問題
筋収縮の過程でエネルギーを必要としないのはどれか。
- 筋小胞体からのカルシウムイオンの放出
- ミオシン頭部の運動
- 筋小胞体によるカルシウムイオンの回収
- ミオシン頭部とアクチンとの結合の分離
解答: 1(筋小胞体からのカルシウムイオンの放出)
解説
- 正しい。筋小胞体からのCa²⁺放出は、活動電位がT管を伝わりリアノジン受容体(Ca²⁺放出チャネル)が開口することで受動的に起こる過程であり、濃度勾配に従った拡散(受動輸送)であるためATPの消費を直接必要としない。筋小胞体内のCa²⁺濃度が細胞質より高いため、チャネルが開けば自然にCa²⁺が流出する。
- 誤り。ミオシン頭部の首振り運動(パワーストローク)はATPの加水分解によって得られたエネルギーで駆動される。
- 誤り。筋小胞体へのCa²⁺の回収はCa²⁺-ATPase(SERCAポンプ)による能動輸送であり、ATPの加水分解エネルギーが必要である。
- 誤り。ミオシン頭部とアクチンの結合を解離させるためには、新たなATP分子がミオシン頭部に結合する必要がある。ATPがなければ解離できず、硬直状態(死後硬直)となる。
ポイント
Ca²⁺の「放出」は受動的(エネルギー不要)、「回収」は能動的(ATP必要)であるという方向性の違いが最重要である。
- 覚え方のコツ: 「放出=チャネルが開いて流れ出る=受動的=ATP不要」「回収=ポンプで汲み上げる=能動的=ATP必要」と「チャネル vs ポンプ」で区別する。
- 関連知識: クロスブリッジサイクルの各段階のうち、ATPを使う段階を整理しておくことが重要である。(1)ミオシン頭部の首振り運動、(2)Ca²⁺の回収(SERCA)、(3)アクチン-ミオシン解離の3つにATPが必要である。
- よくある間違い: 「Ca²⁺放出にもATPが必要」と考えるケース。Ca²⁺放出は濃度勾配に従った受動輸送であり、ポンプ(能動輸送)によるCa²⁺回収とは区別する。
- 教科書では「a.筋収縮のエネルギー代謝」の範囲に該当する。
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