問題
高齢になるに伴い上昇する傾向があるのはどれか。
- 肺活量
- 骨密度
- 血 圧
- 腎血流量
解答: 3(血 圧)
解説
- 誤り。肺活量は加齢に伴い呼吸筋力の低下、胸郭コンプライアンスの減少、肺弾性収縮力の低下により減少する。
- 誤り。骨密度は加齢に伴い低下する。特に閉経後の女性ではエストロゲン分泌の減少により骨吸収が骨形成を上回り、骨粗鬆症のリスクが高まる。
- 正しい。血圧は加齢に伴い上昇する傾向がある。主な原因は動脈壁の弾性線維の減少と膠原線維の増加による動脈硬化(動脈スティフネスの増大)であり、大動脈のウィンドケッセル機能が低下することで特に収縮期血圧が上昇する。また、圧受容器反射の感度低下や腎機能低下によるNa⁺排泄能の低下も血圧上昇に寄与する。拡張期血圧は60歳頃から横ばいまたはやや低下し、脈圧が増大する傾向がある。
- 誤り。腎血流量は加齢に伴い腎動脈の硬化やネフロン数の減少(80歳で約60〜70%に減少)により低下する。GFRも同様に低下する。
ポイント
- 加齢に伴い上昇する指標は血圧(特に収縮期血圧)であり、肺活量・骨密度・腎血流量はいずれも低下する。
- 覚え方のコツ: 「加齢で上がるのは血圧だけ、他はみんな下がる」と覚える。肺活量↓、骨密度↓、腎血流量↓、血圧↑の4つをセットで整理する。
- 関連知識: 加齢による腎血流量・GFRの低下は薬物の腎排泄にも影響し、高齢者における薬物動態の変化(薬物半減期の延長)として臨床的に重要である。第9章・成長と老化とも関連する。
- よくある間違い: 「加齢で腎血流量が上昇する」と誤答するケースがある。腎臓は加齢の影響を受けやすい臓器であり、ネフロン数の減少とともに腎血流量・GFRは低下する。
- 教科書では「b.腎血流量 (RBF)」の範囲に該当する。
| 指標 | 加齢による変化 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 血圧(収縮期) | 上昇↑ | 動脈硬化、ウィンドケッセル機能低下 |
| 肺活量 | 低下↓ | 呼吸筋力低下、胸郭硬化 |
| 骨密度 | 低下↓ | 骨吸収優位、エストロゲン減少 |
| 腎血流量 | 低下↓ | 腎血管硬化、ネフロン数減少 |
| GFR | 低下↓ | ネフロン数減少 |
表: 加齢に伴う主な生理学的指標の変化
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