解剖学的嗅ぎタバコ入れ(橈骨小窩) – 完全攻略ガイド
はじめに
解剖学的嗅ぎタバコ入れ(snuff box)は、母指を伸展させた時に手首の橈側にできる三角形の陥凹です。この部位は橈骨動脈の触診や舟状骨骨折の診察において臨床的に非常に重要です。かつて嗅ぎタバコ(粉末状のタバコ)をこの凹みに乗せて吸っていたことからこの名前がつきました。
詳しい解説
解剖学的嗅ぎタバコ入れの構成
母指を伸展させると、手首の橈側に三角形の陥凹が形成されます。
橈側壁(外側)
- 長母指外転筋腱
- 短母指伸筋腱
尺側壁(内側)
- 長母指伸筋腱
底
- 舟状骨
- 大菱形骨
通過する動脈
橈骨動脈は解剖学的嗅ぎタバコ入れを通過して手掌深層へ向かいます。
- 橈骨動脈: 嗅ぎタバコ入れを通過
- 背側手根枝: 橈骨動脈から分岐
- 第1背側中手動脈: 橈骨動脈から分岐
橈骨動脈の走行
橈骨動脈の手首周囲での走行を整理します。
- 手首まで前腕橈側を走行
- 解剖学的嗅ぎタバコ入れでカーブ
- 手掌の深層へ向かう
- 深掌動脈弓に続く
周囲の筋腱
嗅ぎタバコ入れ周囲には以下の筋腱があります。
| 構造 | 機能 |
|---|---|
| 長母指外転筋 | 母指外転 |
| 短母指伸筋 | 母指基節伸展 |
| 長母指伸筋 | 母指末節伸展 |
| 短橈側手根伸筋 | 手関節背屈 |
| 長橈側手根伸筋 | 手関節背屈 |
臨床的意義
橈骨動脈触診
- 嗅ぎタバコ入れで橈骨動脈の拍動を触知可能
- 動脈血採血や動脈ライン挿入の部位
舟状骨骨折
- 嗅ぎタバコ入れに圧痛があれば舟状骨骨折を疑う
- 転倒して手をついた時に好発
- X線で見えにくいことがある
Allen試験
- 手掌動脈弓(浅掌・深掌動脈弓)の開通性を評価
- 橈骨動脈と尺骨動脈の吻合を確認
絶対に覚えるべきポイント
- 嗅ぎタバコ入れの構成: 橈側壁(長母指外転筋腱+短母指伸筋腱)、尺側壁(長母指伸筋腱)、底(舟状骨+大菱形骨)
- 橈骨動脈: 嗅ぎタバコ入れを通過して深掌動脈弓へ
- 舟状骨骨折: 嗅ぎタバコ入れの圧痛で診断の手がかり
一問一答
Q1. 解剖学的嗅ぎタバコ入れの橈側壁を構成する腱は?
【答え】 A. 長母指外転筋腱と短母指伸筋腱
これらの腱が嗅ぎタバコ入れの橈側(外側)の壁を形成します。
Q2. 解剖学的嗅ぎタバコ入れの尺側壁を構成する腱は?
【答え】 A. 長母指伸筋腱
長母指伸筋腱が嗅ぎタバコ入れの尺側(内側)の壁を形成します。
Q3. 解剖学的嗅ぎタバコ入れの底を構成する骨は?
【答え】 A. 舟状骨と大菱形骨
これらの手根骨が嗅ぎタバコ入れの底を形成します。
Q4. 解剖学的嗅ぎタバコ入れを通過する動脈は?
【答え】 A. 橈骨動脈
橈骨動脈は嗅ぎタバコ入れを通過して手掌深層へ向かい、深掌動脈弓を形成します。
Q5. 嗅ぎタバコ入れの圧痛で疑う骨折は?
【答え】 A. 舟状骨骨折
転倒して手をついた際に好発し、X線で見えにくいことがあるため、圧痛所見が重要です。
Q6. 橈骨動脈は嗅ぎタバコ入れを通過した後、どこへ向かう?
【答え】 A. 手掌深層(深掌動脈弓)
橈骨動脈は嗅ぎタバコ入れでカーブして手掌深層へ入り、深掌動脈弓を形成します。
国家試験対策問題
問題1(選択問題)
解剖学的嗅ぎタバコ入れの尺側壁を構成する腱はどれか。
a. 長母指外転筋腱
b. 短母指伸筋腱
c. 長母指伸筋腱
d. 長橈側手根伸筋腱
e. 短橈側手根伸筋腱
【解答と解説】 正解:c
解剖学的嗅ぎタバコ入れの尺側壁は長母指伸筋腱で構成されます。橈側壁は長母指外転筋腱と短母指伸筋腱で構成されます。
問題2(選択問題)
解剖学的嗅ぎタバコ入れを通過する動脈はどれか。
a. 尺骨動脈
b. 前骨間動脈
c. 後骨間動脈
d. 橈骨動脈
e. 上腕動脈
【解答と解説】 正解:d
橈骨動脈は解剖学的嗅ぎタバコ入れを通過して手掌深層へ向かい、深掌動脈弓を形成します。この部位で橈骨動脈の拍動を触知できます。
問題3(選択問題)
解剖学的嗅ぎタバコ入れの底を構成する骨として正しいものはどれか。2つ選べ。
a. 月状骨
b. 舟状骨
c. 有頭骨
d. 大菱形骨
e. 小菱形骨
【解答と解説】 正解:b、d
解剖学的嗅ぎタバコ入れの底は舟状骨と大菱形骨で構成されます。このため、嗅ぎタバコ入れの圧痛は舟状骨骨折を示唆します。
問題4(選択問題)
嗅ぎタバコ入れの圧痛で疑うべき骨折はどれか。
a. 橈骨遠位端骨折
b. 尺骨骨折
c. 舟状骨骨折
d. 有頭骨骨折
e. 中手骨骨折
【解答と解説】 正解:c
嗅ぎタバコ入れの底には舟状骨があるため、この部位の圧痛は舟状骨骨折を示唆します。舟状骨骨折は転倒して手をついた際に好発し、X線で見えにくいことがあります。
まとめ
解剖学的嗅ぎタバコ入れは、母指を伸展させた時に手首橈側にできる三角形の陥凹です。橈側壁は長母指外転筋腱と短母指伸筋腱、尺側壁は長母指伸筋腱、底は舟状骨と大菱形骨で構成されます。橈骨動脈がこの部位を通過するため触診に利用され、また舟状骨骨折の診断にも重要な部位です。
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