2013年 第21回 はり師・きゅう師 国家試験 解剖学 問題15〜30 解答

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ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

かずひろ先生の解剖学マガジンのポイント
1 とにかく図が豊富
2 解説、一問一答、国試過去問で効率良く学べる
3 ポイントは表形式でまとめられ、覚えるポイントが明確
4 オンライン講座と連動。アーカイブ動画で何度でも学習できる

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2013年 第21回 はり師・きゅう師 国家試験 解剖学 問題15〜30 解答

勉強のコツ
一つひとつの用語を大切にしてください。その問題にでてくる用語を見て、イメージができ、どんなものであるのかわかれば、その用語に関しては理解できています。しかし、用語の意味が曖昧であるならば、その問題の理解はできているとは言えません。ひとつひとつの用語の意味がわかるかどうか。わからなければ必ず教科書を開いて、その章と周りを読んでみる。その繰り返しで理解が進みます。教科書の該当ページを書いてあるので効率良く利用してください。

問題15 神経膠細胞で中枢神経の髄鞘形成に関与するのはどれか。

1 上衣細胞
2 小膠細胞
3 星状膠細胞
4 希突起膠細胞

解答 4

1 上衣細胞
脳室の内面上衣細胞という神経膠細胞性の単層立方上皮におおわれる。左右の側脳室・第3・第4脳室の4つの脳室では、その一部で上衣細胞におおわれた毛細血管網が脳室内に突出し、脈絡叢をつくる。脈絡叢から脳脊髄液が分泌される。(p.128 脳室系)

2 小膠細胞
小膠細胞はマクロファージと同じく食作用を持ち異物や有害物質の除去にあたる(p.26 神経膠細胞)

3 星状膠細胞
星状膠細胞は血液の中を流れる有害物質が脳内へ侵入するのを阻止する血液脳関門の形成にあずかる。(p.26 神経膠細胞)

4 希突起膠細胞
希突起膠細胞は中枢神経内で神経細胞の軸索に巻きつき髄鞘を形成する。(末梢神経で髄鞘を形成するのはシュワン細胞)(p.26 神経膠細胞)


問題16 新生児の頭蓋において最後に閉鎖するのはどれか。

1 大泉門
2 小泉門
3 前側頭泉門
4 後側頭泉門

解答 1

頭蓋冠を作る骨はいずれも扁平骨に属し、胎生時に膜内骨化によって発生する。膜内骨化では、各骨の中央から骨化が始まり周辺に向かって広がる。これらの骨は出生時にはまだ骨化が完全ではなく、周縁部は骨化せずに線維性結合組織のまま残る。3つ以上の骨が会合する部分では、広い結合組織の膜性部が残り、泉門を形成する。
大泉門の触察は、新生児の発育状態や頭蓋内圧の変化を知る指標となる。一般に小泉門は生後約3ヶ月大泉門はおよそ2歳で閉じるといわれている。また出生時に胎児の頭が狭い産道を通るときには、泉門の部分で頭蓋冠の扁平な骨が移動し、屋根瓦のように重なりあって、頭全体を産道の形に合わせる。(p.199 頭蓋冠)

1 大泉門
冠状縫合、矢状縫合、前頭縫合が十字形に合する所で両側の前頭骨および両側の頭頂骨の間にできる最も大きい泉門。生後2年で閉鎖する。(分担解剖学 1 p.118 頭蓋泉門)(解剖学講義 p.477 頭蓋の外面)

2 小泉門
ラムダ縫合と矢状縫合との合する所で両側の頭頂骨と後頭骨の間にできる泉門。生後3ヶ月で閉鎖する。(分担解剖学 1 p.118 頭蓋泉門)(解剖学講義 p.477 頭蓋の外面)

3 前側頭泉門
蝶形骨大翼の上、すなわち蝶頭頂縫合にあたる部分にできる泉門。生後6ヶ月〜1年で閉鎖する。(分担解剖学 1 p.118 頭蓋泉門)(解剖学講義 p.477 頭蓋の外面)

4 後側頭泉門
側頭骨乳突部の上、すなわち頭頂乳突縫合にあたる部分にできる泉門。生後1年〜1年半で閉鎖する。(分担解剖学 1 p.118 頭蓋泉門)(解剖学講義 p.477 頭蓋の外面)


問題17 頭蓋で下顎骨が関節をなすのはどれか。

1 口蓋骨
2 上顎骨
3 側頭骨
4 蝶形骨

解答 3

顎関節は下顎骨の関節突起先端の下顎頭が側頭骨の下顎窩にはまって関節をなしたもので、左右1対ある。関節内には主に線維軟骨でできた関節円板があって、関節包に付着する。


問題18 仙骨と他の椎骨の部位との組合せで正しいのはどれか。

1 横線 ───── 椎体
2 仙骨管 ──── 椎間孔
3 正中仙骨稜 ── 棘突起
4 中間仙骨稜 ── 横突起

解答 3

思春期まで軟骨結合であった5個の仙椎は、成人になると癒合し1個の仙骨となる。仙骨上面は逆三角形の底辺にあたり仙骨底といい、第1仙椎の椎体上面がその主要部をなし前端を岬角という。仙骨の尖った下端は仙骨尖という。
仙椎の各椎体は癒合することで椎間円板を失い、その結合部は仙骨前面に4本の横線として残る。一方、癒合によって仙椎後面の棘突起は正中仙骨稜を、椎間関節は中間仙骨稜を形成する。椎孔も癒合しあって仙骨管をつくる。仙骨管は脊柱管の続きであり、仙骨の前面・後面にそれぞれ4対の前・後仙骨孔を通じて外に開き、仙骨管の下端は仙骨裂孔で終わる。仙骨裂孔の左右両側には仙骨角という盛り上がりができる。仙骨角は体表から殿裂の奥に触れる。(p.175 仙骨)

1 横線 ───── 椎体が融合した線 (椎体自体ではない)
2 仙骨管 ──── 椎間孔椎孔
3 ◯ 正中仙骨稜 ── 棘突起
4 中間仙骨稜 ── 横突起椎間関節


問題19 上肢の筋で正中神経が通り抜けるのはどれか。

1 回外筋
2 円回内筋
3 烏口腕筋
4 母指内転筋

解答 2

正中神経は上腕部では枝を出さず、前腕屈筋群と母指球筋に筋枝を送るほか、手掌の橈側半分の皮膚に皮枝を分布する。
上腕部では上腕二頭筋の内側縁 (内側二頭筋溝) を上腕動脈と伴行し、上腕二頭筋の停止腱膜の下をくぐって肘窩に至る。肘窩では円回内筋の上腕頭と尺骨頭の間を通って深部に入り、尺側手根屈筋以外の前腕屈筋の浅層筋群に筋枝を出す。さらに正中神経の本幹は、浅指屈筋の起始部にある腱弓から深層に進入して浅指屈筋と深指屈筋の間を走る。ここで前腕屈筋の深層筋群に至る筋枝と手掌の橈側はんの皮枝を出しつつ手根部に達し、浅・深指屈筋の腱とともに手根管を通って手内に入る。

1 回外筋:橈骨神経の深枝に貫通される。(p.248 回外筋)

2 ◯ 円回内筋:上腕頭と尺骨頭の間を正中神経が通る。(p.244 円回内筋)

3 烏口腕筋:筋皮神経に貫通される。(p.239 筋皮神経)

4 母指内転筋:尺骨神経の深枝に貫通される。(p.261 図10–108 尺骨神経)(分担解剖学 1 p.364 母指球筋)


問題20 肩甲骨に付着する筋とその付着する部位との組合せで正しいのはどれか。

1 棘上筋 ───── 肩峰
2 小円筋 ───── 関節下結節
3 小胸筋 ───── 烏口突起
4 小菱形筋 ──── 下角

解答

1 棘上筋 ───── 肩峰棘上窩
棘上窩 → 大結節;肩甲上神経;肩関節の外転(p.237 表10–13 上肢帯の筋)

2 小円筋 ───── 関節下結節肩甲骨外側縁
肩甲骨外側縁 → 大結節;腋窩神経;肩関節の外旋(p.237 表10–13 上肢帯の筋)

3 ◯ 小胸筋 ───── 烏口突起
第2〜5肋骨 → 烏口突起;内側胸筋神経・外側胸筋神経;呼吸補助筋(p.211 表10–3 浅胸筋)

4 小菱形筋 ──── 下角肩甲骨内側縁上部
第6・7頸椎棘突起 → 肩甲骨内側縁上部;肩甲背神経;肩甲骨を上内包に引く(p.220 表10–9 浅背筋)


問題21 下肢の筋で大腿骨に付着するのはどれか。

1 大腿直筋
2 内閉鎖筋
3 薄筋
4 縫工筋

解答

1 大腿直筋
下前腸骨棘 → 膝蓋靱帯をへて脛骨粗面;大腿神経;股関節の屈曲・膝関節の進展(p.269 表10–26 大腿前面の筋 (伸筋群))

2 ◯ 内閉鎖筋
閉鎖膜の内面 → 転子窩 (大腿骨);仙骨神経叢;股関節の外旋(p.266 表10–25 外寛骨筋)

3 薄筋
恥骨下枝 → 脛骨粗面の内側 (鵞足);閉鎖神経;股関節の内転・膝関節の屈曲,内旋(p.272 表10–27 大腿内面の筋 (内転筋群))

4 縫工筋
上前腸骨棘 → 脛骨粗面の内側 (鵞足);大腿神経;股関節の屈曲,外転,外旋・膝関節の屈曲,内旋(p.269 表10–26 大腿前面の筋 (伸筋群))


問題22 間膜と付着部との組合せで正しいのはどれか。

1 肝冠状間膜 ─── 横隔膜
2 小網 ────── 脾臓
3 大網 ────── 空腸
4 腸間膜 ───── 腎臓

解答 1

1 ◯ 肝冠状間膜 ─── 横隔膜
肝臓の上面と後面を被う腹膜は横隔膜の下面を被う腹膜に連なる。肝臓を被う腹膜が横隔膜を被う腹膜に移行するところが肝冠状間膜である。(解剖学講義 p.265 肝臓と腹膜の関係)(p.88 図4–21 腹膜 A) 腹部の矢状断)

2 小網 ────── 脾臓肝臓〜胃の小弯
前腹壁の内面をおおう腹膜は、上方で横隔膜の下面をおおった後、折れ返って肝臓の上面をおおう。肝臓の上面および前面をおおった腹膜は下方に向かい、肝門のところで後方からくる腹膜と合して胃の小弯に至る。前後の腹膜の合わさってできた間膜を小網という。小網の自由縁の中には肝門から肝臓に出入りする固有肝動脈・門脈・肝管が通る (肝十二指腸間膜)(p.88 小網, p.77 胃間膜)

3 大網 ────── 空腸胃の大弯〜垂れ下がった後、折れ返り横行結腸に付着
胃の前面と後面を包む腹膜が大弯で合してできた間膜を大網という。大網は大弯から下方に垂れ下がり折れ返って再び上方に向かい横行結腸の表面に付着した後、横行結腸間膜に癒合して後腹壁に達する。大網は前後に2枚ずつの合計4枚の腹膜でできているが、全体が合わさってエプロンのように大弯から垂れ下がる。(p.88 大網, p.77 胃間膜)

4 腸間膜 ───── 腎臓
腎臓は腹膜後器官なので、腸間膜は持たない。(p.88 腹膜, p.90 腎臓)


問題23 ディッセ腔にみられるのはどれか。

1 クッパ一星細胞
2 ビタミンA貯蔵細胞
3 赤血球
4 胆汁

解答 2

肝細胞索と洞様毛細血管の間は広く開いておりディッセ腔という。洞様毛細血管の壁にはたくさんの孔が開いていて、血漿成分は自由にディッセ腔に入ることができる。そのため肝細胞は血漿に浸かっているような状態にある。(p.85 ディッセ腔)

1 クッパ一星細胞
洞様毛細血管の内壁に存在。活発な食作用を持つマクロファージ系の細胞。(p.85 ディッセ腔)

2 ◯ ビタミンA貯蔵細胞
ディッセ腔にはビタミンA貯蔵細胞 (脂肪摂取細胞, 伊東細胞) が見られる。(p.85 ディッセ腔)

3 赤血球
血管内(洞様毛細血管内など) に見られる。
洞様毛細血管の壁にはたくさんの孔が開いていて、血漿成分は自由にディッセ腔に入ることができるが、赤血球などの細胞成分は洞様毛細血管の外に出ることはできない。(p.85 ディッセ腔)

4 胆汁
肝臓で作られた胆汁は肝細胞と肝細胞の間隙がつながってできた毛細胆管に分泌され、肝細胞索に沿って小葉間に導かれ、小葉間胆管に注ぐ。(p.84 肝小葉)


問題24 心臓の後室間枝と一緒に走行する静脈はどれか。

1 前心臓静脈
2 大心臓静脈
3 中心臓静脈
4 冠状静脈洞

解答 3

1 前心臓静脈
右心室の前壁にある1〜3本の小静脈で、直接に右心房に開口する。(解剖学講義 p.298 心臓の脈管・静脈)

2 大心臓静脈
前室間溝を上行し、心臓の左縁をまわって冠状静脈洞の左端に注ぐ。(解剖学講義 p.298 心臓の脈管・静脈)

3 中心臓静脈
後室間溝を上行し、冠状静脈洞に注ぐ。(解剖学講義 p.298 心臓の脈管・静脈)

4 冠状静脈洞
心臓の後面で、左心房と左心室との間にある冠状溝を走る太く短い静脈。(解剖学講義 p.298 心臓の脈管・静脈)


問題25 大腿動脈の枝はどれか。

1 内側大腿回旋動脈
2 下腹壁動脈
3 下殿動脈
4 閉鎖動脈

解答

1 内側大腿回旋動脈:大腿動脈の枝である大腿深動脈の枝
大腿動脈は大腿三角を下行しながら大腿後面に向かう大腿深動脈を出し、さらに大腿深動脈は大腿伸筋群・内転筋群や股関節を養う内側・外側大腿回旋動脈を分枝する。その後、大腿三角の下端から続く内転筋管および内転筋腱裂孔を通って膝窩に至り、そのまま膝窩動脈に移行する。(p.287 大腿動脈)

2 下腹壁動脈:外腸骨動脈の枝
下腹壁動脈は外腸骨動脈から起こり、腹直筋の弓状線のところから後面に沿って上行し、臍の高さで上腹壁動脈 (内胸動脈の枝) と吻合する。(p.229 腹壁の動脈)

3 下殿動脈:内腸骨動脈の下肢に向かう枝
4 閉鎖動脈:内腸骨動脈の下肢に向かう枝

内腸骨動脈の枝は以下の3種に分類される。(p.47 内腸骨動脈)

  • 臓側枝:臍・膀胱・子宮・直腸に分布
  • 上膀胱動脈 (臍動脈の大部分は臍動脈索に変化するが、近位部は上膀胱動脈として残存する)
  • 下膀胱動脈
  • 子宮動脈
  • 中直腸動脈
  • 壁側枝:
  • 腸腰動脈
  • 内陰部動脈
  • 下肢に向かう枝
  • 閉鎖動脈
  • 上殿動脈
  • 下殿動脈

問題26 上肢の動脈と走行部位との組合せで正しいのはどれか。

1 肩甲回旋動脈 ─── 外側腋窩隙
2 上腕動脈 ───── 外側二頭筋溝
3 橈骨動脈 ───── 手根管
4 尺骨動脈 ───── ギヨン管

解答 4

1 肩甲回旋動脈 ─── 内側腋窩隙
腋窩後壁にある大円筋と小円筋の間には隙間があり、上腕三頭筋長頭によって内側・外側腋窩隙に二分される。外側腋窩隙には腋窩神経、内側腋窩隙には肩甲回旋動脈が通り抜ける。(p. 254 腋窩, p.263 図10–110 腋窩神経と橈骨神経)

2 上腕動脈 ───── 内側二頭筋溝
腋窩の下縁 (大胸筋の下縁) を境に、腋窩動脈は上腕動脈となり上腕二頭筋の内側縁 (内側二頭筋溝) を肘窩に向かって縦走する。(p.258 上肢の動脈)

3 橈骨動脈 ───── 手根管は通らない。解剖学的嗅ぎたばこ入れを通り手背側(大菱形骨と第1中手骨の背側)へと回り深掌動脈弓へと移行する(p.256 図10–104 手根管)

4 ◯ 尺骨動脈 ───── ギヨン管

  • 手根管を通るもの(p.256 屈筋支帯と手根管)
  • 長母指屈筋・浅指屈筋・深指屈筋正中神経
    橈側手根屈筋は屈筋支帯を貫いて途中から屈筋支帯の深層に潜る。鍼灸の第2回国家試験で手根管を通るものとして橈側手根屈筋が選択肢に出されたことがある。(第2回 鍼灸師 問題32)
  • 手根管を通らないもの
  • 尺骨神経・尺骨動脈・・・屈筋支帯の浅層の尺骨神経管 (ギヨン管) を通る
  • 長掌筋・・・屈筋支帯の浅層(上)を通る

問題27 小脳にみられるのはどれか。

1 オリーブ
2 黒質
3 赤核
4 歯状核

解答 4

1 オリーブ:延髄
延髄は長さ約3cmの円柱形で、上に行くに従い太さを増す。前面で正中線を挟んで左右に錐体という縦に長い盛り上がりが続き、その外側にオリーブという楕円形の隆起が見られる。錐体は大脳皮質から下行する錐体路 (皮質脊髄路) が通過し、オリーブはオリーブ核を内部に入れる。オリーブ核は赤核・小脳・脊髄と線維連絡を持ち、錐体外路性の運動調節に関与する。延髄下部の背側には脊髄から後索が伸び、その内部には後索核が含まれる。(p.121 延髄)

2 黒質:中脳
中脳は腹側の大脳脚、中央部の被蓋、背側の中脳蓋 (四丘体) からなり、被蓋背側を中脳水道という細い管が走る。黒質は中脳被蓋にあり、主として筋の緊張の調節を行っている。(p.123 中脳)
黒質は神経伝達物質としてドーパミンを用いている。黒質から線条体に投射するドーパミンニューロンの変性・脱落によりパーキンソン病が引き起こされる。(生p.243 パーキンソン病)

3 赤核:中脳
赤核も中脳被蓋にある。(p.123 中脳)

4 ◯ 歯状核:小脳


問題28 神経叢で副交感神経線維を含むのはどれか。

1 頸神経叢
2 腕神経叢
3 腰神経叢
4 仙骨神経叢

解答

  • 交感神経胸腰髄 (T1〜L2/3) の側角に起始ニューロンがある。(p.145 交感神経)
  • 副交感神経脳幹 (脳神経 III, VII, IX, X)仙髄 (S2〜4) の側角 (中間質) に起始ニューロンがある。(p.145 副交感神経)

骨盤部の副交感神経の節前ニューロンは、仙髄の側角から起始し、仙骨神経に混ざって前仙骨孔から出る。その後、各骨盤内臓に分布して、主に臓器壁内で節後ニューロンに交代する。膀胱壁の平滑筋 (排尿)、直腸壁の平滑筋 (排便) を収縮させるほか、陰茎の血管を弛緩・拡張させ、陰茎海綿体内を充血させることで勃起に関与する。


問題29 側頭葉にみられるのはどれか。

1 運動野
2 視覚野
3 体性感覚野
4 聴覚野

解答 4

前頭葉:一次運動野・運動性言語中枢 (ブローカ中枢)
頭頂葉:一次体性感覚野・味覚野
側頭葉:一次聴覚野・感覚性言語中枢 (ウェルニッケ中枢)
後頭葉:一次視覚野


問題30 皮膚について正しい記述はどれか。

1 立毛筋は交感神経が支配する。
2 ルフィニ小体は痛覚に関与する。
3 メラノサイトは角質層に存在する。
4 アポクリン汗腺は全身の皮膚に分布する。

解答 1

1 ○ 立毛筋は交感神経が支配する。
通常、自律神経は交感神経と副交感神経の双方が逆の働きをすることで臓器を支配することが多い。(交感神経と副交感神経の二重支配で、拮抗支配)
たとえば心臓でいえば、交感神経の働きで心拍数・心収縮力が高まり、副交感神経は心拍数・心収縮力を抑える。
だが、皮膚の「汗腺・血管・立毛筋」は交感神経単独支配(副交感神経はきていない)であることが大切。(p.145 図8–19 交感神経の節前線維と節後線維の走行)

2 ルフィニ小体は触圧覚に関与する。
自由神経終末は痛覚と温度覚を感受するが、その他の感覚終末小体 (クラウゼ小体・ルフィニ小体・マイスネル小体・パチニ小体) は触覚や圧覚などの機械的刺激を感受する。(p.28 皮膚の神経)

3 メラノサイトは角質層に存在する。
表皮は5層構造で、真皮側の深部から、基底層・有棘層・顆粒層・淡明層・角質層という順番に配列している。基底層には基底細胞(分裂することによりケラチン産生細胞を生じる)、メラノサイト (メラニン産生細胞)、メルケル細胞が存在する。(p.27 表皮)

  • 基底層の基底細胞の分裂により生じた上皮細胞 (ケラチン産生細胞) が表層に上行するに従い、細胞内にケラチンがたまっていく過程を角化という。
  • 基底層にあるメラノサイトはメラニン色素を分泌し、周囲のケラチン産生細胞がメラニン色素を取り込むことにより肌の色が黒くなる
  • メルケル細胞はメルケル小体を構成する細胞部分。触圧覚を関知する。

4 アポクリン汗腺は全身の皮膚に分布する。
汗腺にはエクリン汗腺 (小汗腺) とアポクリン汗腺 (大汗腺) がある。

エクリン汗腺(p.30 エクリン汗腺)
エクリン汗腺は全身に広く分布し、開口分泌(p.29)により汗を体表に分泌する。細くて長い管状の腺で、分泌部 (終末部) は真皮の深層で糸玉状に巻き、導管はまっすぐに上昇し、皮膚の表面に開校する。その数は 200〜500 万個で、特に手掌と足底に多い。汗の大部分は水で、その蒸発によって体熱を奪い体温の調節に重要な役割を果たす (温熱性発汗)。酷暑の時には1時間に1.5ℓもの汗が分泌される。また手掌・側底・腋窩の汗腺は、精神的な緊張が高まると分泌がさかんになる (精神的発汗)。

アポクリン汗腺(p.30 アポクリン汗腺)
アポクリン汗腺は腋窩に多く、そのほか乳輪や肛門の周囲など特定の場所に分布する。エクリン汗腺より腺腔が広く、アポクリン分泌 (離出分泌) を行う。脂肪やタンパク質に富む汗を出し、細菌によって分解されると特有のにおいを発し、体臭のもとになる。

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