問題
骨格筋について誤っている記述はどれか。
- 日常の運動の多くは強縮によって起こる。
- 骨格筋は心筋に比べて不応期が長い。
- 筋の両端を固定した状態で起こる収縮を等尺性収縮という。
- 筋収縮にはカルシウムイオンが必要である。
解答: 2(骨格筋は心筋に比べて不応期が長い。)
解説
- 正しい。日常の随意運動は高頻度の運動神経インパルスにより単収縮が時間的に加重し、不完全強縮として生じている。強縮により滑らかで持続的な筋収縮が実現される。
- 誤り。骨格筋の不応期は約1〜3msと極めて短く、収縮が完了する前に次の刺激に反応できるため強縮が可能である。一方、心筋の不応期は約200〜300msと長く、収縮期間のほぼ全体にわたるため強縮が起こらない。この長い不応期により心筋は規則正しいリズミカルな拍動を維持し、致死的な持続収縮(強縮)を防いでいる。
- 正しい。筋の両端を固定して筋長を一定に保ったまま張力のみが変化する収縮を等尺性収縮(アイソメトリック)という。壁を押す動作がその典型例である。
- 正しい。筋収縮には筋小胞体から放出されたCa²⁺がトロポニンCに結合することが不可欠であり、これにより収縮のスイッチが入る(興奮収縮連関)。
ポイント
骨格筋の不応期は心筋に比べてはるかに短く、だからこそ骨格筋では強縮が起こり、心筋では強縮が起こらないという対比が最重要である。
- 覚え方のコツ: 「心筋が強縮したら心臓が止まる→心筋は強縮できない→不応期が長い」と機能的意義から逆算して覚える。
- 関連知識: 心筋の不応期が長いことは不整脈の理解にも直結する。有効不応期と相対不応期の概念は循環器分野で頻出である。
- よくある間違い: 「骨格筋は大きいから不応期も長い」と誤解するケース。不応期の長さは筋のサイズではなく、活動電位の持続時間とイオンチャネルの回復速度で決まる。
- 教科書では「c.単収縮と強縮」の範囲に該当する。
| 項目 | 骨格筋 | 心筋 |
|---|---|---|
| 不応期 | 約1〜3ms(短い) | 約200〜300ms(長い) |
| 強縮 | 起こる | 起こらない |
| 支配神経 | 体性運動神経 | 自律神経 |
| 随意/不随意 | 随意筋 | 不随意筋 |
| 自動能 | なし | あり(歩調取り細胞) |
表: 骨格筋と心筋の不応期・収縮特性の比較
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