心臓について正しいのはどれか (2014年 あマ指 問題27)

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ポイントだけを暗記するのではなく、教科書を理解するための副教材の決定版。理解をすることで記憶は強固になり、忘れなくなります。 そして解剖学の理解は臨床力への豊かな土壌となります。解剖を得意科目にして将来に役立てたい。そんな方におすすめです。

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2 解説、一問一答、国試過去問で効率良く学べる
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心臓について正しいのはどれか (2014年 あマ指 問題27)

1 × 三尖弁は乳頭筋により開く
乳頭筋は心収縮時に房室弁が開くのを防ぐ
腱索と乳頭筋は房室弁の逆流防止装置乳頭筋は心室筋の一部で、心室が収縮するときに乳頭筋も収縮する。これにより腱索を介して房室弁が開かないように固定する。(p.42 心臓の弁膜)

2 × 中心臓静脈は前室間溝を走る。
大心臓静脈は前室間溝を走る。
ヒダリマエ、大きいのが当たり前」前室間溝を走る血管は、前室間枝(左冠状動脈の枝)と大心臓静脈。(p.43 心臓の血管)

  • 冠状溝心房と心室の間を取り囲む溝
    右冠状動脈、回旋枝(左冠状動脈の枝)、冠状静脈洞
  • 前室間溝:左右の心室間、前部の溝
    前室間枝(左冠状動脈の枝)、大心臓静脈
  • 後室間溝:左右の心室間、後部の溝
    後室間枝(右冠状動脈の枝)、中心臓静脈

3 × 心内膜は重層扁平上皮からなる。
心内膜は単層扁平上皮からなる。
心内膜はそのまま血管内皮に連続するので、血管内皮と同じく単層扁平上皮だ。(p.40 心臓の壁)

4 ○ 刺激伝導系は特殊心筋よりなる。
刺激伝導系は「特殊な心筋」により構成される。(p.42 刺激伝導系)


心臓の壁(p.40 心臓の壁)

心臓の壁は心内膜・心筋層・心外膜の3層からなる。
心内膜は心臓の内面をおおう単層扁平上皮とそれを裏打ちする薄い結合組織層からなり、心臓に出入りする血管の内膜にそのまま移行する。心臓の内腔にあって血液の逆流を防ぐ弁膜は心内膜のヒダである。
心筋層は心臓壁の主体をなす部分で、心房では薄いが心室では厚い。心筋線維は心臓内腔を取り囲むようにラセン状に走り、収縮によって血液を搾り出すのに都合が良い。組織学的には、横紋を持ち、網目状に連絡した筋線維をつくるのが特徴で、線維を構成する各筋細胞の境界には介在板(横線)が見られ、筋の興奮を伝え合う。
心外膜は心膜腔に面して心臓の表面をぴったりとおおう漿膜(漿膜性心膜の臓側板)と、それを裏打ちする結合組織からなる。この結合組織内には心臓の血管である冠状動脈と静脈が走る。

心房と心室(p.41 心房と心室)

心臓は上後方部の心房と、下前方部の心室に分けられる。心房は静脈から血液が注ぎ込む部分で壁が薄く、血液を受け止めて心室へと送る。心室は壁の心筋層が厚く発達し、強く収縮することで血液を勢いよく動脈へ拍出させるポンプである。心臓表面で、心房と心室の境界には冠状溝が形成される。
心臓は静脈血が流れる右心系と、動脈血が流れる左心系に分けられる。従って、心房・心室ともに、心房中隔および心室中隔によって完全に内腔が左右に分離して、心臓は2心房2心室になる。右心房には上半身と下半身の静脈をそれぞれ集めた上大静脈、下大静脈が注ぐほか、心臓自身の静脈(冠状静脈洞)も開口する。右心室からは肺動脈が出る。左心房には左右2対(計4本)の肺静脈が注ぎ、左心室からは大動脈が出る。
左右の心房の前端はそれぞれ、大動脈と肺動脈の基部を抱くように前にふくれだし、あたかも心臓にできた耳のように見えるので心耳という(右心耳左心耳)。心臓のか前面と後面には、それぞれ左右の心室間に沿う溝が認められる(前室間溝後室間溝)。また、心房の内面は比較的滑らかであるが、心室内面には心筋が網目状に盛り上がった肉柱や、内腔に突き出た乳頭筋がみられる。左心室は全身に血液を送るポンプなので心筋がとくに発達し、右心室に比べて壁が厚い。

心臓の弁膜(p.42 心臓の弁膜)

心臓の内腔には心内膜がヒダ状に伸びだして、血液の逆流を防ぐ弁をつくる。心房と心室の間には房室弁が、心室と動脈の間には動脈弁がある。
左の房室弁は2枚の弁尖からなるので二尖弁あるいは僧帽弁と呼ぶ。右の房室弁は3枚の弁尖からなるので三尖弁と呼ばれる。房室弁は心室に垂れ下がっており、弁尖の先端は腱索というヒモに移行する。弁尖は腱索を介して心室内腔に突き出た乳頭筋(心室筋の一部)に固定される。心室の収縮の際には乳頭筋も収縮し、ヒラヒラした弁尖が心房方向に翻るのを防ぐ。
動脈弁は半月形をしたポケットのような3枚の弁からなるので、半月弁とも呼ばれる。血液が逆流しようとするとポケットが膨らむように防止する。左前方にある肺動脈の基部には肺動脈弁、右後方にある大動脈の基部に大動脈弁がある。心房と心室の間には結合組織の線維束(線維輪と線維三角)が取り巻いて、心房筋と心室筋を隔てる。線維輪とは2組の房室弁と動脈弁の輪郭(房室口と動脈口)を丸く取り囲んだ線維束で、房室口および動脈口の形を保持して弁膜を付着させる。房室口と動脈口の合間には結合組織が三角形を呈する部分ができ、これを線維三角という。線維三角には刺激伝導系の房室束(特殊心筋線維)が貫いて、心房筋と心室筋とを連絡する。

(注) 僧帽弁:キリスト教の僧がかぶる帽子は2枚の先の尖った布からなっており、それを上下ひっくり返した形に似る。

刺激伝導系(p.42 刺激伝導系)

心臓がポンプとしての機能を発揮するためには、心房から心室へと順序良く収縮し、血液を送り出す必要がある。この収縮のための興奮を伝えるのが刺激伝導系である。これを構成するのは神経線維でなく、特殊心筋線維である。特殊心筋線維は一般の心筋線維よりも太くて細胞質に富むが、筋原線維は少ないという特徴を持ち、心筋の収縮を興奮として伝えていく性質がある。刺激伝導系は興奮を伝える順に次の4部からなる。

  1. 洞房結節:特殊心筋線維の網状の集まりで、右心房の上大静脈開口部に位置する。周期的な興奮が自動的に発生し、心臓拍動の起点となる。この興奮のリズムが心房全体に伝えられて心房の収縮をうながし、次の房室結節、房室束を経て心室に伝わる。このように洞房結節は心臓の収縮運動のリズムを決定するペースメーカー(歩調とり)として機能する。この結節には交感神経(頸部交感神経幹からの心臓神経)と副交感神経(迷走神経)が分布する。前者は洞房結節が発する興奮のテンポを速め、後者はテンポを遅くするように調節する。
  2. 房室結節:右心房の下壁にある特殊心筋線維の密な塊である。洞房結節を発して右心房壁を伝わった興奮がここで中継され、さらに房室束を経由して心室に伝わる。
  3. 房室束(ヒス束):心房と心室とを連絡する特殊心筋線維の束である。房室弁の周囲を固定する線維三角を貫通して心室中隔に達し、右脚と左脚に分かれる。
  4. プルキンエ線維:心室中隔を下行した右脚と左脚は、それぞれ右心室と左心室の壁で刺激伝導系の終末であるプルキンエ線維となり、心内膜下を細かく分枝しながら網の目のように走る。プルキンエ線維の末端は一般の心筋に移行して、興奮を心室全体に伝える。
心臓の血管(p.43 心臓の血管)

心臓は、自身の内腔に満ちた血液で養われるのではなく、主に大動脈の基部から出る左右の冠状動脈により栄養されている。右冠状動脈は大動脈基部の前面から出て、右心耳と右心室の間を通って冠状溝を右に回って心臓の後面に達する。ここで後室間枝となって後室間溝を心尖に向かって下行する。左冠状動脈は大動脈基部の左側から出て、肺動脈と左心耳の間を通って冠状溝に達する。ここで前室間枝となって心臓の前面(前室間溝)を下行し心尖に向かう。その他にも、冠状溝を左後方に向かう回旋枝を出して左心室の後方部を栄養しながら心臓後面に達する。回旋枝は後室間枝とわずかに吻合する場合もある。
心臓の静脈には、前室問溝から冠状溝を走る大心臓静脈や、後室間溝を走る中心臓静脈などがある。その大半は心臓後面の冠状溝を走る太い冠状静脈洞に集まり、右心房の後面に注ぐ。

※ この問題には詳細解説もあります。さらに理解を深めたい場合にどうぞ。

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