2015年 第23回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題 16〜26 解答

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ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

かずひろ先生の解剖学マガジンのポイント
1 とにかく図が豊富
2 解説、一問一答、国試過去問で効率良く学べる
3 ポイントは表形式でまとめられ、覚えるポイントが明確
4 オンライン講座と連動。アーカイブ動画で何度でも学習できる

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2015年 第23回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題 16〜26 解答

勉強のコツ
やっぱり基本は教科書です。関連ページを記載しています。あいまいな用語。よくわからない問題は必ず教科書をチェックするように心がけましょう。ひとつひとつの用語を理解することが合格への近道です。

問題16 線維性の連結はどれか。

1 釘植
2 仙腸関節
3 恥骨結合
4 椎間関節

解答 1

骨の連結 (p.162)
  • 線維性の連結
  • 靭帯結合
    強靭な線維性結合組織による結合で、幅広く膜状を呈するときは骨間膜という(脛腓靭帯結合、前腕骨間膜)
  • 縫合 (p.198)
    頭蓋骨間の結合。継ぎ目が複雑に屈曲する曲線となる。
  • 冠状縫合
    前頭骨と左右の頭頂骨の間
  • 矢状縫合
    左右の頭頂骨の間
  • ラムダ縫合
    頭頂骨と後頭骨の間
  • 鱗状縫合
    頭頂骨の外側縁と側頭骨の上部(鱗部)の間
  • 釘植
    歯根の表面と歯槽骨の間の結合。結合組織性の歯根膜が両者を結合する。
  • 軟骨性の連結
  • 軟骨結合
  • 寛骨 (Y字軟骨)
  • 胸骨の胸骨柄結合 (柄体軟骨結合)
  • 線維軟骨結合
  • 恥骨結合
  • 椎体間結合(椎間円板による結合)
  • 滑膜性の連結
  • 関節

1 ◯ 釘植:線維性の連結
2 仙腸関節:半関節(滑膜性の連結)
3 恥骨結合:線維軟骨結合(軟骨性の結合)
4 椎間関節:平面関節(滑膜性の連結)


問題17 頭蓋骨で2個あるのはどれか。

1 篩骨
2 鋤骨
3 鼻骨
4 舌骨

解答 3

頭蓋骨は、脳頭蓋顔面頭蓋の骨に大別される。頭蓋の上方は脳頭蓋として頭蓋腔を形成して中枢神経の脳を保護するので、別名 神経頭蓋ともいう。一方、頭蓋の下方は、顔面頭蓋として眼窩・鼻腔・口腔などの臓器の入口を囲むので、別名 内臓頭蓋とも呼ばれる。脳頭蓋が顔面頭蓋よりも大きく発達するのはヒトの特徴である。 (p.198 脳頭蓋)

脳頭蓋 (神経頭蓋)

頭蓋腔の形成には、6種8個の頭蓋骨が関与する。2種は左右で対をなす骨であり、4種が無対性の骨である。頭蓋腔を部屋にたとえると、ドームのような屋根になる部分を頭蓋冠といい、床になる部分を頭蓋底という。

  • 前頭骨 1個
  • 頭頂骨 2個 (有対性)
  • 側頭骨 2個 (有対性)
  • 後頭骨 1個
  • 篩骨 1個
  • 蝶形骨 1個
顔面頭蓋 (内臓頭蓋) (p.203 顔面頭蓋)

顔面をつくり、眼窩・鼻腔・口腔などの基礎をなす顔面頭蓋は 9種15個の顔面骨によってつくられる。6種は左右対をなす有対性の骨であり、3種は対をなさない無対性の骨である。

  • 上顎骨 2個 (有対性)
  • 頬骨 2個 (有対性)
  • 涙骨 2個 (有対性)
  • 鼻骨 2個 (有対性)
  • 下鼻甲介 2個 (有対性)
  • 鋤骨 1個
  • 口蓋骨 2個 (有対性)
  • 下顎骨 1個
  • 舌骨 1個

よって、問題の選択肢中で対をなしている(2個ある)ものは、鼻骨である。


問題18 大結節稜に停止する筋はどれか。

1 大胸筋
2 大円筋
3 小円筋
4 広背筋

解答 1

  • 大結節:上腕骨頭の後外側の隆起。棘上筋、棘下筋、小円筋の停止。
  • 小結節:上腕骨頭の前外側の隆起。肩甲下筋の停止。
  • 大結節稜:大結節の下方に続く隆線。大胸筋の停止。
  • 小結節稜:小結節の下方に続く隆線。大円筋と広背筋の停止。
  • 結節間溝:大・小結節と大・小結節稜の間。上腕二頭筋長頭の腱が通る。 (p.180 上腕骨)

1 大胸筋 (p.211 大胸筋)
鎖骨(内側1/2)・胸骨・肋軟骨・腹直筋鞘 → 上腕骨大結節稜;内側胸筋神経・外側胸筋神経;肩関節の屈曲、内転・内旋

2 大円筋 (p.211 小胸筋)
肩甲骨下角 → 小結節稜肩甲下神経;肩関節の内旋・内転

3 小円筋 (p.237 上肢帯の筋)
肩甲骨外側縁 → 大結節腋窩神経;肩関節の外旋

4 広背筋 (p.220 浅背筋)
棘突起(第7胸椎以下の胸椎・腰椎・仙骨)・腸骨稜・下位(第9〜12)肋骨・肩甲骨下角 → 小結節稜胸背神経;肩関節の内転・内旋さらに背部へ回るように働く


問題19 腋窩リンパ節に還流する領域はどれか。

1 顎下三角
2 筋三角
3 後頸三角
4 聴診三角

解答 4

1 顎下三角:顎二腹筋の前腹・後腹、下顎骨
頚リンパ本幹に流入 (p.309 頭頸部のリンパ)

2 筋三角:肩甲舌骨筋 上腹・胸鎖乳突筋 前縁・正中線
頚リンパ本幹に流入 (p.309 頭頸部のリンパ)

3 後頸三角:胸鎖乳突筋 後縁・僧帽筋 外側縁・鎖骨
頚リンパ本幹に流入 (p.309 頭頸部のリンパ)

4 ○ 聴診三角:広背筋・僧帽筋・菱形筋
腋窩リンパ節から鎖骨下リンパ本幹に流入 (p.232 背部のリンパ)

右リンパ本幹に流入する枝 (p.55 全身のリンパ本幹)
  • 頭頚部の右半分 → 右頚リンパ本幹
  • 右上肢・胸部と体幹後壁の右半分 → 右腋窩リンパ節 → 右鎖骨下リンパ本幹
  • 胸部内臓の右半分 → 右気管支縦隔リンパ本幹
胸管に流入する枝 (p.55 全身のリンパ本幹)
  • 頭頚部の左半分 → 左頚リンパ本幹
  • 左上肢・胸部と体幹後壁の左半分 → 左腋窩リンパ節 → 左鎖骨下リンパ本幹
  • 胸部内臓の左半分 → 左気管支縦隔リンパ本幹
  • 腹部内臓 → 腸リンパ本幹
  • 両下枝・骨盤内臓・骨盤壁・腹壁・後腹壁 → 鼡径リンパ節 → 左右の腰リンパ本幹

問題20 静脈と開口部の組合せで正しいのはどれか。

1 海綿静脈洞 ―――― 外頚静脈
2 食道静脈 ――――― 奇静脈
3 橈側皮静脈 ―――― 上腕静脈
4 門脈 ―――――― 下大静脈

解答 2

1 海綿静脈洞 → S状静脈洞 → 内頚静脈 (p.130 図8–10 脳の血管 B)硬膜静脈洞 , p.308 脳の静脈)
海綿静脈洞は蝶形骨体上面の両側にある。左右の海綿静脈洞は海綿間静脈洞で交通する。 上錐体静脈洞と下錐体静脈洞を介してS状静脈洞 に注ぐ。(典拠:分担解剖学 2 脈管・神経系 p. 118)

2 食道静脈 → 奇静脈 → 上大静脈 (p.49 上大静脈に注ぐ枝, p.51 門脈系)
奇静脈系は肋間静脈などの後胸壁の静脈を集めて脊柱の両側を縦に走る奇静脈・半奇静脈・副半奇静脈からなる。奇静脈系には食道静脈も注ぎ、門脈系の側副循環路となっている。

3 橈側皮静脈 → 腋窩静脈 → 鎖骨下静脈 (p.258 上肢の静脈)
橈側皮静脈は上腕二頭筋外側縁の上方から三角筋の前縁に沿って上行し、三角筋前縁と大胸筋外側縁と鎖骨の下縁とで囲まれたくぼみ (鎖骨胸筋三角・鎖骨下窩・三角筋胸筋溝)から腋窩内に入って腋窩静脈に注ぐ。

4 門脈 → 肝臓 (小葉間静脈 → 洞様毛細血管 → 中心静脈 → 肝静脈) → 下大静脈 (p.84 肝臓 p.86 図4–19 肝小葉の模式図)
固有肝動脈と門脈は肝門より肝臓内に入り、肝臓内でそれぞれ小葉間動脈と小葉間静脈に分かれ、共に洞様毛細血管(類洞)に注ぐ。洞様毛細血管は中心静脈に注ぎ、肝静脈から下大静脈に注ぐ。


問題21 声帯靭帯が付着するのはどれか。

1 甲状軟骨
2 喉頭蓋軟骨
3 小角軟骨
4 輪状軟骨

解答 1

声帯は披裂軟骨前端から甲状軟骨後面にかけて張っている。(p.65 声帯)
ヒモ状の声帯靭帯とそれに沿う声帯筋は粘膜におおわれ、喉頭の側壁に沿って前後に走るヒダをつくる。これが声帯ヒダで一般に声帯と言われる。左右の声帯によりせばめられた隙間を声門裂といい、声帯と声門裂を合わせて声門という。
披裂軟骨は対をなしており、披裂軟骨に付着する筋の作用により、声帯の開き具合が調節され、発声が行われる。
声帯筋は反回神経(迷走神経の枝)により支配される。

1 甲状軟骨 (p.65 喉頭軟骨)
甲状軟骨は 喉頭隆起 (のど仏) を作る軟骨。甲状軟骨上縁の高さ総頚動脈が内頚動脈と外頚動脈に分岐する高さとして重要。

2 喉頭蓋軟骨 (p.65 喉頭軟骨)
喉頭蓋軟骨は嚥下の際に喉頭口にふたをして食物が気道に入らないように防ぐ。弾性軟骨

3 小角軟骨
披裂軟骨先端に載る極く小さな軟骨。弾性のある線維軟骨から成る。(典拠:プロメテウス-胸部/腹部・骨盤部 p.24 喉頭)

4 輪状軟骨 (p.65 喉頭軟骨)
喉頭の土台をなす指輪型の軟骨。第6頚椎の高さ。輪状軟骨-第6頚椎を結ぶラインより、呼吸器系は喉頭 → 気管となり、消化器系は 咽頭 → 食道に移行する。


問題22 上行結腸について正しいのはどれか。

1 肝臓の方形葉下面に接する。
2 脾臓に接する。
3 右結腸動脈が分布する。
4 輪状ヒダを持つ。

解答 3

1 肝臓の方形葉下面に接する。
右結腸曲〜横行結腸にかけて右葉の下面に接する。方形葉は肝鎌状間膜の右側、胆嚢の左側に位置するので、上行結腸が接することはない。
方形葉下面には胃が接する。(典拠:プロメテウス-胸部/腹部・骨盤部 p.204 肝臓:位置と隣接臓器との関係)

2 脾臓に接する。
上行結腸は右側、脾臓は左側。接することはない。

3 右結腸動脈が分布する。(p.46 図2–15)
上行結腸は右側なので、右結腸動脈が分布する。(上腸間膜動脈の枝)

4 輪状ヒダを持つ。
輪状ヒダ・腸絨毛・微絨毛は小腸の特徴
結腸ヒモ、結腸膨起、腹膜垂、半月ヒダは結腸の特徴


問題23 鼠径管を通過するのはどれか。

1 子宮円索
2 臍動脈索
3 卵巣提索
4 固有卵巣索

解答 1

鼠径管は鼠径靭帯を底面として、外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の3枚の側腹筋にできたトンネルで、男性では精索女性では子宮円索が通過する。(p.227)

  • 外腹斜筋浅鼠径輪を作る。
  • 内腹斜筋:最下部の筋束が精索を包み精巣まで伸びて精巣挙筋となる。
  • 腹横筋深鼠径輪を作る。

問題24 硬膜について正しいのはどれか。

1 硬膜は2葉からなる。
2 小脳鎌は大脳と小脳の境となる。
3 硬膜静脈洞は硬膜の内側に形成される。
4 硬膜外腔は脳脊髄液により満たされる。

解答 1

1 ○ 硬膜は2葉からなる。
硬膜は髄膜の最外層をなす暑い膠原線維の膜で内外2葉からなる。外葉は骨膜に相当し、頭蓋骨や脊柱管の内面に密着する。通常、硬膜は内葉と外葉が融合して1枚となっているが、硬膜静脈洞のある部分は両葉が開いて、静脈血を入れる(p.129 硬膜)

2 小脳鎌は左右の小脳半球の境となる。(p.129 硬膜)
硬膜の特殊な形態として以下のものがある。
大脳鎌:左右の大脳半球を隔てる。
・小脳鎌:左右の小脳半球を隔てる。
小脳テント:大脳と小脳を隔てる。

3 硬膜静脈洞は硬膜の内葉と外葉の間に形成される。(p.129 硬膜)

4 くも膜下腔脳脊髄液により満たされる。(p.129 クモ膜)


問題25 脊髄神経の後枝に由来するのはどれか。

1 大後頭神経
2 肋間神経
3 橈骨神経
4 下殿神経

解答 1

脊髄神経前枝と後枝

前根と後根が合流し脊髄神経が作られたのち、背側に出る枝が脊髄神経後枝となる。 (p.140 脊髄神経の根部, 前枝と後枝)
(前根は遠心性線維後根は求心性線維が走る。前根と後根が合わさった後に出る枝なので、後枝は遠心性と求心性が両方含まれる。)
脊髄神経後枝は体幹の背側にある固有背筋や背中の皮膚に分布するが、頚部の後から腰背部にかけて細い枝が分節ごとに出てくるため、固有の名前はつかず、ひとくくりに「脊髄神経後枝」と呼ばれる。だが、脊髄神経後枝でも「名前の付いた」脊髄神経後枝もあるので、しっかり覚えたい。

学名のある脊髄神経後枝
  • 頚神経 (p.141)
  • 後頭下神経 (C1後枝)
  • 大後頭神経 (C2後枝)
  • 腰神経 (p.142)
  • 上殿皮神経 (L1〜L3後枝)
  • 仙骨神経 (p.143)
  • 中殿皮神経 (S1〜S3後枝)

問題26 皮膚について正しいのはどれか。

1 自由神経終末は侵害刺激を受容する。
2 成人の右上肢は総面積の1/5を占める。
3 パチニ小体は真皮乳頭に存在する。
4 表皮は有棘細胞の分裂によって増殖する。

解答 1

1 ◯ 自由神経終末は侵害刺激を受容する。 (p.28 皮膚の神経)
自由神経終末は痛みと温度覚を受容する。侵害刺激を受容する自由神経終末は神経線維の種類により以下にわかれる。 (生 p.258 痛みの分類 表在性痛覚)
高閾値侵害受容器 (Aδ):機械的侵害刺激のみ反応
ポリモーダル侵害受容器 (C):機械的・温度・化学的など多種類の侵害刺激に反応

2 成人の右上肢は総面積の9%を占める。 (p.26 皮膚の表面積-熱傷「9の法則」)
9の法則:頭部の表面積が9%、上肢が左右それぞれ9%、下肢は前面9%、後面9%、体幹は前面左が9%、前面右が9%、後面も同様に9+9%、それに外陰部の1%が加わり100%。この9の法則で簡易的に体表面積における特定部位の割合を推測できる。これは熱傷の重症度判定などで用いられる。 (p.26 皮膚の表面積-熱傷「9の法則」)

3 パチニ小体は真皮下層〜皮下組織に存在する。 (p.27 図1–23 皮膚の構造)
真皮乳頭に存在する感覚受容器はマイスネル小体
パチニ小体は真皮下層〜皮下組織にかけての、感覚受容器の中でも深い層に存在する。
感覚受容器の位置としては、自由神経終末とメルケル盤を構成するメルケル細胞表皮に分布することも重要。

4 表皮は基底細胞の分裂によって増殖する。 (p.27 表皮)
表皮は 基底層・有棘層・顆粒層・淡明層・角質層の5層からなる。
最深部の基底細胞が分裂し、ケラチン産生細胞として表層に上行しながら角化していき表皮が形成される。

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