問題
シナプス伝達の可塑性を示すのはどれか。
- 長期増強
- シナプス遅延
- 周辺抑制
- 加重
解答: 1(長期増強)
解説
- 正しい。長期増強(LTP: Long-Term Potentiation)はシナプス伝達の可塑性を示す代表的な現象である。高頻度刺激(テタヌス刺激)の後にシナプス伝達効率が数時間から数日以上にわたり持続的に増強される。海馬のCA1領域で特に詳しく研究されており、グルタミン酸のNMDA受容体の活性化とCa2+の流入が引き金となる。学習・記憶の細胞レベルの基盤と考えられている。
- 誤り。シナプス遅延は化学シナプスにおける伝達物質の放出・拡散・受容体結合に要する時間(約0.5-1ms)であり、可塑性ではなくシナプス伝達の固有の物理的特性である。
- 誤り。周辺抑制(側方抑制)は感覚情報の識別を鋭くするために、興奮した神経の周辺を抑制する神経回路の特性であり、シナプス伝達の可塑性ではない。
- 誤り。加重は時間的加重(同一シナプスの反復刺激)や空間的加重(異なるシナプスの同時刺激)により電位が重なる現象であり、これ自体はシナプス伝達効率の持続的変化(可塑性)ではない。
ポイント
長期増強(LTP)は海馬のNMDA受容体を介したシナプス可塑性であり、学習・記憶の分子基盤である。
- 覚え方のコツ: 「LTP=Long(長い)Time(時間)Power up(パワーアップ)」→ 長期間にわたりシナプスが強くなる現象と覚える。
- 関連知識: 長期増強(LTP)の反対の現象として長期抑制(LTD)がある。LTDは低頻度刺激で起こり、不要な記憶の消去や運動学習の微調整に関与する。アルツハイマー病ではLTPの障害が記憶障害の一因となる。
- よくある間違い: 「加重」を可塑性と混同しやすいが、加重は電位の一時的な重ね合わせであり、伝達効率の持続的変化である可塑性とは本質的に異なる。
- 教科書では「c.シナプス伝達」の範囲に該当する。
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