脂溶性ホルモンの作用機序 – 完全攻略ガイド
はじめに
脂溶性ホルモンは、水溶性ホルモンとは全く異なる作用機序を持っています。細胞膜を通過して核内のDNAに直接作用するため、効果がゆっくりと発現し、長く持続するのが特徴です。ステロイドホルモンと甲状腺ホルモンの作用を理解する上で必須の知識です!
詳しい解説
脂溶性ホルモンの作用過程
脂溶性ホルモンが細胞に作用する過程は、以下の5ステップで進行します。
Step 1:細胞膜の通過
脂溶性ホルモンは細胞膜を通過します。細胞膜は「脂質二重層」、つまり油が主成分なので、脂溶性の物質は自由に通過できます。
Step 2:細胞内受容体との結合
ホルモンが細胞内に存在する受容体と結合します。この受容体は核内受容体とも呼ばれます。
Step 3:核内への移行
ホルモン-受容体複合体が核内に入ってDNAに作用します。
Step 4:mRNAの合成(転写)
特定の遺伝子が活性化され、mRNAが合成されます。これを転写といいます。
Step 5:タンパク質の合成(翻訳)
mRNAを鋳型として、特定のタンパク質の合成が促進され、生理作用を発現します。これを翻訳と遺伝子発現といいます。
なぜ効果がゆっくりで長いのか?
脂溶性ホルモンは遺伝子発現を調節するため:
- 転写 → 翻訳 → タンパク質合成という過程に時間がかかる → 効果発現がゆっくり
- 合成されたタンパク質は分解されるまで作用し続ける → 効果が長く持続
脂溶性ホルモンの特徴まとめ
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 受容体の位置 | 細胞内(核内受容体) |
| 作用機序 | 遺伝子発現の調節 |
| 効果の発現 | 比較的ゆっくり |
| 効果の持続 | 長い |
脂溶性ホルモンの例
- ステロイドホルモン:性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン)、副腎皮質ホルモン(アルドステロン、コルチゾール)
- 甲状腺ホルモン:サイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)
絶対に覚えるべきポイント
- 脂溶性ホルモンは細胞膜を通過できる → 受容体は細胞内(核内)
- 作用機序は遺伝子発現の調節(DNA → mRNA → タンパク質)
- 効果発現はゆっくりだが、持続時間は長い
- 脂溶性ホルモン = ステロイドホルモン + 甲状腺ホルモン
一問一答(6問)
Q1. 脂溶性ホルモンの受容体はどこに存在するか?
【答え】 A. 細胞内(核内受容体)
脂溶性ホルモンは細胞膜を通過できるため、受容体は細胞内に存在します。
Q2. 脂溶性ホルモンが細胞膜を通過できるのはなぜか?
【答え】 A. 細胞膜が脂質二重層(油が主成分)でできているから
脂溶性物質は脂質に溶けやすいため、脂質二重層を自由に通過できます。
Q3. 脂溶性ホルモンはDNAに作用して何を合成させるか?
【答え】 A. mRNA
DNAからmRNAが合成される過程を転写といいます。
Q4. 脂溶性ホルモンの効果発現は速いか遅いか?
【答え】 A. 比較的ゆっくり(遅い)
遺伝子発現を経由するため、タンパク質合成に時間がかかります。
Q5. 脂溶性ホルモンに分類されるホルモンを2種類挙げよ。
【答え】 A. ステロイドホルモンと甲状腺ホルモン
この2種類のみが脂溶性ホルモンです。
Q6. 脂溶性ホルモンの作用機序を一言で表すと何か?
【答え】 A. 遺伝子発現の調節
DNAに作用してタンパク質合成を調節することで生理作用を発揮します。
国家試験対策問題(4問)
問題1(選択問題)
脂溶性ホルモンの作用機序について正しいのはどれか。
a) セカンドメッセンジャーを介して作用する
b) 細胞膜上の受容体に結合する
c) 効果の発現は速やかである
d) 遺伝子発現を調節する
【解答と解説】 正解:d
脂溶性ホルモンは細胞膜を通過し、核内受容体に結合して遺伝子発現を調節します。セカンドメッセンジャーを介するのは水溶性ホルモンの特徴です。
問題2(○×問題)
脂溶性ホルモンは効果の発現が速く、持続時間は短い。
【解答と解説】 正解:×
脂溶性ホルモンは遺伝子発現を調節するため、効果の発現は比較的ゆっくりですが、持続時間は長いのが特徴です。
問題3(選択問題)
脂溶性ホルモンに分類されるのはどれか。2つ選べ。
a) インスリン
b) コルチゾール
c) アドレナリン
d) サイロキシン
e) 成長ホルモン
【解答と解説】 正解:b、d
コルチゾール(ステロイドホルモン)とサイロキシン(甲状腺ホルモン)が脂溶性ホルモンです。インスリンと成長ホルモンはペプチドホルモン、アドレナリンはカテコールアミンで水溶性です。
問題4(穴埋め問題)
脂溶性ホルモンは( )を通過して、細胞内の( )受容体に結合し、( )発現を調節することで作用を発揮する。
【解答と解説】 正解:細胞膜、核内、遺伝子
脂溶性ホルモンは細胞膜を通過し、核内受容体に結合して遺伝子発現を調節します。
まとめ
脂溶性ホルモンの作用機序フローチャート
“
脂溶性ホルモン
↓
細胞膜を通過
↓
細胞内(核内)受容体に結合
↓
核内に移行してDNAに作用
↓
mRNAの合成(転写)
↓
タンパク質の合成(翻訳)
↓
生理作用の発現
“
水溶性ホルモンとの比較表
| 項目 | 脂溶性ホルモン | 水溶性ホルモン |
|---|---|---|
| 細胞膜通過 | 可能 | 不可能 |
| 受容体の位置 | 細胞内(核内) | 細胞膜上 |
| 作用機序 | 遺伝子発現調節 | セカンドメッセンジャー |
| 効果発現 | ゆっくり | 速い |
| 効果持続 | 長い | 短い |
学習チェックリスト
- [ ] 脂溶性ホルモンが細胞膜を通過できる理由を説明できる
- [ ] 作用機序(転写→翻訳→タンパク質合成)を理解した
- [ ] 効果が「ゆっくりで長い」理由を説明できる
- [ ] 水溶性ホルモンとの違いを比較できる
#解剖学 #内分泌系 #国試対策







コメント