問題
活動電位発生時に脱分極を起こす主な要因となるイオンはどれか。
- 塩素イオン
- 重炭酸イオン
- ナトリウムイオン
- カリウムイオン
解答: 3(ナトリウムイオン)
解説
- 誤り。塩素イオン(Cl-)は抑制性シナプス後電位(IPSP)の発生に関与し、Cl-チャネルを通じた細胞内への流入により過分極を起こす。脱分極の主因ではない。
- 誤り。重炭酸イオン(HCO3-)は主に酸塩基平衡の維持に関与するイオンであり、活動電位の脱分極には直接関与しない。
- 正しい。活動電位の脱分極相では、電位依存性Na+チャネルが開口してナトリウムイオン(Na+)が細胞外から細胞内へ急速に流入する。Na+は細胞外液に多く細胞内液に少ないため、濃度勾配と電気的勾配の両方に従って流入し、膜電位が静止電位(約-70〜-90mV)から正の方向(+30〜+40mV程度)へ急速に変化する。この脱分極がオーバーシュートと呼ばれる。
- 誤り。カリウムイオン(K+)は活動電位の再分極相で細胞外へ流出し、膜電位を静止電位に向かって戻す役割を担う。脱分極の主因ではない。
ポイント
脱分極=Na+の流入、再分極=K+の流出。活動電位の2つの相をイオンの移動方向で整理する。
- 覚え方のコツ: 「脱=ナ(Na+が入る→脱分極)」「再=カ(K+が出る→再分極)」。「ナトリウムが”なだれ込む”→脱分極」と連想する。
- 関連知識: Na+-K+ポンプ(Na+-K+-ATPase)は3つのNa+を細胞外へ、2つのK+を細胞内へ能動輸送し、イオンの濃度勾配と静止電位を維持する。心筋の活動電位ではCa2+の流入によるプラトー相が特徴的である。
- よくある間違い: K+を脱分極の原因と混同すること。K+は「再分極」に関与する。また、静止電位の維持にはK+の漏出が主に寄与している。
- 教科書では「b.活動電位」の範囲に該当する。
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