問題
シナプス伝達の特徴として誤っている記述はどれか。
- 一方向性に伝達される。
- シナプス遅延がある。
- 疲労しにくい。
- 反復刺激後増強が起こる。
解答: 3(疲労しにくい。)
解説
- 誤り。シナプス伝達はシナプス前終末からのみ伝達物質が放出されるため、シナプス前→シナプス後の一方向性で伝達される。これは神経線維の伝導(両方向性)とは異なる特徴である。
- 誤り。化学シナプスでは伝達物質の放出・シナプス間隙の拡散・受容体結合の過程に時間がかかるため、約0.5〜1msのシナプス遅延が生じる。
- 正しい。シナプス伝達は疲労しやすい(疲労しにくいは誤り)。反復刺激により神経伝達物質のシナプス小胞が枯渇したり、シナプス後膜の受容体が脱感作されたりするため、伝達効率が低下する。これは神経線維の伝導(疲労しにくい)とは対照的な性質である。
- 誤り。シナプスに反復的な刺激を加えた後、一定時間にわたりシナプス伝達の効率が増強される現象(反復刺激後増強、PTP)が起こる。これはシナプス前終末でのCa2+蓄積による伝達物質放出量の増大が原因である。
ポイント
シナプス伝達は「疲労しやすい」。疲労しにくいのは神経線維の伝導の特徴である。
- 覚え方のコツ: 「伝導=疲れない」「伝達=疲れやすい」と対比で覚える。シナプス伝達の特徴=「一方向・遅延・疲労・増強」の4つ。
- 関連知識: 反復刺激後増強(PTP)は短期的なシナプス可塑性の一種。長期増強(LTP)は海馬で見られるより長期的なシナプス可塑性であり、学習・記憶の基盤とされる。
- よくある間違い: シナプス伝達と神経伝導の性質を混同すること。特に「疲労しやすさ」と「方向性」の違いを正確に把握する必要がある。問題695と合わせて整理する。
- 教科書では「c.シナプス伝達」の範囲に該当する。
| 特性 | 神経伝導 | シナプス伝達 |
|---|---|---|
| 方向性 | 両方向性 | 一方向性 |
| 遅延 | なし | あり(約0.5〜1ms) |
| 疲労 | しにくい | しやすい |
| 減衰 | なし(不減衰) | — |
| 反復刺激後増強 | — | あり |
表: 神経伝導とシナプス伝達の特徴比較
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