問題
血液のガス運搬について正しい記述はどれか。
- 酸素は主に水酸基として運ばれる。
- 二酸化炭素は主に重炭酸イオンとして運ばれる。
- 肺での酸素の移動は主にろ過による。
- 組織での二酸化炭素の移動は主に能動輸送による。
解答: 2(二酸化炭素は主に重炭酸イオンとして運ばれる。)
解説
- 誤り。酸素は主にヘモグロビン(Hb)と結合した酸素化ヘモグロビン(HbO₂)として運搬される。→ 物理的に溶解している量は動脈血100mLあたり約0.3mLにすぎず、大部分は化学的溶解(Hb結合)による。→ 水酸基(OH⁻)としての運搬ではない。
- 正しい。CO₂の約80%は血漿中に重炭酸イオン(HCO₃⁻)として存在する。→ 赤血球内の炭酸脱水酵素により CO₂ + H₂O → H₂CO₃ → H⁺ + HCO₃⁻ の反応が速やかに起こる。→ 残りの約10%はHbと結合し、約10%は遊離CO₂として物理的に溶解している。
- 誤り。肺でのO₂移動はガス分圧の差による拡散で行われる。→ 肺胞気のO₂分圧(約100mmHg)と静脈血のO₂分圧(約40mmHg)の差が駆動力となる。→ ろ過は圧力差による液体の移動であり、ガス交換の機序ではない。
- 誤り。組織でのCO₂移動も分圧差による拡散で行われる。→ 組織のCO₂分圧は血液より高いため、CO₂は拡散により組織から血中へ移動する。→ 能動輸送(ATP消費)は関与しない。
ポイント
- CO₂の運搬形態は「HCO₃⁻として約80%、Hb結合約10%、物理的溶解約10%」と数値で押さえる。
- 覚え方のコツ: ガス交換は肺でも組織でもすべて「拡散(分圧差)」で起こる。ろ過(糸球体)や能動輸送(Na⁺-K⁺ポンプ)とは全く別の仕組み。
- 関連知識: 炭酸脱水酵素は赤血球内に豊富に存在し、組織ではCO₂の水和、肺ではHCO₃⁻の脱水を触媒する両方向の反応を担う。
- よくある間違い: 「O₂は水酸基(OH⁻)として運ばれる」という誤解。O₂はHbO₂として運搬される。
| 移動様式 | エネルギー | 方向 | 例 |
|---|---|---|---|
| 拡散 | 不要(受動) | 高濃度→低濃度 | O₂、CO₂の移動 |
| 浸透 | 不要(受動) | 低張側→高張側(水) | 細胞膜を介した水移動 |
| 能動輸送 | 必要(ATP) | 低濃度→高濃度 | Na⁺-K⁺ポンプ |
| 膜動輸送 | 必要 | 膜の変形による | 食作用、開口放出 |
| 濾過 | 圧力差 | 高圧側→低圧側 | 糸球体濾過 |
表: 物質移動の様式
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