問題
橋に存在する中枢はどれか。
- 嚥下中枢
- 嘔吐中枢
- 排尿中枢
- 対光反射中枢
解答: 3(排尿中枢)
解説
- 誤り。嚥下中枢は延髄に存在する。延髄の嚥下中枢は舌咽神経や迷走神経からの求心性情報を受け、咽頭・食道の筋群を協調的に制御して嚥下運動を統合する。
- 誤り。嘔吐中枢は延髄に存在する。延髄の嘔吐中枢(最後野付近の化学受容器引金帯を含む)は、消化管からの求心性情報や血中の催吐物質を感知して嘔吐反射を引き起こす。
- 正しい。排尿中枢(橋排尿中枢/バリントン核/PMC: pontine micturition center)は橋に存在する。橋排尿中枢は排尿反射全体を統合的に制御する上位中枢であり、仙髄(S2〜S4)に存在する排尿反射中枢に対して下行性の指令を送る。具体的には、排尿筋(副交感神経を介した収縮)と外尿道括約筋(陰部神経活動の抑制による弛緩)を協調させ、スムーズな排尿を可能にする。橋排尿中枢が損傷されると排尿筋と括約筋の協調が失われ、排尿筋括約筋協調不全(DSD)が生じる。
- 誤り。対光反射中枢は中脳に存在する。中脳の視蓋前域からエディンガー・ウェストファル核を経由して、動眼神経の副交感成分により瞳孔括約筋を収縮させる。
ポイント
- 脳幹の各反射中枢の局在は「延髄=嚥下・嘔吐・呼吸・循環」「橋=排尿」「中脳=対光反射」と部位別に整理することが重要である。
- 覚え方のコツ: 「橋=排尿」は「はし(橋)で”はい”にょう(排尿)」と語呂で覚える。延髄の中枢は生命維持に直結する機能(呼吸・循環・嚥下・嘔吐)が集まっていると整理する。
- 関連知識: 排尿には仙髄レベルの排尿反射中枢(S2〜S4)と橋レベルの排尿中枢(バリントン核)の2段階がある。さらに大脳皮質が随意的に排尿を抑制する。脊髄損傷の高さにより排尿障害の型が異なる(橋より上の損傷=反射性膀胱、仙髄損傷=自律性膀胱)。
- よくある間違い: 「排尿中枢は仙髄にある」と誤答するケースがある。仙髄S2〜S4には排尿「反射」の中枢があるが、排尿の「統合的」中枢(橋排尿中枢)は橋に存在する。問題文が「橋に存在する」と問うている点に注意する。
- 教科書では「c.蓄尿と排尿」の範囲に該当する。
| 中枢 | 存在部位 | 主な機能 |
|---|---|---|
| 呼吸中枢 | 延髄(+橋の呼吸調節中枢) | 呼吸リズムの生成 |
| 心臓血管中枢 | 延髄 | 心拍数・血圧の調節 |
| 嚥下中枢 | 延髄 | 嚥下運動の統合 |
| 嘔吐中枢 | 延髄 | 嘔吐反射の統合 |
| 排尿中枢 | 橋(バリントン核) | 排尿反射の統合・協調 |
| 対光反射中枢 | 中脳 | 瞳孔の対光反射 |
表: 脳幹の主な反射中枢と存在部位
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