問題
能動輸送はどれか。
- 肺におけるガス交換
- 小腸における脂肪酸の吸収
- 筋小胞体におけるカルシウムの取り込み
- 腎臓の糸球体からボーマン嚢への水の移動
解答: 3(筋小胞体におけるカルシウムの取り込み)
解説
- 誤り。肺のガス交換はO₂とCO₂の分圧差に基づく拡散(受動輸送)であり、エネルギーを必要としない。
- 誤り。脂肪酸は脂溶性であるため細胞膜の脂質二重層を受動的に拡散して吸収される。
- 正しい。筋小胞体におけるCa²⁺の取り込みはCa²⁺-ATPase(SERCA)によるATPを消費した能動輸送である。細胞には物質の濃度勾配に逆らって物質を細胞内に取り込んだり、細胞外に運び出したりする仕組みがある。この現象はエネルギーを使って行われるので能動輸送という。筋弛緩時にCa²⁺を細胞質から筋小胞体内へ濃度勾配に逆らって汲み上げることで筋収縮が終了する。
- 誤り。糸球体からボーマン嚢への水の移動は糸球体血圧による濾過(受動的過程)であり、能動輸送ではない。
ポイント
- 能動輸送の定義は「エネルギー(ATP)を使って濃度勾配に逆らう物質移動」である。
- 覚え方のコツ: 「能動=自分から動く=エネルギーを使う」と対比して、「受動=流れに任せる=エネルギー不要」と覚える。
- 関連知識: ナトリウムポンプ(Na⁺-K⁺ ATPase)も能動輸送の代表例であり、常時Na⁺を細胞外へ、K⁺を細胞内へ輸送している。
- よくある間違い: 濾過は圧力差による移動であり、能動輸送とも拡散とも異なる。各移動様式の原理を区別する必要がある。
| 移動様式 | エネルギー | 方向 | 例 |
|---|---|---|---|
| 拡散 | 不要(受動) | 高濃度→低濃度 | 肺のO₂・CO₂交換 |
| 浸透 | 不要(受動) | 低張側→高張側(水) | 細胞膜を介した水移動 |
| 能動輸送 | 必要(ATP) | 低濃度→高濃度 | Na⁺-K⁺ポンプ、Ca²⁺ポンプ |
| 膜動輸送 | 必要 | 膜の変形による | 食作用、開口放出 |
| 濾過 | 圧力差 | 高圧側→低圧側 | 糸球体濾過 |
表: 物質移動の様式
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