2010年 第18回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15〜30 解答

note 解剖学マガジン

ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

かずひろ先生の解剖学マガジンのポイント
1 とにかく図が豊富
2 解説、一問一答、国試過去問で効率良く学べる
3 ポイントは表形式でまとめられ、覚えるポイントが明確
4 オンライン講座と連動。アーカイブ動画で何度でも学習できる

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2010年 第18回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15〜30 解答

問15 結合組織の細胞について正しい記述はどれか。

1 形質細胞はTリンパ球から分化した細胞である。
2 大食細胞の細胞質には大量のリソソームが含まれる。
3 脂肪細胞の細胞質はコレステロールで占められる。
4 肥満細胞の細胞質は大量の中性脂肪で占められる。

解答 2

1 形質細胞はBリンパ球から分化した細胞である。

形質細胞はBリンパ球から分化した細胞である。形が楕円形で、核は中心を外れ側方に偏在する。核は丸く、色素に染まる染色質は中心から放射状に広がり、その形が車輪に似るところから車輪核と呼ばれる。細胞質には粗面小胞体が発達し活発なタンパク合成を行って抗体を産生する。大食細胞の食作用により、抗原の情報を得たTリンパ球はBリンパ球を形質細胞に分化させる。

◯ 2 大食細胞の細胞質には大量のリソソームが含まれる。

大食細胞はマクロファージとも呼ばれ、食作用により異物を取り込み、処理するのが仕事である。大食細胞の細胞質には異物を処理するために多数のリソソームが含まれる。このように死んだ、細胞や細菌などの異物を処理して組織の掃除をする以外に、処理した異物の種類をリンパ球に教えて(抗原提示)、抗体を産生させる。血球の1つである単球として全身を回り、働き場所を見つけると、大食細胞となって血管の外に出て、生体防御の第一線で活躍する。

3 脂肪細胞の細胞質は中性脂肪で占められる。

疎性結合組織には、しばしば脂肪細胞が含まれる。脂肪細胞の細胞質は大量の中性脂肪で占められる。その脂肪は、顕微鏡標本ではアルコール処理により溶けてしまうので、細胞だけが指輪形に残る。脂肪細胞が特に多く集まって集団をつくると脂肪組織と呼ばれる。皮下脂肪は皮膚に柔軟性を与えるとともに、熱の放散を防ぐ。

4 肥満細胞の細胞質は大量のヒスタミンを含む顆粒で占められる。

肥満細胞は大量の顆粒を抱え込んで、丸く大きく太っているところからこの名がある。顆粒にはヒスタミンが含まれている。ヒスタミンは毛細血管を拡張し、その透過性を高める作用がある。肥満細胞は血管の周辺に多く、細胞膜表面には免疫グロブリンEの受容体を持っている。抗原がやってくると受容体を刺激し、顆粒からヒスタミンを放出する。肥満細胞は喘息、花粉症、じんま疹などを引き起こす。


問16 四肢の筋において停止腱内に種子骨があるのはどれか。

1 上腕二頭筋
2 上腕三頭筋
3 大腿四頭筋
4 下腿三頭筋

解答 3

種子骨は腱または靱帯のなかにあってその摩擦に抵抗してできた小骨片である。

手では、豆状骨は尺側手根屈筋の種子骨であり、他の手根骨とは発生が異なる。この骨は三角骨とのみ関節をなす。(p.182 手の骨)
また、手足の短母指屈筋や母指内転筋の停止健の中にも種子骨が見られる。(p.165 筋の補助装置)
また、膝蓋骨は、大腿骨下端で大腿骨顆の膝蓋面と関節をつくる逆三角形に近い扁平な骨で、大腿四頭筋の腱と骨との摩擦を防ぐように腱内にできた種子骨である。(p.190 膝蓋骨)

教科書の種子骨の記述をもとに、国試対策として整理してみよう。種子骨は手掌や足底の腱に多くみられ、人体では,手のひらに5個,足の裏に2~5個の種子骨がある。問題として出されるのは名称のある種子骨として、膝蓋骨豆状骨。そして、手掌や足底にもちっちゃい種子骨があると覚えておこう。


問17 肩の筋において上腕を外転させるのはどれか。

1 棘上筋
2 棘下筋
3 肩甲挙筋
4 肩甲下筋

解答 1

上腕の外転は、外転する角度により3つの運動相に分けられる。
外転の第1相:上腕骨が下垂した状態から水平位まで外転させる運動で、棘上筋と三角筋の2つの上肢帯筋の働きによる。下垂している上腕骨は、棘上筋によって外転が始動される。ある程度外転すれば、強力な外転筋である三角筋によって外転運動が引き継がれる。棘上筋が麻摩すると、外転の始動が困難である。また、三角筋による外転は水平位までで、それ以上は僧帽筋・前鋸筋の働きが必要である。
外転の第2相:上腕骨を水平位から斜め上方まで外転させるには、僧帽筋前鋸筋による肩甲骨の回旋運動が必要である。これによって肩甲骨関節窩が外側上方に向くので上腕骨は水平位よりもさらに上方に外転できる。この肩甲骨の回旋運動は、胸鎖関節で行われた関節運動と、肩鎖関節での関節運動との和である。
外転の第3相:上腕骨を斜め上方から垂直位まで外転させる運動であり、上腕の挙上、肩甲骨回旋に加えて、上腕骨の外旋が必要である。また、挙上されている腕とは反対側の脊柱起立筋が収縮し、脊柱が側弯することにより、上腕骨はさらに挙上され垂直となる。

1 棘上筋
棘上筋は肩甲骨の棘上窩から起こり、外側に走り上腕骨大結節につく。上腕骨を外転させる。肩甲上神経が支配する。

2 棘下筋
棘下筋は肩甲骨の棘下窩より起こり、外方に走り上腕骨大結節につく。上腕を後方に引き外方にまわす。肩甲上神経が支配する。

3 肩甲挙筋
肩甲挙筋は後方で僧帽筋、側方で胸鎖乳突筋におおわれる。第1~第4頸椎の横突起から起こり、肩甲骨上角と内側縁上部に停止する。作用は、肩甲骨を内上方に引き上げ、肩をすくめる。この筋の支配神経は頸神経叢の枝と肩甲背神経である。

4 肩甲下筋
肩甲下筋は肩甲骨肋骨面のつくる肩甲下窩より起こり、外方に向かって上腕骨小結節および小結節稜につく。上腕を内転または内方にまわす。肩甲下神経が支配する。


問18 上肢の筋において橈骨神経によって貫かれるのはどれか。

1 烏口腕筋
2 円回内筋
3 回外筋
4 腕橈骨筋

解答 3

上肢後面の神経走行(橈骨神経)(p.264 上肢後面の神経走行(橈骨神経))

上肢帯の神経が分枝し終わったところで、後神経束は橈骨神経に移行する。
橈骨神経は、腕神経叢の枝で最も太い神経である。外側腋窩隙の下方で大円筋と上腕三頭筋長頭と上腕骨に囲まれた三角形の間隙を通って、腋窩から上腕骨後面に回り込む。
上腕の後方に出た橈骨神経は、上腕三頭筋の外側頭と内側頭との間を分けるように外側下方に向かって斜走する。上腕骨体の後面には橈骨神経が骨(橈骨神経溝)に直に接して走る。上腕の中央付近で上腕三頭筋の外側縁から出た橈骨神経は、外側上腕筋間中隔を後ろから前に貫通して下行し、外側上顆の前方に至る。
外側上顆の前方では、腕橈骨筋に枝を出して支配した後、この筋の深層で橈骨神経は大きく浅枝と深枝に2分岐する。
橈骨神経の浅枝は手背の橈側に分布する皮神経である。腕橈骨筋下に隠れて前腕を下行し、前腕下方では腕橈骨筋が腱になって細くなると皮下浅くに出て、手背の皮下に進入する。
橈骨神経の深枝は、主に前腕伸筋群の支配神経である。長・短橈側手根伸筋の深層で回外筋の中央を貫通し、前腕の伸筋群を次々に支配する。

(注) 橈骨神経の浅枝:橈骨の茎状突起後面から「嗅ぎタバコ入れ」の皮下を通ることが多い。体表からこの付近を軽く指ではじくと、ピリッと手背の橈側がしびれる。
(注) 腕神経叢の枝と臨床事項
正中神経麻痺:感覚面では、手掌の橈側半の感覚が失われる。運動面では、ものを握ろうとしても母指球筋が機能せず、母指と示指が伸びたままで他の3指が曲がった手の形をする(猿手)。
尺骨神経麻痺:感覚面では、手掌および手背の尺側半の感覚が失われる。運動面では、ものを握ろうとしても骨間筋が萎縮して機能せず、手背に中手骨が目立って指は伸展したままで指先だけが曲がった手の形になる(鷲手)。
橈骨神経麻痺:感覚面では、手背の橈側半の感覚が失われる。運動面では、手を伸ばそうとしても上腕および前腕の伸筋が機能せず、幽霊のように手先が下がってしまう(下垂手)。

1 烏口腕筋 – 筋皮神経に貫かれる

烏口腕筋は名前が示すように、肩甲骨の烏口突起から起こり、上腕骨体の内側に停止する筋である。筋の表面は上腕二頭筋の短頭におおわれる。肩関節を屈曲・内転するが、その機能的意義は小さい。上腕の屈筋群の中で最も筋腹が腋窩に近接しており、腋窩で腕神経叢から分かれた筋皮神経は、この筋を貫通して支配する(p.239 上腕の屈筋群)

2 円回内筋 – 上腕頭と尺骨頭の間を正中神経が通る

円回内筋は肘窩の内側縁を下行し、橈骨中央の外側面の粗面に停止する。名のとおり、この筋の作用は前腕を回内させる。この筋は内側上顆の起始(上腕頭)以外にも尺骨の鉤状突起(尺骨頭)に起始しており、両頭の間には正中神経が通る(p.242 前腕の屈筋群)

3 回外筋

回外筋は、総指伸筋上部の深層に位置する幅広く短い筋である。上腕骨の外側上顆や尺骨上部の外側面から起こって、橈骨上部を外側から回り込むように下方に斜走し、橈骨上部の外側面に広く停止する。この筋は前腕を回外するが、さらに強く回外するときには、これに上腕二頭筋の回外作用が加わる。また、この筋は橈骨神経の深枝に貫通される(p.245 前腕の伸筋群)

4 腕橈骨筋

この筋は前腕の外側縁に沿って走る筋で、肘窩の外側縁の盛り上がりをなす。停止腱は橈骨茎状突起の上部に終わる。この筋は前腕伸筋群に属するが、前腕が、回内-回外の中間位にあるときには外側上顆の前(肘関節に対しでも前方)を走るので、実際は肘関節を屈曲させる。(p.245 前腕の伸筋群)


問19 胸部の器官について後縦隔にあるのはどれか。

1 胸腺
2 食道
3 心臓
4 大動脈弓

解答 2

左右の肺に挟まれ、前方は胸骨に、後方は脊柱に固まれた、胸郭の中央部を縦隔という。縦隔は心臓より上方の上部と、下方の下部に分けられる。下部はさらに心臓を中心として前・中・後部に区分される。(p.68 縦隔)

区分含まれる構造物
上部胸腺, 気管, 食道, 大動脈弓, 上大静脈, 腕頭静脈, 奇静脈, 胸管, 横隔神経, 迷走神経, 交感神経幹
前部胸腺の下部, 内胸動脈
中部心臓, 上行大動脈, 肺動脈, 肺静脈, 上大静脈, 横隔神経
後部気管支, 食道, 胸大動脈, 奇静脈, 半奇静脈, 胸管, 迷走神経, 交感神経幹

1 胸腺:縦隔上部〜前部にかけて
◯ 2 食道:縦隔上部〜後部にかけて
3 心臓:縦隔中部
4 大動脈弓:縦隔上部


問20 下鼻道に開口するのはどれか。

1 耳管
2 上顎洞
3 蝶形骨洞
4 鼻涙管

解答 3

鼻腔は鼻中隔により仕切られ左右に分かれる。鼻腔の外側壁には、上鼻甲介中鼻甲介下鼻甲介というひさしが垂れ下がり、その陰に上鼻道中鼻道下鼻道という通路がつくられる。また鼻甲介と鼻中隔との間を総鼻道という。外鼻孔から奥へ2cmほどは皮膚でおおわれ、鼻毛が生えており、空気の濾過に役立つ。ここを鼻前庭と呼ぶ。(p.63 鼻道)

名称開口部位
蝶形骨洞鼻腔の後上方(蝶篩陥凹)
篩骨洞後篩骨洞上鼻道
中篩骨洞中鼻道(篩骨胞表面)
前篩骨洞中鼻道(半月裂孔)
前頭洞中鼻道(半月裂孔)
上顎洞中鼻道(半月裂孔)
鼻涙管下鼻道
耳管咽頭鼻部

1 耳管

耳管は鼓室と咽頭をつなぐ管で、普段は圧平されているが、物を飲み込んだときに一時的に開く。耳管によって鼓室の内圧は外気圧と等しく保たれ、鼓膜が振動しやすい状態になるが、なんらかの原因で閉塞すると鼓室内の空気が吸収され陰圧となり、鼓膜は内方に強く陥没し振動が悪くなり、難聴が起こる。逆に開放されたままになると、自分の声が直接鼓室に響き異常に大きく感じる(自声強聴)。(p.154 耳管)

2 上顎洞

上顎洞は上顎骨体内の大きな空洞で、最大の副鼻腔である。上顎洞の底は歯根に近接するほど深いが、鼻腔への開口部は上方にあって中鼻道に闘しこの開口部は三日月状で半月裂孔という。(p.203 顔面頭蓋)

3 蝶形骨洞

蝶形骨洞は蝶形骨体内に左右1対あり、すぐ上にはトルコ鞍がある。鼻腔の後上方(蝶篩陥凹)に左右別々に開口する。 (p.203 顔面頭蓋)

4 鼻涙管

涙は内眼角(目がしら)のほうへと流れて集まり、上下の涙点から涙小管に吸収される。涙小管は鼻根部にある涙嚢に開き、涙嚢の下端に続く鼻涙管により下鼻道に注ぐ。(p.152 涙器)


問21 内分泌腺について誤っている記述はどれか。

1 松果体は神経組織から構成される。
2 甲状腺の傍濾胞細胞からカルシトニンが分泌される。
3 下垂体には門脈系が形成される。
4 副腎皮質の細胞はクロム親和細胞と呼ばれる。

解答 4

1 松果体は神経組織から構成される。

松果体は第3脳室中央の後上壁から後方に突出した松かさ状の小体で、大きさはあずき粒大である。表面は脳軟膜に包まれ、この結合組織は血管および無髄神経をともなって内部に侵入し、松果体の実質を多数の小葉に分ける。小葉は松果体細胞と神経膠細胞とからなり、松果体細胞からはメラトニンが分泌される。メラトニンの分泌は夜になると高くなり、明け方になると低くなる、24時間周期の日内リズムを示す。
松果体は7歳前後が最も発達がよく、年齢とともに退行性変化を示す。成人の松果体には脳砂と呼ばれるカルシウムの沈着がX線写真でみられる。(p.110 松果体)

2 甲状腺の傍濾胞細胞からカルシトニンが分泌される。

甲状腺は単層立方上皮でできた直径0.2mm前後の袋(濾胞)の無数の集まりよりなる。濾胞腔はコロイドで満たされ、必要に応じてコロイドは甲状腺ホルモン(サイロキシン)として分泌され、全身の細胞・組織を刺激して物質代謝を高め、エネルギー産生を増やす。
濾胞間にも傍濾胞細胞という内分泌細胞が集まり、血中のカルシウム濃度を下げるカルシトニンを分泌する。(p.112 甲状腺)

3 下垂体には門脈系が形成される。

腺性下垂体では大脳動脈輪からの枝が隆起部に入り第一次毛細血管網をつくる。そのあと数本の小静脈となり隆起部を下降して前葉に達し、ここで第二次毛細血管網をつくる。一次と二次の毛細血管網の間に介在する小静脈は一種の門脈と考えられ、腺性下垂体では下垂体門脈系が形成される。(p.109 腺性下垂体 – 前葉)

4 副腎髄質の細胞はクロム親和細胞と呼ばれる。

副腎髄質の細胞は交感神経細胞と起源を同じくする神経由来の細胞で、交感神経細胞と同様に重クロム酸カリを含む染色液で黄褐色に染まるところからクロム親性細胞と呼ばれる。髄質細胞は分泌するホルモンの違いからアドレナリン細胞とノルアドレナリン細胞の2種類が区別される。


問22 血管の構造について正しい記述はどれか。

1 心臓に近い大血管では弾性線維よりも平滑筋線維が多い。
2 顔面の静脈は弁が豊富である。
3 門脈の構造は静脈と同じである。
4 毛細血管には平滑筋が含まれる。

解答

1 心臓に近い大血管では平滑筋線維よりも弾性線維が多い

動脈では中膜が厚く、緻密な平滑筋線維と弾性線維を多く含むので、肉眼観察するとゴムホースのような質感である。特に、心臓に近い大血管では心臓の力強い拍出に対して血管壁が弾力性を持って応じる必要があり、平滑筋よりも弾性線維の量が多い(弾性動脈)。一方、末梢の各臓器に向かう中程度以下の動脈壁には、弾性線維よりも平滑筋線維が多い(筋性動脈)。筋性動脈は血管壁を適度に収縮させて、臓器の血液供給量を状況に応じて調節する。(p.37 血管の構造-動脈)

2 顔面の静脈は弁が少ない。

下半身とくに下肢の静脈の還流は、立位時に重力のため静水力学的に減弱する傾向にある。そのために、静脈には弁があり、血液は逆流することなく一方向のみに流れるようになっている。弁は静脈の内膜で出来るポケット状のヒダで、とくに体肢の静脈に多い。(よって顔面の静脈には弁はあまりない)《解剖学講義 改訂3版 p.34 静脈血の還流》

○ 3 門脈の構造は静脈と同じである。
門脈とはふたたび毛細血管に分かれる静脈をいうので、構造も他の静脈と同じである。

体循環では、動脈→毛細血管→静脈という順に連絡するのが一般的である。しかし、からだのある部分では、毛細血管を経て、いったん静脈になったあと、再び毛細血管網を形成して、第2の静脈に注ぐことがある(動脈→毛細血管→静脈①→毛細血管→静脈②)。この場合、第1の静脈(静脈①)を特に門脈と呼ぶ。門脈の存在は肝臓に注ぐ血管や、下垂体(前葉)の血管に認める。(p.39 門脈)

4 毛細血管には平滑筋は含まれない

毛細血管の壁は、単層扁平上皮の内皮細胞によって構成され、内皮細胞を基底膜が裏打ちするのみで、平滑筋や弾性線維などは欠如する。毛細血管を流れる血液と周辺組織との問で、内皮細胞を介してガスや栄養のやりとりが行われる。また、血漿(血液の液性成分)の一部は毛細血管壁を漏れ出て組織内を潤す組織液になる。毛細血管でありながら内腔が広いものを洞様毛細血管といい、肝臓や脾臓などに見られる。


問23 胸腹部の動脈について正しい記述はどれか。

1 気管支動脈は上行大動脈から分枝する。
2 腹腔動脈は回腸に分布する。
3 上腸間膜動脈は直腸に分布する。
4 卵巣動脈は腹大動脈から分枝する。

解答

1 気管支動脈は胸大動脈から分枝する。

胸大動脈とその枝(p.46 胸大動脈とその枝)

胸大動脈からは、胸壁を養う壁側枝と、心臓以外の胸部内臓を養う臓側枝が出る。壁側枝として左右の肋間動脈が大動脈の両側から対をなして分枝し、各肋間で肋骨の下縁に沿って走る。横隔膜を貫通する直前の大動脈からは、横隔膜を養う壁側枝として上横隔動脈が左右に対をなして出て、横隔膜上面に分布する。
臓側枝としては食道動脈気管支動脈が主に大動脈の前方より出る(左右の対をなさない)。気管支動脈は気管支に沿って肺に進入し、肺の栄養血管になる。

2 腹腔動脈は回腸に分布する。
3 上腸間膜動脈は直腸に分布する。

腹大動脈の主に消化器系に至る臓側枝(p.46 腹大動脈とその枝)

主に腹部消化器系に分布する臓側枝には腹腔動脈・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈の3枝があり、いずれも無対性で、大動脈の前面から出る。
腹腔動脈は3枝の中で最初に出る動脈であり、横隔膜のすぐ下で起始して、直ちに左胃動脈・脾動脈・総肝動脈に3分枝する。これら腹腔動脈の枝によって、胃から十二指腸・脾臓・肝臓・胆嚢・膵臓を中心とした上腹部の内臓が養われる。
上腸間膜動脈は腹腔動脈のすぐ下から起こる。この動脈は名前のとおりに腸間膜の中を走って、膵臓や小腸全域から大腸前半部(横行結腸)まで広く分布する。
下腸間膜動脈は上腸間膜動脈よりもさらに下方から出て、大腸後半部(下行結腸から直腸)に分布する。

4 卵巣動脈は腹大動脈から分枝する。

腹大動脈の泌尿・生殖器に至る臓側枝(p.46 腹大動脈とその枝)

泌尿・生殖器に至る臓側枝には、腎動脈と性腺動脈(男性では精巣動脈、女性では卵巣動脈)がある。いずれも大動脈の側方から対をなして出る。
腎動脈は、第1腰椎の高さで大動脈の側方に出る1対の太い動脈である。特に右腎動脈は、腹大動脈のすぐ右側を走る下大静脈の深層をくぐって右の腎臓に達する。
精巣動脈(女性では卵巣動脈)は、腎動脈の起始部よりやや下方の高さから分枝する1対の細い動脈で、腹腔の後壁を骨盤の高さまで下行する。精巣動脈は、側腹壁の下縁に開いた鼠径管を通る精索に包まれて精巣に達する。卵巣動脈は、骨盤腔の側壁にできた卵巣提索の中を走って卵巣に到達する。


問24 門脈系について下大静脈との側副循環路となるのはどれか。

1 膀胱静脈叢
2 前立腺静脈叢
3 子宮静脈叢
4 直腸静脈叢

解答 4

肝硬変やがんなど肝組織の病変に際して、肝臓内の血流が妨げられると肝臓に流入する門脈系の血液は全体的にうっ血を起こして門脈圧が高まる(門脈圧充進)。その結果、血漿が血管壁を透過し腹膜腔に出て、大量の腹水となって腹腔内に貯留する。また、正常時には機能的な意味を持たない門脈に吻合した細い静脈が側副循環路をなして、うっ血した門脈血を大静脈へ還流させるようになる。以下の3ヶ所が代表的な門脈の側副路である。門脈血は、① 胃の静脈をへて、食道下部にある静脈叢に流れ込み、食道静脈から奇静脈をへて上大静脈に注ぐ。② 直腸の静脈をへて、直腸下部(肛門周囲)の静脈叢に流れ込み、骨盤の静脈(内腸骨静脈)から総腸骨静脈をへて下大静脈に注ぐ。③ 肝臓の下面と臍を結ぶ臍傍静脈をへて臍周囲の皮静脈に流れ込み、腹壁の静脈を経て上下の大静脈に注ぐ。これら3ヶ所の側副静脈に大量の血液が流れると、① 食道静脈叢のうっ血による食道静脈瘤とその破綻による大量の吐血、② 直腸静脈叢の拡張による痔核の形成と痔出血、③ 臍を中心とした前腹壁の皮静脈にみられる放射状の怒張(へビがはうようにみえ、メデューサの頭という)、などを認める。(p.50 門脈系)


問25 中枢神経系について正しい記述はどれか。

1 神経線維の集まっているところを白質という。
2 神経膠細胞の数は神経細胞とほぼ等しい。
3 星状膠細胞は血球に由来する。
4 シュワン細胞が髄鞘形成にあたる

解答 1

1 神経線維の集まっているところを白質という。

灰白質と白質

中枢神経の多くの場所では、神経細胞の細胞体が集まっている場所とそれから伸び出る突起、すなわち神経線維が集まっている場所とが整然と分かれている。脊髄または脳の断面を見ると、神経細胞の細胞体の多い場所は灰色がかって見えるので灰白質、神経線維の集まっている場所は白く見えるので白質と呼ばれる。広い白質の中に神経細胞がかたまりをなして集まっている場所は、神経核または単にと呼ばれる。細胞の中心にある核と同じ名称を使っているので、混同しないようにする必要がある。(p.116 神経系の構成)

2 神経膠細胞の数は神経細胞の5~10倍ある。

神経膠細胞は興奮伝達には直接関係しないが、その数は神経細胞の5~10倍あり、神経細胞の働きを助ける。(p.26 神経膠細胞(グリア細胞))

3 星状膠細胞は神経膠芽細に由来する。

神経細胞と神経膠細胞は、神経管の壁を構成する上皮性の細胞 (母細胞) から発生する。母細胞から神経芽細胞、上衣芽細胞、神経膠芽細胞が分化し、神経芽細胞から神経細胞が生じ、上衣芽細胞から上衣細胞が生じ、神経膠芽細胞から星状膠細胞と希突起膠細胞が生じる。《標準組織学 総論 p.313》
小膠細胞は間葉に由来し、血管壁や軟膜から中枢神経実質の中へ進入したものであると考える人が多い。脳を傷つけたり、炎症が起こったりすると,さかんに単球が入ってきて大食細胞(マクロファージ)として活躍する。しかしこれを小膠細胞と別種の細胞と考える人もある。小膠細胞の起源については不明な点が多い。《標準組織学 総論 p.310》

4 希突起膠細胞が髄鞘形成にあたる
この問題は「中枢神経系について正しい記述はどれか」である。髄鞘を形成する細胞は中枢神経では希突起膠細胞末梢神経ではシュワン細胞である。


問26 小脳について正しい記述はどれか。

1 小脳は間脳の背面にある。
2 小脳皮質は白質である。
3 小脳核は髄質にある。
4 下小脳脚は中脳と連絡する。

解答 3

小脳(p.123 小脳)

大脳の後下面に接し、橋と延髄の背面にかぶさるように小脳は隆起する。大きさはこぶし大で、重さは脳重量の約10%(130g)くらいである。小脳は、左右の大きな小脳半球と、正中部で小脳半球の間にはさまれて縦方向に広がる虫部とが区別され、上・中・下3対の小脳脚で、中脳・橋・延髄と連結している。小脳の表面には多数の深い溝が整然と横に走っている。大脳の溝と比べると、間隔が狭く、数が多く、平行であることが目立つ。
小脳の表層は小脳皮質という灰白質におおわれ、深部は小脳髄質という白質が占める。小脳皮質には分子層・プルキンエ細胞層・顆粒層の3層が表面に平行に規則正しく並ぶ。深部の小脳髄質には、小脳核(歯状核など)の灰白質が含まれる。
小脳は、大脳からの運動指令を受けて、体位や平衡などの身体のあらゆる情報を照合して運動が円滑に行われるように調整する。

1 小脳は橋と延髄の背面にある。

延髄と橋被蓋の背面には菱形をした菱形窩が広がり、小脳に被われることで第4脳室の底をなす。(p.121 延髄と橋)

2 小脳皮質は白質である。
大脳も小脳も皮質は灰白質、髄質は白質でできている。皮質は外側なので、大脳も小脳も外側が灰白質、内側が白質となる。脊髄では配置が逆となり、外側が白質 (前索・側索・後索)、内側が灰白質 (前角・側角・後角)である。

3 小脳核は髄質にある。
大脳基底核も小脳核も髄質にあることを理解する。

白質の中に神経細胞がかたまりをなして集まっている場所は、神経核または単にと呼ばれる。(p.116 神経系の構成)

4 下小脳脚は中脳と連絡する。
– 延髄 → 下小脳脚 → 小脳
– 橋 → 中小脳脚 → 小脳
– 中脳 ← 上小脳脚 ← 小脳


問27 脳神経において正円孔を通るのはどれか。

1 視神経
2 眼神経
3 上顎神経
4 外転神経

解答 3

脳神経が通るアナの問題ですね。
これを漢字の名称で暗記するのは大変です。アナの名前+脳神経の番号で覚えるのがオススメです。

I 嗅神経
鼻腔の嗅粘膜より篩骨篩板を通り嗅球に終わる。これはゴロというか、そのまま覚えたほうが早いです。嗅球はナメクジみたいな形をしているので、鼻腔を隔てる篩骨篩板の上にのるナメクジの臭いでしょうか。

II 視神系
視神系、視神経管を通るのアタリマエ。

III 動眼神経, IV 滑車神経, V1, VI 外転神経
「サン(III)シー(IV)ゴノイチ(V1)ロク(VI)」上眼窩裂
なるべく速く素早く5回程声にだせば覚えれます。

V2
正円孔
V3
卵円孔(タマゴを科学する)

VII 顔面神経, VIII 内耳神経
内耳孔ナナ(VII)ハチ(VIII)

IX 舌咽神経, X 迷走神経, XI 副神経
頚静脈孔キュー(IX)ジュー(X)ジュウイチ(XI)

XII 舌下神経
舌下神経、舌下神経管通るのアタリマエ

脳神経が通るアナは数字で覚えると楽です。ですが脳神経の名前と数字が一致していないとだめなので、普段から脳神経の横にローマン数字を振る習慣を付けると良いです。自然に脳神経の名前と番号が一致してきます。


問28 頭部において迷走神経が分布するのはどれか。

1 耳下腺
2 外耳道
3 鼓室
4 鼓膜張筋

解答 2

迷走神経ってきたら、「副交感!」って感じが強いですが、働きは感覚・運動・副交感の三役そろい踏みです。この問題の答えとなっていますが、実は耳のアナに迷走神経が分布しているんですね。ミミカキの気持ちよさは実は迷走神経が感じていたなんて、少し意外ですよね。

X:迷走神経(感覚性・運動性・副交感性) (p.314 脳神経)

延髄から出る太い神経で、舌咽神経、副神経とともに頸静脈孔を通り頭蓋の下面に出たのち内頸静脈に沿って頸部を下行し胸腔に入る。頸部では咽頭への枝や頸動脈小体への枝、上喉頭神経および心臓枝を分枝する。胸部では、右は鎖骨下動脈の前を、左は大動脈弓の横を通り反回神経を分枝したのち、食道の壁に沿い横隔膜を貫いて腹腔に入る。
感覚神経
上・下2個の神経節があり、咽頭、喉頭から胸腹部の内臓の感覚情報を延髄の孤束核と三叉神経脊髄路核へ伝える。また、耳介と外耳道の一部の皮膚感覚も伝える。
運動神経
延髄の疑核から始まり、軟口蓋や咽頭・喉頭の筋を支配する。
反回神経は、右は鎖骨下動脈の下を、左は大動脈弓の下を回り、反転して気管と食道に枝を出しながら上行し、下喉頭神経となる。飲食物を飲み込む嚥下や発声などを行う。
副交感神経
頸胸部では咽頭、喉頭、気管、心臓、肺、食道に、腹部では胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓などに枝を出す。頸部から胸腹部内臓の平滑筋の運動と、粘液腺や消化腺の分泌を促進するが、心筋に対しては抑制的である。


問29 下肢の神経において枝が足背に分布しないのはどれか。

1 閉鎖神経
2 大腿神経
3 脛骨神経
4 総腓骨神経

解答 1

1 閉鎖神経:閉鎖孔をでてから内転筋群に分布し、大腿内側の皮膚に分布しておわる

閉鎖神経はL2~4が合流して構成される。大腰筋の筋束間を下行し、大腰筋内側下縁から骨盤腔に達する。骨盤の側壁を閉鎖動静脈とともに走り、閉鎖孔の内側上方(恥骨上枝の下縁)にある閉鎖管を貫通して大腿内側に至り、外閉鎖筋および内転筋群の各筋に支配枝を出す。また、筋枝を出した後は皮枝として大腿内側の皮膚に分布する。(p.290 腰神経叢)

2 大腿神経:伏在神経が下腿内側〜足背内側に分布

大腿神経はL2~4が合流してできる腰神経叢最大の枝である。大腰筋とともに下行し、筋裂孔を通って大腿三角に至る。大腿三角より下で縫工筋および大腿四頭筋に筋枝を出すほか、皮枝として大腿前面に分布する前皮枝および伏在神経を分枝する。
伏在神経は、大腿動静脈とともに内転筋管を通る途中で大内転筋と内側広筋の間に張る筋膜を貫通し皮下に出る。鵞足付近で膝蓋下枝および内側下腿皮枝となって下腿内面や足背内側の感覚を担う。(p.290 腰神経叢)

3 脛骨神経:腓腹神経が下腿の遠位部、踵部、足背外側部に分布

脛骨神経:大腿後面では総腓骨神経の内側に位置し、大腿二頭筋長頭の深層を下行しながら、半腱・半膜様筋および大腿二頭筋長頭に枝を送って支配する。その後、総腓骨神経と分離して膝窩動静脈とともに膝窩中央を垂直に下行し、下腿後面に至る。 膝窩では下腿三頭筋・膝窩筋・足底筋に枝を送るほか、内側腓腹皮神経を出す。内側腓腹皮神経は、総腓骨神経の枝と合流したあと腓腹神経となり、下腿の遠位部・踵部・足背の外側部の皮膚感覚を担う。脛骨神経の本幹はヒラメ筋腱弓の深層をくぐって、ヒラメ筋と下腿深層の屈筋群(長指・長母指屈筋および後脛骨筋)の間を通り、これら下腿深層の屈筋に枝を出す。さらに、脛骨神経は足首まで下行して、長指屈筋・長母指屈筋・後脛骨筋・後脛骨動静脈とともに内果の後方を回って足底に向かう。
足底に入る直前、脛骨神経は内側・外側足底神経に分かれる。内側足底神経は、短指屈筋枝を出すほか、母指球に向かい、母指外転筋・短母指屈筋および第1虫様筋に枝を与える。そのほか残りは足底内側部の皮神経となる。外側足底神経は、足底を小指球筋に向かって進み、小指球筋および内側足底神経が支配しない中足筋・母指内転筋に次々に枝を出して支配する。そのほか足底外側部の皮枝として浅枝を分枝する。(p.292 仙骨神経叢)

4 総腓骨神経:浅腓骨神経の終枝、内側および中間足背皮神経として足背に分布。深腓骨神経は、母指と第2指の間の皮膚に分布

総腓骨神経:大腿後面では脛骨神経の外側に位置し、大腿二頭筋長頭の深層を下行しながら大腿二頭筋短頭に枝を与える。その後、膝窩の上方で脛骨神経と分離して大腿二頭筋の停止腱に沿って腓骨頭の下方(腓骨頸)に達する。
この神経は外側から腓骨頸を回り込んで下腿に入る際に、次の2枝に分かれる。すなわち、下腿外側の腓骨筋群に分布する浅腓骨神経と、下腿前面の伸筋群に向かう深腓骨神経である。浅腓骨神経は長・短腓骨筋に枝を出した後、下腿の遠位部で皮神経となって皮下に出て、内側および中間足背皮神経として足背に分布する。深腓骨神経は長腓骨筋の起始の深層を素通りして伸筋群に達し、長指屈筋と前脛骨筋の間を下行しながら長指伸筋・長母指伸筋・前脛骨筋に枝を出す。さらに、長母指伸筋腱および前脛骨動脈などとともに伸筋支帯の深層をくぐって足背に達し、短母指伸筋および、短指伸筋への枝を出す。その後、細い皮神経となって母指と第2指の間(下駄の鼻緒が食い込む位置)の皮膚に分布して感覚を担う。(p.292 仙骨神経叢)


問30 内耳において膨大部稜があるのはどれか。

1 半規管
2 球形嚢
3 卵形嚢
4 蝸牛

解答 1

1 半規管
半規管は互いに直交する面上に弧(ループ)を描く3本の半円周形の管からなり、それぞれその途中に膨大部というふくらみがある。膨大部の内面には膨大部稜という有毛感覚細胞の直線状の高まりがあり、身体の回転運動の方向と加速度を感じる。(p.156 半規管)

2 球形嚢
3 卵形嚢
前庭は内耳の中央の部分で、その側壁にある前庭窓によって鼓室に接し、前方に蝸牛、後方に半規管が位置する。前庭には膜迷路に属する球形嚢卵形嚢という2つの袋があり、その内面には平衡斑と呼ばれる感覚装置がある。平衡斑には丈の高い有毛細胞があり、炭酸カルシウムの結晶である平衡砂をのせたゼリー状の平衡砂膜が表面をおおっている。身体の傾きおよび直進する方向とその加速度を感じる。(p.156 前庭)

4 蝸牛

蝸牛は文字通りカタツムリの殻に似ていて、蝸牛軸をラセン管が2巻き半取り巻いている。ラセン管の横断面をみると、その内部は2階だてになっており、1階の鼓室階と2階の前庭階に分かれ、その間に中2階として膜迷路に相当する蝸牛管が仕切られている。蝸牛管の床の基底板上にある上皮細胞は丈が高くなり、ラセン器(コルチ器)を形成し音を感受する。蝸牛神経は蝸牛軸内でラセン神経節をつくりラセン器に分布する。
鼓膜を震わせた音の振動は耳小骨を通じて前庭窓に達し、前庭階を満たす外リンパの液体の振動に変えられる。外リンパの振動は蝸牛の前庭階を昇りつめると鼓室階に移り、鼓室階を下る。すなわち、両階は蝸牛の頂部で連絡し外リンパで満たされ、蝸牛窓で消失する。この外リンパの振動は中2階をなす蝸牛管の内リンパに伝えられ、その振動はラセン器の有毛細胞を刺激して音を感受する。(p.154 蝸牛)

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ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

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