問題
温熱性発汗について正しいのはどれか。
- 外気温に影響されない。
- エクリン腺が関与する。
- 副交感神経により調節される。
- 大脳皮質により統御される。
解答: 2(エクリン腺が関与する。)
解説
- 誤り。温熱性発汗は外気温の上昇や運動による体温上昇に反応して起こる発汗であり、外気温に大きく影響される。
- 正しい。温熱性発汗にはエクリン腺(小汗腺)が関与する。エクリン腺は手掌・足底を含む全身の皮膚に広く分布し、主に水分とNaClからなる希薄な汗を分泌して蒸発による放熱(気化熱)で体温を下降させる。温熱性発汗は全身のエクリン腺から生じるが、手掌・足底は温熱性発汗が少なく精神性発汗が多い部位である。アポクリン腺(大汗腺)は腋窩・外陰部に限局し、体温調節には関与しない。
- 誤り。温熱性発汗は交感神経のコリン作動性線維により調節される。汗腺は交感神経の単独支配であるが、節後線維の伝達物質はアセチルコリン(例外的にコリン作動性)である。副交感神経は関与しない。
- 誤り。温熱性発汗の統御中枢は視床下部の体温調節中枢(視索前野-前視床下部)であり、大脳皮質ではない。大脳皮質が関与するのは精神性発汗(緊張時の手掌の発汗など)である。
ポイント
温熱性発汗はエクリン腺から分泌され、交感神経(コリン作動性)の支配を受け、視床下部が統御する。
- 覚え方のコツ: 発汗の3タイプ=「温熱性(全身エクリン・視床下部)」「精神性(手掌足底・大脳皮質)」「味覚性(顔面・延髄)」と分類して覚える。
- 関連知識: アトロピン(ムスカリン受容体拮抗薬)は汗腺のムスカリン受容体を遮断して発汗を抑制する。高齢者でのアトロピン使用は熱中症のリスクを高めるため注意が必要である。
- よくある間違い: 汗腺は「交感神経支配なのにアセチルコリンが伝達物質」であるため、「副交感神経が支配する」と誤解しやすい。支配神経は交感神経であり、副交感神経ではない。
- 教科書では「j.自律神経の関与する反射」の範囲に該当する。
| 発汗の種類 | 関与する汗腺 | 部位 | 統御中枢 |
|---|---|---|---|
| 温熱性発汗 | エクリン腺 | 全身 | 視床下部 |
| 精神性発汗 | エクリン腺 | 手掌・足底・腋窩 | 大脳皮質 |
| 味覚性発汗 | エクリン腺 | 顔面 | 延髄 |
表: 発汗の種類と特徴
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