問題
化学シナプスで誤っているのはどれか。
- シナプス前ニューロンの興奮は両方向性に伝達される。
- 高頻度の刺激でシナプスの機能は疲労する。
- シナプス前ニューロンの興奮によって伝達物質がシナプス間隙に放出される。
- 興奮性シナプスと抑制性シナプスとがある。
解答: 1(シナプス前ニューロンの興奮は両方向性に伝達される。)
解説
- 誤り。化学シナプスにおける興奮の伝達は一方向性である。伝達物質はシナプス前膜のシナプス小胞に蓄えられ、活動電位の到達によりCa²⁺流入が起こり、シナプス前膜からのみ開口分泌される。受容体はシナプス後膜にのみ存在するため、逆方向への伝達は構造的に起こりえない。これは神経線維における興奮の伝導(両方向性)とは異なるシナプスの重要な特徴である。
- 正しい。シナプスでは伝達物質の枯渇やCa²⁺チャネルの不活性化などにより、高頻度刺激で疲労(シナプス疲労)が生じる。
- 正しい。シナプス前ニューロンの活動電位が終末に到達すると、電位依存性Ca²⁺チャネルが開き、Ca²⁺流入によりシナプス小胞が前膜と融合して伝達物質が放出される。
- 正しい。グルタミン酸などによる興奮性シナプス(EPSP発生)とGABA・グリシンなどによる抑制性シナプス(IPSP発生)が存在する。
ポイント
シナプス伝達は「一方向性」であり、神経線維の伝導(両方向性)とは明確に区別する必要がある。
- 覚え方のコツ: シナプスの特徴3つ=「一方向・遅延(シナプス遅延約0.2ms)・疲労」。伝導の特徴3つ=「両方向・不減衰・絶縁」。伝達と伝導を対比して覚える。
- 関連知識: シナプスの可塑性(LTP:長期増強、LTD:長期抑圧)は学習・記憶の細胞レベルの基盤であり、海馬で特に研究されている。
- よくある間違い: 「伝導」と「伝達」の特性を混同するケースが非常に多い。伝導=神経線維上を伝わる(両方向性)、伝達=シナプスを介して伝わる(一方向性)。
- 教科書では「c.シナプス伝達」の範囲に該当する。
| 特性 | 伝導(神経線維) | 伝達(シナプス) |
|---|---|---|
| 方向性 | 両方向性 | 一方向性 |
| 速度 | 速い(跳躍伝導) | シナプス遅延あり(約0.2ms) |
| 減衰 | 不減衰 | 疲労しうる |
| 絶縁性 | あり | — |
表: 伝導と伝達の比較
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