問題
妊娠中に分泌が抑制されるホルモンはどれか。
- プロゲステロン
- 黄体形成ホルモン
- プロラクチン
- エストロゲン
解答: 2(黄体形成ホルモン)
解説
- 誤り。プロゲステロンは妊娠中に分泌が増加する。初期は妊娠黄体から、12〜16週以降は胎盤から大量に分泌されて妊娠を維持する。
- 正しい。妊娠中は胎盤から大量のエストロゲンとプロゲステロンが分泌され、これらが視床下部と下垂体前葉に強力な負のフィードバックをかける。その結果、GnRH分泌が抑制され、LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌が抑制される。LH/FSHが抑制されることで新たな卵胞の発育と排卵が起こらず、妊娠中の重複妊娠が防がれる。
- 誤り。プロラクチンは妊娠中にエストロゲンの刺激で下垂体前葉からの分泌が増加し、産後の乳汁分泌に備える。ただし妊娠中はエストロゲンの高値がプロラクチンの乳腺への作用を抑制するため、実際の乳汁分泌は起こらない。
- 誤り。エストロゲンは妊娠中に胎盤から大量に分泌されるため、抑制されるのではなく著明に増加する。
ポイント
妊娠中はエストロゲン・プロゲステロンの高値が負のフィードバックとなり、LH/FSHが抑制されて排卵が停止する。これは経口避妊薬(ピル)の原理と同じである。
- 覚え方のコツ: 「妊娠中=エストロゲン↑・プロゲステロン↑→LH/FSH↓→排卵なし」の流れで覚える。ピルも同じ原理で排卵を抑制する。
- 関連知識: 経口避妊薬(低用量ピル)はエストロゲンとプロゲステロンの合剤であり、妊娠中と類似のホルモン環境を作ることでLH/FSHを抑制し排卵を防ぐ。
- よくある間違い: プロラクチンは妊娠中に「抑制」されると誤解すること。プロラクチンの分泌自体は増加するが、エストロゲン高値により乳腺への作用が抑制されるだけである。分泌と作用の区別が重要。
- 教科書では「d.ホルモン分泌の調節」の範囲に該当する。
| ホルモン | 妊娠中の変動 | 理由 |
|---|---|---|
| エストロゲン | 著明に増加 | 胎盤から大量分泌 |
| プロゲステロン | 著明に増加 | 胎盤から大量分泌(妊娠維持) |
| hCG | 増加(初期にピーク) | 胎盤絨毛から分泌(黄体維持) |
| プロラクチン | 増加 | エストロゲン刺激で分泌亢進 |
| LH/FSH | 抑制 | エストロゲン・プロゲステロンの負のフィードバック |
表: 妊娠中の主なホルモン変動
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