問題
安静状態の高齢者で低下しているのはどれか。
- 腎血流量
- 血糖値
- 体液の浸透圧
- 体液のpH
解答: 1(腎血流量)
解説
- 正しい。加齢に伴い腎血流量は明確に低下する。高齢者では腎臓の糸球体数が減少(硬化糸球体の増加)し、腎動脈の動脈硬化も加わるため、腎血流量は若年成人の約50〜70%にまで低下する。これに伴い糸球体濾過量(GFR)も低下し、薬物の排泄遅延など臨床上重要な影響が生じる。腎血流量の低下は加齢に伴う最も顕著な生理的変化の一つである。
- 誤り。血糖値は加齢に伴いむしろやや上昇傾向にある。高齢者ではインスリン感受性の低下(耐糖能低下)が起こりやすいためである。
- 誤り。体液の浸透圧は恒常性維持機構(ADH分泌と口渇中枢)により正常範囲(約290mOsm/L前後)に維持される。
- 誤り。体液のpHは緩衝系(重炭酸緩衝系・リン酸緩衝系・タンパク緩衝系)、肺(CO2排泄)、腎臓(H+排泄・HCO3-再吸収)の3つの調節機構により正常範囲(7.35〜7.45)に維持される。
ポイント
- 加齢に伴い腎血流量とGFRは低下するが、血糖値・浸透圧・pHは恒常性維持機構により正常範囲に保たれる。
- 覚え方のコツ: 「高齢者で低下する腎機能」として「腎血流量↓・GFR↓・ネフロン数↓・濃縮力↓」をセットで覚える。恒常性が維持されるもの(血糖・pH・浸透圧)と対比する。
- 関連知識: 高齢者の腎機能低下は薬物動態に大きく影響する。腎排泄型薬物は投与量の調節が必要となる場合がある。
- よくある間違い: 「高齢者では血糖値も低下する」と思いがちだが、耐糖能低下によりむしろ血糖値は上昇傾向にある。
- 教科書では「a.体液のpH調節」の範囲に該当する。
| 項目 | 高齢者での変化 | 理由 |
|---|---|---|
| 腎血流量 | 低下 | 糸球体数減少、動脈硬化 |
| GFR | 低下 | 腎血流量低下に伴う |
| 血糖値 | やや上昇傾向 | 耐糖能低下 |
| 体液浸透圧 | 正常範囲維持 | ADH・口渇中枢による調節 |
| 体液pH | 正常範囲維持 | 緩衝系・肺・腎臓による調節 |
表: 高齢者における主な生理的パラメータの変化
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