問題
胆汁酸の作用はどれか。
- 糖質分解
- 脂肪乳化
- ビリルビン生成
- タンパク質分解
解答: 2(脂肪乳化)
解説
- 誤り。糖質を分解するのはアミラーゼ(唾液・膵液)やマルターゼ等(小腸)の消化酵素である。胆汁酸は糖質分解に関与しない。
- 正しい。胆汁酸は脂肪を乳化して消化酵素の働きを助ける作用を持つ。胆汁酸は表面活性作用(界面活性作用)を有し、脂肪滴を細かく分散させることで膵リパーゼが作用できる表面積を増大させる。さらに、脂肪の分解産物である脂肪酸とモノグリセリドに作用して、水溶性のミセルを形成し、小腸からの吸収を促進する。腸内に分泌された胆汁酸の90〜95%は小腸で再吸収され、門脈を経て肝臓に戻る(腸肝循環)。
- 誤り。ビリルビンは老廃赤血球のヘモグロビンに由来する色素であり、胆汁酸から生成されるものではない。ビリルビンは胆汁に含まれる成分の一つであるが、胆汁酸の「作用」ではない。
- 誤り。タンパク質を分解するのはペプシン(胃液)やトリプシン・キモトリプシン(膵液)などの消化酵素である。胆汁酸はタンパク質分解に関与しない。
ポイント
- 胆汁酸の作用は脂肪の乳化と脂肪分解産物のミセル形成であり、胆汁には消化酵素は含まれない。
- 覚え方のコツ: 「胆汁=酵素なし、乳化専門」と覚える。胆汁は消化酵素を含まない唯一の主要消化液であり、脂肪の乳化(物理的分散)のみを行う。
- 関連知識: 胆汁酸の腸肝循環は臨床的にも重要であり、脂溶性ビタミン(A, D, E, K)の吸収にも胆汁酸によるミセル形成が必要である。
- よくある間違い: 胆汁酸とビリルビンを混同しやすい。胆汁酸は脂肪の乳化に働く機能物質、ビリルビンはヘモグロビン由来の排泄物質であり、役割が全く異なる。
| 成分 | 由来 | 主な機能 |
|---|---|---|
| 胆汁酸 | 肝臓(コレステロールから合成) | 脂肪の乳化、ミセル形成、脂肪消化・吸収の促進 |
| ビリルビン(胆汁色素) | ヘモグロビンの分解産物 | 排泄物質(腸内でウロビリノゲンに変換) |
| コレステロール | 肝臓 | 排泄(過剰蓄積で胆石の原因) |
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