問題
生理的条件下での心筋の特徴として正しい記述はどれか。
- 強縮する。
- ギャップ結合がない。
- 活動電位の不応期が骨格筋より短い。
- 伸展されるほど大きな収縮力を発生する。
解答: 4(伸展されるほど大きな収縮力を発生する。)
解説
- 誤り。心筋は強縮しない。→ 心筋の活動電位の絶対不応期は約0.2秒と非常に長く、次の刺激が来ても収縮が加重されないため強縮は起こらない。→ これは心臓がポンプ機能を果たすために不可欠な特性である(弛緩して血液を充満させる時間が必要)。
- 誤り。心筋細胞にはギャップ結合がある。→ 心筋細胞間の介在板にギャップ結合が存在し、電気的興奮が隣接する細胞に容易に伝わる。→ これにより心房・心室はそれぞれ機能的合胞体として同期的に収縮する。
- 誤り。心筋の不応期は骨格筋より長い(短いのではない)。→ 心筋の絶対不応期は約0.2秒で、骨格筋(約1〜2ms)より100倍以上長い。→ 不応期が長いことで強縮が防がれ、拡張期が確保される。
- 正しい。心筋は伸展されるほど大きな収縮力を発生する(スターリングの心臓の法則)。→ 静脈還流量が増加して心筋が伸展されると、その伸展の度合いに応じて心筋収縮力が増大する。→ この機構により、心臓への流入血液量が増えても局所性に対応できる。
ポイント
- スターリングの心臓の法則: 心筋は伸展されるほど(前負荷が増すほど)大きな収縮力を発生し、拍出量を増やす。
- 覚え方のコツ: 「心筋の3つの”ない”」→「強縮しない(不応期が長い)」「意志で動かせない(不随意筋)」「核が消えない(有核、赤血球と違う)」。
- 関連知識: 運動時には静脈還流量が増加し、スターリングの法則により1回拍出量が増える。これに加えて交感神経による心拍数増加が心拍出量を大幅に増加させる。
- よくある間違い: 心筋の不応期を骨格筋より「短い」と答えること。心筋の不応期は骨格筋より「長い」。これが強縮を防ぐ理由である。
| 筋の種類 | 横紋 | 随意/不随意 | 核の数 | 支配神経 |
|---|---|---|---|---|
| 骨格筋 | あり | 随意筋 | 多核 | 体性神経 |
| 心筋 | あり | 不随意筋 | 1〜2核 | 自律神経 |
| 平滑筋 | なし | 不随意筋 | 単核 | 自律神経 |
表: 筋の種類と特徴
『理由で解く 生理学』 Kindle版
本書は、生理学の各テーマを「機序・因果」の観点から再構成し、
知識の断片化を防ぎながら、臨床・学習現場で再利用しやすい理解を目指しています。初学者の学習補助だけでなく、授業設計・復習教材としても活用いただければ幸いです。
Kindle Unlimitedでも使えます。
理由で解く 生理学: 国家試験問題 941問 完全攻略 理由で解く国試過去問






コメント