問題
排尿時に起こるのはどれか。
- 下腹神経活動が亢進する。
- 外尿道括約筋が収縮する。
- 膀胱壁の平滑筋が弛緩する。
- 陰部神経活動が低下する。
解答: 4(陰部神経活動が低下する。)
解説
- 誤り。下腹神経は交感神経(T12〜L2由来)であり、蓄尿時に活動が亢進して排尿筋を弛緩させ内尿道括約筋を収縮させる。排尿時には逆に活動が低下する。
- 誤り。外尿道括約筋(横紋筋)は蓄尿時に陰部神経の支配下で収縮し尿を保持する。排尿時には陰部神経活動の低下に伴い弛緩する。
- 誤り。膀胱壁の平滑筋(排尿筋)は排尿時に副交感神経(骨盤神経)の作用により収縮し、膀胱内の尿を押し出す。弛緩するのは蓄尿時である。
- 正しい。排尿時には陰部神経(体性運動神経、S2〜S4由来)の活動が低下する。陰部神経は外尿道括約筋を支配しており、蓄尿時にはこの筋を随意的に収縮させて尿漏れを防いでいる。排尿の際には橋排尿中枢からの指令により陰部神経の活動が抑制され、外尿道括約筋が弛緩する。同時に骨盤神経(副交感神経)の活動が亢進して排尿筋が収縮し、排尿が起こる。この蓄尿から排尿への切り替えは橋排尿中枢(バリントン核)が統合的に制御している。
ポイント
- 排尿は骨盤神経(副交感神経)亢進による排尿筋収縮と、陰部神経(体性神経)低下による外尿道括約筋弛緩が同時に起こることで成立する。
- 覚え方のコツ: 蓄尿=「交感(下腹)+陰部」の2本立て、排尿=「副交感(骨盤)」が主役。「蓄(ちく)=交(こう)・陰(いん)」「排(はい)=副(ふく)」と頭文字で覚える。
- 関連知識: 排尿中枢は仙髄(S2〜S4)の排尿反射中枢と橋(バリントン核)の上位排尿中枢の2段階がある。大脳皮質は排尿を随意的に抑制(我慢)する役割を持ち、大脳障害では失禁が生じる。
- よくある間違い: 「排尿筋は排尿時に弛緩する」と誤答するケースがある。排尿筋は名前の通り排尿のために収縮する筋であり、蓄尿時に弛緩する。名称と機能の対応を正確に把握すること。
- 教科書では「b.膀胱と尿道の神経支配」の範囲に該当する。
| 神経 | 種類 | 由来 | 蓄尿時 | 排尿時 |
|---|---|---|---|---|
| 下腹神経 | 交感神経 | T12〜L2 | 亢進(排尿筋弛緩・内括約筋収縮) | 低下 |
| 骨盤神経 | 副交感神経 | S2〜S4 | 低下 | 亢進(排尿筋収縮) |
| 陰部神経 | 体性運動神経 | S2〜S4 | 亢進(外括約筋収縮) | 低下(外括約筋弛緩) |
表: 蓄尿・排尿に関与する3つの神経の比較
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