問題
シナプス伝達について正しい記述はどれか。
- 全か無の法則に従う。
- シナプス下膜で過分極は起こらない。
- 薬物の影響を受けにくい。
- 可塑性をもつ。
解答: 4(可塑性をもつ。)
解説
- 誤り。シナプス伝達で生じるシナプス後電位(EPSP・IPSP)は段階的な電位変化(graded potential)であり、全か無の法則には従わない。全か無の法則に従うのは活動電位である。
- 誤り。シナプス下膜では、抑制性伝達物質(GABAやグリシン)の作用により抑制性シナプス後電位(IPSP)として過分極が生じる。
- 誤り。化学シナプスでは伝達物質の放出・受容体への結合・酵素による分解など多段階の過程があるため、薬物の影響を極めて受けやすい。麻酔薬、抗うつ薬、抗精神病薬など多くの薬物がシナプス伝達に作用する。
- 正しい。シナプス伝達は可塑性(plasticity)をもち、使用頻度や刺激パターンにより伝達効率が長期的に変化する。代表的な現象として、高頻度刺激後にシナプス伝達効率が持続的に増強される長期増強(LTP)や、低頻度刺激で伝達効率が減弱する長期抑制(LTD)がある。これらは海馬などで研究され、学習・記憶の細胞レベルの基盤と考えられている。
ポイント
シナプス伝達は可塑性をもち、長期増強(LTP)や長期抑制(LTD)が学習・記憶の基盤となる。
- 覚え方のコツ: 化学シナプスの4つの特徴=「一方向性・シナプス遅延・易疲労性・可塑性」→「いっぽうに遅れて疲れるが成長できる(可塑性)」と覚える。
- 関連知識: 電気シナプスはギャップ結合を介した伝達で、化学シナプスと異なり遅延がほぼなく、双方向性で薬物の影響を受けにくい。心筋の介在板は電気シナプスの代表例である。
- よくある間違い: 「加重」もシナプス電位の変化だが、これは複数の電位の時間的・空間的な重ね合わせであり、伝達効率の長期的変化である「可塑性」とは概念が異なる。
- 教科書では「c.シナプス伝達」の範囲に該当する。
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