問題
大腸の蠕動運動について正しいのはどれか。
- 大蠕動は起こらない。
- 逆蠕動は起こらない。
- 胃の充満によって抑制される。
- 副交感神経活動の亢進によって促進される。
解答: 4(副交感神経活動の亢進によって促進される。)
解説
- 誤り。大腸では大蠕動(集団蠕動、mass movement)が起こる。食後に胃結腸反射によって誘発され、大量の内容物を一気に直腸方向に送る強い蠕動運動である。主に1日に数回、食後に生じる。
- 誤り。大腸では逆蠕動(口側への蠕動運動)が起こる。特に上行結腸で多く見られ、内容物を口側に押し戻すことで大腸内の滞留時間を延長し、水分・電解質の吸収を効率的に行う。
- 誤り。胃の充満は胃結腸反射を介して大腸の蠕動運動を促進する(抑制ではない)。食物が胃に入ると副交感神経を介して大腸の蠕動が亢進し、排便が促される。朝食後に便意を催しやすいのはこの反射による。
- 正しい。大腸の蠕動運動は副交感神経活動の亢進によって促進される。横行結腸左半までは迷走神経、下行結腸以遠は骨盤神経(仙髄由来の副交感神経)が支配し、アセチルコリンの放出により腸管平滑筋の収縮と蠕動運動が促進される。交感神経はノルアドレナリンを介して蠕動運動を抑制する。
ポイント
大腸の蠕動運動は副交感神経で促進、交感神経で抑制され、大蠕動と逆蠕動も生じる。
- 覚え方のコツ: 「副交感=消化管を動かす」「交感=消化管を止める」→ 食事中(副交感優位)は消化管が活発、緊張時(交感優位)は消化管が止まると覚える。
- 関連知識: 過敏性腸症候群(IBS)は自律神経のバランス異常や消化管運動の異常により腹痛・下痢・便秘を繰り返す。副交感神経遮断薬(抗コリン薬)は腸管の過剰な蠕動を抑制して腹痛を軽減する。
- よくある間違い: 「大腸では逆蠕動は起こらない」と誤解しやすいが、大腸では水分吸収のために逆蠕動が重要な役割を果たしている。小腸でも逆蠕動は見られるが、大腸でより顕著である。
- 教科書では「a.自律神経系の概要」の範囲に該当する。
| 大腸の運動 | 特徴 | 誘発因子 |
|---|---|---|
| 蠕動運動 | 肛門側への推進 | 副交感神経 |
| 大蠕動(集団蠕動) | 大量の内容物を一気に送る | 胃結腸反射(食後) |
| 逆蠕動 | 口側への運動(水分吸収延長) | 上行結腸で多い |
| 分節運動 | 内容物の混和 | 壁内神経叢 |
表: 大腸の運動の種類
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