、左右別々に尿道に開口する。 (p.97 精管, 98 前立腺)
4 前立腺の導管は尿道前立腺部に開口する。 (p.98 前立腺)
問題25 前頭葉にあるのはどれか。
1 運動野
2 視覚野
3 体性感覚野
4 感覚性言語野
解答 1
1 運動野は前頭葉にある。 (p.125 運動野)
2 視覚野は後頭葉にある。 (p.126 特殊感覚野)
3 体性感覚野は頭頂葉にある。 (p.125 体性感覚野)
4 感覚性言語野は側頭葉にある。 (p.127 言語野)
問題26 眼球で最も前方にあるのはどれか。
1 虹彩
2 硝子体
3 水晶体
4 前眼房
解答 4
角膜 – 前眼房 – 虹彩 – 水晶体 – 硝子体 – 網膜と並ぶ。 (p.149 図9–1 眼球の構造)
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