問題
生体警告系の仕組みとして適切なのはどれか。
- 慢性痛
- 関連痛
- 屈曲反射
- 腹壁反射
解答: 3(屈曲反射)
解説
- 誤り。慢性痛は原因となる組織損傷が治癒した後も持続する痛みであり、本来の警告としての意義を失った病的な痛みである。生体警告系の仕組みとしては不適切である。
- 誤り。関連痛は内臓痛が脊髄後角での収束投射により体表に投影される現象であり、痛みの知覚部位に関する問題である。防御反射ではなく生体警告系の仕組みとはいえない。
- 正しい。屈曲反射は生体警告系の仕組みとして最も適切である。侵害刺激(痛み刺激)を受けると、侵害受容器(自由神経終末)→Aδ/C線維→脊髄後角→介在ニューロン→α運動ニューロン→屈筋収縮の経路で、反射的に患肢を屈曲して有害刺激から逃避する多シナプス反射である。大脳皮質を介さず脊髄レベルで即座に防御行動が起こるため、組織損傷を最小限に抑える生体警告系の代表的な仕組みである。対側では伸展筋が収縮する交叉性伸展反射が同時に起こり、姿勢を保持する。
- 誤り。腹壁反射は腹壁皮膚をこする刺激で腹筋が反射的に収縮する表在反射であり、錐体路の機能検査に用いられるが、侵害刺激からの逃避を目的とした生体警告系の仕組みではない。
ポイント
屈曲反射は侵害刺激に対する脊髄レベルの防御反射であり、生体警告系の代表的な仕組みである。
- 覚え方のコツ: 「熱いものに触れて手を引っ込める」→屈曲反射が生体警告系の典型例。「慢性痛は”慢性的に意味がない痛み”」→警告機能が失われた痛みと区別する。
- 関連知識: 問871(痛覚の受容器と順応)、問856(痛覚の順応しにくさ)と関連する。痛覚が順応しにくい理由と屈曲反射が存在する理由は同じ「生体防御」である。運動の章で学ぶ脊髄反射(伸張反射・屈曲反射・交叉性伸展反射)との横断理解が重要である。
- よくある間違い: 関連痛や慢性痛を「生体警告系」と誤解しやすい。関連痛は痛みの投射現象、慢性痛は警告機能が失われた病的痛みであり、いずれも能動的な防御反射ではない。
- 教科書では「d.痛みの抑制系」の範囲に該当する。
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