顔面部と頚部の神経 – 完全攻略ガイド
はじめに
顔面と頚部の神経支配は、国家試験で非常に重要なテーマです。顔面の感覚は三叉神経(V)、顔面の運動(表情筋)は顔面神経(VII)が担当するという基本原則を軸に、各神経の分布と支配領域を理解することが求められます。また、頚部の感覚神経は頚神経叢から出ることも重要です。本記事では、顔面と頚部の神経を体系的に解説します。
詳しい解説
基本原則
顔面・頚部の神経支配には明確な原則があります。
| 機能 | 担当神経 |
|---|---|
| 顔面の感覚 | 三叉神経(V) |
| 顔面の運動(表情筋) | 顔面神経(VII) |
| 咀嚼筋の運動 | 三叉神経(V3) |
| 頚部の感覚 | 頚神経叢(C2-4) |
頭部の感覚神経(三叉神経V)
三叉神経は3つの枝に分かれ、顔面の感覚を担当します。
| 神経 | 枝 | 線維成分 | 支配領域 |
|---|---|---|---|
| 眼窩上神経 | V1(眼神経) | GSA | 前頭部 |
| 滑車上神経 | V1(眼神経) | GSA | 前頭部内側 |
| 眼窩下神経 | V2(上顎神経) | GSA | 頬部・上唇 |
| オトガイ神経 | V3(下顎神経) | GSA | 下唇・オトガイ部 |
| 耳介側頭神経 | V3(下顎神経) | GSA | 側頭部・耳介 |
GSA = 一般体性求心性(General Somatic Afferent)
頚神経叢からの感覚神経
頚神経叢(C1-4)からは頚部や後頭部の感覚神経が出ます。
| 神経 | 起源 | 支配領域 |
|---|---|---|
| 大後頭神経 | C2後枝 | 後頭部(正中寄り) |
| 小後頭神経 | C2前枝 | 後頭部外側 |
| 大耳介神経 | C2,3前枝 | 耳介・耳下部 |
| 頚横神経 | C2,3前枝 | 頚部前面 |
顔面の運動神経(顔面神経VII)
顔面神経は表情筋を支配します。
| 枝 | 線維成分 | 支配筋 |
|---|---|---|
| 側頭枝 | SVE | 前頭筋、眼輪筋上部 |
| 頬骨枝 | SVE | 眼輪筋 |
| 頬筋枝 | SVE | 頬筋、口角挙筋 |
| 下顎縁枝 | SVE | 下唇の筋(口角下制筋など) |
| 頚枝 | SVE | 広頚筋 |
SVE = 特殊内臓遠心性(Special Visceral Efferent)
頚部の筋と神経支配
| 筋 | 神経支配 |
|---|---|
| 前頭筋 | 顔面神経(VII) |
| 眼輪筋 | 顔面神経(VII) |
| 後頭筋 | 顔面神経(VII) |
| 側頭筋 | 三叉神経(V3) |
| 咬筋 | 三叉神経(V3) |
| 頭板状筋 | 脊髄神経後枝 |
| 胸鎖乳突筋 | 副神経(XI) |
| 僧帽筋 | 副神経(XI) |
| 肩甲挙筋 | 肩甲背神経 |
その他の重要構造
| 構造 | 詳細 |
|---|---|
| 帽状腱膜 | 前頭筋と後頭筋をつなぐ腱膜 |
| 浅側頭動脈 | 外頚動脈の枝、側頭部を栄養 |
| 喉頭隆起 | 甲状軟骨の突出(喉仏) |
絶対に覚えるべきポイント
- 顔面の感覚 = 三叉神経(V)
- 顔面の運動(表情筋) = 顔面神経(VII)
- 咀嚼筋 = 三叉神経V3(下顎神経)
- 頚部の感覚 = 頚神経叢(C2-4)
- 大後頭神経 = C2後枝
- 胸鎖乳突筋・僧帽筋 = 副神経(XI)
一問一答
Q1. 顔面の感覚を支配する神経は何か?
【答え】 A. 三叉神経(V)
三叉神経は3つの枝(V1眼神経、V2上顎神経、V3下顎神経)で顔面全体の感覚を支配します。
Q2. 表情筋を支配する神経は何か?
【答え】 A. 顔面神経(VII)
前頭筋、眼輪筋、頬筋、口輪筋など表情筋はすべて顔面神経が支配します。
Q3. 大後頭神経の起源は?
【答え】 A. C2後枝
大後頭神経は後頭部正中寄りの感覚を支配します。小後頭神経はC2前枝です。
Q4. 咬筋を支配する神経は何か?
【答え】 A. 三叉神経V3(下顎神経)
咀嚼筋(咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋)は三叉神経V3が支配します。
Q5. 胸鎖乳突筋を支配する神経は何か?
【答え】 A. 副神経(XI)
副神経は胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配します。
Q6. 頚横神経が支配する領域は?
【答え】 A. 頚部前面
頚横神経はC2,3前枝から起こり、頚部前面の皮膚感覚を支配します。
Q7. 眼窩下神経が支配する領域は?
【答え】 A. 頬部・上唇
眼窩下神経は三叉神経V2(上顎神経)の枝で、頬部と上唇の感覚を支配します。
国家試験対策問題
問題1
顔面の神経支配について正しいのはどれか。
a. 表情筋は三叉神経が支配する
b. 咀嚼筋は顔面神経が支配する
c. 顔面の感覚は顔面神経が担当する
d. 前頭筋は顔面神経が支配する
e. 咬筋は副神経が支配する
【解答と解説】 正解:d
a. 誤り。表情筋は顔面神経(VII)が支配します。
b. 誤り。咀嚼筋は三叉神経V3が支配します。
c. 誤り。顔面の感覚は三叉神経(V)が担当します。
d. 正しい。前頭筋は表情筋であり、顔面神経が支配します。
e. 誤り。咬筋は三叉神経V3が支配します。副神経は胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配します。
問題2
三叉神経について正しいのはどれか。
a. V1は上顎神経である
b. オトガイ神経はV2の枝である
c. 眼窩上神経はV1の枝である
d. V3は眼神経である
e. 頬部の感覚はV3が支配する
【解答と解説】 正解:c
a. 誤り。V1は眼神経です。上顎神経はV2です。
b. 誤り。オトガイ神経はV3(下顎神経)の枝です。
c. 正しい。眼窩上神経はV1(眼神経)の枝で、前頭部の感覚を支配します。
d. 誤り。V3は下顎神経です。眼神経はV1です。
e. 誤り。頬部の感覚はV2(上顎神経の眼窩下神経)が支配します。
問題3
頚神経叢について正しいのはどれか。
a. 大後頭神経はC2前枝から起こる
b. 小後頭神経はC2後枝から起こる
c. 大耳介神経は耳介を支配する
d. 頚横神経は後頭部を支配する
e. 頚神経叢はC5-8で構成される
【解答と解説】 正解:c
a. 誤り。大後頭神経はC2後枝から起こります。
b. 誤り。小後頭神経はC2前枝から起こります。
c. 正しい。大耳介神経はC2,3前枝から起こり、耳介と耳下部を支配します。
d. 誤り。頚横神経は頚部前面を支配します。
e. 誤り。頚神経叢はC1-4で構成されます。C5-8は腕神経叢です。
問題4
顔面神経の枝について正しいのはどれか。
a. 側頭枝は咬筋を支配する
b. 頬骨枝は眼輪筋を支配する
c. 頬筋枝は頭板状筋を支配する
d. 下顎縁枝は咀嚼筋を支配する
e. 頚枝は胸鎖乳突筋を支配する
【解答と解説】 正解:b
a. 誤り。咬筋は三叉神経V3が支配します。側頭枝は前頭筋などを支配します。
b. 正しい。頬骨枝は眼輪筋を支配します。
c. 誤り。頭板状筋は脊髄神経後枝が支配します。頬筋枝は頬筋を支配します。
d. 誤り。咀嚼筋は三叉神経V3が支配します。下顎縁枝は下唇の筋を支配します。
e. 誤り。胸鎖乳突筋は副神経(XI)が支配します。頚枝は広頚筋を支配します。
問題5
副神経(XI)が支配する筋の組み合わせで正しいのはどれか。
a. 咬筋と側頭筋
b. 前頭筋と後頭筋
c. 胸鎖乳突筋と僧帽筋
d. 頭板状筋と肩甲挙筋
e. 広頚筋と頬筋
【解答と解説】 正解:c
副神経(XI)は胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配します。これは非常に重要な知識です。
- 咬筋と側頭筋:三叉神経V3
- 前頭筋と後頭筋:顔面神経VII
- 頭板状筋:脊髄神経後枝、肩甲挙筋:肩甲背神経
- 広頚筋と頬筋:顔面神経VII
まとめ
顔面部と頚部の神経支配の基本原則は、顔面感覚 = 三叉神経(V)、表情筋 = 顔面神経(VII)、咀嚼筋 = 三叉神経V3、頚部感覚 = 頚神経叢(C2-4)です。特に三叉神経の3つの枝(V1眼神経、V2上顎神経、V3下顎神経)の支配領域、顔面神経の5つの枝(側頭・頬骨・頬筋・下顎縁・頚)の支配筋、頚神経叢からの感覚神経(大後頭・小後頭・大耳介・頚横)の起源と支配領域を確実に覚えましょう。
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