問題
骨格筋の収縮について誤っているのはどれか。
- 収縮に先立って活動電位が生じる。
- アクチンフィラメントが短縮する。
- カルシウムイオンが必要である。
- ATP が消費される。
解答: 2(アクチンフィラメントが短縮する。)
解説
- 正しい。骨格筋の収縮に先立って、運動神経からの興奮が神経筋接合部を介して伝わり、筋細胞膜に活動電位が生じる。活動電位は収縮に「先行」して発生し、興奮収縮連関を経て収縮に至る。
- 誤り。アクチンフィラメント(細いフィラメント)自体の長さは筋収縮時に短縮しない。滑走説(滑り説)によると、筋収縮はアクチンフィラメントがミオシンフィラメント(太いフィラメント)の間に滑り込むことで起こる。フィラメントの長さ自体は不変であり、フィラメント同士の重なりが増えることでサルコメアが短縮する。A帯(ミオシンの長さ)は不変で、I帯とH帯が短縮する。
- 正しい。筋収縮にはCa²⁺が不可欠である。筋小胞体から放出されたCa²⁺がトロポニンCに結合し、アクチンとミオシンの相互作用を開始させる。
- 正しい。ミオシン頭部のATPase活性によりATPがADPとPiに加水分解され、クロスブリッジサイクルが駆動される。ATPは筋収縮の直接的エネルギー源として消費される。
ポイント
滑走説の核心は「フィラメント自体は短縮せず、滑り込みによりサルコメアが短縮する」という点であり、これが最重要である。
- 覚え方のコツ: 「滑走=滑って走る=移動するだけで縮まない」→フィラメントは長さ不変で位置だけ変わる。
- 関連知識: 問題769で学んだサルコメアの各帯域の変化(I帯・H帯は短縮、A帯は不変)と滑走説は表裏一体の知識である。
- よくある間違い: 「筋が短縮する=フィラメントが短縮する」と混同するケース。短縮するのはサルコメア(Z線間距離)であり、個々のフィラメントの長さではない。
- 教科書では「a.興奮収縮連関」の範囲に該当する。
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