問題
単語の記憶に重要な部位を含むのはどれか。
- 視床下部
- 小脳核
- 大脳基底核
- 大脳辺縁系
解答: 4(大脳辺縁系)
解説
- 誤り。視床下部は体温調節、摂食調節、飲水調節、内分泌調節など自律機能の最高中枢であり、単語の記憶の主要部位ではない。
- 誤り。小脳は運動の協調や手続き記憶(自転車の乗り方など身体で覚える記憶)に関与するが、単語のような陳述記憶(言語的記憶)の主要部位ではない。
- 誤り。大脳基底核は随意運動の調節に関与する部位であり、単語の記憶の主要部位ではない。
- 正しい。大脳辺縁系に含まれる海馬は陳述記憶(declarative memory)の形成に不可欠な構造である。陳述記憶にはエピソード記憶(個人的な体験の記憶)と意味記憶(単語の意味や一般知識の記憶)があり、単語の記憶は意味記憶に分類される。海馬が損傷されると新たな陳述記憶の形成が困難になる前向性健忘が生じるが、損傷前に獲得された長期記憶は大脳皮質に固定されており保持される。
ポイント
大脳辺縁系の海馬は陳述記憶(エピソード記憶・意味記憶)の形成に不可欠であり、単語の記憶もここに含まれる。
- 覚え方のコツ: 「海馬=記憶の入口」→ 新しい記憶はまず海馬で形成され、その後大脳皮質に転送されて長期記憶として固定される。
- 関連知識: アルツハイマー病では海馬の萎縮が初期から見られ、近時記憶(最近の出来事の記憶)の障害が最初に出現する。扁桃体は情動記憶(恐怖・快感に関わる記憶)に関与する。
- よくある間違い: 小脳も「記憶に関与する」と覚えていると混同しやすいが、小脳が関与するのは手続き記憶(運動学習)であり、単語のような陳述記憶ではない。
- 教科書では「c.新皮質」の範囲に該当する。
| 記憶の種類 | 関連部位 | 例 |
|---|---|---|
| エピソード記憶 | 海馬 | 昨日の出来事 |
| 意味記憶 | 海馬→大脳皮質 | 単語の意味・一般知識 |
| 手続き記憶 | 小脳・大脳基底核 | 自転車の乗り方 |
| 情動記憶 | 扁桃体 | 恐怖体験の記憶 |
表: 記憶の種類と関連部位
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