問題
神経伝達物質について誤っている記述はどれか。
- γ-アミノ酪酸は抑制性である。
- グリシンは興奮性である。
- オピオイドペプチドは鎮痛に重要である。
- P 物質は痛覚に重要である。
解答: 2(グリシンは興奮性である。)
解説
- 正しい。γ-アミノ酪酸(GABA)は脳で最も豊富な抑制性神経伝達物質であり、GABA-A受容体を介してCl-チャネルを開口させ、シナプス後膜の過分極(IPSP)を引き起こす。
- 誤り。グリシンは中枢神経系(特に脊髄・脳幹)において抑制性の神経伝達物質として機能する。興奮性ではない。GABAが脳の主要な抑制性伝達物質であるのに対し、グリシンは脊髄・脳幹の主要な抑制性伝達物質である。グリシンもCl-チャネルを開口させてIPSPを生じる。
- 正しい。オピオイドペプチド(エンケファリン、β-エンドルフィンなど)は内因性鎮痛物質として下行性疼痛抑制系に関与し、痛覚の伝達を抑制する。
- 正しい。P物質(サブスタンスP)は一次求心性C線維の末端から脊髄後角に放出される神経ペプチドであり、痛覚の伝達に重要な役割を果たす。
ポイント
グリシンはGABAとともに中枢の抑制性神経伝達物質であり、「興奮性」ではない。GABAは脳、グリシンは脊髄・脳幹で主要な抑制性伝達物質である。
- 覚え方のコツ: 「中枢の抑制性伝達物質=GABA(脳)とグリシン(脊髄)」をセットで覚える。「興奮性=グルタミン酸」と対比する。
- 関連知識: 問601(中枢の化学伝達物質)でもグルタミン酸が興奮性伝達物質として出題されている。破傷風毒素はグリシンの放出を阻害して痙攣を引き起こす。
- よくある間違い: グリシンをアミノ酸(タンパク質の構成成分)としてのみ認識し、抑制性神経伝達物質としての役割を忘れやすい。
- 教科書では「d.神経伝達物質」の範囲に該当する。
| 伝達物質 | 作用 | 主な分布部位 |
|---|---|---|
| グルタミン酸 | 興奮性 | 中枢神経系全般 |
| GABA | 抑制性 | 脳 |
| グリシン | 抑制性 | 脊髄・脳幹 |
| サブスタンスP | 痛覚伝達 | 脊髄後角 |
| オピオイドペプチド | 鎮痛(痛覚抑制) | 下行性疼痛抑制系 |
表: 主要な神経伝達物質の作用と分布
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