問題
胆汁について誤っているのはどれか。
- 肝臓で産生される。
- 分泌は迷走神経によって調整される。
- 脂肪の消化・吸収に働く。
- 消化酵素を含んでいる。
解答: 4(消化酵素を含んでいる。)
解説
- 正しい。胆汁は肝細胞で絶えず生成され、肝管・胆嚢管を経て胆嚢に送られ、一時貯蔵・濃縮される。肝臓から1日に約500mL分泌される。
- 正しい。副交感神経(迷走神経)の活動が高まると胆嚢が収縮し、胆汁が十二指腸に排出される。ホルモン(コレシストキニン)やセクレチンも分泌調節に関与する。
- 正しい。胆汁酸は脂肪を乳化して消化酵素(リパーゼ)の働きを助け、さらに脂肪分解産物とミセルを形成して小腸からの吸収を促進する。
- 誤り。胆汁は消化酵素を含まない。胆汁の主成分は胆汁酸と胆汁色素(ビリルビン)である。胆汁酸は脂肪の乳化やミセル形成により脂肪の消化・吸収を助けるが、これは酵素反応ではなく表面活性作用(界面活性作用)によるものである。消化酵素を含まない点が他の消化液(唾液・胃液・膵液・腸液)との大きな違いである。
ポイント
- 胆汁は消化酵素を含まない唯一の主要消化液であり、脂肪の乳化・ミセル形成という物理的作用で消化・吸収を助ける。
- 覚え方のコツ: 「胆汁は”洗剤”のようなもの――脂を乳化するだけで、分解(酵素)は持たない」と連想する。
- 関連知識: 胆汁酸の90〜95%は小腸で再吸収され肝臓に戻る(腸肝循環)。胆汁色素ビリルビンは老廃赤血球のヘモグロビンに由来する。
- よくある間違い: 「脂肪の消化・吸収に働く=消化酵素を含む」と誤解しやすいが、胆汁の作用は乳化(物理的作用)であり酵素作用ではない。
| 消化液 | 分泌場所 | 主な酵素 | 主な作用対象 |
|---|---|---|---|
| 唾液 | 唾液腺 | アミラーゼ | デンプン→マルトース |
| 胃液 | 胃腺 | ペプシン | タンパク質→ペプチド |
| 膵液 | 膵臓 | トリプシン、リパーゼ、アミラーゼ等 | タンパク質、脂肪、デンプン |
| 胆汁 | 肝臓(胆嚢で貯蔵) | 酵素なし | 脂肪の乳化(物理的作用) |
| 腸液 | 小腸 | マルターゼ、スクラーゼ等 | 二糖類→単糖類 |
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