背部浅層に分布する神経 – 完全攻略ガイド
はじめに
背部の筋は浅層筋と深層筋に分けられ、それぞれ異なる神経によって支配されます。背部浅層筋は主に脊髄神経前枝(腕神経叢など)によって支配され、上肢の運動に関与します。一方、皮膚の感覚は脊髄神経後枝が担当します。国家試験では、背部筋の神経支配と皮膚知覚の神経分布が頻出テーマです。本記事では、背部浅層の神経を体系的に解説します。
詳しい解説
背部筋の神経支配の基本原則
背部の筋は発生学的・機能的に2つのグループに分けられます。
| 分類 | 神経支配 | 機能 |
|---|---|---|
| 背部浅層筋 | 脊髄神経前枝(腕神経叢など) | 上肢の運動、肩甲骨の運動 |
| 背部深層筋(固有背筋) | 脊髄神経後枝 | 脊柱の伸展・回旋 |
後頭部・頚部の感覚神経
後頭部と頚部の皮膚感覚を担当する神経です。
| 神経 | 起源 | 支配領域 |
|---|---|---|
| 大後頭神経 | C2後枝 | 後頭部の皮膚(正中寄り) |
| 小後頭神経 | C2前枝 | 後頭部外側の皮膚 |
| 第3後頭神経 | C3後枝 | うなじの皮膚 |
背部浅層筋の神経支配
背部浅層筋は脊髄神経前枝(主に腕神経叢)から支配されます。
| 神経 | 起源 | 支配筋 |
|---|---|---|
| 後頭下神経 | C1後枝 | 後頭下筋群(運動) |
| 肩甲上神経 | C5,6 | 棘上筋・棘下筋 |
| 肩甲背神経 | C4-6 | 肩甲挙筋・菱形筋 |
| 胸背神経 | C6-8 | 広背筋 |
| 腋窩神経 | C5,6 | 三角筋・小円筋 |
脊髄神経後枝の皮枝(背部の皮膚知覚)
背部の皮膚感覚は脊髄神経後枝が担当します。
| 神経 | 支配領域 |
|---|---|
| 脊髄神経後枝(T1〜8) | 背部上部の皮膚(内側皮神経) |
| 脊髄神経後枝(T9〜12) | 腰背部の皮膚 |
殿部の皮神経
殿部(お尻)の皮膚感覚を担当する神経です。
| 神経 | 起源 | 支配領域 |
|---|---|---|
| 上殿皮神経 | L1〜3後枝 | 殿部上方の皮膚 |
| 中殿皮神経 | S1〜3後枝 | 殿部中央の皮膚 |
脊髄神経後枝の特徴
脊髄神経の後枝は上下に連続して出るため、まとめて「脊髄神経後枝」と総称されます。その中で特に名前がついているのが:
- 後頭下神経(C1後枝)
- 大後頭神経(C2後枝)
- 第3後頭神経(C3後枝)
絶対に覚えるべきポイント
- 背部浅層筋 = 脊髄神経前枝(腕神経叢)が支配
- 背部深層筋 = 脊髄神経後枝が支配
- 皮膚知覚 = 脊髄神経後枝の皮枝
- 大後頭神経 = C2後枝
- 肩甲背神経 = 肩甲挙筋・菱形筋
- 胸背神経 = 広背筋
一問一答
Q1. 背部浅層筋を支配する神経は脊髄神経の前枝か後枝か?
【答え】 A. 前枝(腕神経叢など)
背部浅層筋は発生学的に上肢の筋と同じ起源を持ち、脊髄神経前枝が支配します。
Q2. 広背筋を支配する神経は何か?
【答え】 A. 胸背神経(C6-8)
胸背神経は腕神経叢の後神経束から分岐します。
Q3. 肩甲挙筋と菱形筋を支配する神経は何か?
【答え】 A. 肩甲背神経(C4-6)
肩甲背神経は腕神経叢の根部から分岐します。
Q4. 棘上筋と棘下筋を支配する神経は何か?
【答え】 A. 肩甲上神経(C5,6)
肩甲上神経は肩甲切痕を通って棘上筋と棘下筋を支配します。
Q5. 上殿皮神経の起源は?
【答え】 A. L1〜3後枝
上殿皮神経は腰神経後枝から起こり、殿部上方の皮膚感覚を支配します。
Q6. 後頭下筋群を支配する神経は何か?
【答え】 A. 後頭下神経(C1後枝)
後頭下神経は第1頚神経の後枝で、後頭下筋群の運動を支配します。
Q7. 背部の皮膚知覚を支配するのは脊髄神経の前枝か後枝か?
【答え】 A. 後枝の皮枝
脊髄神経後枝には筋枝(固有背筋)と皮枝(背部皮膚)があります。
国家試験対策問題
問題1
背部浅層筋の神経支配について正しいのはどれか。
a. 広背筋は脊髄神経後枝が支配する
b. 僧帽筋は腕神経叢が支配する
c. 菱形筋は肩甲背神経が支配する
d. 棘上筋は胸背神経が支配する
e. 肩甲挙筋は肩甲上神経が支配する
【解答と解説】 正解:c
a. 誤り。広背筋は胸背神経(脊髄神経前枝)が支配します。
b. 誤り。僧帽筋は副神経(XI)が支配します。
c. 正しい。菱形筋は肩甲背神経(C4-6)が支配します。
d. 誤り。棘上筋は肩甲上神経(C5,6)が支配します。
e. 誤り。肩甲挙筋は肩甲背神経が支配します。
問題2
脊髄神経後枝について正しいのはどれか。
a. 背部浅層筋を支配する
b. 大後頭神経はC2前枝である
c. 後頭下神経はC1後枝である
d. 上殿皮神経はS1〜3後枝である
e. 背部の皮膚知覚に関与しない
【解答と解説】 正解:c
a. 誤り。背部浅層筋は脊髄神経前枝が支配します。後枝は深層筋を支配します。
b. 誤り。大後頭神経はC2後枝です。
c. 正しい。後頭下神経はC1後枝で、後頭下筋群を支配します。
d. 誤り。上殿皮神経はL1〜3後枝です。S1〜3後枝は中殿皮神経です。
e. 誤り。脊髄神経後枝の皮枝は背部の皮膚知覚を担当します。
問題3
腕神経叢から分岐する神経について正しいのはどれか。
a. 肩甲上神経は広背筋を支配する
b. 胸背神経は棘上筋を支配する
c. 腋窩神経は三角筋を支配する
d. 肩甲背神経は棘下筋を支配する
e. 後頭下神経は腕神経叢から分岐する
【解答と解説】 正解:c
a. 誤り。肩甲上神経は棘上筋・棘下筋を支配します。広背筋は胸背神経です。
b. 誤り。胸背神経は広背筋を支配します。棘上筋は肩甲上神経です。
c. 正しい。腋窩神経(C5,6)は三角筋と小円筋を支配します。
d. 誤り。肩甲背神経は肩甲挙筋・菱形筋を支配します。棘下筋は肩甲上神経です。
e. 誤り。後頭下神経はC1後枝であり、腕神経叢からは分岐しません。
問題4
殿部の皮神経について正しいのはどれか。
a. 上殿皮神経はS1〜3後枝から起こる
b. 中殿皮神経はL1〜3後枝から起こる
c. 上殿皮神経は殿部上方の皮膚を支配する
d. 中殿皮神経は大腿後面を支配する
e. 殿部の皮膚は脊髄神経前枝が支配する
【解答と解説】 正解:c
a. 誤り。上殿皮神経はL1〜3後枝から起こります。
b. 誤り。中殿皮神経はS1〜3後枝から起こります。
c. 正しい。上殿皮神経は殿部上方の皮膚感覚を支配します。
d. 誤り。中殿皮神経は殿部中央を支配します。大腿後面は異なる神経が支配します。
e. 誤り。殿部の皮膚は脊髄神経後枝の皮枝が支配します。
まとめ
背部浅層に分布する神経の理解では、背部浅層筋 = 脊髄神経前枝(腕神経叢)、背部深層筋 = 脊髄神経後枝という基本原則が最も重要です。背部浅層筋の神経支配では、肩甲上神経(棘上筋・棘下筋)、肩甲背神経(肩甲挙筋・菱形筋)、胸背神経(広背筋)、腋窩神経(三角筋・小円筋)の対応を確実に覚えましょう。また、皮膚感覚では大後頭神経(C2後枝)、上殿皮神経(L1-3後枝)、中殿皮神経(S1-3後枝)が重要です。
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