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精巣下降と精巣鞘膜

精巣下降と精巣鞘膜 – 完全攻略ガイド

目次

はじめに

精巣は胎生期に腹腔内で発生し、出生前に陰嚢内へ下降します。この精巣下降の過程で、腹膜から派生した腹膜鞘状突起が精巣鞘膜へと変化します。この記事では、精巣下降の過程と精巣鞘膜の形成について詳しく解説します。

詳しい解説

精巣下降の4段階

第1段階:腹腔内での発生

  • 精巣は始め、腎臓の下で腹膜の後ろに発生
  • この時期、腹膜鞘状突起が形成され始める
  • 横筋筋膜と外精筋膜も確認できる

第2段階:鼠径管への下降(胎生3ヶ月頃)

  • 精巣が鼠径管を下行
  • 腹膜鞘状突起も一緒に下降
  • この時期から精巣の位置が徐々に下がる

第3段階:陰嚢への到達

  • 陰嚢内に精巣が収まる
  • しかし、腹膜腔と鞘状突起はまだ連続している
  • この状態が続くと、鼠径ヘルニアのリスクとなる

第4段階:出生時の完成形

  • 腹膜鞘状突起は閉鎖し、腹腔との連絡は途絶える
  • 精巣前面では精巣鞘膜として残る
  • 精巣鞘膜は腹膜に由来

精巣鞘膜の構造

出生時に完成する精巣鞘膜は以下の構造を持ちます:

  • 壁側板 – 外側の層
  • 精巣鞘膜腔 – 両層の間の空間(少量の漿液を含む)
  • 臓側板 – 内側の層(精巣に密着)

精巣下降に伴う構造の変化

時期 精巣の位置 鞘状突起の状態
発生初期 腎臓の下、腹膜後方 形成開始
胎生3ヶ月頃 鼠径管を下行中 伸長中
胎生後期 陰嚢内 腹腔と連続
出生時 陰嚢内 閉鎖、精巣鞘膜として残存

臨床的意義

停留精巣(停留睾丸)

精巣が陰嚢内に下降しない状態。体温が高いため精子形成に支障をきたし、悪性腫瘍のリスクも高まります。

鼠径ヘルニア

腹膜鞘状突起が閉鎖せず開存していると、腸管などが鼠径管を通って陰嚢内に脱出する可能性があります。

陰嚢水腫

精巣鞘膜腔に液体が過剰に貯留した状態です。

絶対に覚えるべきポイント

  • 精巣は腎臓の下、腹膜の後ろで発生
  • 胎生3ヶ月頃に鼠径管を下行
  • 出生時に腹膜鞘状突起は閉鎖
  • 精巣鞘膜は腹膜(腹膜鞘状突起)に由来
  • 精巣鞘膜は精巣前面を覆う

一問一答

Q1. 精巣はどこで発生するか?

【答え】 A. 腎臓の下、腹膜の後ろ

精巣は後腹膜の位置で発生し、その後、陰嚢へ下降します。

Q2. 精巣が鼠径管を下行するのはいつ頃か?

【答え】 A. 胎生3ヶ月頃

胎生3ヶ月頃から精巣は鼠径管を下行し始め、出生前に陰嚢内に達します。

Q3. 腹膜鞘状突起はいつ閉鎖するか?

【答え】 A. 出生時

出生時に腹膜鞘状突起の上部は閉鎖し、腹腔との連絡が途絶えます。

Q4. 精巣鞘膜は何に由来するか?

【答え】 A. 腹膜(腹膜鞘状突起)

腹膜鞘状突起が閉鎖した後、精巣前面を覆う部分が精巣鞘膜として残ります。

Q5. 腹膜鞘状突起が閉鎖しないとどうなるか?

【答え】 A. 鼠径ヘルニアのリスクが高まる

腹膜鞘状突起が開存していると、腸管などが陰嚢内に脱出する鼠径ヘルニアが起こりやすくなります。

Q6. 精巣が陰嚢内に下降しない状態を何というか?

【答え】 A. 停留精巣(停留睾丸)

停留精巣では体温が高いため精子形成に障害が生じ、悪性腫瘍のリスクも上昇します。

国家試験対策問題

問題1(選択問題)

精巣の発生位置として正しいものはどれか。

a) 骨盤腔内

b) 腎臓の下、腹膜の後ろ

c) 鼠径管内

d) 陰嚢内

【解答と解説】 正解:b

精巣は腎臓の下、腹膜の後ろ(後腹膜)で発生し、その後、陰嚢へ下降します。

問題2(○×問題)

精巣鞘膜は横筋筋膜に由来する。

【解答と解説】 正解:×

精巣鞘膜は腹膜(腹膜鞘状突起)に由来します。横筋筋膜に由来するのは内精筋膜です。

問題3(穴埋め問題)

精巣は胎生(  )頃に鼠径管を下行し、出生時に(  )が閉鎖して精巣鞘膜となる。

【解答と解説】 正解:3ヶ月、腹膜鞘状突起

胎生3ヶ月頃から精巣は下降を開始し、出生時に腹膜鞘状突起が閉鎖して精巣鞘膜が形成されます。

問題4(選択問題)

腹膜鞘状突起が閉鎖せず開存していると起こりうる疾患はどれか。

a) 停留精巣

b) 精索静脈瘤

c) 鼠径ヘルニア

d) 前立腺肥大

【解答と解説】 正解:c

腹膜鞘状突起が開存していると、腸管などが鼠径管を通って陰嚢内に脱出する鼠径ヘルニアが起こる可能性があります。

問題5(選択問題)

精巣下降について正しいものはどれか。

a) 精巣は出生後に下降する

b) 精巣は腹膜の前方で発生する

c) 精巣は鼠径管を通過して陰嚢に達する

d) 腹膜鞘状突起は生涯開存している

【解答と解説】 正解:c

精巣は胎生期に腹膜後方で発生し、鼠径管を通過して陰嚢に下降します。出生時に腹膜鞘状突起は閉鎖します。

まとめ

精巣下降の過程

段階 時期 特徴
1 発生初期 腎臓下、腹膜後方で発生
2 胎生3ヶ月 鼠径管を下行
3 胎生後期 陰嚢に到達、鞘状突起は開存
4 出生時 鞘状突起閉鎖、精巣鞘膜形成

精巣下降異常に関連する疾患

疾患 原因
停留精巣 精巣が下降しない
鼠径ヘルニア 腹膜鞘状突起の開存
陰嚢水腫 精巣鞘膜腔への液体貯留

確認チェックリスト

  • [ ] 精巣の発生位置を説明できる
  • [ ] 精巣下降の時期を述べられる
  • [ ] 精巣鞘膜の由来を説明できる
  • [ ] 精巣下降異常に関連する疾患を列挙できる

#解剖学 #生殖器系 #国試対策

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この記事を書いた人

黒澤一弘(株式会社SBCHAプラクシス代表・つむぐ指圧治療室・東京都立大学 解剖学実習非常勤講師)
鍼灸師、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師などの国家試験に向けた解剖学の知識向上を応援します。初学者にも分かり易く、記憶に残りやすい講座を心がけています。

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