問題
近くの物体を見るときに起こるのはどれか。
- 毛様体筋の弛緩
- 瞳孔散大
- 水晶体の厚みの増大
- 共同偏視
解答: 3(水晶体の厚みの増大)
解説
- 誤り。近方視では毛様体筋は収縮する(弛緩ではない)。毛様体筋が弛緩するのは遠方視のときである。
- 誤り。近方視では瞳孔は縮小(縮瞳)する。瞳孔散大(散瞳)は暗所や交感神経興奮時に起こる反応である。
- 正しい。近くの物体を見るときには水晶体の厚みが増大する。副交感神経(動眼神経)の興奮により毛様体筋が収縮すると、チン小帯(毛様体小帯)の張力が低下し、水晶体が自らの弾性によって厚くなる。水晶体が厚くなることで屈折力が増加し、近くの物体に焦点が合う(近点調節)。この調節反応に加えて、縮瞳(被写界深度の増大)と輻輳(両眼が内側に向く)が同時に起こり、これら3つをまとめて近見反応(near response)と呼ぶ。
- 誤り。近方視では輻輳(両眼の内転)が起こるが、共同偏視は脳卒中などによる病的所見であり正常な近方視の反応ではない。
ポイント
近方視では毛様体筋収縮→チン小帯弛緩→水晶体肥厚(屈折力増大)に加え、縮瞳と輻輳が同時に起こる(近見反応)。
- 覚え方のコツ: 近見反応の3つ=「ちぢむ・ちぢむ・よる」→ 水晶体が「縮む(厚くなる)」+瞳孔が「縮む(縮瞳)」+眼球が「寄る(輻輳)」。すべて副交感神経(動眼神経)が関与する。
- 関連知識: 加齢により水晶体の弾性が低下すると近点調節力が減少し、老視(老眼)となる。水晶体の厚さ調節は動眼神経の副交感神経成分(エディンガー・ウェストファル核由来)が担い、毛様体筋のムスカリン受容体(M3)を介する。
- よくある間違い: 「毛様体筋が収縮→チン小帯が引っ張られる→水晶体が薄くなる」と力学関係を逆に考えやすいが、毛様体筋の収縮はチン小帯を弛緩させて水晶体を厚くする。
- 教科書では「h.自律神経系の神経伝達物質と受容体」の範囲に該当する。
| 近見反応の要素 | 変化 | 機序 |
|---|---|---|
| 水晶体 | 厚みが増大 | 毛様体筋収縮→チン小帯弛緩→弾性で肥厚 |
| 瞳孔 | 縮小(縮瞳) | 瞳孔括約筋収縮 |
| 眼球 | 輻輳(内転) | 内側直筋収縮 |
表: 近見反応の3要素
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