問題
糸球体で、ろ過のみが行われ尿細管でほとんど再吸収も分泌もされない物質はどれか。
- ブドウ糖
- クレアチニン
- パラアミノ馬尿酸
- 尿素
解答: 2(クレアチニン)
解説
- 誤り。ブドウ糖は糸球体でろ過された後、近位尿細管でSGLTにより、ほぼ100%が再吸収される。「再吸収されない」物質には該当しない。
- 正しい。クレアチニンは骨格筋のクレアチンリン酸の代謝産物で、分子量は113と小さく糸球体で自由にろ過される。ろ過後は尿細管でほとんど再吸収も分泌もされないため、血中濃度に比例した量が尿中に排泄される。この性質からクレアチニンクリアランスはGFR(糸球体ろ過量)の良い指標として臨床で広く用いられている。厳密にはごくわずかな尿細管分泌があるため、クレアチニンクリアランスはGFRをわずかに過大評価するが、臨床上は許容範囲である。
- 誤り。パラアミノ馬尿酸(PAH)は糸球体でろ過されるだけでなく、近位尿細管から積極的に分泌される。そのため、1回の腎通過でほぼ全量が除去され、PAHクリアランスは腎血漿流量(RPF)の指標となる。
- 誤り。尿素は糸球体でろ過された後、尿細管(主に集合管の髄質部)で約50%が再吸収される。対向流増幅系における尿濃縮機構に関与する。
ポイント
- クレアチニンは糸球体でろ過された後、尿細管でほとんど再吸収も分泌もされないため、クリアランスがGFRの指標となる。
- 覚え方のコツ: 「クレアチニン=ろ過オンリー=GFR」「PAH=ろ過+分泌=RPF」「グルコース=ろ過+完全再吸収=0」とセットで覚える。クリアランスの3大代表物質。
- 関連知識: 正確なGFR測定にはイヌリンクリアランス(ゴールドスタンダード)が用いられるが、イヌリンは体内に存在しない外因性物質で投与が必要なため、臨床ではクレアチニンが代替指標として用いられる。
- よくある間違い: クレアチニンとクレアチンを混同しやすい。クレアチンは筋肉のエネルギー源(クレアチンリン酸)であり、クレアチニンはその代謝最終産物(老廃物)である。
- 教科書では「e.腎機能の測定 ― クリアランス」の範囲に該当する。
| 物質 | ろ過 | 再吸収 | 分泌 | クリアランス | 臨床的指標 |
|---|---|---|---|---|---|
| クレアチニン | ○ | ほぼ× | ごくわずか | ≒GFR(約125 mL/min) | GFR |
| イヌリン | ○ | × | × | =GFR(正確) | GFR(ゴールドスタンダード) |
| ブドウ糖 | ○ | ほぼ100% | × | 0 | — |
| PAH | ○ | × | ○ | ≒RPF(約660 mL/min) | RPF |
| 尿素 | ○ | 約50% | × | 約70 mL/min | — |
表: 主要物質の腎処理とクリアランスの比較
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