問題
骨格筋について誤っている記述はどれか。
- 無酸素状態でもエネルギー産生ができる。
- クレアチンリン酸はエネルギー源である。
- 収縮に伴い熱が発生する。
- 弛緩の過程にエネルギーは不要である。
解答: 4(弛緩の過程にエネルギーは不要である。)
解説
- 正しい。骨格筋は解糖系(嫌気的代謝)により、酸素がない状態でもグルコースからATPを産生できる。乳酸が生成されるが、短時間の激しい運動に対応可能である。
- 正しい。クレアチンリン酸はクレアチンキナーゼの触媒作用によりADPにリン酸基を転移し、ATPを迅速に再合成する。運動開始直後の即時的エネルギー供給源として重要である。
- 正しい。筋収縮時にはATPの加水分解エネルギーの約75〜80%が熱として放出される。この熱産生は体温調節にも寄与する。
- 誤り。筋の弛緩過程にはATP(エネルギー)が必要である。Ca²⁺-ATPase(SERCAポンプ)が筋小胞体にCa²⁺を能動的に取り込む際にATPが消費される。さらにミオシン頭部がアクチンから解離する際にも新たなATPの結合が必要である。ATPが枯渇すると弛緩できなくなり、これが死後硬直の原因となる。
ポイント
筋の弛緩にもATPが必要であるという事実が最重要であり、収縮だけでなく弛緩にもエネルギーが不可欠であることを理解する。
- 覚え方のコツ: 「弛緩=Ca²⁺を回収=ポンプ=ATPが要る」「ATP枯渇=弛緩できない=死後硬直」と一連の流れで覚える。
- 関連知識: 筋のエネルギー供給は「クレアチンリン酸(即時・数秒)→解糖系(短時間・数十秒〜数分)→有気的代謝(持続・数分以上)」の3段階で切り替わる。
- よくある間違い: 「収縮にだけエネルギーが必要で弛緩は自然に起こる」という誤解。能動的なCa²⁺回収とアクチン-ミオシン解離にATPが必須である。
- 教科書では「a.筋収縮のエネルギー代謝」の範囲に該当する。
| エネルギー供給系 | 速度 | 持続時間 | 酸素の要否 |
|---|---|---|---|
| クレアチンリン酸系 | 最速 | 数秒 | 不要 |
| 解糖系(嫌気的代謝) | 速い | 数十秒〜数分 | 不要 |
| 有気的代謝(酸化的リン酸化) | 遅い | 数分以上(持続) | 必要 |
表: 筋のエネルギー供給系の比較
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