問題
血中カルシウム濃度を上昇させるホルモンはどれか。
- グルカゴン
- オキシトシン
- パラソルモン
- ソマトスタチン
解答: 3(パラソルモン)
解説
- 誤り。グルカゴンは膵臓ランゲルハンス島α細胞から分泌され、肝臓でのグリコーゲン分解と糖新生を促進して血糖値を上昇させるホルモンである。カルシウム代謝には関与しない。
- 誤り。オキシトシンは下垂体後葉から放出され、分娩時の子宮平滑筋収縮と射乳反射に関与する。カルシウム代謝には関与しない。
- 正しい。パラソルモン(PTH/副甲状腺ホルモン)は副甲状腺(上皮小体)から分泌され、3つの経路で血中カルシウム濃度を上昇させる。第一に、破骨細胞を活性化して骨吸収を促進し骨からCaを放出させる。第二に、腎臓の遠位尿細管でCaの再吸収を促進する。第三に、腎臓でビタミンD(25(OH)D3)を活性型ビタミンD(1,25(OH)2D3)に変換する酵素を活性化し、腸管からのCa吸収を間接的に促進する。
- 誤り。ソマトスタチンは膵臓δ細胞や視床下部から分泌され、成長ホルモン(GH)やインスリン、グルカゴンなど多くのホルモン分泌を抑制する。カルシウム代謝には直接関与しない。
ポイント
パラソルモン(PTH)は血中Ca濃度を上昇させる最も重要なホルモンであり、骨吸収促進・腎でのCa再吸収促進・活性型ビタミンD産生促進の3つの作用機序を持つ。
- 覚え方のコツ: 「パラソル(PTH)でカルシウムを上(↑)げる」。対義語的に「カルシトニン(CT)でカルシウムを沈(↓)める」と覚える。
- 関連知識: カルシトニンは甲状腺C細胞から分泌され、骨吸収を抑制して血中Ca濃度を低下させる。PTHとカルシトニンは拮抗的に血中Ca濃度を調節する。活性型ビタミンDも血中Ca上昇に関与する。
- よくある間違い: パラソルモン(PTH)の分泌部位を甲状腺と間違える。PTHは「副」甲状腺(上皮小体)から分泌される。カルシトニンが甲状腺由来である。
- 教科書では「e.副甲状腺のホルモン」の範囲に該当する。
| ホルモン | 分泌部位 | 血中Ca濃度への作用 | 主な作用機序 |
|---|---|---|---|
| パラソルモン(PTH) | 副甲状腺 | 上昇↑ | 骨吸収↑、腎Ca再吸収↑、VitD活性化 |
| カルシトニン | 甲状腺C細胞 | 低下↓ | 骨吸収抑制 |
| 活性型ビタミンD | 腎臓で活性化 | 上昇↑ | 腸管Ca吸収↑ |
表: 血中カルシウム濃度を調節するホルモン
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